金井真紀のレビュー一覧
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虫ぎらいはずっと悩みのタネなので、軽い気持ちで手に取った。
虫に関わりのある様々な学者や、幼稚園や動物園の現場の方などへのインタビューをしながら、本当の興味は「虫嫌いの克服」よりちょっと奥の方にあるようである。(まあ「恐怖の克服が一番の関心事」なんていうよりはよっぽど健全なのかなと思う。)
命にかかわるような「恐怖」はともかく、「嫌悪」とどう付き合っていくのか?「嫌悪」だって人間が生存のために獲得した能力なのだ。どう立ち向かうのかではなく、どう付き合っていくのか。それにはやっぱり知ること、面白がることが入口になるんじゃないかという話が多かった感じだ。「虫」のような嫌悪の対象自体を知ることもそう -
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裸で入る暖かいお風呂では、リラックスし心理的にも打ち解けて話しができる と言う考えの中、アジア太平洋戦争で、とかく隠されがちな日本の加害者的側面を調べ、関係ありそうな人にお風呂でも浸かりながら聞いていくと言うもの。
1.ジャングル風呂と旧泰緬鉄道
有名な映画「戦場にかける橋」で、鉄道施設の最大の難関として描かれるのが、タイ クウェー·ヤイ川に橋をかける大工事。この橋の横にあるプレートには、泰緬鉄道で命を落とした人の数が刻まれている。最多のマレーシア人42000人を筆頭に、旧ビルマ40000人、イギリス人6904人等日本人や韓国人を除いて10万人近く。戦争博物館にはその過酷な状況も展示されている -
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「お風呂は究極の非武装」。温泉、銭湯を通して訪れる日本の加害の歴史。
日本の負の歴史だろう加害の歴史。原爆など被害者としての側面に比べあまり話題にならない。本書はタブーに近いだろう加害の歴史を訪ね歩く旅。
泰緬鉄道のタイ、沖縄、韓国と神奈川県寒川町の旧海軍工廠と毒ガスで知られる大久野島。
ある程度予測はしていたが、本書の立ち位置は賛否別れるところだろう。個人的には、やたらと「歴史修正主義」という言葉であったり今の政府、行政を完全に疑ってかかるような姿勢に違和感。加害の歴史を探るだけでも十分な内容になり得ただろう。
加害と被害は表裏一体。現在の価値観で過去を評価するところに無理があるよう -
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虫ぎらいの筆者がいろいろな人から虫の話をきいて、虫ぎらいを克服しようとする一冊。
かわいいイラストもあり、エッセイのような文体なので、堅苦しくなく、気楽に読めます。
インタビューも虫の専門家だけに話を聞いているわけではないので、多角的な視点から虫について考えることができます。
虫ぎらいではあるけれど、調べることで少しでも面白がったり、興味を持って接することができるようになりたいという気持ちが、知識欲としては正しいし、美しいなと思いました。
最後の取材を終えてに、
“人をしあわせにするのは「きらい」じゃないんだ、「好き」なんだ。"
とあったのが、非常に印象的でした。 -
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私は虫好きだが、嫌いな人がどう克服するか興味があったので、読んでみた。
読んでみてまず、この著者は、素敵な人であると思った。
世の中、「〇〇嫌い」という人はたくさんいるが、「なぜ嫌いなんだろう」「できれば好きになりたい」と思う人はごく少数。大抵は「嫌いなものは嫌い」と改めようなんて微塵も思わないばかりか、「〇〇が好きなんてどうかしてる」と攻撃したり、「〇〇なんていなくなればいい」とさえ思っている。
著者はこの世の多様性を受け入れよう、わけもわからず排除するのはやめよう、という信念があり、それを実践するために、とりあえず苦手な虫を選んだのだろう。
で、虫が好きな人を訪ねて、自分と向き合うのだが、 -
Posted by ブクログ
✩は3.5。
これは…エッセイというのかな。分厚いのに読みやすかった。
色んな国の色んなお風呂について紹介されるとともに、日本の「加害」の歴史も学べる一冊。
この本を読んで、自分は「被害」の歴史より「加害」の歴史に興味があることが分かった。
何が私をそこまで惹きつけるのかは分からないが、ある一定以上の条件が揃った時に発動される日本人や人間のもつ残忍性や、無意識に表に出てしまう排他的な行動や言動に、所謂「本能」や、消しきれない「獣」としての一端が垣間見えるからかもしれない。
いずれにせよ「加害」の歴史から目を背けず、過去の過ちを過ちとして見つめ直すことは今後も続けていきたいと思った。 -
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