森永康平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
普段から「物価おじさん」として、twitterで物価についてtweetをされている著者だけあって、豊富な図表と説明が分かり易いです。本書では日本で現在起きている物価上昇についてのざまざまな原因や対処法などを著されています。
過去、何十年にも渡って日本政府が国内への投資を怠ってきたために、企業がなるべく安い費用で安い製品を作るために海外依存が強まってしまっていて、インフレが起こっているという説明には納得がいきました。やはり、金融緩和、財政政策を怠ってきたツケは大きく日本経済を毀損してしまっています。
所々で著者が嘆いている、自分の生活が貧しいために、障害を持った人々や弱者への優しさが欠けていってしまっている人がいるという風潮には、私も大いに嘆かわしく思います。 -
Posted by ブクログ
【投資は脇役だが勉強が必要】
投資信託は、
・ノーロード
・信託報酬が低い
・信託財産留保額がかからないもの
を選ぶ
老後2000万円問題
←年金と退職金では、旅行や買い物など“快適に”生きていくのに2000万円足りない。
・投資信託を買う時は運用会社みる!
・セールスマンは、手数料の高い商品を勧める
・idecoは掛金全額が所得控除
・給料から支出を引いて、50%は貯金、30%は投資、20%は現金。
・投資金額は節目のときだけ動かす
・目論見書、販売用資料をみる
・「再投資型」を選ぶ
・純資産総額が安定的に増えているものを
投資は人生の脇役で、家族や友人、趣味、仕事の時間を大切にする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ■本書の概要
本書は、お金の歴史から投資・国家財政まで、経済の基礎を幅広く解説した一冊だ。全5章で構成されており、「お金に対する思い込みを疑う」姿勢の大切さを説く。
第1章では、お金が物々交換から「信用」に基づく紙幣やデータへと変化してきた歴史が学べる。日本人に根強い「貯金は善、贅沢は悪」という価値観も、機会費用(Opportunity Cost)の観点から見直すと、必ずしも正しくないと気づかされる。限られたお金をどこに使えば最も満足度が高いかを考える視点は、日常の選択を変えるヒントになる。
第2章では、資本主義における労働と資本の関係、正規・非正規雇用の格差、M字カーブに象徴される女性の就労問題が取り上げられていた。所得税の累進課税が「富の再配分」と「景気の自動安定装置(ビルトイン・スタビライザー)」として機能していることも、改めて理解できた。
第3章では、子育て(幼稚園から大学まで公立でも約1,000万円)や老後資金(老後2,000万円問題)など、人生に必要な費用のシミュレーションが現実的。年金や退職金だけに頼れない時代において、「長期・積立・分散」を基本とした投資の必要性と、リスクとリターンの正しい理解の重要性を強く感じた。
第4章では、キャッシュレス決済の普及や副業(複業)の広がりといった最新のお金事情が学べる。便利さの裏にある詐欺被害のリスクにも触れている。
第5章では、GDP・景気循環・インフレ・デフレの仕組みに加え、「国の借金=国民の借金」という通説をMMT(現代貨幣理論)などの視点で問い直す内容が印象的だった。誰かの負債は誰かの資産であるという会計的な視点は、経済ニュースを鵜呑みにせず多角的に考える力を与えてくれる。
■発展的考察:AIが加速させる経済崩壊のシナリオ
本書にある経済の仕組みを踏まえた上で、現在急速に進むAIの普及が経済にどのような問題を引き起こしうるかを考えてみたい。
AIが労働を代替する領域を広げる中で、企業がリストラを加速させ、AI活用に遅れた企業が淘汰され、AI提供企業と極少数のスリム化した企業だけが生き残るという極端なシナリオを想定した時、本書の視点から以下の深刻な問題が推察される。
1. 経済循環の停止(消費の蒸発)
本書が解説するように、経済は消費者・企業・銀行の間でお金が「ぐるぐると」回ることで成り立っている。リストラによって多くの人々が賃金を得られなくなれば、消費者はモノやサービスを買う原資を失う。企業がAIで効率よく生産できたとしても、それを買う消費者の所得がなければお金の循環そのものが止まってしまう。生産能力だけが高度化し、購買力が社会から失われるという、経済の根本的な矛盾が生じるのだ。
2. 「合成の誤謬(ごびゅう)」によるデフレの加速
個々の企業がAIを導入してリストラを断行することは、その企業単体にとっては合理的な生き残り戦略だ。しかし、社会全体が同時にそれを行えば、本書が説明するデフレスパイラルが一気に加速する。モノが売れないために企業が価格を下げ、利益が減ってさらにリストラや賃下げを行うという悪循環が深まり、経済全体が縮小していく。個々の「正しい選択」が集まることで社会全体が悪化する、これが「合成の誤謬(ごびゅう)」の恐ろしさだ。
3. 富の再配分機能と社会保障の崩壊
本書が第2章で詳述するように、現在の日本の経済システムは所得税などを通じた富の再配分と、年金・医療・介護などの社会保障によって社会の安定を保っている。しかし、大量失業が起きれば所得税収が激減し、消費の冷え込みによって消費税収も期待できなくなる。現役世代が支払う保険料と税金で社会保障を支えるという現行の仕組みは、労働者が大幅に減少すれば物理的に維持が不可能になる。高齢化が進む日本においては、この問題は特に深刻だ。
4. 資本家と労働者の格差の極大化
本書は第2章でマルクスの『資本論』に触れ、資本主義において「労働者は資本家に搾取される構造にある」という考え方を紹介している。AIというかつてない強力な「生産手段」を所有する極少数の企業・資本家にすべての付加価値(GDP)が集中し、労働力を提供できなくなった一般市民との間に埋めようのない格差が生じる可能性がある。かつての格差は努力や教育によってある程度は埋めることができたが、AIが生産手段を独占する世界では、格差が固定化・世襲化し、もはや個人の努力では覆せない構造になりかねない。
■結論:経済の「前提」そのものの崩壊
本書の視点に立てば、AIによる生産性向上には「労働力不足の解消」というポジティブな側面がある一方で、極端なスリム化と富の独占が進んだ場合、「誰がお金を払い、誰が社会を支えるのか」という経済の根本的な前提そのものが崩れてしまう。本書が丁寧に解説してくれたお金の循環・税制・社会保障・格差の仕組みは、裏を返せば、それらが機能しなくなった時の破壊力の大きさを物語っている。AIを提供する企業の経営者らが暴動を恐れて地下シェルターを用意しているひとつの理由はこういったシナリオが想定されているからだろう。