金井真紀のレビュー一覧

  • 戦争とバスタオル

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    ノンフィクションライターの安田浩一氏と文筆家でイラストレーターの金井真紀氏はともにお風呂好き。二人でタイ、韓国、沖縄、大久野島などの温泉を巡り、湯けむりの先にある歴史を紐解くという歴史紀行本。
    風呂で出会った客や温泉関係者との語らいにはユーモアもあり、癒されるが、タイトルにあるように、基調には戦争がある。日本軍が残した負の遺産について、生き証人になる方が語るところは重く厳粛な気持ちにならざるを得なかった。
    特に深刻な気分になったのは現在はうさぎで有名な大久野島の毒ガス兵器工場の歴史に関する話だ。元教諭で大久野島のガイドをしている山内氏や工場で働いていた95歳の藤本氏の語りの中には、断じて風化させてはならない歴史があった。
    毒ガス兵器製造の事実が隠蔽され、島の人々が実情を知らぬまま、工場従事者の体に異変が起きる。後遺症で死ぬ人も続出するが、被爆者援護法のような戦後の救済措置は十分になされなかった。
    毒ガス兵器は中国戦線で多用され、民間人も犠牲となったうえ、戦後は毒液を海や川に捨てたり、土中に埋めたりして大量の毒ガスが中国大陸に置き去りにされた。
    大久野島には加害と被害両面に関する負の歴史が残っているのだ。
    この他、タイとビルマを結ぶ「泰緬鉄道」建設に20万人超の労働者を集め過酷を極める強制労働をさせたこと、終戦後、夫の故郷である朝鮮半島に来た日本人女性が支配者だった日本人ということで強烈ないじめにあい、精神を病んだりした事実、相模海軍工場でイぺリット製造に従事させられ、身体を病んでも十分な補償はしてもらえなかたった徴用工の話などの悲話も盛り込まれている。
    日本では気持ちを落ち着かせるために風呂に入るが、韓国では風呂が垢を落とし、体に刺激を与え活力や鋭気を養う場所になっているという記述は新鮮で面白かった。
    沖縄唯一の銭湯「中乃湯」の話など、風呂巡りと戦争がうまく融和したレポートもあるが、戦争の悲劇的な歴史が突出している部分も多い。だが、それはそれで、立派なルポになっていると感じた。

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    2022年04月06日
  • 戦争とバスタオル

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    現代史必読書というてもよい。
    安田浩一さんのあとがき、おわりに、のところに

    排他の空気に満ち満ちた、いまの社会に対する私たちの小さな抵抗でもあるから

    と。この本の存在意義。安田浩一さんと金井真紀さんが、歩いて出会った人との貴重な記録。

    こんなコンセプトで実際にたどり着き出会い聞いて答えて聞いて書き付け、私たちの血肉に、忘れてはいけないものを刻みつけ?お二人の行動力人間力よ。
    そしてほのぼのと、人柄を感じる金井さんのイラスト。油断させて、ギスギスしないで、人や物の本質をつく。

    排他の空気に満ちたこの国の人の必読書じゃないかな。

    装丁も素晴らしい。

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    2022年07月05日
  • 戦争とバスタオル

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    ネタバレ

    今戦争を語るとしたらこういう書き方になるんだなと切り口に感動。読んでもらわないとならないものね。明治維新から第二次大戦に近い年月が過ぎているからこその文章と絵。

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    2022年01月25日
  • 戦争とバスタオル

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    「海のない湘南」寒川町、「うさぎの島」大久野島。化学兵器の製造はどうやっても正当化できない。今はなき銭湯「すずらん湯」、海を一望できる「小沓の湯」。お風呂に入ったつもりでしみじみ歴史を考える。本書の企画を満喫する。沖縄県にただ一つ残る銭湯「中乃湯」。採算度外視、切り盛りするのは1933年生まれのシゲさん。沖縄戦、そして戦後。先の大戦がここにもたらしたもの。忘れさせぬよう続いて欲しい。安田さんの粘り強い取材。想像をかきたてる金井さんのイラスト。語りのリレーはシームレスに流れる。著者のお二人と亜紀書房に感服

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    2022年01月10日
  • 日本語をもっとつかまえろ!

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    三省堂国語辞典の編纂者ならではの言葉に関する発見やモノの見方もあり、良いと思います。

    今回は、「LGBTQ」や新型コロナ関係の新しい用例や言葉についての章もあり、前の巻とはまた違った感じでした。

    可愛らしく面白いイラストも多く、子供向けの本だが、大人も結構楽しめる本だと思います。

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    2021年11月07日
  • 日本語をつかまえろ!

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    日本語のことばについてのあれこれが、可愛いイラストともに紹介されている。
    「分かりみ」や「インフルエンサー」、「令和」など、最近のことばについての解説が面白かった。

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    2021年10月15日
  • 虫ぎらいはなおるかな? 昆虫の達人に教えを乞う

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    虫好きの人たちはみな
    無理に虫に触らそうとしないのがいいね
    虫=可愛い=好きになってほしい=無理強いしない
    まっとうな好きのやり方です
    その優しさの中でも
    著者の虫嫌いはなかなか手ごわく
    相手の申し訳ない と思う気持ちがあっても
    手が動かない・・・という葛藤がコミカルです

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    2020年07月17日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    文庫本版に収録されている話が特に好きです。
    人の話を素直に受け入れ、良いところを見つける姿勢をお持ちなんだろうなと思いました。


    入管改悪反対の活動もされてたとのことで、存じ上げなかったけど、急に注目し始めています。
    他の作品も読んでみたい

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    2026年10月10日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    文庫版、あとがきにある言葉に出会えただけで、この本を手に取って読むことができてよかったと思うことができる。そんな言葉との出会いがありました。

    "どんな人にもすごいところがある。ただ、すごさには、わかりやすいすごさとわかりにくいすごさがある。"

    いろんな仕事でこの世界は成り立っていて、いろんな親切やいろんな人間関係の中で人は生きたり生かされたりしている。いろんな分野にいろんな達人がいて、いろんなすごさがある。添えられた絵も素敵でした。

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    2026年10月09日
  • パリのすてきなおじさん

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    何度か行ったことのあるパリの記憶が蘇ればいいな、そんな軽い気持ちで読み始めた。最初は確かにそんな感じだった。本の内容を無理矢理自分の記憶の中にあるパリの風景に結び付けようとしていたように思う。
    ところが、読み進めるうちに、この本はそんな単に軽いものではなく骨太な重厚な内容であることがわかってくる。
    植民地、LGBT、アルジェリア独立戦争、難民、フリーメーソン、PSG(サッカー)、イスラム教(パリの)、スリランカのタミル人、同時多発テロ、大統領選、ユダヤ、ホロコースト、クルド、ベトナム戦争…。キーワードを挙げればきりがない。
    初めての人と何時間か話をしただけで、これだけの世界を文章表現するというのはものすごいことだ。著者は人から人生を聞き出す天才なのだろう。それ以前に人への興味が尽きない方なのだと思う。
    想像力を働かせ、人と話をすることで人生が豊かになるのだ、と思った。

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    2026年08月22日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    仕事をしてると、「あぁー何で私だけがこんな目にあうの?」と泣きたくなることや、腹立たしくなることって沢山ある。
    誠実に自分を律して働く100人の強さや清々しさを感じて勇気がわいた。また頑張って働くぞー

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    2026年08月19日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    この世の中たくさんの達人で成り立っていると改めて思わせてもらえる。
    知らない職業について書かれていたり、思わずクスッと笑ってしまう表現が多く、とても読みやすくて素敵な本。


    ◾️心に残った文章

    自分の持ち場を丁寧に照らしている達人に会うとうっとりする。腹だたしいこと、嘆かわしいことの多いこの世界だけど、捨てたもんじゃないぜという気持ちになる。

    どんな人にもすごいところはある。
    ただ、凄さにはわかりやすいすごさとわかりにくい凄さがある。
    一見わかりにくい凄さを持ってる人がこの世界をとても良いものにしていると思う。

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    2026年08月18日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    仕事上の悩み、人間関係、色んなことが八方塞がりで苦しかった時に読んだ。
    様々な職業の達人のひと言に共感したり、ヒントをもらった。
    この本を手に取る時の自分の状況によって、得るものや感じることは異なることだろう。

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    2026年08月18日
  • パリのすてきなおじさん

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    ネタバレ

    ひとつひとつは小さなかけらでも、うまく全体を連想できるかもしれない、というコンセプトでパリのいろんなおじをちょっとずつ取材する本
    そのコンセプトがまず素敵
    そして、両親の価値観に風穴を開けてくれるのがおじさんという定義。たしかにある程度価値観の完成された叔父さんってみんな個性があるし、それぞれに素敵なところや魅力があるなあと納得。自分の周りのおじさんたちも素敵じゃない!って気持ちが明るくなった笑
    →読んでみて全体を客観的に連想できてるかはさておき、一人一人のメッセージや紹介は濃度が濃くて、すごく刺さると感じた

    心に残った言葉
    ◾️はつらつといられることが一番大切
    はつらつ!快活!
    この言葉、すごく私の憧れる人像とフィットした
    自分なりに考えたはつらつとした状態
    ①時間にも体力にも心にも余裕がある
    ②生命力に満ちてて、目が輝いてる
    ③自分を知っていて、それを正直に自分にも周りにも公表してる

    ◾️そこに住む人が内面的に満たされていることが一番強い
    素敵な考え方だ。
    お互いを思いやれなくなると戦争が起きる。ではどういうときに思いやれなくなれるのかを考えたら、まさに自分に余裕がない時。
    自分と周りの人の心を満たすこと、これも立派な平和活動

    ◾️選択肢はひとつ。前を向いて生きていくしかない
    ありきたりな言葉かもしれないけど、これをアルジェリアから逃げてきたユダヤ人が言うからすごく心に響く

    ◾️世界は救えない。ただ1人の人に向き合うだけ
    これも難民支援団体のトップが言うから腑に落ちる

    読んでいて一番辛かった話
    フランスに住んでいたお兄さんが、ベトナム戦争後に妹家族を呼び寄せようとしたが、難民申請の承認がなかなか降りず、そのうち彼らはそれを待てずに、ブローカーの誘いに乗り海へ出てしまい行方知れずとなってしまった。その2年後に承認された
    →今となっても正解はわからないし、その当時なんて尚更。一つの決断が生死をわけてしまう残酷さが辛い。決断するまでも、したあとも、そして決断が間違っていたと感じたであろう時も、ずっと辛かったんじゃないかと思うとやるせない気持ちになる

    やること
    トマト常備
    目を輝かそう!
    たくさんねる23-7
    家でも外でも5分前行動
    7000歩あるく
    英語で楽しく仕事する自分を諦めない
    周りは気にせず元気に挨拶
    収入の2%を寄付や大切な人のために

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    2026年07月27日
  • パリのすてきなおじさん

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    パリで仕事をしている人にインタビューし、その人の似顔絵と人生観について記述した本。

    旅行に行った気分になれるのに加え、多様な価値観を学べる内容でもあった。
    パリの人々は、昼からお酒を飲む気楽な生活が中心だと思っていたが、様々な歴史や個人のトラウマ的な体験を乗り越えながら、人生を楽しくしようと生活している人もいることを知ることができた。

    前向きになりたい時におすすめな本です。

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    2026年06月30日
  • パリのすてきなおじさん

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    とても素敵な1冊。
    イラストがおしゃれ!おじさんの語りがコンパクトなのに広く深くてパリの歴史・生活を堪能させてくれました。

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    2026年06月13日
  • 虫ぎらいはなおるかな? 昆虫の達人に教えを乞う

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    ネタバレ

    虫が苦手だけれどそんな自分でいることが苦しい、好きになれたらいいのに、と思う気持ちをここまで共有できる人がいるとは思わなかった。
    虫はテリトリーを侵入してくる、感情が読めない、だから苦手だという気持ちを抱いてしまう。怖いのではなくて嫌悪感、など、なるほどと思うことが多々。

    ゴキブリが人間の掌と同じくらいの大腸菌しか持っておらず、不潔な生き物ではない、ということも発見だった。

    虫を観察して、よく知ると好きになれる、というのは複数の達人が言っていたので、やってみたいな、と思った。ただ、その観察がすでに腰が引けてしまうのだが…。

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    2026年05月28日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    多種多様な職業の人たちのお話が見開き1ページずつイラストとともに載っているのでとても読みやすい。イラストもかわいい。どの方もみんな自分の仕事にプライドや信念を持ってやられていることがよく分かるし、それを汲み取って伝えてくれる著者の方もすごい。文庫版あとがきのお話がとても優しくてよかった。

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    2026年05月04日
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑

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    ネタバレ

    よく知っている職業から普通に生活していたら出会うことがない職業まで、色々な職業の達人が登場する。

    作者の切り口でその達人の仕事への向き合い方や仕事観が軽妙なタッチで描かれていて読みやすくておもしろかった。

    自分が知らない世界に触れられることはやはり楽しいと思う。14歳のハローワークの大人版のような感じがした。

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    2026年04月18日
  • 世界でくらすクルドの人たち(たくさんのふしぎ2026年3月号) 春をよろこぶ みんなで踊る

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    私はクルドの人たちについて何も知らなかった。
    この本は、クルドの人たちについて平易な言葉とカラフルな絵で教えてくれる。
    小学生向けの「たくさんのふしぎ」だけど、内容は深い。
    それにしても、作者の金井真紀さんのフットワークの良さ!

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    2026年03月21日