合計3回はドライブインを訪れる。単なるガイドブックではなく、上質なルポルタージュ。店主の人生まで深く追った大作。
どこか懐かしさ、昭和の臭いを感じるドライブイン。高速道路の発展と観光バスから個人旅行への移行などにより、一般国道沿いのドライブインの多くは廃業。それでもなお全国各地に残るドライブインの
...続きを読むルポルタージュ。
いきなり取材に入るのではなくぶらり訪れ、気に入ったドライブイン。2回目の訪問で打ち解けて初めて取材のアポを取りそしてあらためて取材に訪問するという。
ドライブインの数だけ経営する方々数世代のドラマがある。
本書に登場するドライブインいずれにも共通しているのは、景気変動の影響の大きな観光客だけでなく、多くのトラックドライバーや地元の常連客の存在。それによりかろうじて生き残る。
旅先での数多くの出会い。「鶴瓶の家族に乾杯」や最近なら「サンドのお風呂いただきます」のような、家族の歴史に踏み込んだ取材が見ものである。
チェーン店の増加、高速道の開通、経済効率最優先の今の世であるからこそ、人と人のつながりが重要であり、本書のようなルポに価値がある。
題名から写真中心のガイドブックをイメージしていたが、実に骨太な本格ルポであった。思いのほか大作。
数年後ちくま文庫のラインアップに加わることは間違いないだろう。それまでいくつの店が残っていることやら。