吾妻ひでおのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「失踪日記」の続編。アルコール依存症を患った漫画家の吾妻ひでおは、アルコール依存症専門の病棟、「アル中病棟」に入院する。その時の経験を漫画で綴ったもの。
アルコール依存症は、本人にとっても家族にとっても悲惨な病気であるが、日本にどれくらいの依存症の人がいるのか、ネットで調べてみると、80万人以上ということであった。80万人というのは、日本全体の人口1.2億人からすれば、0.6-0.7%程度。成人人口の比率からすれば、おそらく1%程度になるのだろう。ただ予備軍を含めると、その5倍以上の440万人になると言われており、成人人口の5%以上になるのだろう。予備軍の440万人という数もすごいし、5%という比率も大きな数字だ。
漫画の中で、吾妻ひでおはアルコール依存症について、下記のように語っている。
「アルコール依存症って、回復はしても完治はしない不治の病なんですよね。何十年断酒していようと一度呑んでしまえば元の木阿弥。いずれ内臓のどこか、あるいは脳を侵され廃人になるか死に至ります。」
不治の病であるから、依存症に陥った人が普通に生活しようとすれば、出来ることは、「お酒を呑まない」ということだけとなる。それを1日1日続けることだけが出来ることだ。そして、それをサポートするのが、アル中病棟である。ただ、治療成績は悪い。統計によれば、アルコール依存症患者は治療病院を退院しても1年後の断酒継続率はわずか20%、ほとんどの人は再入院、もしくは死んだり行方不明になったりしているということだ。それくらい恐ろしい病気なのである。
吾妻ひでおは、なんとか治療を進め、退院にこぎつける。そこで、この漫画は終わっているが、実は勝負はこれからなのだ。アルコール依存症患者の飲酒欲求はなかなか治まらないもので、最低でも2年、長くて10年つきまとうらしい。
この漫画を読んでいると、絶対に酒に吞まれないようにしなければ、アルコール依存症には絶対にならないようにしなければ、という気持ちにさせられる。 -
Posted by ブクログ
吾妻ひでおは、古い漫画家であるが、けっこう売れっ子で、また作風が独特だったので、コアなファンが多かった。しかし、メンタルの不調に陥り失踪し、また、アルコール依存症となり治療のために入院することとなる。本書は、そういった体験をありのまま綴った漫画である。2005年の発行なのでかなり古い本であるが、発行当時に話題になったことは覚えている。
失踪しホームレス生活を続けていたり、精神病院のアル中病棟に入院していたりした体験談なのであるが、深刻さを表に出さず、どちらかと言えばコミカルに、淡々と体験を描いている。淡々と描いてはいるが、本来的には、とても悲惨な状態であり、また、ご家族にとっては地獄のような体験だったのではないかと思う。
私自身はメンタルの不調に陥った経験が(幸い)ないし、お酒も強くなく、あまり飲まないので、描かれていることは、なかなか実感・共感を持って読むことは出来ないが、その体験は、異様な迫力を備えていると感じた。悲惨ではあるが、話としては面白い漫画だ。
本書には続編がある。そちらも読んでみるつもり。 -
Posted by ブクログ
アルコール依存症のケースを複数担当しており、入院生活がどんなもんか気になったので。
漫画でほのぼのとしたイラスト、軽いタッチで描かれているから読み進められたものの、文章で淡々と書きつられていたら読むのが辛いだろう。
それくらい実態は壮絶なことがよく分かった。
アルコール依存症、治療後再飲酒することなく社会復帰出来る確率はわずか20%のようだ。それ以外の人は、肝臓壊して亡くなるか、行方不明か、再入院か。
担当のうち、片方は断酒に成功し、仕事も始め、社会復帰に向けて着々と進んでるケース。もう一方は、過去に入院歴あるものの、再飲酒に走り、かれこれ10年以上依存しているケース。
20%に入れるよう、支援していきたい。 -
購入済み
半分くらい内容を忘れてた
今回、10年ぶりに読んだ。私がこの10年間に、いらん苦労をしたせいか、わかりみが深まっていた。このマンガでは、嫌な登場人物のことも、楽しいギャグで表現してくれているので、10年前はニヤニヤ笑って読んだが、今回は身につまされた。
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Posted by ブクログ
前作よりも、周囲の人々との関係を丁寧に描写した作品
長年の作者のファンとして熱望の続編。
ただし、読後さすがに既視感があり。
衝撃的だった前作の半分も話題にはならなさそうではある。
まあ、作者はそのような色気は考えていないのであろう。
作者は、前作の失踪、本書のアル中の原因ともなったストレス(ギャグ漫画家としての行き詰まり?)への問題が解消されておらず、本書でも時折それが顔を覗かせる(特にラスト)。
アル中病棟と仲間たち(同情できない輩が多いがw)は、作者を極端な問題行動から日常生活へ戻して、ストレスと向き合うスタートラインに再び立たせてくれる安全装置なのだろう。
しかし、本書はタイトル通り、退院後の出来事までは記されていない。
現在、家族(本書は家族の描写が増えていたのが好感)の支援のもと、断酒会、主治医を連係してストレスと付き合っていると信じたい。
・しかし、アル中の肉体的ダメージは恐ろしいな。
作者が、何度もドライドランクに陥ってしまう描写は前作になく印象的だった。
・イスラム国家(お酒原則禁止)では、おっさんたちがすさまじく甘いものを好むが、それはアルコールと同種の脳内快楽物質分泌によるとは納得だ。
・作者の女の人のタッチは、変化し続けている。
?書き込みがかなり増えた。ナース制服なんかかなり細かい。
?笑ってしまうほど、女の人はすべからく美人に描かれている。
→配慮らしいwナース引率の野川公園レクシーンは、一種のファンタジーである。
?体型が、がっちりグラマーな人が多い(まったく、つるぺた等皆無)
?プロのマンガ家がまんだらけで自分のイラストを売りにいくとは…。
→入院前にも継続的に売りにきていた雰囲気である。まあ、同人作品だな。でも、食い詰めた感があるなあ。 -
Posted by ブクログ
失踪日記から8年後に出版された本。買ってからパラパラ拾い読みしていたが、ちゃんと最初から腰を据えて読もうと、大阪から東京に向かう新幹線の車中で向かい合う。
成程。アル中って内臓の病気じゃなくて、精神科なんだな。知ってはいたけれど、再度認識を改める。幾つか壮絶な話もあるけれど、吾妻ひでおの丸っこい絵柄に救われる印象。
このマンガに出てくるキャラクターの本人を見たら、ああ、この人かと思うんだろうなあ。ギャグタッチなのに実在感がある。嫌な奴と吾妻さんがいっている杉野もそんなに嫌な奴には見えないんだよね。作者の感想とは別に、マンガに客観性があるってことかな。
野川沿いの散歩道とか、野川公園、深大寺と知っている場所が多く、M鷹、C布、F中と知っている地名が沢山。断酒会とかAAとか知らないことも多かった。まあ、世話になることはないだろうけど。たぶん。
あと、ナースの女性が可愛らしく描かれていて、それも救いになっていると思う。
吾妻さんのマンガは高校生の頃に少年チャンピオンなどで読んでいた。それから、35年位かな。失踪日記も含めて、まさかこういう作品を読むとは思っていなかったな。