溝口彰子のレビュー一覧
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ネタバレ
「BLをどうして自分が読みたいと思うのか」「BLって実際にいるゲイの方々を傷つけたりしていないんだろうか?」「日本で放映されてるBLをドラマにした映像作品はなかなかに繊細な立ち位置にあるんじゃない?」と思ったので、昔々に買っていまだに読んでいなかった本書を手に取った。積読って家の床を壊しそうだし買って放ってしまう罪悪感はあるのだけど、自分が読みたいと思ったものって高確率で数年後の自分を救うことがあるので、やっぱり積読はやめられない。
今回この本を手に取ろうと思った理由は、先日大ブレイクした「40までにしたい10のこと」を見ていた私が上記の疑問(昔から感じていた疑問ではあるが、今回改めて強く -
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ネタバレ私はシスジェンダー女性で異性愛者である。
商業もののBL作品も好きだし、二次創作におけるBL作品も好きだ。
だから自分の好きなものがどう生まれ、どう変化して今日の私の手元に届いたのかが知りたかった。
正直、世の中に蔓延る家父長制、ミソジニー、ホモフォビア、女性蔑視に疲れ果てている。
それらがBLの世界にはあまり出てこない。
あまり、というだけでまったく出てこないわけではないが、世に出る前に編集などの作者と作品の間に他者が介入する商業BL作品は、先述した疲れ果てる要素から距離を置いていたり、実際に出てきたとしても現実よりもよっぽど優しい。
BLじゃない、登場人物が異性愛者前提の作品だとまだそれ -
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アインシュタインの有名な「常識とは18歳までに身につけた偏見のことをいう」という言葉を、何度も読書中に思い出しました。
ある時代では「普通」だったものが、数世紀経ってあるいは数十年だって「普通」ではなくなることがあると知っているはずなのに、いつのまにか、昔からあるものはすべてこれからもあるはずだと思っている感覚が怖いなと思いました。
家父長制度やミソジニー、ホモフォビアに男尊女卑。
そういうものに真っ向から勝負を挑むと、「だから女は」「女のくせに」なんてことになりがちです。
そういうことではないんだけどなあ、とニュースだったりを見て思っていたところ、ふと、BLの中には、私がこうだったらいいなと -
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長年BLを学術研究してきた著者による本。
当初は女性たちが安全な場所で性愛の物語を楽しむだけだったのが、ゲイの目線を意識し始めたことで、女性も含めてあらゆるマイノリティに優しい物語へと進化している!という話です(雑に要約すれば)。感動的。
自分たちのつくるものが誰かを傷つけているかもしれないと自覚したときに、開き直るのではなく新しい方向性を模索していくという姿勢が素晴らしいし、面白いです。
いまある痛みを叫ぶよりも、とにかく自分自身が楽しむことによって、ちょっとずつ自分や周りの価値観を変えていくという方法は、どんな問題にも有効だと思う。
BLの何が女性にとって楽しいのか。自覚していたこ -
購入済み
強いヒロインがいい
モデルのヒロインとギリシャ人実業家のヒーロー
パリで活躍のモデルのヒロインはシッカリした女性。
ヒーローは結婚はギリシャ人と思っている、HQの典型的ギリシャ人。
ある日妊娠に気が付いたヒロインがヒーローに打ち明けるが、ヒーローは結婚が決まったと、別れる。この物語の最大の酷い山場。ヒーローのヒロインに対する扱いは本当に酷かった。
ヒロインを人を使ってまで追い払うヒーロー。
ヒロインは子供を産むため、人生をすべてリセットしてしまう。消えたヒロイン。
ザマーミロです。もう少しヒーローを懲らしめて欲しかった。 -
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百合について、時に文学史的に、時にクィア理論的に、或いはもっと娯楽的に、と様々な観点から語られる。本文も数多のポップカルチャーを絡めて書かれており、百合入門(?)のためのメディアガイドもついていたため、気楽に読めた。百合とされるアニメについて理論的に分析した文も多いので、考察厨も楽しめると思う。
最も印象に残ったのは「百合は"出来事"」という考え方。あくまでも一瞬の出来事であるから、それ一つでセクシュアリティを決定するのは性急である、と。且つこの論は、百合に限らずBLやヘテロであっても適用されるものだという。これはLGBT界隈の常套句「セクシュアリティよりパーソナリティ」に -
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私自身は、小説や漫画を読んでも掛け算は起きないが、BLも読む位のレベル。
ずーっと疑問に思っていた「なぜ男同士じゃないといけないのか」ということの一つの答えがここにあるように思う。
性的ファンタジーとしてのBL。しかし、実際のゲイに対して女性は気遣いを持つという。女性らの夢物語でゲイの性を弄んでいるん じゃないかと。
それも確かになーって思いつつ、じゃあなんで男性用のポルノとかAVはあそこまで女性を卑下した上に気遣いもないんだろうか。ア レも相当気持ち悪いものなのかもしれないなーっと気づいたのが印象深い。
女性にとってのBLは(性的な意味で)まさしく想像の上でのファンタジーだけど、 -
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''なぜ自分はBLが好きなのか。''
考察好きなBL愛好家たちはたぶん誰でも自分に対し問いかけるであろう、この命題。
私も折に触れ考えるので、その解を求めて手に取った。
本書の著者はレズビアンでBL愛好家。
どうやらレズビアンのBL愛好家は珍しくないらしい。BLはセクシュアリティの問題と不可分だと私も思うのだけど、やはり自分と切り離された異性同士の関係構築を愛好家たちは見たいと感じるのは共通のようだ。
著者はBLの歴史をひもときながら様々な考察をされてるんだけど、「究極のカップル神話」って概念が個人的にしっくりきた。
BL愛好家って、色んなタイプが -
Posted by ブクログ
いくつかのやおい論は読んだことがあります。しかし、どれも釈然としなかった。そこに論じられていることは、確かにただしいかもしれないが、私の実感からは遠く、もう一歩踏み込んで欲しいと思うことばかりであった。その点この本は、やおい論に一石を投じ、新たな理論を切り開いている感がある。特にジェンダー規範、家父長制と結びつけた議論ら、常々わたしが感じていることを明快にしてくれた。
BL進化論というだけあって、昨今の進化したBLの価値概念に非常に肯定的な議論が多い。特に、著者自身が同性愛者であるからか、同性愛の取り扱いそのものに関するセンシティブさが見て取れる。
しかし、わたしはこの本を読みながら、本当は、