望月優大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ近所のコンビニで、日本語が良くできてとても愛想が良いベトナム人の若い男性従業員を見かけるようになった。対応はいつも笑顔でテキパキとしていて、日本人流(?)の丁寧さもある方だ。彼のレジに当たると、(片側にいる別の日本人店員と違って)対応が細やかで気が利くから、仕事帰りでボロボロに疲れている時にはすごく有り難いし、頑張る気力をもらえる。
コンビニから出る度、彼はなぜこんなところで働いてるのか?どういう経歴を持っているのか?今後何がしたいのか?などとぼんやりと考えるようになってたのだが、ちょうどその時に、著者と仕事をしている知人から本書を薦められた。
そこまで馴染みのない分野だったからか、何故か読みづらく(文章は簡潔なのだが…)、なかなか集中して読み通せなかったが、諸相や問題を構造的に提示してくれたように思える。課題図書としては読まなかったので文章内容の要約等はしなかったが、再読した際には「移民」の行政区分を整理しながら読むと良さそうだ。 -
Posted by ブクログ
日本の「移民政策」について、基本的なことから組み立てて論点を明らかにしている。
とにかくエビデンスベースを徹底しており、この一冊だけでかなりの情報量(図表50点以上らしい)がある一方、さすがにデータを見せられ続ける疲れもある。
移民政策は、日本が安価でフレキシブルな外国人の労働力をどのように取り入れるかという制度設計であり、もともとが行政の裁量が広く、外国人に不安定を強いるものである。外国人労働者の増加は非正規雇用の増加と重なるという指摘はその通りだと思う。
日本は外国人の単純労働は受け付けないとしてフロントドアを狭くしつつ、事実上、技能実習生や留学の資格者に単純労働をさせている。しかし、外国の方も経済成長をするため、中国よりもベトナムからの移民が多くなるなど、移り変わりがあり、そのスピードも早くなっている。日本もいつまでも選ばれる国ではなくなる。
外国人労働者が増加し続ける中、いつまで「移民政策ではない」と言い続けるのか。 -
Posted by ブクログ
日本が「移民を受け入れない」という体裁を保ちながらも、外国人労働者をいかに受け入れてきたかが分かる。日本の移民政策の矛盾は、2019年4月の特定技能制度導入に伴い、解消の方向に向かっているといえる。しかし、「外国人の権利を見直そう」という人道的な見地から見直したというよりは、深刻な労働力人口の減少を背景に、単純労働を正面から受け入れざるをえなかくなったように感じる。ブローカーの監視体制など、課題も多い。また、制度導入後、外国人労働者に関する議論が非活発化したようにも感じる。この本が指摘する移民政策の問題・課題をより多くの人が認識し、建設的な議論がなされるべきだ。
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Posted by ブクログ
著者が日本や第一共和国時代の韓国を批判するのは勝手だ。この本には尹紫遠は金達寿や同じ密航組の尹学準といった当時は総聯に所属して後に「季刊三千里」の同人となった人達と一緒に映った記念写真が掲載されているが、彼は昭和28年に創元社から再版されて翌年に岩波文庫から刊行された金素雲の「朝鮮詩集」の解説を書いている。こんな事は「首領」や朝鮮労働党の指導に反する事を主張すればただでは済まない北朝鮮はもちろん、当時なら韓国でも出来ない。日本に密航したからこそ差別は受けて貧しくても相対的には韓国でも北朝鮮でも体験出来ない自由を味わえたのではないのか?「「在日朝鮮人文学史」のために」は朝聯・民戦・朝鮮総聯の記述が主で民団や中立系の記述は少ないし張赫宙や立原正秋のような日本国籍を取得した人には辛辣だが、それなりには組織の束縛が書かれているので見劣りする。
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Posted by ブクログ
望月優大(1985年~)氏は、東大大学院総合文化研究科修士課程修了後、経済産業省、Google、スマートニュースなどを経て、現在(株)コモンセンス代表取締役。日本の移民文化や移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。
本書は、2019年に出版され、現在の日本における「移民」の状況について、これまでの統計上の数値、法律的な扱い・位置付けの変遷等を踏まえて、考察したものである。
著者は、本書を著した理由を次のように語っている。「日本では長らく「移民」という言葉自体がタブー視されてきた。日本は同じ言葉と文化、歴史を共有する「日本人」だけの国であることが当然とされてきた。今でもなお政府は「移民」という言葉を意図的に避け、まるで日本が一つの巨大な人材会社でもあるかのように、労働者たちを「外国人材」と呼んでいる。日本にはいまだに移民や外国人の支援や社会統合を専門とする省庁も存在しない。・・・この国にも「移民」が存在し、取り組むべき「移民問題」が存在する。日本は「遅れてきた移民国家」である。建前と現実の乖離を、そろそろ終わりにするべきではないだろうか。」
政府がどう定義するかは別としても、日本には2018年6月末時点で、永住許可取得者(永住者と特別永住者)109万人、短期滞在許可取得者(日本人及び永住者の配偶者等、就労資格保有者、留学生、技能実習生など)155万人の、計約260万人の移民が存在し、これはなんと大阪市(270万人)とほぼ同じ規模である。それでも、私が1990年代に駐在していたドイツや英国と比べると、はるかに少なく感じるのは、人口比で見た場合に、ドイツが10.1%、英国が8.6%であるのに対し、日本は2.1%とかなり低く、また、外見上明らかに外国人と分かる白人、黒人の数が少ないからに過ぎないと思われる。
しかし、今や外国人労働者なしに日本の経済活動が回っていかないことは自明であるし、その外国人労働者に関して(様々な背景・要因はあるにしても)、技能実習生の失踪、留学生による(法令で認められた)週28時間の超過労働、非正規滞在者の入管施設への長期収容等、数多くの問題が存在しているのは、本書で詳細に書かれている通りである。そして、忘れてはいけないのが、そうした外国人一人ひとり(及び家族)に、日本人と変わらない日々の生活があるということである。(彼らの生活については、室橋裕和氏が在日外国人の日常をルポルタージュした近著『日本の異国』に詳しい)
「社会が関与せず、関心を持たず、足場を与えずに放置し、その生から撤退する対象としての人間をどんどん輸入していく-こうした移民政策から、移民を同じ人間として受け入れ、それぞれに必要な支えを提供し、誰もができるだけ「安定した生」を生きられるように努める移民政策へと転換することができるか。安価でフレキシブルな労働力という幻想を捨て、一人ひとりが経験する当たり前の現実へと目を向けることができるか。」 著者が最後に提起するこの問題を、「彼らの」話ではなく、「私たちの」問題として取り組めるか、それが今問われているのだと思う。
(2020年4月了)