【感想・ネタバレ】時のかなたの恋人のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月17日

恋人との旅行中、喧嘩して身一つで置き去りにされたダグレスの前に鎧の男が現れ……。タイムスリップ・ロマンス。

調べると1995年に新潮文庫から出ている本作。本書は2020年に二見文庫から出た新訳版。770ページを超える長編である。評判が良いようなので、ロマンス小説という馴染みのないジャンルだが手を出...続きを読むしてみたら、大正解!

男性との関係に常に問題を抱えつつ、何度も失恋を繰り返しながら、異性を求めることがやめられない女性主人公ダグレス。彼女の内面世界がくどくどと語られるのには当初面食らった。やや古い小説のため、価値観など時代性を感じるし、男性にとっては共感できないところも多い。ただ、心理状態がつかみやすい文体なので、若い女性に恋愛相談を受けて愚痴を聞いているような気持ちで読んでいくことができた。

ダグレスの心の闇を描きながら、タイムスリップという設定を用いて、ミステリーのオールタイムベスト「時の娘」のような歴史ミステリー的展開を広げていく。いやむしろ、児童文学の名作「時の旅人」(アリソン・アトリー)を大人向けのロマンス小説にしたという感じだろうか。扱っている題材もエリザベス女王とメアリー・スチュアートの時代であり、とにかく色々と既視感のある設定が目立つところだ。しかし、SF、歴史ミステリー、ロマンスと、いくつもの要素のブレンドぐあいが良く、16世紀からタイムスリップしてきたニコラスとの、恋愛ものにありがちなすれ違いを越えて徐々に関係を深めていくという流れは、ベタではありつつも感動できると思う。

さらに本作はアルコール依存症をテーマにしていると著者あとがきに書かれてあり意外に思った。深読みするとなるほど、そういうことなのかとなるので、これから読む人はその辺に留意しておくとよいかもしれない。

本作が面白くなるのは後半から。ネタバレを避けたいのでこれ以上は書かないが、前半の、ダグレスの長々とした愚痴に辟易したり、ニコラスとのトラブルにうんざりしてしまった人も、後半以降のスリルある展開、結末の大転換にたどり着いてほしい。すべての伏線が回収されるカタルシスは最高に読み応えがあるものだ。途中ダレるところもあるが、ラストの一文ですべて救われる。この終わり方は好き。これは最高の恋愛小説じゃないか!

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Posted by ブクログ 2023年12月11日

面白すぎて寝る間も惜しんで夢中で読みました!ダグレスとニコラスの恋がどうなるのか…やきもきしながらもとても楽しかったです。
1番好きな本になったかも!!

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

恋人とのイギリス旅行中、喧嘩して身一つで置き去りにされたダグレス。十六世紀を生きた伯爵ニコラス・スタフォードの墓の前で泣いていると鎧をまとった男が現れ、ニコラス本人だと名乗った。いかれたコスプレイヤーにも思えたが、ホテル代すらないダグレスは、仕方なく男と行動をともにする。だが実は三日後に処刑されるは...続きを読むずで、現代にも"謀反人"として名の伝わるニコラスに同情を感じはじめた彼女は、その無実を証明するため、奮闘しはじめる――時を超えて愛し合う恋人たちを描く永遠の名作!

タイムトラベルものですが、互いに風習や当たり前だと思っていることが全く違うことに動揺したり興味津々になるところが丁寧に描かれていて、さっと現場になじまないリアルな感じが良いです。実際発狂レベルでしょうから。そんな中でもかなりお人よしのダグラスは結構美人なんですが色々と過去の失敗や姉との比較で自己肯定感が低く、ニコラスから与えられる優しさに惹かれます。でもね、結構ニコラスも元の時代ではクソ男なんだよね。まあ当時は当たり前だったのかもしれないけど。途中までハラハラしましたが、最終的にはぐっとくる素敵な終わり方でした。これってどこまで実話が混じってるんだろう?スタッフォード伯爵というのは存在したようだけど。気になるな~~。

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

『タイム•トラベルものの傑作』という話を聞いて探してみると、ラッキーなことにすぐ手に入った。読んでみた。
なるほど。確かに"タイム•トラベル"だけど、SF要素は一切無い。どちらかと言えば"ラブ•ロマンス小説"と割り切って読むのが一番よいと思う。

恋人とのイギ...続きを読むリス旅行中、喧嘩して置き去りにされたダグレス。16世紀に処刑されたニコラス•スタフォード伯爵の墓前で泣いていると、鎧を身に纏った男が現れる。彼は自分がニコラス本人だと名乗る。ニコラスがその三日後に処刑されたことを知った二人は、無実を証明するために行動を共にするが…。

原書初版は1989年。主人公が"物言うヤング•アメリカン•レディ"然としているのが、この時代の空気を如実に捉えていると思います。今では当たり前なんですけど。日本では1995年に新潮文庫で出ていたらしい。その後2002年に著者の加筆があって、現在日本で手に入るのはニ見書房から出ているこの加筆版。初版は2020年。

760ページの大作。この手の"ラブ•ロマンス小説"は初めて読んだかも。主人公は、『ハリー・ポッターに出て来るハーマイオニーが、ハリーたちと出会わないまま成人しちゃったらこんな感じかなぁ』と、思いつつ読んだのも事実。
…それでも、私は、"女性による女性向けの少女マンガ"とかが全く受け入れられない心の狭い人間なのですが、最後まで読めました。読後感は爽やかで良かったです。

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