凪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
周りに合わせて本音を飲み込み続けることで
自分の意見を見失い
青年期失顔症を発症した朝葉。
そんな時に同級生の聖に助けてもらい
少しずつ自分を取り戻していって
悩みの種にもなっていたバスケ部を
辞める決断をした。
いじめの対象になりたくないとか
嫌われたり1人になりたくないとか
様々な理由で周りに合わせる気持ちも、
周りに合わせれば合わせるほど
本音を言えなくなっくなっていく状況も、
気がついたら自分の本音を見失って
自分でもどうしたいのか分からなくなる状況も、
全部想像できてしまうから
朝葉のことを想うと辛くなった。
そして
朝葉がバスケ部を辞める決断をした時
中学・高校生の頃の自分の姿と重なって
読みながらぼろぼろ泣いた。
私が高校で部活を辞めた時は
本当に辛くて苦しくて大変だったし
でも何故退部を決断したのかは
自分でもよく分からないままだった。
当時は進路や受験を理由にしてたけど
それだけじゃない気もしていた。
だけどこの物語を読んで
自分を守るためだったような気がした。
きっとあのまま部活を続けてたら
心が壊れてしまってただろうし
吹奏楽を大嫌いになっていたと思う。
あの時の決断があったから
今も吹奏楽を好きでいられて
また楽器を吹きたいと思えるんだと思う。
そんな事を思い出してたら
涙が止まらなくなってた -
Posted by ブクログ
ネタバレ『人類すべて俺の敵』は、その過激なタイトルが示す通り、世界との断絶を選び取った一人の人間の内面を、徹底して描き抜いた作品である。しかし本作が描いているのは、単なる憎悪や反社会性ではない。むしろ、人と関わることの痛みや、理解されないことへの絶望が積み重なった末に生まれる「孤独の形」を、驚くほど誠実に掘り下げている。
主人公・憂人は、人類を敵と見なすほど極端な立場に立ちながらも、その思考や行動は決して空虚ではない。彼の言葉や選択の一つひとつには、傷ついてきた時間と、何度も裏切られてきた経験の重みが感じられる。読者は共感しきれない部分を抱えながらも、彼がそこに至るまでの過程を追うことで、「そうならざるを得なかった心」の存在を否応なく理解させられる。
本作の重厚さは、安易な救済や和解を提示しない点にも表れている。世界は優しくならず、憂人自身も劇的に変わることはない。それでも物語は、彼の孤独を否定せず、矮小化せず、ただ真正面から見つめ続ける。その姿勢が、結果としてこの物語に強い説得力と深い余韻を与えている。
読み終えた後に残るのは爽快感ではない。しかし、人間の弱さや歪み、そして社会との摩擦をここまで真摯に描いた作品は稀であり、読者に「人と生きるとは何か」「拒絶の先に何があるのか」を静かに問いかけてくる。本作は、心に重みを残すがゆえに価値があり、その重さこそが、この物語の誠実さと文学性を雄弁に物語っている。