ジョージ・エリオットのレビュー一覧
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学生時代、ずっと読みたかったのですが、廃版になってて読めずじまいのままでしたが、光文社が新訳を発刊してくれたおかげでようやく読むことができました。
生きていた時代もテーマも異なるのですが、オースティンと比べてしまうところがあります。
エリオットに出てくる人物は良くも悪くも、もっと世俗的で、複雑な人物として描写されていることが多いように思えます。
そのせいもあって、ドロシアを含めた登場人物のそれぞれの心情や行動に対して共感できる一方で理解に苦しんだり・・・まあでもドロシアに対しては終始理解に苦しむところがあったかもしれません。
いろんな人の人生そのものなんだなと思いました。19世紀のイギリスの等身大というか、息づく人たちを垣間見れてよかったです -
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「なりたかった自分になるために、遅すぎるなんてことはない」
先日読んだ『夏の扉』がとてつもなく面白かったので、おかわりです
ここでハインラインではなく訳者の小尾芙佐さんの方をおかわりするってところがもうセンス!
ということでイギリス文学を代表する女流作家ジョージ・エリオットの名作『サイラス・マーナー』です
エリオットの宗教観がどうのとか、彼女の結婚や人生がどうのとか、当時の女性の地位とか時代背景とか、あっしにゃ難しいことはさっぱり分かりませんよ
分かりゃーしませんよ
だけどね旦那
正しい心を持った人たちが幸せな結末を迎える
正しくない心を持った人も最後には改心する
それだけで十分じゃございませんか
それだけで十分人の心を震わせることが出来るんじゃございませんか
そしてこういう物語こそ残していかなきゃならないんじゃないですかね
南極の氷が全て溶けても残ってほしい物語でした(いや南極の氷も残ってほしいけども!) -
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感動のフィナーレをむかえる完結編。濃密な群像劇のなかでジョージ・エリオットが私たちに伝えたものとは何か。
第7部冒頭からリドゲイトの窮状。金銭のトラブルから発生する夫婦喧嘩の描写がリアル。妻に折れざるをえなくなっていく夫の心境の変化が生々しい。
いっぽうフレッドくんたちの三角関係に進展が。誘惑を振り切って紳士の生きざまを貫く牧師の、自らの弱さも強さもすべて打ち明ける潔さ、そしてそこからの恋愛関係の決着に心を打たれた。
お金の相談をしたリドゲイトを冷たくあしらったバルストロードに、ラッフルズが火種を持ち込む。ミドルマーチの良心、ケイレブ・ガースが潔癖な対応をするなか、バルストロードの心に誘惑の魔が忍び寄る。彼の心の葛藤は、「罪と罰」を彷彿とさせる奥深さがあり、ミステリー小説ばりのサスペンスにも引き込まれる。この後の、燎原の火のように噂が広がっていく様子が印象的で、スキャンダルが個人に与える打撃の恐ろしさは、当時も今も変わらないと感じさせた。バルストロードの心変わりでホッとしたのもつかの間、さらなる窮地に陥るリドゲイト。彼らはどうなってしまうのか……!というところで怒涛の第7部終了、クライマックスの8部へ突入する。
第8部にきてドロシアが、少年マンガ終盤の主人公のような感化力を発揮し、正論と情熱で周りを変えていく。いっぽう真実を知ったバルストロード夫人の心理描写が感動的で、人間の心の中で起こっていることをかくも詳細に書けるものかと驚く(この作品全般そうだが)。そして74章のバルストロード夫妻の姿は泣けるとしか言いようがない。こんなに味わい深い小説はまたとない。
八方塞がりのリドゲイトにドロシアの信頼が救いをもたらす一方、ウィルにロマンスを求めるロザモンドが打ちのめされ、4人の感情は四角関係のようにこじれるかに思われたが、ドロシアの気高い決意が絡まった糸をほどいていく。
日常よりもロマンスを求めてしまうという、ロザモンドが結婚というもの自体に抱く不満は、現代においても変わらぬリアリティがある。彼女が結婚というものの現実を受け入れるきっかけとなる、ドロシアとの会話シーンは本書の名シーンのひとつで、これも涙なしでは読めない。ついには諦観に至るリドゲイトの結婚に対する想いも、必ずしもネガティブなものだけではない終わり方が心にしみる。
意外と出番の少ないウィルは、終盤に大きな花火をあげていく。
真実の愛を感じさせる彼の精神力は、恋愛小説としての本作の魅力を引き立てる。
坊っちゃんくささの抜けないフレッドだが、だからこそメアリの力強さと二人の絆の深さが映え、彼もまた成長をみせることで物語のテーマの一つを体現していくことになる。
ほとんどの主要な登場人物と深い関わりを持つバルストロードの存在は、主人公とはいえないものの、具体的な事件や小説そのもののテーマも含めて、構造的に核となっている気がする。彼を軸とした人間関係の複雑なドラマが、ミドルマーチという物語世界を重層的なものにしていると思う。
フィナーレは圧巻。長編ドラマシリーズとか、大河ドラマを見終わったかのような、圧倒的な読後感にひたる。
本書から得られるものはたくさんあり、すべては書き切れそうにないが、テーマ的な結論としてラストの文章について考えてみたい。夢や希望を描いて若き日を出発した私たちは、現実とどう向き合って生きていくべきなのか。本小説には一つの答えが示されているように思う。偉大な英雄的人物にはなれなくても、名を成さない数多くの人々の誠実な人生に世の中は支えられている。それはきっと悪くないものなのだ。
どこか似ているのでアンナ・カレーニナと対比して読んでいたが、巻末の読書ガイドでもこの点について言及していた。トルストイはこの作品に影響を受けた節があり、8部構成というところも似ている。
かつてないほど興奮し、夢中になった本作。あまりに要素が多すぎて、まとまりのない感想になってしまった。「なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない」という名言を残したジョージ・エリオットの世界は、まだまだ探索する余地がありそうだ。 -
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19世紀イギリスの架空都市ミドルマーチ。運命によって翻弄されるいくつもの愛の模様。第5部と第6部を収録。
個人的に共感していたカソーボン氏が悪者になってしまう第5部にガックリ。しかし、彼の気持ちにはやはり共感するものがあり、残念ではあるが仕方なかったとも思う。逆に評価が爆上がりするのが、ケイレブ・ガース。この物語世界の良心ともいうべき魅力な人物像が明らかになり、彼を通じて当時の時代社会背景も見えてくる。また、フレッドとの出来事と絡んでガース夫人の複雑な心境を見事に描き出しているのも読み応えがあるところだ。よくぞここまで微細な心理が書けたものだとひたすらに感心する。また、このガース夫妻の関係性も素晴らしい。
青春の放浪を続けるおぼっちゃまフレッド君が、メアリの態度表明によって変わっていくのが心強い。牧師はかませ犬だったか……しかし彼の人柄がいっそう映え、フェアブラザーの親族たちもわずかな登場ながら魅力的だ。
心は次第に近づいていくドロシアとウィル。しかし表面上は離れていく立場になり、互いの本心を探り合うのがもどかしいが、そこが恋愛ものの面白さでもある。ウィルの姻族事情も複雑であり、バルストロードから衝撃の秘密を明かされるが、これによりさらにウィル・ラディスローという青年の屹立した精神力が際立っていくところに要着目だ。そしてバルストロード自身の欲望と信仰がせめぎ合う複雑な人間性も興味深い。
本巻最大の見どころは、若い二人のロマンスの結末にはっきりと亀裂が入るシーン。医者という職業を尊敬できず、リドゲイトの崇高な理想も理解しないロザモンドは、高い身分への憧れのままに我を通すことしか頭にない。いっぽうで研究に没頭したいリドゲイトは、プライドの高さのため借金がかさみギリギリになるまで窮状を言い出せない。彼はロザモンドの薄っぺらい言葉を前に、いつかのドロシアの深い魂からの声を思い出すのだった。
「お教えください。私に何ができるか、お教えください。主人は生涯ずっと苦労して、自分の研究に前途をかけてきたのです。主人は、そのことだけを気にしているのです。私もただそのことだけが、気になるのです」
そしてロザモンドの「私に何ができるかしら、ターシアス?」という冷たくよそよそしい言葉(この台詞は声の調子によって様々な意味にとれるがと作者は断りを入れつつ)が、ドロシアと同じ言葉ながら全く逆の想いを表明する、このコントラストがあまりにも印象的だ。魂の内奥ではぴったりと適合するドロシアとリドゲイトがカップルであったなら……と夢想してしまうこのシーン。実際にはこの二人は深く絡むことなく、それぞれの過酷な運命と対峙していくのを読者は見守ることになる。
トリックスター的な立場にあるラッフルズという人物が今後どう動くのか、主人公たちの愛のゆくえはどうなっていくのか、最終巻も目が離せない。 -
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19世紀イングランドにおける架空の地方都市ミドルマーチを舞台に多彩な人間模様を描く。第3部と第4部を収録。
複雑かつ絶妙に絡み合う人間関係が面白すぎる第2巻。主要となる人物のみならず、脇役やちょっと出のキャラクターにも魅力が満載だが、さしあたり主に気になるのは次の3つの愛のゆくえだ。
1.ドロシアとカソーボンの夫妻、それに関わるウィル・ラディスロー
2.リドゲイトとロザモンド
3.フレッドとメアリ、フェアブラザー?
男性名を使っているが作者は女性なので、不美人でも賢く、強い輝きを放つメアリという人物は作者の自己投影が色濃く反映されているのではないかと想像する(本名メアリ・アン・エヴァンズだし……)。そして、女性の心理がよく描かれているのはわかるが、この作者は何故こんなに男性の気持ちがわかるのだろう?と不思議になるほど、カソーボンやリドゲイトの心の軌跡には共感するものがあって感動を覚えた。
本作の主要人物はほとんどが姻族関係でつながっていることもあり、「相続」という問題が大きなファクターとなっている。これの如何によってその人物の運命が大きく変わってくるわけで、良心的だが軟弱なフレッド君が翻弄される様子が本巻の見どころの一つ。幼なじみのメアリが彼についてどう考えているのか、今ひとつ見えにくいのももどかしくて面白い。さらにフェアブラザー牧師というライバルも現れて……?
順調になるようになってしまうリドゲイトとロザモンド。出会いから恋愛に至る描写にウットリしてしまった、一部の文章は書き写してメモに残してしまったほど上手い。しかし、この二人にはどこか不協和音を感じさせる要素があり、どうなるかわからないがこれが先の伏線にもなっているのだろう。
そして、やはりこの物語のメインディッシュはドロシアの愛のゆくえだろう。個人的にはかなり共感を覚えたカソーボンという人物。ウィルとの対立と病のため、彼の運命には徐々に不穏な空気が立ち込めていく。夫と心が噛み合わず、すれ違うドロシアは妻としての努めを果たすべく真摯に向かい合うが、無意識的にウィルに惹かれていくのが見えて、自分としては心が痛かった。彼らの運命はいかに?とても引き込まれる人間模様だ。
ドロシアとカソーボンとウィル、リドゲイトとロザモンドは、『アンナ・カレーニナ』におけるアンナとカレーニンとヴロンスキー、リョーヴィンとキティの関係に構造が似ている(名前までどこか似てない?)。しかし、それぞれのキャラクターの性格はかなり異なっているので、結末はまったく違う方向に行きそうだ。これらの対比も考慮しながら、この先も楽しんでいきたい。
さらに、カソーボンVSウィル、カソーボンVSリドゲイト、ウィルVSリドゲイト、ロザモンドVSメアリなどなど、作品内で各人物が直接絡むとは限らないが、いくつもの人間性のコントラストが物語世界を彩っている点も見逃せない。
当時の政治情勢や農地の実情、前衛的すぎるリドゲイトによって示される科学・医学へのリテラシーの問題など、人間関係以外にも考察すべき要素が多々ある。ただ情報量が多すぎるので、そのあたりは再読時に掘り下げることにしよう。そう、本作は二読三読に値する類稀な傑作なのだ。 -
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本年ベストの読書体験になる予感がする!!!ヴィクトリア朝を代表する作家、ジョージ・エリオットの最高傑作。
ミドルマーチとは、イングランド中部に設定される架空の地方都市の名前である。本作は19世紀前半、産業革命の影響により、社会に大きな変動が起こっていた時代――資本主義経済や民主体制への移行、その結果として生み出された新たな階級社会、揺れ動く人心の独特な雰囲気――のなかで、二人の主人公を軸に、多層化する人々の生活・心理を幅広く描いた作品である。それぞれの宗教・信条・階級・経済力・年齢・性格などから、当時の社会と人間精神を深くえぐり出している。
知的で美しい人妻・ドロシアと、高潔な理想を掲げる青年医師・リドゲイトの二つの物語が交差して作品世界が構築されていく。この構造は、トルストイの「アンナ・カレーニナ」に通じるものがあり、初読ではダレてしまうほど長い文章でありながら、読み込むほどに理解と味わいが深まっていくところも共通していると思う。
やはり多くの名作文学にも共通する、人物の掘り下げと描写がすごい。身分としては今のところ地主階級の上下あたりの層がメインだが、年齢的にも立場的にも様々な人物が登場しては、次々と面白いキャラクター性を見せてくれるので、興味がつきない。
本巻での最大の読みどころは、新婚旅行における最初の衝突のシーンだ。詳細はネタバレしないが、最初はよくわからなかったので、二度三度と読み直した。人間心理の機微をよくもこれほど仔細に書き込めたものだと感心。さらに、これは個人的なことすぎるのでわからない人にはわかってもらえないとは思うが、カソーボン氏の秘めている悩みに強く共感する!それなんだよそれ、それで悩んでいるんです私……。ざっと一読しただけではよくわからないドロシアとカソーボンの心理バトルも、巻末の読書ガイドを読むとよくわかるのでご安心を。こんなカソーボンを批判するのがラディスローだが、彼自身、欠点をカソーボンに見抜かれているという、このあたりの人間描写の細やかさ、鋭さには驚かされる。
各章の頭には題辞が掲げられ、最初はよくわからないものの、あとで読み返すと意味がわかるような暗示的な内容で、小説の面白さ、味わい深さに彩りを添えている。
本作には『地方生活の研究』という副題がついており、舞台となる1829~1831年のイングランドにおける、宗教や精神文化、経済や階級などといった当時の社会的背景についての理解が、読み解く上で必要になってくる。そこが本作を重層的で奥深い作品世界にしている魅力でもある。自分はこのあたりも巻末の読書ガイド頼みで、さらに掘り下げて調べるのも興味深いところだが、さしあたり小説を楽しむにはこれで十分かも。
1巻を読んだだけでこの充実度!個人的には昨年通読して自分ベストになった「アンナ・カレーニナ」に迫る読書体験になりそうで、今から期待している。 -
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ヴィクトリア朝を代表する男性名の女流作家ジョージ・エリオットの代表作の一つ。寓話的な物語に心打たれる傑作。
親友と恋人に裏切られ、信仰と故郷を捨てざるを得なくなるサイラス・マーナー。冒頭から悲劇のどん底に突き落とされる展開に引き込まれ、真面目で純朴なサイラスに愛着がわいた。不幸な境遇ゆえに彼が金貨に執着するようになってしまうのもどことなく共感できる。このまま孤独に人生を終えるかと思われた矢先に起きるサスペンスフルな事件――そこから一気に面白くなってくる。
本作でサイラスの対比となっているのはゴッドフリーだろう。弱点はあるが決して悪人ではない彼の人生の苦悩が、サイラスとは逆の立場から物語の主題に迫っていく。さらに、潔癖なナンシーの家庭生活のあり方が当時の社会通念をよく表現していて、本作の寓話的テーマを陰となって浮かび上がらせている。
寓話的といったが、繊細な心理描写は現代的でもあり、時代的背景もあって、小説として非常に面白い。「めでたしめでたし」で軽くすませられない、ヴィクトリア朝文学ならではの本物の感動があると思う。読後感は最高。 -
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わたしはなあ、賢いお方とはちごうてねえ、神さまいうもんが、ほんとうはよう分からんのよ。
サイラスはなあ、故郷のランタン・ヤードで神さまのことを信じておったのに親友の裏切りで「盗人」にされてしまうたんよ。本当の盗人ではなかったのに牧師さんの前で「御神籤(おみくじ)」で盗人に決められてしもうたんよ。
そいでサイラスはなあ、なんもかんものうなってしもうて、とぼとぼと町を出て、ラヴィローいう村の片隅の砕石場の近くに小屋を建ててひっそりと機織り屋になったんよ。村人たちに「変人」とからかわれても何も言わんと、ただもう、真面目に機を織っとったと。サイラスの織った亜麻布はしっかりして美しもんじゃったから、注文した良家のご婦人方はサイラスに金貨、銀貨でお礼をしたそうじゃ。
サイラスには家族はおらんかったで、金貨、銀貨の使い道はなかったけんどな自分で稼いだ金銀の輝きが嬉しゅうて、毎晩、金貨、銀貨を数えて織り機の下の床に隠しておくことだけを楽しみ過ごしておった。
そうして15年もたったときにな、なんとサイラスが大事に床下に隠しておった金貨、銀貨が盗まれてしもうたんよ。ただ一つの慰みも無くなったしもうたサイラスはもぬけの殻になってしもうたんよ。
でもな、ある雪の日の晩にな、サイラスの小屋の暖炉の前に金が落ちとったんよ。「わたしの金貨が戻ってきた!」とおもって拾い上げようとしたら、なんとそれは金髪の赤ん坊だっと!
その日からな、サイラスは生まれ変わったんよ。故郷にいたころのように心に喜びが訪れ、サイラスは「お父ちゃん」になり、エピー(娘)もお父ちゃんを大事にして、可愛い、良い子に育ったんよ。
ところがな、エピーが十六歳になった時にな、エピーを引き取りたいいう、偉いお方が現れたんよ。十六年前にサイラスがやっと掴んだ幸せをまたもぎ取ろうするもんがな。いやな、お金持ちのお方にはサイラスにとって何が幸せが分からんかったんやわな。
わたしはなあ、キリスト教のことはよう分からんのやけど、神さまのことはなあ、なんとなく分かる気ィがするんやわ。サイラスはなあ、エピーのお父ちゃんになってからエピーと一緒にまた教会に行くようになったけどな、自分の小屋の暖炉をずっと大事にしてたんや。暖炉の前でエピーが見つかったからな。
つまりはなあ、暖炉とかそういう、そこにいる人間の行ないをずっと見てくれてるもんの中に神さまはおられると思うんよ。
それからな、神さまは悪いことした人間には罰を与えなさるけど、「悪いことした」自覚を忘れずにその後慎ましく暮らした人間を決して地獄に行かせるような非情なお方やないな。
このお話はなあ、読み終わったら、なんかこう気持ちがすーっとするお話やったな。