デイヴィッドベニオフのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ歴史が苦手な私が第一次世界大戦から第二次世界大戦の背景をちょっぴり齧った状態で読むのにちょうど良い具合の本でした。
ストーリー自体に複雑な点はないからです。司令を受けて、道行く先で色んな体験をする。ラストもきっちり収まります。
そのシンプルな展開の中に順番に陳列されているかのようなエピソードたちが、戦争の残忍さ、愚かさ、理不尽さを伝えています。
それが全編とおして生活感や肌感覚を用いた表現で描かれている点が重要だったと思います。
戦争中に軍の司令を受けたところから始まる話とはいえ、主人公が戦闘経験がほぼゼロの思春期の少年なので、人種やイデオロギーの話も出てくるけどほとんど下ネタとか生活の -
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Posted by ブクログ
明日には飢餓で死ぬか爆撃で死ぬか。ドイツ軍に包囲されたレニングラードで言い渡された処刑を免れるたったひとつの命令は、1ダースの卵を調達すること。
かくして二人の青年が卵調達隊として飢えに喘ぐ戦時のロシアを彷徨うことになる。
当然行き合う出来事は悲惨なものばかりなのに、妙に軽快な雰囲気は卵の捜索というちぐはぐな設定のせいか、下ネタにまみれた凸凹コンビの会話のせいか。
戦争という特別な状況でも、何も特別でない人達が必死に、そして普通に生きている。そんな事を思わせる二人だから、戦争と卵と読者という奇妙なピースを繋いで読み手の深い所にまで届けてくれる。
クソが出ただけで笑ったのは某金塊漫画以来だけ -
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Posted by ブクログ
ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している
作家のデイヴィッドは、祖父レフの戦時中の体験を取材していた。ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた十七歳のレフは、軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された。
饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索を始めることになるが、飢餓のさなか、一体どこに卵が?
逆境に抗って逞しく生きる若者たちの友情と冒険を描く、傑作長篇
(あらすじより)
かなり重厚な読み応え
気合入れて読むタイプの本です!
帯を書いた人はこの本を読んだか疑わしい。
胸キュン要素より戦争の悲惨さ要素のほうが多いぞ。
共産党政権下のソ連で略奪で逮捕と脱走 -
購入済み
面白かったです。
そんなに下ネタばかり話さなくてもいいかなと途中でうんざりしましたが。
金髪でハンサム、おしゃべりな方を絶対違うとは思いながら、「ダンケルク」のジャック・ロウデンに脳内変換してずっと読んでいました。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「心配するな、友よ。きみを死なせはしない」
まだ十七だった。愚かだった。だから彼を信じた。
ナチス包囲下のレニングラード。ドイツ兵の死体からナイフを盗んで捕まったレフは、脱走兵コーリャとともに大佐の娘のために卵の調達を命じられる。
美形で饒舌なコーリャと、神経質なレフのコンビが面白いものの、あまりにも下ネタが多すぎるのと、17歳主人公の一人称が“わし”なのが気になる。パルチザンと行動を共にしてドイツ兵に捕まる展開はわくわくしたし、卵も無事手に入れたけど、コーリャとの別れがあっさりしていて残念。もう会えないと思っていたヴィカと再会し、冒頭に出てくるパワフルな祖母だとわかるラストはとても良い。 -
Posted by ブクログ
祖父の戦時中の体験を取材し回想として語られる。
第二次世界大戦の戦時下。
ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた17歳の頃の祖父。
ことの発端はある日、撃墜されたドイツ爆撃機から落下傘で脱出したドイツ兵が落ちてくるのを発見する。
しかし、ドイツ兵は既に死んでいた。
そのドイツ兵が身に付けているものを漁っているとソ連軍に捕まる。
秘密警察の大佐に呼び出されると、翌週に控えた娘の結婚式で作るウェディングケーキを作るために卵が足りないという。
飢餓が続く状況下で卵を探す旅が始まると。
戦時中の狂った地獄の描写が実に惨たらしいが、陰鬱さよりも淡々とした印象が強い。
戦争の愚かさが行間か -