中島隆博のレビュー一覧

  • 全体主義の克服
    マルクス・ガブリエルと「世界哲学史全8巻」の編纂者の一人中島さんの対話にもとづく本。

    マルクス・ガブリエルは、なんだか面白そうなんだけど、どこが新しいのかはよくわからなかった。ポストモダーンの構築主義を批判する「あたらしい実在論」というのだが、「世界は存在しない」と主張していて、超越的な「1」を否...続きを読む
  • 世界哲学史8 ──現代 グローバル時代の知
    今年1月からスタートした「世界哲学史」、8巻でついに完結!!!!!

    近代に入ってからは、概ね、1冊で1世紀というスピードで進んできていて、この最終巻も20世紀〜現在という概ね100年間の話し。

    この世界にとっても、哲学にとっても激動の100年をどう1冊にまとめるのだろう?と思っていたんだけど、な...続きを読む
  • 世界哲学史7 ──近代II 自由と歴史的発展
    全8巻の世界哲学史シリーズも第7巻となり、大詰めを迎えつつある。本書は「近代Ⅱ 自由と歴史的発展」という副題で、まず伊藤邦武先生のいつもながら見事な要約(「第1章理性と自由」)に続き、ドイツ観念論哲学の発展過程(「第2章 ドイツの国家意識」)、ショーペンハウアー、ニーチェによる西洋哲学の転回を扱った...続きを読む
  • 世界哲学史6 ──近代I 啓蒙と人間感情論
    『世界哲学史6』は近代Ⅰで啓蒙と人間感情論について概説されている。理性と感情という人間精神の2つの柱の間の揺れ動きを世界哲学史というパースペクティブにおいて捉え直すというのが、本巻の目的である。スコットランド啓蒙の話、社会契約論のロジック、啓蒙と革命、啓蒙と宗教、植民地独立思想、そしてカントの批判哲...続きを読む
  • 世界哲学史5 ──中世III バロックの哲学
    世界哲学史も西洋の歴史区分でいう中世から近世へと時代が進んできた。近世をアーリーモダンというならば、すでに近代の賭場口か。

    自分自身の本巻への興味関心は何と言っても「第3章 西洋中世の経済と倫理」に集中するのだが、「第2章 西洋近世の神秘主義」ではあらためて「知への愛」に気がつかされたし、「第5章...続きを読む
  • 世界哲学史1 ──古代I 知恵から愛知へ
    哲学から、西洋哲学、東洋哲学といった枠を取っ払い、あらためて世界的、普遍的な視座から構成し直そうという壮大な試み。同様の動きは歴史学にもあるが、グローバル化の進展する世界にあって、当然の流れかもしれない。新書ではあるが、内容はなかなかに高度で読みこなすのは相当にしんどい。個人的には西アジアの章が刺激...続きを読む
  • 世界哲学史2 ──古代II 世界哲学の成立と展開
    「古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開」の副題をもつ第2巻はローマ哲学、キリスト教の成立、大乗仏教の成立、古典中国の成立、仏教と儒教の論争、ゾロアスター教とマニ教、プラトン主義の伝統、東方教父の伝統、ラテン教父とアウグスティヌスの各章が並ぶのをみてわかるように「宗教と哲学」、そしてその世界的な広がりを捉えよ...続きを読む
  • 世界哲学史2 ──古代II 世界哲学の成立と展開
    西欧中心の「哲学史」を世界的な「哲学史」に再構成しようというチャレンジの2巻目。

    1巻目では、ギリシア、インド、中国などの文明において、ほぼ時を同じくして立ち上がってきた「哲学」が並列的に(といってもやっぱギリシャ〜ヘレニズムの記述が多いが)紹介された。

    この同時性に驚くところはありつつ、最後の...続きを読む
  • 世界哲学史1 ──古代I 知恵から愛知へ
    哲学史というと、普通、ギリシア哲学から始まり、西欧の「大陸系」と英米の「分析哲学」という西洋哲学の流れの説明というのが一般的で、日本、アジア、イスラム圏というのがでてきても、それは「思想」、というか、西洋哲学との比較で論じられてきたのだと思う。

    それを「世界哲学」として、時代ごとに論じていこうとい...続きを読む
  • 悪の哲学 ──中国哲学の想像力
    「悪」をどのようにとらえ扱おうとしているのかという観点から、中国の思想史を読み直している。時系列に沿って記述されているわけではないので、ある程度中国思想史についての知識が必要であると感じた。著者は、最終章に置いた荀子の思想に共感しているように読める。実際読んでみて荀子の思想に興味を持った。
  • ことばを紡ぐための哲学:東大駒場・現代思想講義
    30年ほど前に同様に東大の教授らがかかわってベストセラーになった「知の技法」。あの時は脳みその中が一気に掻き回されたような感覚になり興奮が止まなかった。

    その再現を期待して読んだ。そこまでの興奮はなかったが、知を巡る現在地を確認できたのはよかった。

    構成は以下の通り。
    1 日常と言う場で
    食べる...続きを読む
  • 人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来
    生成AIの進歩はそれほど脅威に思う必要はないということか。ここまで騒がれている状況は即ち、テック企業のマーケティングに踊らされているということと同義であるとの認識はとても面白かった。
  • 人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来
    頭が良すぎる人たちの議論が良くわからなかったというのが正直なところ。彼らにとってAIは十分に知的とは言えないのだろう。そういう意味ではAIが人間を超えるというのは今のところ心配ないようだ。

    とはいえ、スマートフォンをツールとして生み出した人間がスマートフォンの奴隷になっている現状からすると一部の頭...続きを読む
  • 人類の終着点 戦争、AI、ヒューマニティの未来
    戦争やAI、資本主義と民主主義など現在のさまざまな論点についての識者の発言をまとめた一冊。
    大国の覇権ではなく、各国・地域の利害に基づく多様なつながりが増えている現代、米中問題とか対ロシアという近視眼的な見方では追いつかないというのはよく分かる。
    個人的に面白く読んだのはAIの話。人間を超えるか、と...続きを読む
  • 中国哲学史 諸子百家から朱子学、現代の新儒家まで
    中国哲学の歴史について。現代に近づくにつれて理解が難しかった。中国哲学の起源が孔子から始まるのか老子から始まるのかで論争があることを初めて知って、勉強になった。近世あたりでマテオ・リッチと中国の仏僧たちが殺生戒をめぐって論争になるのだが、そこのあたりが現代のヴィーガン周りの論争を彷彿とさせるところが...続きを読む
  • 全体主義の克服
    デジタル化の進展と全体主義化という本書の問題意識はとても納得できる。

    現代の全体主義は、独裁者が上から民主主義を破壊するのではない。デジタルユーザーが、自ら進んで服従することで、独裁政権を生み出すのだ。恐ろしい!!
  • 世界哲学史8 ──現代 グローバル時代の知
    【分析哲学の興亡】一ノ瀬正樹
    エルンスト・マッハの要素一元論@世紀末ウィーン
    思惟経済
    →ウィーン学団の「論理実証主義」
    →分析哲学
    カルナップの原始的、AJエアの倫理
    ヒュームの法則であるからべきへ→自然主義的誤謬
    べき=論理的規範
    クワイン「経験主義の2つのドグマ」→オースティンの言語行為論

    ...続きを読む
  • 中国哲学史 諸子百家から朱子学、現代の新儒家まで
    哲学者といえば欧米を思うけれど、孟子、老子、孔子…歴史の長い中国のこれが哲学だったと思い知る。
    例をもとに様々な展開が深すぎず丁度良い。
  • 全体主義の克服
    レベルの高い対話が続いて仕事帰りの電車の中では全く頭に入ってこず、、、
    レヴィナスやハイデガーについての知識もないと今一つ面白さが伝わらないです。この時点でハードル高い。。
    ただ現在の全体主義としてSNSを上げている点に関してはなるほどな、というかそういう考え方もあるのかと。
  • 世界哲学史 別巻
    昨年の前半は、「世界哲学史」が月1冊出るので、読まないと次がまたくるという強迫観念があった。というわけで、せっせと読んでいたのだが、第8巻がでたら、そのプレッシャーはなくなり、昨年末にでた別巻をようやく3月に読んだ。

    前半は、編者による対談での振り返りと編者による追加的な論考。そして、後半は、全8...続きを読む