ジョージ・エリオットのレビュー一覧
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友人に裏切られ、免罪をかけられ、婚約者も失ったサイラス・マーナー。神にも人間にも絶望したサイラスを救ったのは何か?
金を蓄えることだけが彼の唯一の救いとなるが、そんな金も盗まれてしまう。孤独で寂しいマーナーからこれ以上何を取れば気が済むのかと言いたくなるほどの不幸。しかし、これを後に本人が、不思議な軌跡だと言う。
エピーという1人の赤ん坊が彼の人生を救った。19世紀は科学の目覚ましい発展(ex. 進化論)によって聖書の非論理的な神話性に疑問を抱く時代であった。著者エリオット自身、もともと福音主義者だったが、22歳に聖書を合理的客観的に解釈する高等批評に触れ、宗教観が一変する。
そんなエリオットが「孤独を救済するのは一体何か」と言う問いにアプローチする中で生まれたのが『サイラス・マーナー』なのかもしれない。 -
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George Eliot(1819-80)
英国ヴィクトリア期を代表する女流作家。寄宿学校で教育を受けた後、独学で外国語やその他の学問を学び、男性の名前で小説を発表する。男勝りの冷徹な理性で、現実社会の問題を見据え、確かな構成の小説に組み立てていった。
彼女はほとんど独学でギリシア、ラテン、ヘブライ、ドイツ、フランス、イタリア語をマスターしたが、とりわけ若い頃ドイツとドイツ思想の研究に打ち込んだ。彼女はまた、ピューリタン寄りの福音信仰で育ったが、伝統的なキリスト教信仰から離脱していく。
『ミドルマーチ』は町の名前だが、これは彼女が若い時代過ごしたコヴェントリーをモデルにしたと言われている
代表作:『サイラス・マーナー』『ミドルマーチ』 -
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銀行家バルストロードの前に、彼の過去の秘密を知る無頼漢ラッフルズが現れ、前巻では、バルストロードの回想の形で読者にもその秘密が明らかにされ、登場人物ウィル・ラディスローとの関わりも明らかになった。
ラッフルズに金をせびられ、気が気ではないバルストロードであったが、ラディスローが突然倒れ、彼の元に運び込まれたことから、医師リドゲイトに治療を頼むことに。看護を任されたバルストロードだったが、適正を欠いた看護もあり、ラッフルズは亡くなってしまった。
また、診療を依頼されたリドゲイトだったが、一旦はバルストロードに断られた借金を受けてもらえることになり、当面生活が立ち行くことになった。
秘密が守られたかと思いきや、生前のラッフルズの自慢語りが次から次へと噂となって伝わり、遂にバルストロードはミドルマーチにおける地位を追われてしまう。また、リドゲイトがバルストロードから受け取った金は賄賂だったのではないかと疑われてしまう。
ここまでが第7部。
町の噂に押しひしがれるリドゲイトに対して、ドロシアは支援の手を差し伸べようと彼と話をする。自分のことを信じてくれる人がいることを知ったリドゲイト。そしてドロシアはリドゲイトの妻ロザモンドを訪ねたところ、そこにはウィルがいた。再び出会った二人。
そこから二人は。
フィナーレとして、登場人物それぞれの人生が簡潔に紹介される。こうして、全8部の大長編小説は幕を閉じる。
リドゲイトとロザモンドの夫婦関係、バルストロードの自分本位の信仰心などは作者の筆の冴えが感じられた。それに比べると、ドロシアとウィルの繋がりがもう一つ納得できなかったのが、全体を通しての感想。
主要登場人物のほか、脇筋的人物も魅力的だし、人物の心理や人間関係の機微がたっぷりと描かれている。また、当時のイギリス社会の状況、例えば政治や新聞、医学などについても、ストーリー展開の中でうまく取り上げられている。
非常に読み応えがあって、小説読みの醍醐味を堪能できた。
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全8部のうち本巻は、折り返しを過ぎ第5部、第6部収録の巻。
結婚であったり遺産相続を巡るドタバタなど、それなりの展開はあったものの、ここまで登場人物たちの生活や考え方が比較的平穏に描かれ、その人物像や関係性が明らかにされてきたが、本編では、各人物に様々な変化が生じ、物語全体が大きな転回を見せる。
先ずはドロシアとカソーボン夫婦。自分亡き後、妻ドロシアが従弟ウィル・ラディスローの意のままになってしまうのではないかと恐れたカソーボンは、自分の死後夫たる自分の希望に従うことを誓ってくれと求める。煩悶するドロシアが答えをしようと夫のところに向かったとき、もはやその答えが夫に届くことはなかった。
野心に燃えてミドルマーチに来た医師リドゲイトは、美しい妻ロザモンドとの結婚生活のため身の丈以上の出費を重ね借金に苦しむことになってしまう。節約を求めても妻は我慢が出来ず、他方妻は、そんなことを求める夫に不満を持つ。お互いの気持ちのすれ違い。
そしてもう一つ。宗教的情熱に燃え、理想的な病院を作ろうとする銀行家バルストロードの前に、彼の過去を知るらしき無頼漢ラッフルズが現れる。何か秘密を握っているらしき素振り。
その秘密に関して、バルストロードは、ウィルに対し、ある提案をするが、ウィルはキッパリと拒絶する。
といったように、ストーリーがかなり動き出して面白さが一気に高まってきた。乞うご期待の最終巻。
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全8部のうち本巻では第3部及び第4部収録。
自分より優れている人のもとで魂の安らぎを得たいと考え、妻として我が身を捧げ、夫の生活を確固たるものにしながら、自分の生活を高めていこうと結婚生活に入ったドロシアであったが、夫カソーボンとの関係は結婚当初から違和に満ちたものとなってしまっていた。
他方医学の発展と自己の成功の大志を抱く医師リドゲイトは、美しいロザモンドに魅せられ、予期していたよりも早い時期に結婚に向かうこととなった。
また、ごうつくばりの老人の遺産を巡るゴタゴタや、政治に関心を示し始めた地主と周囲の者たちとの軋轢など、物語が動き出す速度が早まってきている感がする。
人と人との関わりに関して、それぞれの考え方や思いが綿密に記述され、随所に挟まれる語り手による考察と相俟って、多面的な角度から登場人物に対するイメージを構築できる。
また、一つの地方に暮らす多様な階級の人物が存在感を持って描かれており、社会的地位や財産に伴う上下関係意識や体面の問題、職業に関する意識や価値観、男女・夫婦の役割分担、政治や宗教についての考え方などが、各人の発言や行動を通して多層的に取り上げられる。
本巻終盤では、全体的に不穏な気配を感じさせるようになってきており、どのような展開が待っているのか、次巻が楽しみだ。 -
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1巻を読み終えてしばらく経過していたので、誰が誰だか辿るのが大変だった(笑)。
いやはやどうなるのかこの先。
今回ドロシアのピシッとした自論の展開があったのは、やっとちょっとスッキリした。
進行は第三者の目線で書かれていて、結構この進行役の発言も多い。遠くのものに目を向ける前に自分の足元を見よ、というようなところの例えは、今も昔も変わらない。
さて。第3巻はいつ出るのだろう。3巻までで終わりと思ってたけど、全8部の3部と4部がこの2巻だと言うから、もしかして4巻まであるのか?と不安。
話が長いのは一向に構わないが、出版を待つ時間が増えるのは少しばかりもどかしい。 -
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ジョージ・エリオットが男みたいな名前だけど女の作家であることは知っていた。「サイラス・マーナー」も人の名前だとは思っていたが、何故か女の人の名前だと勝手に思い込んでいた。男の人で、しかも変り者の老人の話とは思いもよらなかった。
しかし、こんな素敵な作家を今まで知らなかったなんて‼️最後がハッピーエンドなのはいかにもヴィクトリア朝だけど、思いもよらぬストーリー展開、人間の心の動き、人物の描き方、いずれも素晴らしい❗️
それにしても、ジェーン・オースティン、ブロンテ姉妹、ヴァージニア・ウルフ、それにこのジョージ・エリオット、イギリスは秀逸な女性作家の宝庫だ。 -
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孤独な守銭奴サイラスが、失った金貨と引き換えに金髪の孤児エピーと出会うことで、彼の止まっていた人生が動き出すという物語。今作の面白かった点の一つは、サイラスとゴッドフリーの対比描写である。エピーを受け入れた結果、孤独を免れ幸せな人生を送ったサイラス。一方エピーを当初受け入れなかった結果、自らの秘密に怯え、子宝に恵まれない人生を送ったゴッドフリー。このような因果応報的な展開は読んでいて爽快だった。また、実の父ゴッドフリーとの血の繋がりよりも、育ての父サイラスからの愛情の方が大切であることをエピーが告白するシーンは、爽快以上に感動的である。
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ネタバレ時代における女性云々の解説には興味がないが、キリスト教云々には感じることがある。
サイラスが無実の罪を着せられて故郷を去り、後年そこを訪問して事実を知ろうとしたとき、そこはすでになくなっていた。神の下した罰で燃え尽きたソドムの町ように。ダンスタンにも同様である。
パリサイ人のごとき信仰の礼拝堂は跡形もなく、苦しみの後に下された愛と思いやりという最上の恵みはキリストへの信仰を象徴するかのようだ。
しかしながら、読書とは登場人物の悲しみや苦しみにこそ深い共感と追究心がわくもので、幸せになった彼らにはよかったね、という軽い感情程度しかわかぬものなのだな。
喜びにこそ感動が大きくあってほしいのに、情けないものだ。