伊東順子のレビュー一覧
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紹介されている映画やドラマをみんな見てしまいたくなった。第一章:韓国の学校教育を知る、ドラマ「今、私たちの学校は…」、第二章:韓国人が考える、「大人の責任」、第三章:実は、大人たちの物語、第四章:映画でふりかえる「6・25朝鮮戦争」、第五章:イム・スルレが描く、生きとし生けるもの、第六章:「子猫をお願い」が描いた、周辺の物語、第七章:韓国の宗教事情を知る映画、第八章:ドラマ「私たちのブルース」、第九章:ベトナム戦争と韓国ドラマ、そして映画、第十章:語られることのなかった、軍隊の話、第十一章:「タワマン共和国」、第十二章:映画「別れる決心」とパク・チャヌク監督のこだわり。
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8月某日、実に4年ぶりにパスポートをつくった。これは旅の気分盛り上げ選書の3冊目。つまり次回外国旅はきっと韓国。本書は様々な韓国映像作品を伊東さんが読み解き、更に付随するカルチャーに言及した本です。ただし、私の知っている作品が載っている「章」のみご紹介する。※すみません、作品自体の紹介は、冗長になるので省略します。
◯小説と映画、それぞれの凄絶「82年生まれ、キム・ジヨン」
伊東さんは小説版の解説も書いている縁で、小説は何度も読み込み、映画も韓国と日本で2回観たという。そこで2つを丁寧に比較している。
韓国フェミニズム作品の嚆矢である。伊東さんはキム・ジヨンの性格豹変を「憑依」と表現する。確 -
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ネトフリは未入会なので取り上げられている映画・ドラマの限られたものしか観れてないが、冒頭の『82年生まれ キム・ジヨン』の原作小説と映画版の違いについての解説を読むだけで、2000年以前と以後の韓国社会における女性達の地位向上というドラスティックな変化を知ることができる。(隣国のフェニミズム運動にも影響を与えたという学者、上野千鶴子を産んだ日本の現状の方がよほど遅れているとは、鈴木涼美との「往復書簡」でも慨嘆されている。)映画評論に止まらず、韓流ブームに浮かれている日本人が知らない戦後韓国の変遷を様々な角度から解き明かしてくれる好著ではあるが、光州事件について当時報じたという朝日や西日本新聞に
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韓国の社会事情や文化について、人気のドラマや映画をもとに解説したもの。単にドラマのあらすじや内容を説明したものではなく、韓国人の思いや韓国事情を丁寧に教えてくれる。それがどのようにドラマや映画に描かれているかも説明してくれる。長く韓国に住み、翻訳もされてきた伊東さんならではと思う。第一章:小説と映画、それぞれの壮絶「82年生まれ、キム・ジヨン」、第二章:成長物語としての、ドラマ「サイコだけど大丈夫」、第三章:北朝鮮の人々は「愛の不時着」を見たのだろうか?、第四章:韓国ドラマ・映画と北朝鮮、第五章:「梨泰院クラス」(1)、第六章:「梨泰院クラス」(2)、第七章:映画「ミナリ」、第八章:光州は世界
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私は夫婦別姓賛成派だけど、日本は家族の絆が失われるという抽象的理由でなかなか別姓が進まない。
海外で別姓を導入している国々の実情をこの本で学ぶ事で、夫婦別姓の問題点や必要性を理解する事ができ、大変勉強になった。
まずやはり別姓を導入しても家族の絆は失われる事はないと実感。
ただ問題点としては子供の姓をどうするか。
父にするか母にするか。連結姓という制度を導入するのもありだとは思うけど、代が経る毎にどんどん連結していけば姓が長くなってしまう問題が生じてくる。
また子供と姓が違う場合に、親子だと証明するのが難しい事があるので、そういう場合の対応をどうするかというところが問題かな。
後は制度が導入さ -
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予想以上に面白く読み進めました。
2014~2020年の韓国について大きな出来事(日本でも大きく取り上げられた出来事)を時系列で現地に住んでる日本人の視点で出来事の内容とそれについてが書かれてあります。
私自身、この期間に韓国に住んでいた、いち在韓日本人だったのでその時の記憶が思い出され懐かしさを感じました。
そして面白かったのは同じ韓国に住む日本人なのにある出来事についての捉え方が違ったことでした。
「あーそういう風に考えるのか」と私にはない視点を垣間見るのはやはり新鮮でした。
とは言え、著者の意見は新鮮でありつつも、「やっぱり私はそうは考えない」と思う部分ももちろんありました。
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珍しい韓国の同時代史である。伊藤順子さん、「中くらいの友だちー韓くに手帖」という雑誌を編集、翻訳業も担っている。「82年生まれ、キム・ジヨン」の巻末解説も書いた人である。嫌韓の立場でもなく、韓国を無駄に褒めもしない「中くらい」の立場を保っている、と見えた。在韓日本人。
日本のワイドショーとウェブは、主に嫌韓寄りだ、と私は思慮する。特に徴用工とレーダー照射問題が報道されていた2018年-19年はそうなり、ともすると伊藤順子さんの主張は左寄りに見えるかもしれない。しかし、全て読んだら分かるが、伊藤さんは一貫して変わらない。世の中が変わったのである。
特に強調しているのは、韓国で起きていることと -
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第2次安倍政権(2012年〜20年)下で進行した「嫌韓」ブームを背景に、日本のワイドショーによる一面的な報道に反発して(池上某も批判されている)韓国側の目線で時事トピックを解説した連載のまとめ。
映画やドラマでは統制と抑圧が過剰に描かれがちな学校生活だが、現実には2010年以降、各地方において児童生徒人権条例が成立して、体罰禁止、茶髪化粧携帯電話の自由などが保証されているという話題には驚かされた。成立の過程には児童達も参画しているという事情を知ると、18歳選挙権を与えられた日本の高校生達が見習って頑張ればブラック校則の撤廃も可能なのではないかと……。
【蛇足】今では聞かなくなった「キーセン観光 -
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2010年代に、夫婦別姓が選択できない国は日本だけになった。
2015年最高裁で合憲判断が下された。
その後もさまざまな論点で訴訟が提起されるが、家裁申し立ては棄却、地裁提訴も棄却となり、司法による解決はなされていない。
与党自民党の中でも、緩やかな別姓を認容する意見が出ている。
各新聞社等の調査によっても、やりたい人はやればいい、という意見があるにも関わらず、司法、立法の場では救われていないのが現状である。
一部強権派が家族の繋がりだとか日本の伝統ということを前面に出し、反対している。
本書はイギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、アメリカ、中国、韓国の7カ国に居住しているジャーナリストた -
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“日本では若い女性、また「物申さない」 控えめな女性が好まれていると、里帰りするたびに実感する。科学番組でもドイツなら女性の科学者や司会者がばりばり発言しており、日本のように若い女性が年配男性の解説に「えー、そうなんですか」と相槌を打つだけという光景はほとんど見ない。そのような光景があちこちで繰り返されることで、それが当然という刷り込み が社会全体に広まる。”(p.121)
“たしかに、「なんでも二択」のような設定は、今の社会には合わないだろう。「姓」にも「性」にも、もっと自由があっていい。現実が牽引する自由に、法制度が追いつけていない。”(p.264) -
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2021年の衆議院選挙のときに争点のひとつとなった「選択的夫婦別姓」。結果としては、すぐに夫婦別姓を推進するほどの票差ではなく、まだまだ道のりは遠いなと感じました。
私が20代のころは「あんたが結婚するころには夫婦別姓が選べるようになってる」と言われたのですが、結婚もしなかったけど、夫婦別姓も実現してないですね。
当時の同級生たちは次々と結婚して名前が変わり、すでに結婚後の苗字のほうが長くなっている人も。彼女たちに葛藤があったのかなかったのかは知りませんが、年賀状とかくるたびに旧姓も書いてくれないと誰が誰だかすぐにはわかんないなと思っておりました。
そんななかで一人、イギリス人と結 -
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「愛の不時着」が面白いらしいという話を聞いて、それでは観てみるかとNetflixに入ったのが運の尽き?
それ以来すっかり韓国ドラマにハマってしまった。
もう20年近く前、カミさんがガン見していた「冬のソナタ」大ブームの時は、全く関心がなかったが、今回は韓国ドラマの「沼」にズッポリ両足が沈み込んだ。
そんな中、書店で偶々手に取った新書が、ドラマを絡めて現在の韓国カルチャー事情を記していたので興味深く読んだ。
日本では、愛の不時着や梨泰院クラスが人気を誇るが、私の中では「サイコだけど大丈夫」が今のところ一番面白くて心に残った。
この新書によれば、韓国やアセアン諸国、アフリカ圏では、「サイ