金井真紀のレビュー一覧
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もともとは世界の浴場や温泉を巡ろうという企画がぶれて(?)過去の戦争にまつわる日本の負の、そして清算できていない歴史を訪ねる旅と折衷されたような感じ。代表的なのが旧泰緬鉄道の沿線の温泉で、あの過酷な敷設工事のかたわら日本軍や関係者が整備した温泉がいまも残っているという。まさに、温泉のあるところに日本人の足跡あり、傷跡ありという感じ。そうなるとただ気持ちいいとだけは言っていられない。癒しや憩いの場も視点を変えればさまざまな背景や歴史があることを感じさせられた。
瀬戸内の大久野島は戦中、毒ガス工場になっていたという。そこで働いた人たちは、戦後も毒ガスの後遺症に悩まされた人が少なくなかった。毒ガス製造は戦中当時にも国際的に非合法なものだったことから、その製造に携わった人を公的に補償するという表向きの論理が立たず補償は遅れたし、徴用されていた朝鮮半島の人たちなどは見捨てられたまま。
少年の頃に大久野島の向上で勤労動員されていた藤本安馬さんもそうした一人。抗いようなかったとはいえ、自分が作った毒ガスが中国大陸などで使われいまも被害が残ることに心を痛めている。自身も毒ガス製造による体調が安定しない、つまり被害者だが「わたくしは加害者でもあるんです。わたくしは大久野島で鬼にされたんですよ!」(p.354)、「だからわたくしは忘れない。鬼にされたことを、犯罪者にされたことを、人殺しの道具をつくらされたことを、絶対に忘れない」(p.355)と著者らに語る、いや思いをぶつける。戦後80年近くになろうとしながら、少年の頃の苦い記憶をその何倍もの人生の間、抱えて生きてきた悲痛さが迫ってくるようだった。平和って、平和でない記憶をもつ人たちがいないとその方向に進まないのだろうか。伝えるだけでは不十分な気がする、伝わらない人には伝わらないから。悲しいかな、戦争を知らない子どもたちは簡単に戦争をしはじめてしまうような気がしてならないこのごろ。
韓国のチムジルバンのような男女が共に過ごせる施設は1999年の法改正以来で意外と新しい文化だということや、垢すりタオルを「イテリ(Italy)」といって、そもそもは1960年代に使い道のないイタリア製の生地(ビスコールレイヨン)を転用したアイデア品だったということが知れたのはなかなかの収穫だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパリのたくさんの素敵なおじさんから、世界や歴史や宗教等まで視点を広げられる本。
見えてない大事なことに気づき、視野を少し広げられるかもしれない本!
▼大事だと思ったのは以下3つ
・歴史を知ること
・今を生きること
・他者を尊重すること
①歴史を知ることは、同じ過ちを繰り返さないことを今生きる人が感じられることであることはもちろん。それと同時に、異なる国や文化や価値観の人を理解することになる。
※例:植民地時代の背景からここで生き、家族のために生きている。差別の歴史があり、そこに対する柔軟な考え方がある。宗教の歴史と家庭があり、それを元にした生き方や考え方がある。
→つまり、歴史とはその人の生きた環境であり、環境とは、その人の考え方の根底である。歴史を知ることは、他者を理解するための方法である。
②今を生きること。それは全員が前を向いてもつとよい姿勢。いろんな歴史や境遇や経緯で今の場所で今の生き方をしているとして、それをどう捉えてどう生きるか。おじさんたちは、シンプルに今目の前のことを楽しんだり、目の前のことに向き合って捉えて素敵に生きていた。これは取り入れたい。
例:妹を不慮の事故で失ったおじさんはそれから絵を描き始めた。それが自分の表せない感情の出しどころでもあったのかもしれない。今では画家が本業になり素敵なおじさんに。出稼ぎでフランスで生きるようになったおじさん、今でも引き続きたまに祖国に帰りながらも、もうずっとフランスで生きるつもりらしい。それは単純に今はフランスが好きなんだと思う。
③他者を尊重すること。すべての問題や争いは突き詰めれば他者を尊重していないから?宗教は他の宗教を尊重しないものではない。自分たちが大事にするものなだけ。何かの宗教であっても、他の宗教も受け入れるし時には取り入れる、フランス流の宗教もある。
例:イスラム教だけど、娘がキリスト教の人と結婚するならそれも受け入れる。イスラム教で禁止されていてもフランスでいいなと思うものは柔軟にやるのもいい。よいか悪いかは人によるかもしれないが、大切なのは【他者を尊重する】こと。 -
Posted by ブクログ
◼️読んだきっかけ
もっと自分の気持ちを言い表した言葉がないかと思って。
◼️面白かったことわざ
◼️鼻が邪魔だと思う像はいない
他人から見たら大変そうでも、本人は苦にならない
◼️きのこと名乗ったからにはカゴに入れ
言い出したこおは最後までやり遂げろ
◼️チャペラを被って世界を歩こう
自分のルーツを大事に世界に出て行こう
◼️ヴィルコラの後に飛ぶ
前任者がいい仕事をした後、後任は大変だ
◼️貝を食べたい人は、殻を開かなければならない
楽しみを得るためには、労を惜しんではならない
◼️良いことをしたら水に流せ
善行の見返りを求めるな
◼️水牛の前でビーンを奏でる
馬の耳に念仏
◼️卵は石とは相撲をとらない
強いものと喧嘩をするな
◼️鴨、米びつに落下
不運と幸運は予測不能。不運の後には幸運がある。
◼️絨毯の寸法に合わせて足を伸ばせ
身の丈にあった暮らしをしなさい -
Posted by ブクログ
頭に「?」が浮かぶタイトル、世界のことわざとあらば読まずにいられない。
小学生の頃は、漫画つきの“ことわざ辞典”を愛読してました。
あとがき含め79ページ。
世界のことわざを、日本と比較することでより楽しめた。
例えば「猿も木から落ちる」。似た意味のことわざが、その国ならではのアイテムで表現されているのがおもしろい。
日本にない表現も、どういう国民性で、どういう暮らしをしていると生まれるのか、考えるのが楽しいし興味深い。
表紙からも分かるように、ことわざをイラスト化するとコミカルで好奇心をくすぐられる。
可笑しくて、何だか可愛い。
ことばや解釈上から、知らなかったその国の歴史・文化的背景やどういう環境で暮らしているのかが滲み出ていて、著者の体験を交えた解説もおもしろかった。
金井さんの、お人柄まで感じるような温もりのあるイラストも大好き。
もっと読みたかったので頁数が少なくて残念。