松本修のレビュー一覧
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ネタバレ興味本位で読んでみたが、実に学術的に素晴らしい仕事で、圧倒されることになった。各地の方言を採取しそれが京を中心に同心円状に分布している事を示すことによって、元々時代ごとの御所や宮中での高貴な女房言葉だった可能性を論じている。この論考は調査結果と数多くの文献をベースにしているので説得力がある。
また、広く流布されているマラの梵語説は、実は証拠を見出せず、それらを無批判に取り入れている言語学・民俗学の有名人にも容赦なく批判を浴びせている。このような分野をあまり真剣に論ずるつもりがなかったのだろうと!
最後は筆者の夢想による大円団が描かれるが、人によっては余計と感じる向きもあるようだ。ただ、私はこれ -
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奇書。奇跡の書。庶民の日々の暮らしに一大エンターテインメントを見出す「探偵!ナイトスクープ」を作り上げたテレビマンであり、番組始まりとはいえ「全国アホ・バカ分布考」という前人未踏の日本語研究を成し遂げた学者であり、圧倒的に女性礼賛者である独身男が、成し遂げたテレビでは放映出来ない、女性器と男性器の名称を巡る愛と論理と批判と情熱の一大論考です。本文に入る前の女陰全国分布図とその裏の男根全国分布図で鮮やかに結論としての方言の「周縁分布」が提示されています。その上で最初から過剰に溢れまくる著者の個人的体験と著者の人生そのもののネットワークと徹底的な語彙サンプリングと怒りの文献検証・学説比較に圧倒され
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女性器と男性器の呼び名の所以由来を日本霊異記をはじめとした膨大な資料の中から読み解いていく。
とりわけ「まら」が仏教語源かどうかについての考察はスリリングで、古典にあたって間違いを修していく楽しみを味わえた。こういう発見や論理的展開があるから批評や研究というのは楽しいんだよなぁ、ととみに思う。
しかし、サービス精神だかなんだか知らんけど、最後のグランドフィナーレは要らんですわね。
作者本人も不安になったのか「いいと云ってくれる人もいた」みたいな言い訳を試みてはいるが、そんなに不安やったら最初から載せなんだらええんのに、と思う。
だがまぁ、こればっかりはニンの問題なのでしようがない -
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10年くらい前に読んだアホバカ分布考の続編で性器や陰部をどう呼ぶかについての本。元々は京都の御所の中から始まったなるべくかわいく上品な言葉だった(元々幼児の恥丘がまんじゅうのように見えるとこからそう呼ばれ、丁寧語の「お」がつきかわいく呼ぶための接尾辞の「こ」をつけ「おまんこ」、赤ん坊から「ボボ」などね)ところそれが普及するにつれて卑猥な意味へと転じていった、など大変面白い内容。慈しみを込めて呼び始めたであろう言葉がタブーにまでなり、現代では女性は自身の体の一部を呼ぶ言葉がないような状態にまでなってるのがとても興味深かった。もうネットがここまで普及してしまうと言葉の周圏分布も見られなくなっていく
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『アホ・バカ』、『マン・チン』は、タイトルの言葉のみを徹底的に調べ上げる本だったが、こちらの本は、もう色んな言葉をとにかく調べて調べて、ついにはいにしえの日本語とも言える琉球語を求めて、波照間島までやってくる。
『源氏物語』、そして周圏分布考の始祖『蝸牛考』まで取り上げ、名詞・動詞だけでなくさまざまな品詞の言葉も調査する。
著者はかなりロマンチックな想像力を常に働かせていく。その想像力が語源への推進力となることもあれば、本の物語性を進める源ともなる。
3冊通して読み、難しい史料などはどんどん読み飛ばしたが、こんなに楽しく読めたのは、きっとこのロマンチックな想像力をふんだんに文章に散りばめ -
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ネタバレこれも『全国アホ・バカ分布考』のように、ある視聴者からのハガキが元だった。ただし、女陰・男根語は放送禁止用語であるため、テレビでは取り上げることができなかった。
「アホ・バカ」と違って、話はスピーディーに進んで行く。ただし、実際にかけた時間は23年!
今回は、もう調査方法は確立されているし、大学の先生方の知り合いも増えた、一次史料もすぐに取り寄せる。すっかり在野の学者としての風格が見える。
もちろんこれらの語も周圏分布を示した。ただ、アホ・バカと違って、一種タブーのような扱いを受けた語であるため、また違った苦労がつきまとう。数ある辞書も詳細に事欠き、ついには広辞苑を始めとする辞書の間違い -
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<目次>
序章 「好き」を表す日本語は「好き」だけか?
第1章 御所から広まる高貴な言葉
第2章 紫式部さん、あなたは『源氏物語』の中で、「戻る」を使いましたか?
第3章 琉球のことばが浮かび上がらせる日本語の原像
第4章 豊かな方言の時代を生きてきた
第5章 『蝸牛考』の原点へ
結びの章 時空を超えて
<内容>
『全国アホ・バカ分布考』の元テレビマンが、日本語の謎を解いていく本。それも学術論文的ではないので、読みやすくわかりやすい。さらに50枚以上の地方方言地図が挿入され、その分布が一目なので、説得力が増している。著者は現在大学教授。もともと日本語に興味があったようで、「探偵 -
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ネタバレ<目次>
第1章 東京での「おまん」の衝撃
第2章 「虎屋」の饅頭へのあこがれ
第3章 「チャンベ」「オメコ」らの愛すべき素性
第4章 女性の心に生きる「オソソ」
第5章 琉球に旅した『古事記』の言葉
第6章 「チンポ」にたどり着くまで
第7章 「マラ」と南方熊楠
第8章 女陰語の将来
第9章 今までの「おまんこ」研究
第10章 「まん」を生きる人生
結びの章 花咲く京の春の大団円
<内容>
『全国アホ・バカ分布考』で有名になったTVプロデューサー(「探偵!ナイトスクープ」が有名)。最初に載っている女陰・男根全国分布図が秀逸。そして本文を読むと、この女陰・男根語をきちん