高橋安幸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書は,「名コーチ」とはどういう人を示すのか,どういう条件を備えている人なのかを,明らかにしようとするドキュメントである。
ファンはしばしば,エラーやミスをする選手に対して,「コーチがもっとしっかり技術を指導しろよ」と批判するが,技術指導だけがコーチではない。それに加えて,従来の昭和時代型コーチは,自身の経験だけを素材とした命令基調のティーチングであったが,それで結局,多くの若手選手が成長してきたわけではない。なかには,そうした経験自体が,のちに反面教師になることもあり得た。著者は,監督でもなく,選手でもなく,コーチという存在に焦点を当て,2021年時点で球団に所属していたコーチングスタッ -
Posted by ブクログ
根本陸夫という男は唯一無二な存在だったのだと感じた。本書を読む限り全てが完璧で計画的だったわけではないが、不思議と人の心を掴んで離さない人間的魅力があったのだろう。それは独自の人を、組織を、野球をみる「目」であったり、損得を超えた範疇での「人情」であったりするのだろう。正直、超人的な逸話も数多くあり真似できないことも少なくないが、どこか人間らしさ(例えば監督としての采配はチグハグ等)が根本の魅力をさらに上げているように思う。根本のことを「オヤジ」と慕う愛弟子たちのように、私自身も根本の人生から学び、それを自分のフィールドで活かしていきたいと思った。
-
Posted by ブクログ
帯の惹句には…
選手として三流、監督として二流、でもGMとしては『天下無双』。誰も真似できない『人脈』と『洞察力』を武器に低迷していたカープ、ライオンズ、ホークスを変革し、黄金時代を築いた男の実像に迫るノンフィクション…とある。
本書は根本陸夫に薫陶を、指導を、影響を受けた
元選手をはじめ20名の『証言』を基に、『球界の寝技師』異名を取った根本陸夫全仕事をつまびらかにしていく。
【証言者一覧】
工藤公康・大久保博元・関根潤三・土井正博・衣笠祥雄・坂井保之・石毛宏典・森繁和・行沢久隆・小島弘務・毒島章一・石山建一・小枝守・浜田昭八・安倍昌彦・大田卓司・下柳剛・瀬戸山隆三・森脇浩司・王貞治
-
Posted by ブクログ
なかなかに面白い本だった。
一文、スカウティングの肝みたいな話の中で、根本さんがいかに早く動くのか。いかに多くの人に会っておくのかが肝要というようなことを書いてあるところがあって、勿論自分は根本さんの足元にも及ばないが、それでもなんとかやれていたことが出来ていないのが、ここ数年の自分の課題になってしまってる営業の不調の原因だよなやっぱりと今更ながら気付かされたように思った。
根本さんには関係ないが、栗山さんがあのWBCの監督をやったときに、いかにしてあのメンバーを集めたのかについて書かれた本があればそれをぜひ読みたいと思った。もしかしたら栗山ノート2かな…
そのときに根本さんは集めたメンバー見 -
Posted by ブクログ
箱根駅伝を観ていて駒大の大八木監督が「答えを伝えてはいけない、私は提示するのは選択肢。 そこから選手達が自分の意思で決めていく」と語られた事を思い出しました。
「人を育てる」とはどういうことなのか? 改めて考える機会を与えてくれる本です。
スポーツに限らず「即戦力」は企業側は歓迎しますが、それは言わば「替えの効く部品」に過ぎません。
人材を「部品」ではなく、その人の幸せがその先に見えるように育てる(見守る)ことが「コーチの役目」だと感じました。
どんな業界、世界でも「現役で活躍」できるのは実はほんの僅かな年月、人生において「そこから、どれだけの人を育てられるか?」が真価かもしれませんね。
-
Posted by ブクログ
プロ野球における現代のコーチのあり方についての本です。
プロ野球における育成については、この本に出てくる現役のコーチ陣のやり方に違和感はないですが、一般の仕事における育成では、この本の内容とは異なる部分が多々ある気がします。
一般の仕事における育成においては、いわゆるCOACHよりも、TEACHの比重が高い気がします。
ちなみに、読んでいてとくに気になったのは、指導者のライセンスの話。
日本において、サッカーは、指導者になるためにはライセンスがありますが、野球にはありません。
ライセンス制度があるのがいいのかどうかはわかりませんが、日本のプロ野球とプロサッカーにおけるコーチの貢献度の違いを比 -
Posted by ブクログ
数多くの野球関係者の証言を集めた貴重な本。
元プロ選手だけではなく、アマチュア球界OBや取材者の視点まで含めている。
インターネットメディアの連載をまとめたものなので、文庫本で一気に読むと重複する記述も出てきてしまうが、その点はやむを得ない。
とにかく、証言の数の多さと多くの人が共通して語る根本陸夫さんの姿があることに驚かされた。
今の球界に根本さんほど自由に動ける人はなかなかいないだろうが、根本さんが遺したノウハウや人情は大切にしてほしいと改めて思った。
チームの発展や選手の発掘には長い時間がかかり、長期的な視点が重要であることがよくわかる。