佐倉おりこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ四ツ橋家のお屋敷の間取りが細かく説明され始めたときは、これから殺人事件が起きて館モノの本格ミステリが始まるのかと思った。
というのは冗談としても、いやはや、なかなかに重い話ですねぇほんとうに……
麗さんの事情が明らかになった上で、三風たちにしてきた所業を許せるのか、という点は当然に気になってしまうけれど、それよりも個人的には、麗の父(=三風たちの祖父)であるところの元社長があまりにも形骸的なイヤ〜な〈父〉、父権制の暴力性を象徴するかのような人物として(娘・麗の口から)語られていたことに引っかかる。
そういう諸悪の根源のような〈父〉を設定してしまうと、このシリーズの物語全体のトーンがなにかリア -
Posted by ブクログ
ネタバレ「四つ子」設定を生かした姉の尾行プロットが面白かった。途中から三手に分かれてそれぞれが一花と顔を間違えられて色々ある。
本巻の主題は一花の「ほんとうのわたし」を問うことだと考えると、その過程で四つ子であること(交換可能性)を利用しまくっているのはある意味皮肉でおもしろい。
最後の一花の本音の吐露には号泣した。
またその前の、大切な人の入院でナイーブになり、これから自分たち子どもだけで生きていけるだろうかと一花が悩むくだりは、あまりに切実で胸が痛んだ。これが「自立」を求めるネオリベラリズム社会の末路か……と。
もはや子どもを抑圧したり敵対したりする「大人」すらほとんどいなくなり、13歳の子ども -
Posted by ブクログ
ネタバレ児童文学特有の、倫理観が激ヤバな大人や制度を背景として、それぞれ別々に育てられた四つ子が出会い、子どもだけで共同生活をはじめる話。
これまで家族を持てなかった子どもの「家族」や「姉妹」への憧れや執着が、この一巻では描かれる。
平たくいえば直球の姉妹百合モノ。本巻の時点では一花と二鳥のペア、三風と四月のペアが推されていた。
同い年なんだから姉とか妹とかにそんなにこだわらなくてもいいのに……とも思うけれど、それも、これまで与えられていなかった家族関係を取り戻そうと切実にやっているのだろう。
女児向けならではの、あまりにも理想化された美少年キャラとのヘテロ恋愛の萌芽要素は、ヘテロ成人男性からす -
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Posted by ブクログ
娘(九)が自分で選んで読み始めたので追いかけて読んでみるシリーズ。
天涯孤独の身として別々に育ってきた女の子たちが、中学生になる春、実は自分たちは四つ子だったと知る。知るだけでなく、四人だけでの共同生活を送ることになる。色々あってとにかくそうなるところから物語は始まる。
四人はお互いにとって、今まで欲しくても叶わないと思っていた「家族」なのだが、これまで生きてきた環境も違うし知らないこともたくさんある。「普通の家族」がどんなものかもわからない。第一巻である本作では、特に四女の四月(シヅキ)ちゃんがなかなか心を開いてくれないということが最大の課題となる。
もちろん最後はハッピーエンド、口