黒川耕大のレビュー一覧

  • レジリエンス思考――変わりゆく環境と生きる

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    本の構成が良い。
    具体例が5本あれば長々と抽象的なことを言わなくてもわかるんだ、というスタイルはいい。
    具体例から、レジリエンス思考という描写のスタイルを学ぶこと。そして、自分の生きている組織や生活をそのスタイルを持って描写してみること。
    使えてこそ意味があるというメッセージに貫徹された構成で、具体例もどれも面白いしとても良い。

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    2025年10月13日
  • ヴァクサーズ――オックスフォード・アストラゼネカワクチン開発奮闘記

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    医薬品の製造がどのような手法や手続きで行われているかが丁寧に解説されており、医薬品産業で働く人たちの力を与えてくれる良書だと思います。

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    2024年06月25日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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    幼き頃より恐竜を愛し、親に頼んで様々な恐竜博物館を訪れ、有名な学者にはファンレターを送り続けた。成人し、世界を代表する恐竜専門博士となり、訪れる博物館と親しい恐竜学者を増やした。そんな恐竜一筋の著者が記す恐竜興亡史。

    かつての恐竜のイメージは「大きくてウロコに覆われた頭の悪い野蛮な生き物」だった。 ノシノシと歩き、時を過ごし、滅びるべくして滅びた、という恐竜への固定観念は最近では崩れ去っている。次々と新種の恐竜が発見され、研究が進んだ結果、恐竜はめざましい進化を収めた成功者だとみなされている。なんせ人類を遥かにしのぐ1億6000万年もの間繁栄したのだから。

    そして、絶滅した理由もはっきりしている。直径10kmの隕石が地球に落下、原爆10億個分のエネルギーにより、たまたまそのときに巨大な体を持っていた恐竜たちが一番の犠牲になったのだ。白亜紀より後の地層から全く恐竜の化石が発見されなくなることから、恐竜の絶滅が唐突に起きたことは間違いないとされている。

    この隕石さえなければ、恐竜はその先、何億年も進化を続け、人類の登場を妨げたかもしれない。

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    2020年09月25日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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    中生代と呼ばれる2億5200万年前から6600万年前に存在した恐竜についての歴史をまとめた好著だ.この時代は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分けられているが、プレートテクトニクスの理論で三畳紀には地球の陸地は一塊で初期の恐竜はどこにでも移動できた由.ジュラ紀後期になると、今の大陸への分解が始まり、白亜紀後期にはほぼ今の陸地の形ができたようだ.知らなかった.有名なティラノサウルスが活躍したのは白亜紀でしかも北米西部だけらしい.多数の恐竜研究者が化石を発掘して古い時代の様子を明確にしている過程が詳述されているが、今なお新しい事実が判明している.6600万年前に小惑星が地球に衝突して恐竜はほぼ全滅したが、一部は鳥類として存続しており、恐竜時代には日陰の存在だった哺乳類も生き延びて、我々人類がいることは歴史の偶然とも言える.

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    2020年04月12日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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     ここ数年、子どもから大人までが大きな興味を持つようになった恐竜、その恐竜がたどった世界を時系列の展開をもとに、少しエッセイ的な味付けもまじえなが綴った一冊である。
     非常におもしろい。
     特に、これもまた老若男女を問わずに人気があるT・レックス(ティラノサウルス・レックス)の生態についての解説は、細部にわたって具体的であり、非常に質感のある説明に仕上がっている。子どもたちも大いに興味を膨らませるものだろう。
     また、これは自分自身が非常に関心を強くしているところなのだが、恐竜から鳥がどのように生まれたのか、鳥が恐竜の生き残りであることがとてもよくわかるものになっている。
     今、この瞬間に窓の外に恐竜が見える。

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    2019年09月22日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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    ネタバレ

    図がもっとあったら読みやすかっただろうけど、新たな恐竜の名前が出てくるたびにその姿を調べながら読んでいくのも楽しかった。
    小林快次が帯を書いていたので目に留まった。
    著者によると(著者の偏った意見の可能性はあるにせよ)恐竜の最も繁栄した時代は白亜紀後期だったらしい。ジュラ期でさえ全盛期ではなかったのか。ジュラ期の最上位捕食者カルカロドントサウルスなんて種については初めて知った。ジュラ期の終わりにカルカロドントサウルスがいなくなったニッチを占めたのが我らがティラノサウルス類だったらしい。北アメリカとアジアに限って。ティラノサウルス類の分布が北半球に限られていたことも知らなかった。
    著者自身、ティラノサウルスとトリケラトプスに魅了されたと記しているように、この本ではティラノサウルスへの記述はかなり多く、力も入っているように感じた。読み応えがある部分。ミーハーな読者としても嬉しい。
    6600万年前の小惑星衝突の描写がとてもいい。これまで読んだ文章の中でもかなりドラマチックに描かれていて、想像を掻き立てる。

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    2026年03月13日
  • 哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで

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    面白い。
    化石掘り苦労話→特定の哺乳類主観話→解説
    を繰り返す構成。化石掘り苦労話は退屈。あと絵が欲しい。

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    2025年03月25日
  • 進化の技法――転用と盗用と争いの40億年

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    空を羽ばたくいきもの、海から陸に進出したいきものがどうやって進化したのか。とつぜん空飛んだり陸に上がる生物に進化したんだろうか。
    というテーマだが、みすず書房なので本の後ろに答えが書いてあった。

    〇面白かったところ
    ・トウモロコシはひとつぶひとつぶ違う胚で異なる遺伝子を持っている。
    ↑トウモロコシを食べるニワトリもおれもヴィーガンも多様性と進化を脅かす侵害者。

    ・ホヤの幼生はオタマジャクシのように泳いで回る

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    2025年03月23日
  • 哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで

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    哺乳類が恐竜の陰に隠れて夜行性の小さな生物としてスタート、恐竜絶滅の後生存領域を広げてあらゆるところに住み、巨大化していったが、それが人間によってまた絶滅の危機にさらされている。

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    2024年10月30日
  • 哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで

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    小惑星の衝突により恐竜が滅びたニッチに、哺乳類が進出し今に至るまでの興隆

    ゾウ、コウモリ、クジラへと、またはホモ・サピ エンスへと進化したもの。いや、滅びたもの。

    途方もなく壮大なロマン、、

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    2024年08月09日
  • 進化の技法――転用と盗用と争いの40億年

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    批判者から「進化は漸進的にではなく一気に進む」と言われたダーウィンは、「漸進的な変化には機能の変化が伴う」と反論した。後世の研究は、正に「機能の変化」こそ、生命史上の大進化が起きたメカニズムを説明するキーワードだと明らかにした。古生物学者が発生生物学、遺伝学、ゲノム研究の成果から進化の謎に迫っていくサイエンス・ノンフィクション。


    太古の水棲生物が陸に上がるときに肺を持つことができたのはなぜなのか。飛ばない恐竜の表皮に今の鳥類と同じような羽毛が生えていたのはなぜか。なぜさまざまな動物の種で胚が似ているのか。こうした謎を解き明かす過程で、ダーウィンが残した「機能の変化」という言葉がいかに的確に進化を表現していたかがわかってくる。生物はほとんど同じ材料を共有しながら、それを転用したり複製したり、外部から侵入してきたウイルスを利用したりして個々の姿を変えてきたのだ。
    特に、「ジャンク」と呼ばれ、無駄なストックだと思われていた重複遺伝子が今の動物に必須な五感や呼吸の機能を生んだとわかるくだりはワクワクした。重複遺伝子という言葉自体が初耳だったけど、機能が先にあったのではなく無駄に作られたコピーが次の展開に繋がっていくというあたり、おもしろ例え話に使えそう。古代生物の脳にタンパク質が発現したり、卵生から胎生に変わるきっかけがウイルスだった! というのは『天冥の標』のノルルスカインだなぁ。
    現在、すべての動物が同じ遺伝子群を使って体を作りだしているということがわかっており、それによって多発的な進化が説明できる。そのことは、つまり初めから生命史をリプレイしたとしても動物たちは同じ発生の過程を辿って今と同じ姿になるだろうことを示すという。これが現代における〈存在の大いなる連鎖〉なのだ。
    本書は研究者たちの列伝でもあって、キャッチーな写真とキャプションで楽しませてくれたり、性差別と闘いながら独自に研究を続けた女性たちにスポットを当てている。今研究史を書くなら当たり前に考えなければいけないことだとは思うけど、女性科学者に対する偏見に気を配った書き方がされているのでストレスを感じず読めた。
    注釈と別に「さらに勉強したい人のために」が用意されてて超親切! 著者は元々化石を掘る古生物学の人なので、初期両生類の化石発見をめぐる一文はローレン・アイズリーを思わせるセンス・オブ・ワンダーに満ちていた。この人好きだなぁ。他の著作も読んでみよう。

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    2024年07月03日
  • 進化の技法――転用と盗用と争いの40億年

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    ネタバレ

    30年ほどまえ、修士論文のために遺伝的アルゴリズムを研究していた。出来上がった論文はゴミだったが、いくつか知見を得ることはできた。最大の知見は、画像認識あるいは人工知能研究のためには当時の時点ではコンピュータのパワーが圧倒的に不足しているということ。
    当時、遺伝的アルゴリズムの研究者にどれほどの人材が参加していたかは不明だ。もともとが遺伝子のふるまいをごくごく単純にモデル化したにすぎないもので、実用に耐えうるのかという疑問が指導教員をして当方にテーマを授けさせたと感じている。単純なモデルに不安を感じたのは指導教員だけではなかったのだろう。門外漢が付け焼刃的な学習から得た遺伝子のそれっぽいふるまいを付け足した、やくたいもない論文だらけだった。この分野に未来はあるのだろうかと思ったものだ。

    遺伝子の振る舞いは、これまで思っていたものよりも静的ではない。免疫が外部からの侵入者と常に戦っているように、ウィルスという外敵だけでなく、自らのコピーミスとも戦っている。稀な出来事ではないらしい。

    そんなことを本書を学んだ今ならば、少しは面白い遺伝的振る舞いを仕込めたかもしれないなどと懐古する。

    「何事も、当然のことながら、私たちが始まったと思った時に始まっているわけではない」
    この言葉の意味するところは、進化という言葉に想起される個人的なイメージを払拭した。進化のために遺伝子セットが生み出されるのではなく、すでに存在する遺伝子が必要に応じてオンオフされるということだ。本書ではサンショウウオの例と、浮袋を持つ魚の例があげられている。
    サンショウウオの食餌は、水棲時においては吸い込む方式で、陸棲時はカエルのように舌を伸ばして捕食する。舌を伸縮する方法は筋力によるものではなく、いわば指先につまんだなめらかなものを弾き飛ばすようなもので、エラだったものが変化したものだという。環境要因で遺伝子がオンオフされて、同一個体でそう成るという。
    地球上の生物の進化は海から始まり、陸に上がったといわれている。陸に上がったから肺が発生したのではなく、まず浮袋に類するものがあり、それが変化したのだという。

    そしてまた、遺伝子に対する漠然とした疑問が本書で解消された。すべての細胞に含まれるという遺伝子は、適材適所の発現をなにによって制御しているのかというものである。
    遺伝子の中には発生をコントロールする遺伝子がある。中学の理科だったろうか、胚葉の部位が身体の部位に対応していることを学んだのは。遺伝子の並びもそれに準じている、ということらしい。

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    2023年06月19日
  • レジリエンス思考――変わりゆく環境と生きる

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    ネタバレ

    地球の陸地の1/3近くが既に都市域か農地になっている。
    人類が1年で消費する資源が再生するまで1.2年かかる。

    特定のものへの最適化は 重大な問題を引き起こす
     エバーグレーズ
     ゴールバーン ブロークン
     カリブ海のサンゴ礁
     NHLD
     クリスチャンスタッド ヘルゲ川

    レジリエンス思考はシステム思考
     ~特性を突き止めること
       元に戻らなくなる状態の閾値?
       重要な遅い変数?
     1.私たちは社会生態系の中にいるアクター
     2.予測困難な複数のレジューム(安定状態)をとる
       複雑適応系
     3.別のレジュームに移行せず衝撃を吸収する能力
       
    自然界のシステム「適応サイクル」
     フォアループ r 急成長・K 保全(大規模崩壊)→
     バックループ Ω 解放・α 再組織化
      
    パナーキー(ギリシャ神話のパン)
     各階層複数の適応サイクルが連結したヒエラルキー
     
    多様性 機能の多様性と応答性の多様性
     モジュール性
      システムの構成要素同士のつながり方
       ゆるく多数につながっていると急速に伝搬
       衝撃を吸収する能力 
     
    レジリエンスの世界で重視されるもの
    1 多様性  システム能力の母体
    2 生態系の変動制  抑えこめるものではない
    3 モジュール性  過剰なつながりは衝撃に弱い
    4 遅い変数  レジューム空間を広げる
    5 緊密なフィードバック  グローバル化で弱まる
    6 社会関係資本 ネットワークとリーダーシップ適応性
    7 革新  バックループの変化を受け入れる
    8 統治の重複  冗長性による応答多様性と柔軟性  
    9 生態系サービス  タダではないもの
    10 ?

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    2020年11月03日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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    どこにも出かけられない夏休みシーズンを気分だけでも盛り上げようと読んでみた。狙いどおり楽しめた。

    恐竜みたいな昔の生物を研究する古生物学は、とにかく化石を掘り出して形を比べたり、地層との関係を見るしかない。その過程でコンピューターを使ったりはするものの、昔からの博物学的な気風が残っているようだ。この本でも著者自身や他の古生物学者が発掘をする様子がおおく描かれている。素人目にもなんだかロマンを感じるし、著者の書きぶりからは当人たちも楽しんでいる様子が伺える。

    ワタクシが子供のころからすると恐竜に関する知識はけっこう書き換えられてきており、ある程度は聞いて知っていたが、あらためて良い整理になった。

    また、恐竜を研究するということは、遠い昔の地球環境の激変を研究することでもある。生命や進化への畏敬の念を呼び起こされる。

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    2020年08月01日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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    恐竜大好き少年が、そのまま古生物学者になり、自身の体験、経験を織り交ぜて、1億6千万年の恐竜の歴史を描き切った本。T・レックスのスカベンジャー説もあっさり否定し、想像力豊に、恐竜のサバイバルをわかりやすく述べてます。
    時折り入る雑談というか小ネタも、テンポ良いので、ボリュームありましたが、恐竜に興味がある人や男の子のお子さんを持っている親御さんにはよいのではないでしょうか。

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    2020年02月10日
  • 地球内生命――私たちがまだ知らない地下の異世界

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    地底には酸素以外の元素を利用し呼吸ができる微生物が無数に存在し、高温高圧など過酷な環境下でも生きられる。生命と非生命の境界線は曖昧で、このことを探究することで生命の進化の過程も見えてくる.. 決して易しくはない本だけど、知識が広がった。

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    2026年09月16日
  • 進化の技法――転用と盗用と争いの40億年

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    『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト』の著者、別本です。ヒト~が2008年、こちらが2021年となってました。翻訳レベルにも大きく左右されるとは思いますがこちらの方がこなれてる感があって比較的読みやすかったです。比較的。

    『遺伝子はDNAというやすよともこ(海原)に散在する島でしかないで』『再利用、再生利用、転用やで』『哺乳類の染色体は大きさの違いこそあれ重さは変わらんかもやで(写真の切り抜き比較やけど)』『退化って示し合わせたように体色薄ぅして目無くして付属肢小さくすんで』『ミトコンドリアと葉緑体=生命のM&A』など、明日にでも使いたいフレーズがいくつもありました。

    別にこの本でなくてもいいのでは?というトピックなのですが最も驚いたのはネッタイキノボリサンショウウオの舌の速度ですかね。『なんでカメレオンじゃなくてネッタイキノボリサンショウウオなの?カメレオンだって舌の中に骨があって仕組み一緒だしそっちの方がポピュラーじゃん?』とか思いながら読んでたんですが今ネット検索したら全然違いますね。射出に架かる時間は 0.6-0.7ミリ秒と70ミリ秒。最大加速度は590Gと41G。筋肉の瞬間出力は18000W/kg(全脊椎動物の筋肉で1位)と3000W/kg。人間の瞬きとの比較は50-500倍の速さと5倍。しかも骨の周りから筋肉組織だけを伸ばすカメレオンは気温低下にも弱いところが舌の骨自体をスイカの種を指で挟んで飛ばすように骨そのものを弾丸のように撃ち出すネッタイキノボリサンショウウオの方は気温が下がっても舌の発射速度がほとんど落ちないとのこと。挙句この高度に特殊化した機能は系統上も生息地も遠く離れた場所で多発しているとな。はー。

    この章(7章 重りのしこまれたサイコロ)の章末では世界から孤立したオーストラリアの有袋類が1億年以上も進化を続け有袋類のモモンガ、有袋類のモグラ、有袋類のネコ、有袋類のウッドチャックまで(かつては有袋類のライオン・オオカミ・サーベルタイガー)存在し世界の他の地域の哺乳類進化と似た道筋をたどっていることも例に挙げながら『こうした天然実験を見ると生命は諸々の偶発的事件の産物でありその結果は予測がつかないと言い切れないことが分かる』とする。そうよね。

    毎度毎度一神教についてぐちぐち言って申し訳ないけど(てか宗教の◯◯◯◯加減を再確認するために読んでるし)こういうところが部分的に、もしくは感覚的に『神の設計』とかに利用されるんだろか。信仰を続ける数十億人の方々はほんの少し冷静になって欲しいんだけど、ネッタイキノボリサンショウウオやカメレオンの舌、ヒラメにカレイ(エイはまだいいとしても)、蟹エビシャコウニ、クラゲ、カエル(&おたまじゃくし)、トンボに蝶、シュモクザメにシュモクハエにツノゼミにイッカク、ハリガネムシにロイコクロリディウムにプラナリアに完全コピーを産み続ける一部のアリ。さらには筆者の挙げた有袋類のサーベルタイガーとそうでないサーベルタイガー。こういうのをわざわざ作ったのがあなたの信じるその、神?だとしてよ。怖くない?こういうデザインセンスの持ち主に忠誠を誓うのって。「人間なんかには及ばないところがある(ここまでは理解出来るけどこっから先は神の領域、と人間が話す時点でそれは神の意識を持つ。)」んじゃなくて全てにおいて理解出来ないはずじゃない?見慣れてるけどキリンとか象とかもさ。あれ作ったとしたら悪ふざけじゃん。

    話戻って。

    本の中でも子だくさんかつ世代交代の早い昆虫や細菌・ウィルスを使った実験を通じて身体の仕組みを解き明かそうとする頭のいい人たちの話が取り上げられていますが、こういうのってこれからAI?とか使ってどんどん進んでいくんですかね。ワタシの目には地球上の生物はありえないほど多種多様に見えますが実際は数回の地球規模絶滅を経験しているおかげもあり基本設計は変わらず(但しその場しのぎの増改築と部分取壊しは繰り返されてるけど)この『いろいろあるように見えて所詮地球上の話』っていう制限のおかげで失明した人や手足を失った人、生まれつき心臓などに疾患のある人たちの生活が改善するような治療につながるといいなぁ。(刺青、飲酒、喫煙、美容整形、マンジャロやLUUP乗車による事故・後遺症なんかはどれほど科学が進歩しようとも放置でいいけどね。)

    前のより随分読みやすくなりましたが以前として中盤のホックス遺伝子群のところがワタシにはちと重い。なので3.49999で星3。

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    2026年06月08日
  • 哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで

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    大型哺乳類メガファウナをメインに地球時間軸でみた変遷を一気に頭に突っ込んだ感じ。恐竜ものにも共通する化石調査は興味深い。

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    2025年01月20日
  • レジリエンス思考――変わりゆく環境と生きる

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    レジリエンス思考というタイトルですが、内容はアメリカやオーストラリアでの環境問題を効率性と持続性に照らし合わせて説明している本です

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    2020年12月22日
  • 恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで

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    最新の恐竜学の知見や、気鋭の古生物学者の生態はみっちりと書かれていて、非常に濃厚な本になっています。恐竜好きには必読の一冊と思います。ただし、世界史である以上、恐竜の世界を過去からたどっていく、追体験!ともいえる経験をしたかったのですが、古生物学者の発見までのストーリーが重視されているようで、歴史に感情移入していく感じを味わうことが今ひとつできませんでした。

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    2020年01月16日