あらすじ
ある時突然、景色が変貌し始める。長い間変わらずにあった一帯に、気がつくと見慣れない植物がはびこっている。大きな嵐の後、サンゴ礁が回復しない。大雨の後、一帯の草木が枯れ始める……。私たちが問題に気づくのは、いつもわかりやすい変化が起きた後だ。著者によれば、変化はずっと前から始まっていた。何の変化も起きていないように見えても、どの生態系も静かに「レジリエンス」を失い続けていたのだ。レジリエンスとは、「システムが攪乱を吸収しながらも、基本的な機能と構造を維持する能力」を言う。著者によれば、生態系のレジリエンスは有限であり、変動する。その低下を招く要因は生態系によってさまざまだ。ただし、どれもゆっくりと変化するため気づかれにくい。その「遅い変数」を認識しないまま開発を行うと、気づかぬうちにレジリエンスの低下を招く。そして生態系は、以前ならば十分耐えられた外乱によって、簡単に別の生態系に移行してしまう。著者は、生態系を構成する機能群や「遅い変数」を見極め、別の生態系への移行が起きる閾値をモニタリングする「レジリエンス思考」による環境保全を提唱している。変動し続ける自然に対し、そのレジリエンスに注目しながら共に生きる術を五つの事例で解説する、現代の必携書。
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Posted by ブクログ
本の構成が良い。
具体例が5本あれば長々と抽象的なことを言わなくてもわかるんだ、というスタイルはいい。
具体例から、レジリエンス思考という描写のスタイルを学ぶこと。そして、自分の生きている組織や生活をそのスタイルを持って描写してみること。
使えてこそ意味があるというメッセージに貫徹された構成で、具体例もどれも面白いしとても良い。
Posted by ブクログ
地球の陸地の1/3近くが既に都市域か農地になっている。
人類が1年で消費する資源が再生するまで1.2年かかる。
特定のものへの最適化は 重大な問題を引き起こす
エバーグレーズ
ゴールバーン ブロークン
カリブ海のサンゴ礁
NHLD
クリスチャンスタッド ヘルゲ川
レジリエンス思考はシステム思考
~特性を突き止めること
元に戻らなくなる状態の閾値?
重要な遅い変数?
1.私たちは社会生態系の中にいるアクター
2.予測困難な複数のレジューム(安定状態)をとる
複雑適応系
3.別のレジュームに移行せず衝撃を吸収する能力
自然界のシステム「適応サイクル」
フォアループ r 急成長・K 保全(大規模崩壊)→
バックループ Ω 解放・α 再組織化
パナーキー(ギリシャ神話のパン)
各階層複数の適応サイクルが連結したヒエラルキー
多様性 機能の多様性と応答性の多様性
モジュール性
システムの構成要素同士のつながり方
ゆるく多数につながっていると急速に伝搬
衝撃を吸収する能力
レジリエンスの世界で重視されるもの
1 多様性 システム能力の母体
2 生態系の変動制 抑えこめるものではない
3 モジュール性 過剰なつながりは衝撃に弱い
4 遅い変数 レジューム空間を広げる
5 緊密なフィードバック グローバル化で弱まる
6 社会関係資本 ネットワークとリーダーシップ適応性
7 革新 バックループの変化を受け入れる
8 統治の重複 冗長性による応答多様性と柔軟性
9 生態系サービス タダではないもの
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