橋本倫史のレビュー一覧
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水納(みんな)島は沖縄県本部半島沖に浮かぶ面積0.47平方キロ、人口わずか20人ほどの小さな島だ。 三日月の形をしていることから「クロワッサン・アイランド」と呼ばれ、さまざまなマリンアクティビティが楽しめることから年間7万人もの観光客が訪れる。
著者は2015年春に初めて訪れ、島の雰囲気を気に入り、毎年のように足を運んできた。 そんな中、親しくなった島の民宿のオーナーが発した「このまま行けば無人島になる」という言葉をきっかけに、水納島のことを記録しておかなければという思いにかられる。
そして書き始めたのが、この本、2021年4月1日から4泊5日の滞在記だ。
著者は見た景色や島民の -
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橋本さんが「マツコの知らない世界」に登場して、俄然興味を持って本書を紐解いた。橋本さんがドライブインに興味を持ったのは、10年前と最近だ。この間に200軒のドライブインを訪問し、記事を書くためには、印象深かった店を再訪し 、一日ゆっくりと顔を覚えてもらって、そこで記事化の許可をもらい、やっと後日足を運んで取材する。典型的なノンフィクション作家なのである。
よって、昭和回顧的な軽い読み物ではない。「マツコ」で指摘している通り、「ドライブインには家族の歴史が詰まっている」それは即ち、昭和の側面史にもなる。当然、ドライブインが作られる地域独自の背景(ハイウェイ時代、米国統治、瀬戸大橋時代等々)も詳 -
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私の出身は札幌市だが、父親の実家が日本海沿いの田舎町であるということもあり、幼少の頃は自動車で3時間ほどかけて墓参りに行く習慣があった。当時、その道筋には何軒かのドライブインがあったと記憶している。その寂れた雰囲気とは裏腹に、日本海の新鮮な海産が食べれるドライブインは、一種の原体験として印象に残っている。
本書は平成も終わる現代に消えつつあるドライブインを静かに訪問し、その成り立ちなどを丁寧に聞いて回ったルポルタージュである。登場するドライブインの多くは1960-70年代に創業された店が大多数を占める。それは、高度経済成長により道路インフラが投資され、国民にレジャーという娯楽が浸透した時期で -
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日本全国のドライブインを訪ね歩き、そこで働く人達の軌跡を中心に取材している。マイカー時代や高度成長期の到来で隆盛を極めた頃と今を振り返る昭和テイスト溢れる本。
どのドライブインもほぼ例外なく「全盛期は朝から晩まで毎日働いた」「今は立ち寄る人も激減し、存続するか否かを考えている」という話題が出てくる。自販機食材のブームなどで健闘しているドライブインもあるが、やはり時代の趨勢には抗えない。
全盛期の活気と、長距離ドライバーだけでなく地域住民との交流も懐かしく語られている。ドライブインはその外観も観光資源となり得るので、「古きよき新しさ」が少しでも多く残っていくのを願いたい。