久賀美緒のレビュー一覧
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ほんとに途方もない出会いと別れだった。
ダグレスが本来あるべきだったであろう成長をしていく姿とニコラスとの愛に最後はぼろぼろ泣きながら読んでた。
真相を求めていたのにそんな判明になるの?!からの後半、16世紀に行ってからの方が面白かったな。
ニコラスとの時間を重ねたダグレスがこれからどう生きていくか、で終わっても文句は言えないなあと思ってたのであの終わり方は個人的にはマジでありがとう!!でした。
本の分厚さにいざ!と意気込んで読み始めたものの、蓋を開ければめちゃくちゃスラスラ読めたので全然長く感じなかったなー。むしろもっと下さい!!みたいな。いやーー楽しかった!! -
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ネタバレ素晴らしかった。
読んでよかったなあ、と思える本に会えるのは幸せ。
ロバート親子とのパートはきついし、ニコラスはダグレスを「他の女たちのように欲がない」的評価してたけど、結婚相手をすごい求めてるし。2人のことをそれほど好きになれなくて読み終わったら読み返すことはなさそう、て思ってた。
が。ダグレスが中世にトリップしてから心を掴まれて止まらなくなり、2人の絆、最後の細密画の裏から伝わるニコラスの愛に泣いてしまった。
前半のダグレスは生きづらい自身を好きになれてないし、ニコラスも死を前にもがいていて、読んでる自分にそのままその感情が来てたんだと思う。一緒にその人生を生きて、しんどかった。
後半、行動力を持って自分が何を大切にするかに向き合ってから、2人のことを好きになった。
ロマンス小説はこれが二冊目で、朝チュンの「わたしの黒い騎士」から入っていったから、Hotって言われるシーンに最初面食らった。偏見なんだけど、ロマンス小説だからそういうお楽しみシーン入れましたよ、みたいな感じなのかなって。
でも、違う!通して読むと、この物語と2人にとって体が交わることの持つ意味の大きさが分かってすご!!物語の完成度高!!ってなった。
この厚さでもあっという間に読めてしまう。
作者さんの他作品もぜひ読みたいし、勿論この作品も何度も読み返す!!
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ネタバレ【人間不信になる現実、でも誰かを信じたい】
アメリカの小説、新鮮でした。
各章短く、テンポよく、
2人の女性、クレアとエヴァのシーンがほぼ交互に綴られる。
プエルトリコゆきの477便のチケットを持ったクレア。
搭乗前に、クレアとチケットを交換するエヴァ。
失踪を試みる二人が交わった空港での出来事を起点に、
エヴァのそれまでと、
クレアのその後について、
目が離せなくなる。
登場人物があまり多くなくて、
シーンが変わっても置いていかれずに読めた。
人に助けてもらうこと、
形跡を残すこと。
信じること。
生きると決めたなら避けられないのかも。
どれだけ人間不信に陥っても。
誰か信じられる人がいる世界であってほしい。
弱っている時に漬け込む人。
立場を濫用する人。
心から手を差し伸べようとする人。
分からないけど、自分は手を差し伸べる人でありたい。
利害を超えた友情を大事にしたい。
全ては流転する、けれど。
あとたぶん、
直感を高める。 -
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プエルトリコに行くクレアは夫の暴力と支配から逃れたかった。クレアに空港で声をかけたエヴァという女性は夫の安楽死を手伝ったのでオークランドに戻れば逮捕される可能性があるという。
今の生活から逃れたいと思う2人は空港で航空券と身分を交換することに。
クレアはオークランドへ。
エヴァはプエルトリコへ。
2人の女性のことが交互に綴られていく。
クレアはオークランドに着いてから当初乗る予定だったプエルトリコ行き477便が墜落したことを知り、今後のことを模索する。
エヴァは何者なのか、実は何から逃れたかったのかが段々と明らかになる。
序盤から終始ハラハラするサスペンス。
とても面白かった‼︎
不安だらけの辛い状況のなかで出来た友情が救いとなり友の言葉が沁みる。
自分らしく生きようと力強く勇気ある行動に大変励まされた。
いい作品に出会えた。 -
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恋人との旅行中、喧嘩して身一つで置き去りにされたダグレスの前に鎧の男が現れ……。タイムスリップ・ロマンス。
調べると1995年に新潮文庫から出ている本作。本書は2020年に二見文庫から出た新訳版。770ページを超える長編である。評判が良いようなので、ロマンス小説という馴染みのないジャンルだが手を出してみたら、大正解!
男性との関係に常に問題を抱えつつ、何度も失恋を繰り返しながら、異性を求めることがやめられない女性主人公ダグレス。彼女の内面世界がくどくどと語られるのには当初面食らった。やや古い小説のため、価値観など時代性を感じるし、男性にとっては共感できないところも多い。ただ、心理状態がつかみやすい文体なので、若い女性に恋愛相談を受けて愚痴を聞いているような気持ちで読んでいくことができた。
ダグレスの心の闇を描きながら、タイムスリップという設定を用いて、ミステリーのオールタイムベスト「時の娘」のような歴史ミステリー的展開を広げていく。いやむしろ、児童文学の名作「時の旅人」(アリソン・アトリー)を大人向けのロマンス小説にしたという感じだろうか。扱っている題材もエリザベス女王とメアリー・スチュアートの時代であり、とにかく色々と既視感のある設定が目立つところだ。しかし、SF、歴史ミステリー、ロマンスと、いくつもの要素のブレンドぐあいが良く、16世紀からタイムスリップしてきたニコラスとの、恋愛ものにありがちなすれ違いを越えて徐々に関係を深めていくという流れは、ベタではありつつも感動できると思う。
さらに本作はアルコール依存症をテーマにしていると著者あとがきに書かれてあり意外に思った。深読みするとなるほど、そういうことなのかとなるので、これから読む人はその辺に留意しておくとよいかもしれない。
本作が面白くなるのは後半から。ネタバレを避けたいのでこれ以上は書かないが、前半の、ダグレスの長々とした愚痴に辟易したり、ニコラスとのトラブルにうんざりしてしまった人も、後半以降のスリルある展開、結末の大転換にたどり着いてほしい。すべての伏線が回収されるカタルシスは最高に読み応えがあるものだ。途中ダレるところもあるが、ラストの一文ですべて救われる。この終わり方は好き。これは最高の恋愛小説じゃないか! -
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読み終わって、そう、後書きまですべて読み終わっても、どきどきする本にたまに出合うことがあります。
わたしにとって『プエルトリコ行き477便』はそういう本でした。
登場人物はふたり。
ひとりは上流階級に嫁ぎもうすぐ上院議員に立候補しようとしている夫に虐待されているクレア。
もうひとりは薬の売人をしてひとりでひっそりと生きているエヴァ。
ふたりの視点で交互にものがたりは進んでいきます。
クレアの視点は現在進行形でクレアの語り。
エヴァの視点は三人称でプエルトリコ行き477便に搭乗することになるまでの状況がえがかれている。
過去と現在が語られることで相乗効果ってめちゃくちゃ上がることもあるんだな。
過去回想は書き方としてよくないし損しているって前に言われたことがあるのです。
過去回想でも回想でなく、進行形で書けばそんなことはちっとも気にならないんだと分かったのは良かった。
クレア視点で語られるとクレアに肩入れしたくなるけど、私が好感を持ったのはエヴァと隣に引っ越してきたリズの関係でした。
読み終わった今も、ふたりのことを考えると胸が熱くなるし、涙が出そうになります。
単なる友情ってたぶんどこにでもあると思う。
エヴァは薬物依存症の母親と、その面倒を見るために孫のことを見れないと祖父母に捨てられた過去があり、複雑な環境で生きてきたから誰にも頼らず誰にも心を開くことができずにいた。
そんなエヴァのことを友だちだと言ってくれた年上のリズのことをわたしも好きにならずにいられない。
本当の友だちはたぶん全然年齢とか境遇とか関係ないんです。
もちろん、友だちが必要かどうかは自分で決めていいし、ひとりで強く生きていけるのはとってもいいことだとは思うけれど、クレアみたいに誰かが助けてくれる場合もあるかもしれない。
エヴァがリズに会わなかったらきっとあんな風にしなかったとは思ったけど、エヴァは最後の最後で自分の判断をしたけれどそれでもひとりぼっちではなかったって思えたんだとわたしは思いたい。
エヴァは間違ってなかったって言ってあげたい。
クレアはエヴァのことをきっと忘れないし、リズもずっと友だちだから。
泣きそうです、本当に。
あと、著者インタビューもとてもいいのです。
たくさんの人に読んでほしい本です。 -
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思わぬ拾い物という印象が強い一作である。まだこれが二作目という新人女流作家には、目のつけどころの良さと、ストーリーテラーとしての稀有な才能を感じさせられる。邦題は原題の直訳ではないけれど、なかなか洒落た納得のゆくタイトルであることが、本書を読み始めればわかって頂けると思う。
本書を読み始めると、まずページを繰る手が止まらなくなる。クレアとエヴァという二人の境遇の異なる女性が出会うのは、ニューヨーク、ジョン・F・ケネディ空港。しかも小見出しによれば「墜落事故当日」。え?
二人の女性が航空券を交換するシーンがこの小説のスタート地点だ。見ず知らずの他人同士として、初めて出会った女性二人が、空港という人生の交差点で、これまでの捨て去りたい人生を互いに交換する。そんな運命と、その裏に窺える二人の追いつめられた人生こそが、小説の序章である。
墜落当日から始まるクレアの物語。そして、墜落当日の6か月前から現在へと回想されるエヴァの物語。二つの物語の進行で本書は構成されている。
クレアは、財団の理事である夫の隠れた家庭内暴力に苦しめられ、そこから逃げ出したい。エヴァは、親に捨てられた孤児として育ち、現在は違法ドラッグ製造に関わっているが、組織から逃走して別の人生に逃げ込みたい。クレアとエヴァが航空券を交換することにより、本当に実際に交換したものは何であったのか?
二人の乗り換えた飛行機の一つ、エヴァが最終的に手にしたプエルトリコ行き477便は、その日、出発後間もなく墜落し、海の藻屑と消える。エヴァはこれに乗り込まずに済んだかに見える。そしてふたりの時系列も場所も異なる二つの物語がそれぞれ一人称の物語として進むことによって、運命のそれぞれの行方が次第に明らかになり、それとともに訪れる結末が想像できぬまま、ぼくらはこの作品を追い続ける以外何もできなくなる。
何よりこうしたアイディア、そして構成が、この作品の肝なのである。先が読めない展開も去ることながら、男たちからの支配、暴力、悪意、利用などをダイレクトに身に受ける存在としての二人のヒロインの物語が残酷で、彼女らの未来を彼女らの力で取り戻すプロセスと、そして訪れるべき幸せな結果を読者は望むことになる。
人生の残酷さをこれでもかと受けてきた女性たちの行方は、最後にはどうなるのか? そうしたプロットを主軸にしつつ、エヴァの隣人であるリズの存在が次第に強くなる。彼女が傾ける無償の優しさが、徐々に明らかになるように見える。それは罠なのか、それとも真に無償の救いなのか? 思わぬ展開と人間関係の妙という力学も働きつつ、終盤に待ち受ける意外などんでん返しの連続技が圧巻である。面白さと物語の内容の深さという両輪を兼ね備えた、重たくも推進力を感じさせる作品なのである。
この素晴らしい作品は翻訳ミステリー読書会関係者の皆様よりご紹介頂いた。いつもながらただただ感謝である。 -
Posted by ブクログ
その場から脱出したい女性がふたり。片方は夫からの凄まじい虐待に遭い、もう片方は犯罪がらみのやばい状況。空港でばったり会って航空券を交換したら現状から抜け出せるのか。
どうか無事に逃げられますようにとひたすら願う。一時逃げられたとしても、その後の生活に不安を抱くようでは駄目。とにかく完全に振り切ってと。
臨場感が凄い。歳を取るにつれて片仮名の名前が頭に入りにくくなっているため(笑)、海外ミステリーは年に数冊しか読まなくなっていましたが、こんな作品を読むと俄然もっと読みたくなる。
冒頭に「勇気を持って自らのために声をあげたすべての女性に捧げます」とあります。見てくれている人、助けてくれる人は、きっといる。 -
Posted by ブクログ
消防士・アンは崩れかけた現場の中、腕を挟まれ脱出出来ずにいた所、助けに来た、一度だけ関係を持った同僚ダニーに腕を切断するよう懇願する。ダニーは瀕死の重傷を負いながらもアンを助け出した。10ヶ月後、火災捜査官として、アンは初めての任務でかつて腕を失った現場を調査する。腕と天職を失っても前に進み続けるアンがカッコいい!現場に復帰したが、後悔と罪悪感で自暴自棄になっていたダニーの描写は痛々しかった。初めて義手を付けていない腕に触れるシーンが印象的だった。事件については完全な解決に至っていないのが心残り。今後が気になる隊員もたくさん!面白かった!