デイヴィッドベニオフのレビュー一覧

  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「ナイフの使い手だった祖父は18歳になるまでにドイツ兵を2人殺している」
    一体どんな経緯があってそんなことを?
    祖父が語る昔話は、第二次世界大戦下のロシア・レニングラードを舞台にした、卵をめぐる特別な1週間だった――。

    味方軍の大佐の娘の結婚式のために卵を1ダース探すのかふんふんと、あらすじから気軽に読めるコメディ小説かなと思って購入しました。
    そんわけあるか、戦争中の話やぞ。
    その上、舞台はレニングラード。ドイツ軍に囲まれ味方からの供給の途絶えたこの都市で、人々を苦しめるのは戦火だけではありません。冬の過酷な寒さと飢餓です。
    人肉、地雷、生きるために性的暴行を受け入れる人々……徐々に明らか

    0
    2025年11月08日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    【あらすじ】
    独ソ戦下のレニングラード。ドイツ軍に完全包囲された中で人々は飢餓に苦しんでいた。
    ユダヤ人で皮肉屋のレフと長身の美青年だがお調子者のコーリャ。デコボココンビの2人は大佐の命令で1ダースの卵を1週間以内に探す羽目になってしまった。
    荒廃したレニングラードを舞台に2人の冒険が始まる。

    【感想】
    冒頭から最後の最後までずっと面白い傑作小説。
    主人公レフのひねくれ者で小心者な所が等身大でとても良い。一方、コーリャの完璧超人でありながら好色でお調子者な所はアメリカンヒーロー的だ。
    2人の掛け合いの面白さで盛り上げつつも、冒険の中身はえげつない。
    人肉食夫婦に地雷犬、慰み者にされている少女

    0
    2025年03月18日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    悲惨な戦争の描写もあるが比較的読みやすい。
    過酷な状況の中で生きていく当時の人々の様子が思い浮かぶような作品でした。

    0
    2023年06月22日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    読んでよかった。タイトルはダサいがピッタリとハマったタイトルでもある。詩的な部分も感じるがとても読みやすい

    0
    2023年01月16日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    語り手のレフが17歳の時、独ソ戦の最中に親友と出会い、卵を調達する特別任務を大佐から与えられ、その先で彼女に出会った時の話。

    独ソ戦という悲惨な戦争の描写の中にも、ユーモアや生命力(下ネタ)をふんだんにちりばめ、人間の愚かさと強さという真逆の要素がストーリのコントラストになっている。

    0
    2022年05月18日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    レニングラード、スターリングラード、「ソビエト連邦」を作った「革命家と独裁者」の名前を付けた二つの町と、革命、その後の戦争。

    レニングラードはロシア帝国時代ピョートル大帝(一世)により建設された帝都で文学や音楽の豊かな文化都市。
    大帝にちなんでサンクトペテルブルグと呼ばれていたが、革命時に首都のモスクワ移転とともに革命家レーニンの名がつけられた。
    第2次世界大戦では2年半にわたるドイツ軍による徹底した包囲網と砲撃でロシア市民を含めた死者は100万人ともいわれるが、その大半が“餓死”という。
    「市を消滅せよ」というヒトラーの命令と、市民を「人間の盾」として監視し弾圧を強める赤軍とのはざまで、な

    0
    2022年02月14日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    映像化にピッタリの非常に面白いお話だった。
    コメディとアクションとシリアスとヒューマンドラマの配分が抜群で、どれもしびれるほど良い。
    残酷描写と下ネタに抵抗のない人なら100%お勧め。

    0
    2021年04月20日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。
    痛快でいながら、戦争の悲惨さと意味のなさをよく伝えている。
    卵をめぐる冒険の仲間がどうでも良いようなことでなくなったときは
    悲しくて本当に残念だった。
    冒険の道中で出会った人々、
    その後も主人公のように生き抜いてほしいと願わずにいられない
    (ほど一人ひとりをユーモアと愛情をこめてよく表現していると思う)。

    0
    2020年05月07日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    レニングラード包囲戦という凄惨な戦争が舞台の小説。
    ユーモアに溢れるコーリャと、彼に振り回されるレフとの掛け合いに笑いつつも、戦乱による悲惨な情景描写に圧倒された。

    何よりも、作者のバランス感覚が素晴らしい。
    ユーモアの明るさと戦争の暗さを絶妙な塩梅で配分し、展開に飽きさせない構成。
    最後、読み終えてからプロローグを読み返しに戻った人が何人居るだろう?
    自分もその一人だ。

    0
    2020年02月07日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下品で笑えて切なくて辛くて怖くて爽やかな話だった。

    人肉食、地雷犬、足を切断される少女など、あまりにもひどい場面にばかり出くわすものの、コーリャの明るさとおちゃらけた物言いにだいぶ救われていると思う。
    下ネタが思ったよりすごい多かった。

    娘の結婚式で使いたいというそんな理由のために命懸けで卵を調達させにいくのもそもそもやばい。
    戦争の理不尽さや怖さがいろんなところから滲み出てた。

    コーリャのことを私も読んでるうちにどんどん気に入っていたので最期は唐突で悲しかった。
    けど、コーリャらしいといえばとても彼らしかった。

    名狙撃主のヴィカもいいキャラしてたし、終わり方は爽やかで読んでいてこちら

    0
    2020年01月19日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大傑作である.
    コソ泥として捕まったレニングラードの少年が,お調子者の脱走兵とペアを組まされ,卵を1ダース手に入れてくることを命令されるのだが,折しも900日にもわたった「レニングラード包囲戦」のさなかである.飢えに苦しむレニングラード市からドイツ軍の包囲網を突破し,どこかから期限までに卵を入手してこないと処刑されてしまうのである.
    青春小説で,冒険小説で,かつ,戦争小説であり,この世の地獄とも言える光景が何度も展開されるのだが,この二人のペアが対照的なキャラクターで,軽妙なやり取りが話にスパイスを利かせているおかげで,重苦しい雰囲気にはならない.
    人食い夫婦との対決,4人の囚われの少女との出

    0
    2019年09月09日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    良いとは聞きながら何となく読んでなかったのよね。たまたま古本で見かけたのでこれも何かの縁かと思って。
    岩波新書の「独ソ戦」読んだ直後に読むと何というか同じ時代、同じ場所をテーマにしてるのに視点の縮み方がスゴい。
    まぁ「900日包囲されたが、陥落することなく解放された」って一文の裏にはいろんなことがあるんやろうけど、これまた濃いわ。そしてオッさんは恋物語にすなおにキュンキュンするのである。いや、このラブストーリーはええよ。

    0
    2019年08月16日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    まるで凸凹コンビの卵をめぐる戦争の話。辛いこと苦しいこと、残酷な描写は当然あるけれど、友情や恋、そして全体を包むユーモアが決して悲壮なものにしていない。戦争の愚かさをやさしく訴え読後感はさわやかでもある。多くの人に読んで欲しい。

    0
    2019年07月08日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    米国人気TVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の共同プロデューサーで脚本家・小説家でもあるデイヴィッド・ベニオフが書いたベストセラー小説。

    ベニオフが自分の祖父から聞いた戦時中の体験談という体裁になっているがフィクションだそうである。

    ドイツの包囲攻撃を受けているレニングラードに住む17才の少年レフ・ベニオフ(デイヴィッド・ベニオフの祖父)は、仲間と共に街に落ちたドイツ軍パイロットの死体から備品をとっているところを軍に見つかり捕まってしまう。
    彼は収監された刑務所で背の高い金髪碧眼の脱走赤軍兵士コーリャと出会う。
    軍の大佐が娘の結婚式の料理に使うからという理由で、レフと
    コーリャは免罪(死

    0
    2018年04月14日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    傑作!この小説はいい。

    舞台は近代戦最長の900日に及ぶ包囲戦下のレニングラード。飢えと戦争被害に苦しむレニングラードの描写、その戦下日々を必死に生きる主人公が、ひょんなことからイケメンで下品で饒舌な脱走兵とコンビを組み、赤軍士官の命令で玉子1ダースを探すことになる。

    人間ってほんま愚かで、その骨頂が戦争だと思う。生産性も幸せも食べ物すらない悲惨な状態を、人間は凝りもせず何度も何度も繰り返す。この本でも戦争の悲惨さ愚かさは繰り返し描写される。ただでさえ気候条件が厳しい冬のレニングラードで、なんでこんなバカな行為を…。

    主人公レフと相棒コーリャのタマゴを探す冒険も実に愚かである。支配者の欲

    0
    2018年01月24日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    本の雑誌オススメの中から。なるほど、卵をめぐる戦争ってそういうことでしたか。内容的には結構シリアスな戦争描写がいっぱい出てくるけど、タイトルからもうかがえるように、のどかな(に感じられる、か)言動も頻出する。ただ、茶化して誤魔化している訳じゃなく、物語を通じて訴えかけてくるのはあくまで、愚かな戦争に対する辛辣な諷刺。そのあたりのバランス感覚の甲斐あって、非常にリーダビリティの高い、小説として面白いものに仕上がっております。今年の一発目、滑り出しは良好です。

    0
    2018年01月04日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

     俗っぽいけど敢えて言いたい。
     
     「やべえ、ちょー、おもしれえ!」

     出来ることなら、文字のサイズを倍にしたいくらい面白かった。

     以下、ブクレポ。
     
     主人公のレフはある日、落下傘で空から落ちてきたドイツ兵の死体を発見し、死体からナイフを盗んだことから、窃盗の罪で投獄される。そして時を同じくして、戦線離脱の脱走罪で投獄されてきた赤軍兵士コーリャに出会う。

     人の命など屁とも思わないスターリン体制下のソ連では、二人は死刑が確実。しかし大佐から、ある条件をクリアできれば自由にしてやる、との思いがけない言葉をかけられた。
     その条件とは… 「卵を一ダース手に入れる」こと。
     
     ナ

    0
    2017年08月15日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ナチスドイツ軍のレニングラード包囲戦中にソ連で脱走兵として捕まり、国民全体が飢餓の最中、軍の大佐の娘の結婚式用の卵1ダースの調達を命じられる少年二人の話。

    下ネタばかり言う憎めない美少年コーリャとチェスは得意で自信がない少年レフのロードノベルです。

    卵を探し歩く中での戦争の地獄が強烈です。なかなかキツいです。

    でも人物の魅力でぐいぐい読まされました。二人が喋ってばかりいて、辛い状況なのに不思議と前向きになれます。

    0
    2025年11月08日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    煉瓦本に近い、頁数、2段組み。
    読み応えありすぎ。
    だが、本人はもとより、当初から相棒としてメインキャストになっているコーリャのキャラの濃さ、下ネタ満載の語りが引っ張る。
    全米30万部を超える大ベストセラーだそうな・・日本人としてはそう面白いとは思えなかったのが正直なところ。やっぱり、国民性の違いだろうね。

    とはいえ、舞台となっている時代背景が独ソ攻防で歴史に名を遺すレニングラードである。
    映画で見た事しか知識がない私に取り、底流に流れるユダヤ系ロシア人の考え、生活、周囲を取り巻く「他」民族と摩擦などは面白い。

    巻末の解説を読まなくあ分からないのが「当作品は全くのフィクション」という事。

    0
    2024年06月28日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    どういうわけか、タイトルだけ見て遺伝子操作に絡むSFだと勝手に思い込んでいて、数ページ読んでビックリ!全く違うお話みたい。

    ただお話し自体はストレートで分かりやすく、類型的ではあるが楽しめます。

    もっともらしく書けば戦争の悲惨さやら、人間の業の深さやらとシリアスなことも書けると思うが、レフとコーリャとヴィカの個性満載3人組の青春ロードノベルとして正に一気読みの楽しさでした。

    0
    2021年06月25日