山口マオのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2年1組の黒板には不満があります。
こどもたちは黒板を見ないし、先生は書かずにしゃべってばかりで黒板を使いません。
黒板は王様の食卓になりたいのです。
がまんして黒板をやっているのです。
ある日一念発起して王様の食卓になろうと教室を抜け出します…
これは黒板の転職の話。
夢を追いかけて苦難に立ち向かい、えいやっと新しい世界に飛び込みますが、そこは厳しい競争の世界。
ライバルたちがたくさんいます。
他を目指して再び旅立つものの、更なる苦難の連続。
満身創痍、助けてもらったところでやっと居場所をみつけます。
最初に夢見た世界ではないですが、自分を必要としてくれる場所、納得できる場所を見つ -
Posted by ブクログ
ネタバレいいなぁ。
川上さんのこの世界観はクセになりそう。
ふわふわして優しくて。
川上さんの夢日記が元になった物語。
川上さんの紡ぐ「うそばなし」は現実離れしているのにとても自然体で、読んでいてすんなり受け止められるから不思議。
「解説」の南伸坊さん曰く「奇妙で、トボけていて、ヘンなんだけれども、とてもホントウらしいところが魅力」
まるで夢の中にいるかのような安らかさ。
思わず微笑んでしまう位、おおらかに気持ちのいい読書を楽しめた。
おどおどして転ぶばかりじゃ人生渡っていけない、とわたしは心に期した。「好き好き大好き」と叫ぶなり、わたしは恋人にローキックを浴びせかけた。ーーこのフレーズが好きすぎ -
Posted by ブクログ
ネタバレあぁもう大好きだ!
現実とファンタジーが入り交じった不思議な世界の日常を綴った物語。
この世界にもお金という概念はあるし、家族や親族もいるし会社勤めの友達もいる。人間と他の生物との境界も明確のようだ。
でも自分の子供たちをきちんとたたんで押入れにしまったり、甥の引っ越し先の大家が鳥だったり、自身が冬眠したりする。夫がいても悪びれず片思いしていたり、新しい恋人ができてうかれたりしている。
わたしたちの暮らす現実の常識が、ここでは通用したりしなかったり…という、ユーモアとリアリティの狭間の世界。
そんなアンバランスな日常が至って普通の来事として淡々と綴られていて、読むのが本当に楽しかった!