中島隆博のレビュー一覧
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「こんな時だからこそ先人の知恵に学ぼう!」というわけではないけれどもちくま新書から「初の」世界哲学史シリーズが刊行中ということで、シリーズの第1巻。第1巻は「古代1 知恵から愛知へ」。
世界哲学という概念は、大学生時代にカール・ヤスパースの『歴史の起源と目標』やヘーゲルの『歴史哲学』などを読んでいる身にとっては意外とハードルが低かったが、本シリーズの目標は当然これらの西洋哲学者の「限界」を超えていこうとするところにある。
第1巻は「哲学の誕生をめぐって」「古代西アジアにおける世界と魂」「旧約聖書とユダヤ教における世界と魂」「中国の諸子百家における世界と魂」「古代インドにおける世界と魂」とま -
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第1巻では、似ているところもあるものの、国ごとというか、地域ごとに別々に生まれてきた哲学が、第2巻ではすこし影響しあうところでてくる。第3巻にくると、文化圏間での相互影響関係がさらに高まってくる。
とは言っても、まだまだ哲学は、文化圏ごとにそれぞれの発展の道を歩んでいる感じかな?
この巻では、キリスト教関係の話が面白かったな。とくに、東方教会(ギリシャ正教)の発展が新鮮。なんだろう、ここでは身体性とか、神秘主義的なスピリチュアリティとのつながりが重視されている。この傾向は、カトリック的な世界では、しばしば出てくるものの、異端として弾圧された流れだな〜。
自分のなかに神性があって、それを身 -
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いい本ではあります。それぞれの分野で文句のつけようのない優秀な研究者、解説者を集め普遍的な悩みに古典を援用し、大人が読めば感心するような回答を出しています。ただ、本書が目的としている、10代の読者に、古典の世界へと興味を持たせたい、読ませたいという点で見るとちょっと「大人視点」すぎるのではないかと思いました。
どういうことかと言いますと、確かにそれぞれの思想の研究者が親との関係やなぜ生きるのかといったよくある悩みに、思想研究の観点からきれいに光を当てているのですが、きれいすぎて立派にすぎるのです。
若い読者が哲学というものに興味を持つうえで、立派すぎて別の世界のように見える人たちの言葉がど -
4.1 (8)
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これからの世界について、今起きている戦争、AIの発展、資本主義、民主主義の今後など重要なテーマについて、複数の知識人たちの語りで展望が語られる。
ロシアのウクライナ侵攻を西欧ほどそのほかの国々は嫌っていないとか、戦後ロシアとドイツの接近こそアメリカが嫌っているとか斬新な切り口もあり、人口減少する先進国なので第二次世界大戦ほどの拡大戦争にはならないという見方もあれば、それはわからないという意見もある。
AIによるデータの大企業に寡占される様やソノ、IT企業組織はヒエラルキー型のトップダウンという保守的組織であるという指摘も興味深い。
ただAIはよくできて効率的なWikipediaのようなも -
購入済み
古代の諸子百家や朱子学などなら日本人にも馴染みがあると思うが(近代の胡適もか?)、本書では1949以降の新儒家の思想にも触れられている点が興味深い。一般書でこの部分に触れている書籍ってあまりないのではないかな。
本書は章分けが非常に多い(21章!)ですが、それだけ中国哲学の「流れ」を重視しているということかと思います。長大な中国史ですから、やはりそれくらいは必要になるのだろうと。それゆえに例えば孔子のような中国思想史上の大人物に割かれるページも必ずしも多くはありません(重要でないという意味ではありません)。
重要度を増す現代の中国を捉える意味でもぜひ手にとってみてください -
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17
老荘の再検討
20
チャン「思弁的・観想的な問題系」
「言語と論証的な理性の相対性に関する、荘子の哲学的考察」をし、のちに残るものを「自然」に提示する
42
胡蝶の夢
寝ているときに魂が交わり、目覚めると形がはたらく
神が形から遊離し神と神が接する=夢や旅
形と神は合離するもの
46
夢
74
胡適 荘子とヘーゲル弁証法
傍観者にすぎない?
79
純粋経験
81
スピノザの自然神論
86
魯迅
94
イベザル・ロビネ
ビルテール
99
動物
105
人のレジーム→天のレジーム→遊
107
グレアム「荘子斉物論」
111
チャド・ハンセン
分析的、言語の適合性
「語ることは何かを語る -
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中世Ⅰ
古代で3つの枢軸であった3つの文化がついにユーラシア大陸の両端に達するのが中世である
冒頭に世界哲学史として、中世の特徴を俯瞰する
①民族の大規模な移動と侵入が世界を動かした時代(旅人の時代といっている)
②古典を形成するのではなく、古典を継承し、それに対する註解を蓄積する時代。
③思想の伝達と交換をする時代
④神と人間の対立⇒神の人間からの超越
ギリシア文化⇒ローマへ⇒(アカデミア→修道院、学校へ)西欧へ
⇒東方(ビサンチン)へ:コンスタンチノープル、東欧へ
⇒イスラム世界へ(シリア語→アラビア語)⇒再びヨーロッパへ
インド文化(仏教)⇒中国⇒日本へ -
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ネタバレ科学は倫理・道徳を推し進めない、哲学を実践する意味はそこにあるという。
なんでも広告やら資本主義に組み込まれる社会。その中で、民主主義は自壊していくという。
なんでもSNSやインターネットに公開することで、ある・ないの二元的に自身の行動を捉えられる(公開していないものはないものとされる。)し、Googleに対して個人データや検索履歴などあらゆる行動を与えている。ただそれらの行動自体がGoogleやSNS会社の養分になっている。そして、それらの会社が我々の行動をサジェスト機能等で規定しうる。我々自身が無自覚に巨大ソフトウェア会社に従うことになる。ただ、それらのソフトウェア会社は民主的ではない。 -
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食べる•味わう、話す•聞く、触れる、知る、分ける、待つ•耐える、うたう、書く•隠れる……。
概念の再マッピングとして、「概念を名詞から解放し、動詞的なプロセスにあるものとして解釈し直す」本書の試み、面白い。
冒頭、「食べる•味わう」は、日本や東アジアの歴史において、どのように論じられてきたかを見ていき、最後に、こうした行為への倫理性が問われなくなった現代へと戻ってくる。
後に「待つ•耐える」では、資本主義の合理化、時間を稼ぐという価値観から、抜け出そうとしたスローフード、スローライフさえ、資本主義の「新たな」価値に組み込まれていってしまうという流れにも繋がって面白い。
分からないものに -
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哲学=西欧哲学という常識を塗り替え、アジアやアフリカなどを含めた世界哲学の体系化を試みるという壮大な理念を掲げたシリーズである。
一巻ではメソポタミア文明からヘレニズム時代を扱う。メソポタミア文明を哲学史に組み入れること自体がすでに世界哲学への第一歩であり、その内容も大変興味深かった。
一点気になったのが、9章と10章の内容の矛盾である。9章ではヘレニズム時代にギリシャ人とインド人が出会ったエピソードを世界哲学の導入にはならないと切り捨てているが、10章ではそのエピソードを丸々取り扱っている。章ごとに作者が異なることに起因した矛盾であろう。
世界哲学を体系化しようという試みの中でこのような齟齬