ジョージ・エリオットのレビュー一覧

  • ミドルマーチ1
    心理描写等ジェイン・オースティンから多くの影響を受けているところもあるだろうが,それよりもさらに地域社会の観察に特化した書と言える。人々の変化はそれなりに大きかったが地域としての変化は少ない,と感じたことは覚えておく。訳者については,解説にある「〈分別〉と〈多感〉」という視点が興味深い。
  • サイラス・マーナー
    友人に裏切られ、免罪をかけられ、婚約者も失ったサイラス・マーナー。神にも人間にも絶望したサイラスを救ったのは何か?

    金を蓄えることだけが彼の唯一の救いとなるが、そんな金も盗まれてしまう。孤独で寂しいマーナーからこれ以上何を取れば気が済むのかと言いたくなるほどの不幸。しかし、これを後に本人が、不思議...続きを読む
  • ミドルマーチ1
    George Eliot(1819-80)

    英国ヴィクトリア期を代表する女流作家。寄宿学校で教育を受けた後、独学で外国語やその他の学問を学び、男性の名前で小説を発表する。男勝りの冷徹な理性で、現実社会の問題を見据え、確かな構成の小説に組み立てていった。

    彼女はほとんど独学でギリシア、ラテン、ヘブ...続きを読む
  • ミドルマーチ3
    ドロシアとリドゲイト、2組の夫婦の変化。ドロシアは未亡人となりラディスローとの恋の障害に、リドゲイトとロザモンドの愛のない生活に目が離せない。
    眼が離せないことは他にもあるが特に後半不穏な空気に囲まれたバルストロードにヤキモキする。
    解説の人物相関図は頭の整理に役だった。
  • ミドルマーチ2
    人間性は悪くはないけれど,フレッドのいい加減さにげんなりし,うまく行っているような人々も何かしら綻びが見え,うまく行ってない人々はこれからどうなるのかと嵐の予感にはらはらする.ほんと面白い.
  • ミドルマーチ4
     銀行家バルストロードの前に、彼の過去の秘密を知る無頼漢ラッフルズが現れ、前巻では、バルストロードの回想の形で読者にもその秘密が明らかにされ、登場人物ウィル・ラディスローとの関わりも明らかになった。  

     ラッフルズに金をせびられ、気が気ではないバルストロードであったが、ラディスローが突然倒れ、彼...続きを読む
  • ミドルマーチ3
     全8部のうち本巻は、折り返しを過ぎ第5部、第6部収録の巻。
     結婚であったり遺産相続を巡るドタバタなど、それなりの展開はあったものの、ここまで登場人物たちの生活や考え方が比較的平穏に描かれ、その人物像や関係性が明らかにされてきたが、本編では、各人物に様々な変化が生じ、物語全体が大きな転回を見せる。...続きを読む
  • ミドルマーチ1
    2019年「ジョージ・エリオット生誕200年」や、「偉大なイギリス小説100第1位(2015年BBC)」という帯に惹かれて読み始めました。
    1巻を読み終わるのに、かなり時間がかかってしまった。2〜4巻をゆっくり読んでいきたい...
  • ミドルマーチ2
     全8部のうち本巻では第3部及び第4部収録。

     自分より優れている人のもとで魂の安らぎを得たいと考え、妻として我が身を捧げ、夫の生活を確固たるものにしながら、自分の生活を高めていこうと結婚生活に入ったドロシアであったが、夫カソーボンとの関係は結婚当初から違和に満ちたものとなってしまっていた。

     ...続きを読む
  • ミドルマーチ3
    下巻はリドゲイトの話が主であり、最後の方にドロシアが出てくる。そして、その後の話が終曲としてまとめられている。藤井元子の、訳であり、わかり易かった。
  • ミドルマーチ1
    宗教や社会階級や個人の生きがいや結婚問題,生活のすべなどがミドルマーチという架空の田舎町を舞台に繰り広げられていく.誰が主人公でも面白い人物造形と丁寧な心理描写で物語世界にどんどん引き込まれていった.まだ1巻目なのでこの先の展開が楽しみである.
  • ミドルマーチ2
    1巻を読み終えてしばらく経過していたので、誰が誰だか辿るのが大変だった(笑)。

    いやはやどうなるのかこの先。
    今回ドロシアのピシッとした自論の展開があったのは、やっとちょっとスッキリした。

    進行は第三者の目線で書かれていて、結構この進行役の発言も多い。遠くのものに目を向ける前に自分の足元を見よ、...続きを読む
  • サイラス・マーナー
    ジョージ・エリオットが男みたいな名前だけど女の作家であることは知っていた。「サイラス・マーナー」も人の名前だとは思っていたが、何故か女の人の名前だと勝手に思い込んでいた。男の人で、しかも変り者の老人の話とは思いもよらなかった。

    しかし、こんな素敵な作家を今まで知らなかったなんて‼️最後がハッピーエ...続きを読む
  • サイラス・マーナー
    親友と恋人に恵まれ幸せに暮らしていたサイラス・マーナー。2人の策略で失意のどん底に。新たな地で孤独の中、毎日機を織り、たまっていく金貨を眺めるのが唯一の楽しみとなっていたサイラス。ある日、心の拠り所の金貨が盗まれ、可愛らしい2歳の女の子がやって来たことで新たな人生が始まる。この時、知らぬ間にサイラス...続きを読む
  • サイラス・マーナー
    孤独な機織りが主役ということで惹かれて読んだ。宗教観や階級のことをその当時の基準で語りながらも、どこかそれらの空疎さを辛辣に語っている目線が素晴らしい。読みながら思い浮かんだのはクイーンとデビットボウイの歌うUnder Pressure 「愛は古臭い言葉だけど、どうして愛にもう一度チャンスを与えてや...続きを読む
  • ミドルマーチ1
    サイラス・マーナーの感触が良かったので、安心して手に取ってみたのだが。。。
    結構読みにくい。情報量が多いわけではないんだが、感情移入できないというか。この人の作品は姫野カオルコさんの作品にも通づる、ジェンダー縛りな世の中の生きづらさと戦うことへのアホらしさと大事さを通して「死ぬまでにどんだけ自分に対...続きを読む
  • サイラス・マーナー
    時代における女性云々の解説には興味がないが、キリスト教云々には感じることがある。
    サイラスが無実の罪を着せられて故郷を去り、後年そこを訪問して事実を知ろうとしたとき、そこはすでになくなっていた。神の下した罰で燃え尽きたソドムの町ように。ダンスタンにも同様である。
    パリサイ人のごとき信仰の礼拝堂は跡形...続きを読む
  • ミドルマーチ1
     主要人物が登場し、いかなる性格で、どのようなことを考えているのか、どんな社会的地位にあるのか、家族関係や財産の多寡はどうなのかといったことが少しずつ明らかになってくる。
     うら若き女性が、かなり年上の学問に打ち込む牧師と短期間で結婚に至るというまとまりが一つ。医学の道に進み、成功を目指して新しい地...続きを読む
  • ミドルマーチ1
    映画を見るような小説である。会話も多く、登場人物も多い。単なる恋愛小説ではない。登場人物の金持ちの老人が死亡するところで終る。最初のページの主な登場人物の欄で大体のあらすじは、わかる。