井上久男のレビュー一覧
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自動車業界に詳しい上司から借りた一冊。思ったより面白い。ほんとに長年筆者が取材してきたのがわかる。
一言でいうと「今の日産では働きたくない」。
創業から今まで、内部抗争を繰り返してきた会社。ゴーンはその潮流の一例でしかない。
社内政治ばっか考えてほんとに大事なものづくりや技術をないがしろにして会社として大丈夫なのか。
ゴーンさんはハゲタカ的リストラクションは得意でも、サスティナブルな会社づくりには向いていない。有事と平時に向いているトップの気質は違うということの最たる例。
最後の章、「これからの自動車産業」が業界知識として面白かった。
中国やアメリカ、列強が国を賭けた戦略で攻めつつある自動 -
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【栄華と綻びと】「ゴーン・マジック」とも呼ばれた経営手腕で不振に喘いだ日産を立ち直らせた一方,2018・19年には金融商品取引法違反容疑等で逮捕されたカルロス・ゴーン。栄光と転落の両極端を味わった経営者は,日産とどのように関わり,同社に何を残していったのか……。著者は、1999年に日産とルノーの提携という特ダネをスクープした井上久男。
日産とゴーン氏に関するドキュメントとしても楽しめる作品ではありますが,何よりも本書の魅力は,日産という一つの企業を通して組織運営論までが提示されていること。ゴーン氏の逮捕についても日産の歴史を踏まえた上で解説がなされており,表層的にとどまらない理解に役立つと感 -
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日本の経営者に辛口の評価で珍しい産業記者 今日の体たらくをみると全く正しい
日本の記者クラブは「建設的批判」を許容せず、ガバナンスの一翼を担えなかった
著者の近著「自動車会社が消える日」も大傑作 トヨタに厳しい
1.パナソニックの中村邦夫会長へは糞味噌 「天皇」と呼ばれ、ゴマすり部下ばかり
社内の根回しに奔走、根回しに疲弊、すべてを予定調和の会社に変質 リスクオフ
トップの判断に意見を挟めない企業風土になった 無謬性らしさに無限の努力
抜本的な改革を怠ってきたのに、株価や世間評価を異様に気にする変な会社
松下幸之助の経営理念まで破壊 自信喪失 誇りとやる気を失わせた
(PHP研究所 -
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180116自動車会社が消える日 井上久男 ☆☆☆
傑作本 トヨトミの野望の著者ではないかと推測する
自動車業界は大きく変わりつつある 日本のメーカーは対応に後手
1.パラダイムシフト クルマのスマホ化とロボット化
ハードから制御ソフト ネットワークでアップデイト
完全自動運転 人工知能と融合
2.ビジョン・長期戦略に合わせてエンジニアを育成
横並びの絶対評価を厳しい相対評価へ
3.全体を構想する力とリスクを取る力が凄い
4.名人芸に依存する日本軍の怠慢 「ものつくり敗戦」
兵器をシステムとして運用する思想と能力を欠いていた
5.豊田章男社長の課題 豊田の凋落か・・・(Ⅳ章)野望と -
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ネタバレ本書を読んだ感想は、知らなかったことがたくさん載っている参考になる本であるということだ。
地元に住んでいるので、知っていて当然かもしれないことを、仕事であまり関係がないと知らないままでいる。
新聞記者ならではの視点で集められた情報がある。
「トヨタ以上にトヨタらしく」という節では、デンソーのことを紹介している。
たしかにそうだ、ものづくりへの集中力はデンソーの方が上かもしれない。
デンソーが電気自動車を作ったこと、5ゲン主義を打ち立てたことなどの紹介はない。
何が本質的なことかは立場が異なるが、割と表面的なことが多くはないだろうか。
豊田家にしても、1代1起業の紹介がなく、大 -
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2017年出版。少し前だが、100年に一度の変革期を迎える日本の自動車業界に対する考察。
車両のEV化に伴なって車両は今後コモディティ化し、ソフトウェアを順次書き換えていくスマホのようなものになる。そうなると車両の性能自体にスペックは求められず、高い品質と性能を創り上げてきた自動車メーカーは消えていく可能性がある。
また、中国メーカー等の開発スピードに負けないためには、開発手法を見直しMBDや生産工程共通化の活用が求められる。
開発期間の短縮としてMBDや工程共通化を取り入れることは、革新的な開発手法の改善と思う。開発だけでなく評価においても、シミュレーションを活用して評価期間を短縮している -
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2018年11月、日産自動車のトップ、カルロス・ゴーン逮捕。それはゴーンの部下である日産幹部たちのクーデターだった。そして、ゴーン氏による日産の私物化が明るみになる。
当時の日産とゴーン氏の不祥事ニュースに驚いた記憶がある。が、著者の取材によれば、すでにゴーン氏は経営に興味を持たず、私腹を肥やすことに専念していたようであり、それは日産内部で周知の事実だったようだ。
本書は、ゴーン氏の日産をV字回復させた手腕の評価よりも、彼の裏の顔を暴くことに注力。さらに、ゴーン失脚を計画した中心人物、西川廣人氏への評価はゴーン氏よりひどい。まるで彼がゴーン氏と同じように失脚することを予言しているかのよう。 -
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ここ数年で自動車業界において再編・連携があり報道もなされていました。報道内容を表面的に見る限りでは、三菱自動車は日産に吸収合併、トヨタとマツダの連携も規模の違いからトヨタによる事実上の合併であろうと私はなんとなく理解していましたが、この本を読むことで、それは大きな誤りであることに気づかされました。
この本を執筆された井上氏は、自動車業界について長い間調査を続けており、新聞情報では見られないような内容、その考察が書かれています。
欧州車の偽装問題があったかと思えば、欧州や中国ではハイブリッド車を飛び越して、一気に電気自動車の世界へ移行するかもしれません。今まで何度か電気自動車ブームがあって萎