本山聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ところどころうるっとさせられるところもあり、良かったー!
乳がん、自分からは遠いところにあると思いがちだけど全然そんなことない。私の同級生もママになったからと気軽に久しぶりにDMやり取りしてみたら、実は数年前に乳がんになって胸を全摘して、治療前に凍結した受精卵で妊娠して…という経験をしていたみたいで度肝を抜かれた。だから全然遠くないし、彼女達の苦悩も、思いも、何もかもリアル。ホント乳がん検診マメに受けないとだよね…。
独身でも、夫がいても、子供がいても、どの立場にいても「でもあなたは乳がんじゃないよね」と思ってしまうだろうし、常に隣の芝は青いんだと思う。
でも作中でも言っていたように人には人の苦しみがあるし、ご飯は美味しい。だから今を精一杯生きていかなきゃ行けない。
前を向いて生きよう!と思える作品だった! -
Posted by ブクログ
不妊治療クリニックで胚培養士として働く長谷川幸。
基本治療が保険適用となり不妊治療がより身近になった現代でも、報われない挑戦、それぞれの幸せが日々選択されていく。
生殖医療に関わる人間たちの葛藤と希望を描く長編小説。
不妊治療を軸に生まれた意味や家族とは何なのか、命の繋がりを問う物語のように感じました。
妊娠すること、母子共に健康に出産できることは奇跡なんだと何度も思い知ると同時に、不妊治療の現実を突きつけられた気がします。
何年も治療を経験した人にしかわからない苦しみと戦い、心も身体も限界を迎え、それでも授かれなかったときは自身で治療を終える判断をしなければならない。
諦め、絶望、周りのプレッシャーといった負の感情がダイレクトに伝わって、患者と治療する医療従事者の両方の思いに胸が詰まりました。
子供が生まれる尊さはかけがえのないものだけど、授かれなかった人も子供を持たない人生を選んだ人も、決して気の毒だったり不幸な訳ではありません。
結婚して子を持つことが「普通」とされる常識が変わり、個人の選択した幸せが尊重される社会であって欲しいと思います。
後半は幸とその両親の考えにあまり共感できずモヤモヤしましたが、網子がスパッと言葉にしてくれてスッキリしました。(網子も花岡先生も医院長も魅力的なだけに、田舎の価値観に囚われた両親たちが痛々しく見えてしまいました…。)
世代や年齢、性別を問わずもっと沢山の人に知って欲しい一冊です。
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Posted by ブクログ
フォロワーさんの本棚で見かけ、興味を惹かれて手に取った一冊。
舞台は、不妊治療を支える「胚培養士(はいばいようし)」という、普段はあまり耳にすることのない生殖医療の世界だ。
一見すると重たくて敷居が高そうなテーマだけど、全体的に明るいタッチで描かれていてスルスルと読めちゃいました。
不妊治療の原因は女性側にあると思われがちだが、実際には男性側に要因があることも多いと知った。本来、夫婦で同じスタートラインに立っているはずなのに、いつの間にか女性だけが孤独に走り続け、心身を削っている現実がリアルに描かれている。男性側の「協力してやっている」という無自覚な傲慢さや、親世代の「孫の顔が見たい」という何気ない一言。それらが刃となって、いかに女性を追い詰めていくか……その描写が本当に切なくつらい。
なかでも、不妊治療の出口が見えない五十嵐夫妻の「法律で(やめどきを)決めてくれればいいのに」という言葉が深く心に残った。
多額の費用と時間を投じても、必ず報われるとは限らない。ゴールのない道を走り続けることが、どれほど残酷で孤独なことか。胸が締め付けられる思いがした。
新しい命の誕生は、まさに奇跡だよね。
胚培養士は「世界で一番小さな命の保育士さん」
顕微鏡の中に広がる「銀色の地球」たちが、一つでも多く無事に産声をあげられる世の中であってほしいと、願わずにはいられない。
「銀色の地球」もちょっと見てみたいかも。
ふと、十二国記のように木に子供が実る世界なら女性の負担も軽くなるのかな……なんて妄想してしまった。
でも、もし間違って半獣の実をもいでしまったら?と考えると、命の誕生は結局ままならないものなのかなと思わされる。
「女性だけの孤独な戦い」にさせないためにも男性にこそ手に取ってほしい一冊。子育てと同じく不妊治療も夫婦二人三脚なのだから。
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Posted by ブクログ
自分も1年半くらい不妊治療を続けていて体外受精までしたけれどなかなか思うような結果が出ず…。読んでいてものすごく共感する部分が多くて、思わず泣いてしまう場面もありました。
私も不妊治療してなければ培養士という仕事をされている人たちのことなんて知らないままだったと思います。
妊娠が成立するまでにいくつものハードルがあって、妊娠判定で陽性になったとしても、その後胎嚢の確認、心拍の確認をして、といういくつもクリアしなければならない壁がある。産まれてくるまで何があるか分からないんですよね。
そう思うとそんな数々の難関をクリアして産まれてきたひとりひとりの命ってとても大切だなと感じます。
そんな命のスタート地点に携わる仕事ってきっと大変なことも多いだろうけど、その何倍もやりがいがあるのかな。
不妊治療している・していないに関わらず読んで面白いし勉強になると思います。
特に不妊治療中の旦那さんにはぜひとも読んでもらいたい。 -
Posted by ブクログ
高校時代の同級生と結婚し、妊活を始めたばかりの百花、25歳。
老舗造り酒屋の長男の嫁として、不妊治療の末に授かった幼い娘の育児に奮闘中の菜都、32歳。
花嫁健診で乳がんが見つかり婚約破棄され、術後3年が経過した独身の柚子、29歳。
そんな若年性乳がんを患い闘病中の3人の女性の、妊活だったり、子育てだったり、夫婦関係だったり、友情だったり、恋愛だったり…治療のことや仕事のことや将来のこと、などなど…とてもリアルな心情が描かれています。テーマはとても重く、描かれる内容はリアルなんですが、とても明るく軽い読み心地で、読後は爽快感すら感じられました。
とても読みやすくて、おもしろかったし良かったので、ぜひ本山さんの他の本も読みたい!と思ったら、こちらの本がデビュー作で、まだ他の本は出ていないようです。
内容がとてもリアルだなぁと思ったら、本山さん自身も結婚したばかりの27歳の時に乳がんを患った経験があるそうです。
柚子のエピソードで北海道旅行の話が出てくるんですが、おそらく新人賞を受賞した時のお話なのかな?そちらもいつか読んでみたいです。
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「自分でもまるで制御できない思いを、言葉にして相手に伝えるのは難しい。誰かに伝えるよりも、自分一人を言いくるめて自己完結させるほうが、何倍も簡単で、傷つかなくて済むのだから-。だけど。「変わった」「進んだ」と実感できるのは、やっぱりちゃんと伝えられた時だ」(170頁)
「ないものを数えて嘆いていたって、絶対に、絶対に、幸せにはなれない。そして。同時に、自分は、持っている。明日をどう生きるかを、決める権利を。(中略)決定権は、自分の心の中にだけ、ある。それは、神様にだって手を出すことはできない。たとえ明日、すぐに大きな変化を起こせなくても、小さな魔法はいつだって使える。そして。幸せかどうかは、自分で決める」」(256頁) -
Posted by ブクログ
おっさんには、恥ずかしいタイトル。
電子書籍で購入、こっそりと読む。
若くして乳がんを患った百花、菜都、柚子の3人。
3人は闘病ブログを通じて知り合い、一緒に金沢を旅行することになるー
泣いて、怒って、笑いながら読んだ。
強く生きる3人の女性に、困難に立ち向かう勇気をもらえる。
乳がんを患うと、出産をどうするか、迫られることになる。妊孕性の保存とか、ホルモン療法するかしないかとか、大きな選択を突きつけられる。
ましてや、日本社会は、男性より女性の方が生きづらい社会だ。
ただ、がんの治療に専念すればいいわけではない。様々なジェンダー問題が浮き彫りになる。
だから、男性こそ読むべき本だと思う。
確かにタイトルは恥ずかしいけど、勇気を出して。
そして、もしパートナーが、娘が、かけがえのない友人が乳がんを患ったら、自分に何ができるのか、どうやって支えるのか、考えよう。
菜都の母親が小説の中で言っていたように「男の人には限界があるのよね。二つの大きなことを、同時に抱えられない」のだから。
あと、前にも何かの本のレビューに書いたけど、がん検診はコロナ禍でも、絶対受けるべきだと、僕は思います。