小島秀夫のレビュー一覧
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『デスストランディング(上)』を読み終えて、当たり前のように人と繋がれるこの時代の構造が、どれほど恵まれているかを実感しました。同時に、時には“繋がりを断つ勇気”も必要なのだと感じました。
大切なのは、なんとなく流されて繋がることではなく、自分の意志で「誰と」「どう繋がるか」を選び取っていくこと。その選択の積み重ねが、本当の意味での“絆”を形づくるのだと思います。
ヒッグスというキャラクターは、その「なんとなく繋がる」ことの虚しさや危うさを本能的に嫌っているように感じました。だからこそ、全ての繋がりを壊し、ただ一人“アメリ”との強固な絆を求めた。彼の存在は、絆というものの脆さと強さ、両方を -
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ネタバレなかまくらです。
「デス・ストランディング」読みました。
新潮文庫で上下巻。ゲームのノベライズなのですが、
ゲームが面白くて、ノベライズも読もう、と思い立ったのでした。
地球の生命の歴史の中で幾度となく繰り返されてきた大量絶滅に対して、
大胆な解釈を加えて描き出した傑作でした。
絶滅は消滅を免れるための生命の手段である。
宇宙の誕生の際に、対消滅ですべて消えてしまうはずだった物質は、
少しだけ多かった物質のほうが残り、現在の宇宙を構成している。
大量絶滅が起こるとき、その種を絶滅させようとする作用みたいなのが働く。
それが起こると、その種に対する対消滅体が生じるように -
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ゲームの世界を小説にしたものだそうだ。プレイステーションは持っていないので、ゲームはプレイしたことがない。
ほとんどの人類が死滅し、残された人類で国家を再建するためにひたすら荷物を運ぶ主人公。生者と死者との境目が曖昧で、生者の世界に死者が存在したり、生者でありながら死者の世界へ行った後生者の世界に帰ってきたりもする。
今までのところ、動物の描写が出てこないので、殆どの生物が死滅しているのだろう。雨に直接当たらないよう、防備している描写から昆虫から鳥、動物も全てやられたのだと考えられる。
多くの疑問を抱えつつ、自らの任務を全うすべく西に向かって歩き続ける。
下巻に続く。 -
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ネタバレ圧巻の物語は、小説でも健在だった。
【以下、ネタバレあり】
本作は、PS4ゲーム「Death Stranding」のノベライズ小説。
ゲームをプレイしてから読んだ。
ゲームをプレイした時は、あまりに重厚なストーリーに、自分の理解が追いつかず、消化不良になってしまっていた。エンディングで泣けなかったのが悔しくて、小説でもう一度物語を楽しむことにした。
小説版は、登場人物の心理描写が一層丁寧似されていて、物語への没入を随分助けてくれた。
小説で読んでも、物語をきちんと消化できたとはいえない。
しかし、ゲームをプレイした時よりは随分理解が進み、終盤、胸に迫るものがあった。
クリフが守ろうと -
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小島監督のゲーム『デス・ストランディング』の世界観がとにかく好きだった。
この本では、そんな小島監督を形づくってきた本や映画、音楽などが紹介されている。
好きな作家やクリエイターを構成するもの、影響を受けてきたものを知ることは嬉しい。
けれど、それを“つながり”として意識したことはなかった。
同じ本でも、読む時期や状況によって感じ方や受け取り方は変わる。
どの部分に影響を受け、何を模倣し、どう拡張していくかも人それぞれ。
そうして人と人、人と作品がつながっていく中で、まるで遺伝子のように「ミーム」が受け継がれていく。そんな考え方に、深く共感した。
小島監督は、忙しい合間を縫って本屋に通い -
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ネタバレゲーム「デス・ストランディング」のノベライズ。
特有の名詞等がかなり多いので、ゲーム未プレイで読むと何を言っているのかわからないだろう。また下巻後半は、場面が飛ぶことが多く、今どういうシーンか分かりにくい部分もあった。一方で、ゲームをやったことがある人であれば、用語やストーリーも経験済みであることから、すんなり読めると思われる。むしろ、ムービーなどの記憶が残っていれば、シーンのイメージがしやすく読みやすいとも思う。
ゲームと異なる部分として、サムの心情描写や、イゴール兄弟、ヒッグス、その他主要メンバーの内情等が記述されており、そこを知ることができたのは良かった。基本的にはサム目線であるが、群像 -
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ゲーム「メタルギア」シリーズや「デス・ストランディング」の創造主、小島秀夫さんの創作の源泉であろう小説や映画、音楽について語るエッセイ。
これらの作品が小島さんの創り出す作品の栄養素になっているんだな、と納得する点が多々。「天才バカボン」は意外に思いましたが、「メタルギア・ソリッド(PS)」のユニークなギミック(「パッケージの裏」やサイコマンティス戦など)は、バカボンのパパのような常識にとらわれない発想が元なのかも、なんて思ったり。
おそらくこの本に収められてる作品は、小島さんが読んだり観たりした作品のごくごく一部だと思います。その膨大なインプットがあるからこそ、小島さんのようなクリエイタ -
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人と繋がるのは難しいし、めんどくさい。自分はわりとそのタイプです。それでも独りは嫌だなと心の奥底で感じているのも、死後誰かには思い出してもらいたいという思いがあるからなんだなと読後感じました。
絶滅を早めようとするヒッグスや、最期まで足掻くために繋がろうとするダイハードマン。どちらもある意味で独善的であり、信念の依代となるイコンがありました。そしてイコンに縋る両者には、独りで生きていけないという人間存在の苦しみがありました。そしてサムにもイコンが存在しそれに囚われ、そこには寄す処を必要とする苦しみがありました。こうした苦しみがあるからこそ不意に終わる危険性を孕んでいるこの世の中で孤立して物 -
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単行本『僕が愛したMEMEたち~必要なのは、人にエネルギーを与えるMEME』(メディアファクトリー、2013年)の文庫化。
1章は雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載された、書籍紹介・書評をまとめたもの。
2章は雑誌『パピルス』に連載された、映画や音楽、本にまつわるエッセイをまとめたもの。
一方で、文庫化にあたり「はじめに」が改稿された他、3章の「5人のクリエイターとの対談」と4章の「小島氏の短いエッセイ」がカットされ、代わりに星野源との対談が新規に加わっている。
本書のテーマが「小島秀夫を作った本や音楽」なのでメインコンテンツの1~2章はそのままだが、文庫版でカットされた部分が多い(単行本も比較