本山聖子のレビュー一覧
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ネタバレ長崎の女は高校卒業したら働き、結婚して、子供を産むことが幸せと考える社会で生まれた幸が、東京に出て、胚培養士として不妊治療に関わるようになる。
自らも精子提供で生まれてきた幸は過去にもとらわれ、自分の仕事、生き方に自信を持てずに生きている。幸の地元出身の友人、不妊外来にくる患者たち、同僚たち、みんなそれぞれに悩みやつらい過去をもちながら自分と折り合いをつけていて、彼らとの関わりの中から自分の生き方を見つけていく。
バツ2子持ちの地元友人網子が生き生きとしていて、クリニック外の話に華を添えていて、重くなりがちなクリニック内の話を重くなり過ぎないようにしている。
出産、育児は女性の負荷が多くなりが -
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「胚培養士」、
この本を手に取るまでは職業として
そういった仕事があることすら知らなかった。
ヒトの胚(受精卵)を扱い、医師の指導の下、人工授精、体外受精、顕微授精などの生殖補助医療を行う仕事。
つまり、受精卵を育て、お母さんの子宮に戻すまで育て、未来に繫ぐ仕事。
胚培養士として働く長谷川幸が、
自分の出生の秘密を抱えつつ、
妊娠を望む女性たちと
ぞれぞれの人生の選択と幸せとは何かを見つめていく。
望んだ人たちみんなに授かってほしいと思っても、
どんなに医療の技術が進歩しても、
妊娠は努力したことが必ず報われるわけではない。
「治療で一番苦しいのは授から -
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乳がんを患った3人の女性のお話。
男性の自分には、中々身をもって感じることが難しい女性の気持ちが描写されていて、自分の中の世界が広がったように感じました。
〜先日、温泉に行ったとき「乳がん患者のための入浴着」なるものの看板があり、
以前であれば「こんなものがあって親切だな」くらいにしか思わなかったと思うが、そう思わなかったことに、この本を読んだことでの心の動きがあったのだと感じた〜
それぞれのお話にいろんな男性が出てきて、その考え方へ女性への対応も様々。
自分に置き換えて、妻が乳がんになったらどうするだろうと考えてしまいました。
若くしてがんになり、戸惑い苦しみながらも前を向き、進もうとす -
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若い女性3人の乳がんのお話し。
2日で読んでしまった。他人事ではなくいつもの日常が明日も来るとは限らない。
私は普段こんなことを思う読者ではないけどここに出てくるもも、菜都、ゆずに会いたい❢と思った。
3人の強さにこちらも勇気をもらえる。
今日がどん底でも明日は分からない、だから生きなきゃいけないって。言葉では簡単だけどね。
そして、もう一つ大事なこと。
もも、菜都、ゆず、3人ともがん保険には入ってなくて(まぁ、20代でがん保険入る人の方が少ないか)、やっぱり保険は大事❢
本編にもあったけど今の時代がんになってもすぐイコール、死ではないと。がんになっても日々の生活、税金は払わなくちゃいけな -
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【330冊目】とても面白かった!
長崎出身、32歳女性の胚培養士が主人公。恋人はおらず、結婚願望も、出産願望もない。だけど、顕微鏡が好きで、誘われるままに胚培養士になるため上京した。長崎の実家とも色々抱えていて…というお話。
物語自体も面白かったのですが、妊娠出産や不妊治療にまつわる論点や課題の多くが、話の筋に無理なくカバーされており、不妊治療の入門的に読むのもアリじゃないかなぁと思いました!
女性のしんどい思いはもちろんのこと、ある種の不妊治療に臨む男性の苦しい思いも書いてあったりして、公共交通機関の中で涙目になりながら読みました!
当たり前だけど不妊治療を考えるということは -
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ネタバレ「子供がほしい」と思う気持ちは夫婦同じくらいなのに、妊活となると、なぜ女側が「お願い」する形で進めなくてはいけないんだろうと、この頃は強く疑問に思う。(P.11)
「働くのはあとからでもできるのだから、早く子供を産んじゃいなさい」と、いつも言う。(P.22)
乳がんだと言うと、みんな「内臓じゃなくてよかったね」と、口を揃えて言う。確かに、それも一理あるんだろうなと、百花も思う。おっぱいがなくても呼吸にも消化にも排泄にも支障はない、だから恵まれているのだと、言い聞かせもした。(P.37)
生きていれば当たり前に芽生える願望。 病気に負けず、それを叶えようとする前向きな気持ちもある。だけど時 -
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表紙かわいいな〜でもタイトルのおっぱいエールってどういう意味だ??
と気になって読んでみたら、若くして乳がんになってしまった、3人の女性の物語だった。
「正しいって、楽しいのかな?」
菜都のお姉さんのこのセリフが胸に響いた。
真面目に生活して、他人に迷惑をかけないように、周囲の評価を気にして、自分の気持ちは後回しにして、正しくいなきゃいけない…。そう決め付けて自分を縛ってばかりいる事が、楽しいはずない。
たまには楽しい事をして、気分転換して良いんだよ、と背中を押してくれた。
そして私も、女性はこうであるべき!という幸せの呪いから解放されたい。
進学、就職、結婚、出産、育児…順番も内容も正解 -
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「乳癌」という重くてとても身近なテーマ。
乳癌を患い闘病中の3人。
宣告を受けた後の絶望、悲しみ、不安、怒り、理解されない苦しみ。そんな気持ちの描写に何度も胸が締め付けられました。
だけど現実は続いていて、やるべき事もある。守りたい人もいる。まだまだやりたい事もある。
直面する「仕事」「結婚」「出産」そして「治療費」の問題もある。
それぞれの環境で生きることにもがいている3人が闘病ブログで知り合い、その繋がりに力をもらい前向きになっていく。
ゆずちゃんの一言、「矛盾してるけど幸せ」にグッときました。
読んで良かった。
1日1日を大切にしていこう♪
前向きで希望を感じられる素敵な1冊でした。
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Posted by ブクログ
読み終わった後にすごく前向きなスッキリした気持ちになれました。
三人の乳ガンの方のお話。
もも、ココナッツ、柚
4章からなってて、1から3章はそれぞれ個人のお話。
4章は三人が初めて会って温泉に行くお話。
同じ病を抱えた同志なら他人に話しにくい事も素直に話せて自分を見つめ直すいい時間を過ごせたと思う。
とんだ珍客もいたけど…
その4章、ももやココナッツ、柚の形が描かれてて
それぞれの視点の書き方になってたのが読み終わって気付いてしまった。
ガンって聞くと、やはり怖いしステージとか余命とか負のイメージ
乳ガンも身近な人がなってたりして他人事ではないし
全摘とかになったら、温泉にいきづらく -
Posted by ブクログ
いい本だったなぁ。
作者の本山聖子さんが実際に乳がんを経験しているから、こちらに伝わってくるものがすごくあるのだと思う。
三人の乳がんの女性がブログを通して知り合い、赤裸々に悩みを打ち明け合い、前へ進もうとする。
だけどその先は描かれていなくて、それがリアルだなって思う。
現実は小説のようにうまくいくとは限らないから。
「がん患者の気持ちは、がん患者にしかわからない」これが答えなんだと思う。周りの人が自分の気持ちを理解してくれない怒り、そして怒りを覚えてしまう自分自身を情けなく思ってしまう気持ち。苦しいなぁ。でも、怒りを持ったって、情けなくなったっていいんだ、自分を責めなくていいんだって思える