久賀美緒のレビュー一覧
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ネタバレ素晴らしかった。
読んでよかったなあ、と思える本に会えるのは幸せ。
ロバート親子とのパートはきついし、ニコラスはダグレスを「他の女たちのように欲がない」的評価してたけど、結婚相手をすごい求めてるし。2人のことをそれほど好きになれなくて読み終わったら読み返すことはなさそう、て思ってた。
が。ダグレスが中世にトリップしてから心を掴まれて止まらなくなり、2人の絆、最後の細密画の裏から伝わるニコラスの愛に泣いてしまった。
前半のダグレスは生きづらい自身を好きになれてないし、ニコラスも死を前にもがいていて、読んでる自分にそのままその感情が来てたんだと思う。一緒にその人生を生きて、しんどかった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ【人間不信になる現実、でも誰かを信じたい】
アメリカの小説、新鮮でした。
各章短く、テンポよく、
2人の女性、クレアとエヴァのシーンがほぼ交互に綴られる。
プエルトリコゆきの477便のチケットを持ったクレア。
搭乗前に、クレアとチケットを交換するエヴァ。
失踪を試みる二人が交わった空港での出来事を起点に、
エヴァのそれまでと、
クレアのその後について、
目が離せなくなる。
登場人物があまり多くなくて、
シーンが変わっても置いていかれずに読めた。
人に助けてもらうこと、
形跡を残すこと。
信じること。
生きると決めたなら避けられないのかも。
どれだけ人間不信に陥っても。
誰か信じられる -
Posted by ブクログ
プエルトリコに行くクレアは夫の暴力と支配から逃れたかった。クレアに空港で声をかけたエヴァという女性は夫の安楽死を手伝ったのでオークランドに戻れば逮捕される可能性があるという。
今の生活から逃れたいと思う2人は空港で航空券と身分を交換することに。
クレアはオークランドへ。
エヴァはプエルトリコへ。
2人の女性のことが交互に綴られていく。
クレアはオークランドに着いてから当初乗る予定だったプエルトリコ行き477便が墜落したことを知り、今後のことを模索する。
エヴァは何者なのか、実は何から逃れたかったのかが段々と明らかになる。
序盤から終始ハラハラするサスペンス。
とても面白かった‼︎
不安だ -
Posted by ブクログ
恋人との旅行中、喧嘩して身一つで置き去りにされたダグレスの前に鎧の男が現れ……。タイムスリップ・ロマンス。
調べると1995年に新潮文庫から出ている本作。本書は2020年に二見文庫から出た新訳版。770ページを超える長編である。評判が良いようなので、ロマンス小説という馴染みのないジャンルだが手を出してみたら、大正解!
男性との関係に常に問題を抱えつつ、何度も失恋を繰り返しながら、異性を求めることがやめられない女性主人公ダグレス。彼女の内面世界がくどくどと語られるのには当初面食らった。やや古い小説のため、価値観など時代性を感じるし、男性にとっては共感できないところも多い。ただ、心理状態がつか -
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読み終わって、そう、後書きまですべて読み終わっても、どきどきする本にたまに出合うことがあります。
わたしにとって『プエルトリコ行き477便』はそういう本でした。
登場人物はふたり。
ひとりは上流階級に嫁ぎもうすぐ上院議員に立候補しようとしている夫に虐待されているクレア。
もうひとりは薬の売人をしてひとりでひっそりと生きているエヴァ。
ふたりの視点で交互にものがたりは進んでいきます。
クレアの視点は現在進行形でクレアの語り。
エヴァの視点は三人称でプエルトリコ行き477便に搭乗することになるまでの状況がえがかれている。
過去と現在が語られることで相乗効果ってめちゃくちゃ上がることもあるんだな。 -
Posted by ブクログ
思わぬ拾い物という印象が強い一作である。まだこれが二作目という新人女流作家には、目のつけどころの良さと、ストーリーテラーとしての稀有な才能を感じさせられる。邦題は原題の直訳ではないけれど、なかなか洒落た納得のゆくタイトルであることが、本書を読み始めればわかって頂けると思う。
本書を読み始めると、まずページを繰る手が止まらなくなる。クレアとエヴァという二人の境遇の異なる女性が出会うのは、ニューヨーク、ジョン・F・ケネディ空港。しかも小見出しによれば「墜落事故当日」。え?
二人の女性が航空券を交換するシーンがこの小説のスタート地点だ。見ず知らずの他人同士として、初めて出会った女性二人が -
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その場から脱出したい女性がふたり。片方は夫からの凄まじい虐待に遭い、もう片方は犯罪がらみのやばい状況。空港でばったり会って航空券を交換したら現状から抜け出せるのか。
どうか無事に逃げられますようにとひたすら願う。一時逃げられたとしても、その後の生活に不安を抱くようでは駄目。とにかく完全に振り切ってと。
臨場感が凄い。歳を取るにつれて片仮名の名前が頭に入りにくくなっているため(笑)、海外ミステリーは年に数冊しか読まなくなっていましたが、こんな作品を読むと俄然もっと読みたくなる。
冒頭に「勇気を持って自らのために声をあげたすべての女性に捧げます」とあります。見てくれている人、助けてくれる人は -
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消防士・アンは崩れかけた現場の中、腕を挟まれ脱出出来ずにいた所、助けに来た、一度だけ関係を持った同僚ダニーに腕を切断するよう懇願する。ダニーは瀕死の重傷を負いながらもアンを助け出した。10ヶ月後、火災捜査官として、アンは初めての任務でかつて腕を失った現場を調査する。腕と天職を失っても前に進み続けるアンがカッコいい!現場に復帰したが、後悔と罪悪感で自暴自棄になっていたダニーの描写は痛々しかった。初めて義手を付けていない腕に触れるシーンが印象的だった。事件については完全な解決に至っていないのが心残り。今後が気になる隊員もたくさん!面白かった!