池寒魚のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
作者は年齢不詳、謎だらけ。デビュー作品になる。
主人公、『誠之進』は次男坊で剣術と絵が好きな男。
江戸生まれ江戸育ちで、父親は磐城平藩江戸屋敷側用人、今は嫡男にかわり、隠居。
品川という江戸と地方の交差点で、情報収集を
父親から依頼され、食えない絵師として、
旅籠の用心棒などして『誠さん』と呼ばれ
町人の生活に慣れ親しんでいる。
ひょんなことから当代一の絵師「河鍋暁斎(この時は狂の字)」
に出会い、弟子となった。
数々の事件が起こるのだが、幕末の混乱が全て影響して
教科書では長年スッキリしなかった当時の状況が
敗者の側からも描かれる。
歴史通り、巻を重ねるご -
Posted by ブクログ
江戸末期から明治に至る部分の歴史。
いつもなんとなく、スッキリしなかった。
江戸のことを知ると、確かに世界の情報は入ってはこなかったが平和であった。飢饉に関しても、地域によっては大変だったが全土を考えると、通常の範囲以内。
文化は成熟し独自の美意識、価値観を作った。
が、突如江戸沖に外国船がやってきて、人口の大きな江戸は混乱。そして、薩摩や長州のような中央から遠い外様に密輸貿易を簡単にさせ、薩摩に至っては沖縄から奄美地方までを幕府には内緒に領土化して圧政をしいていたのだ。
薩摩は域内の領民にも武士にも同じようにして、大きな金で武器を購入。反乱の機会を与えてしまった。
しれば知るほど、クー -
Posted by ブクログ
本名も年齢さえ非公開の新人作家。
時は浦賀にペリーが船をつけ、たった4隻の船で、幕府はガタガタに。
磐城平藩の側用人を嫡男に譲った父親は隠居し、次男である誠之進は、本を読むより剣を修行する方を選んだ。
兄が父の後をつぎ、次男の自分はというと、この時代の情報を得るために、品川に町人に姿を変え、問題があった時のための用心棒的な生業をしながら世の中を探っている。
清之進は画才もあったため、絵の修行も続けている。
事件を探る延長で知り合った河鍋暁斎と縁ができる。
新人とは思えないストーリー展開と、ググッとくる当時の細かなネタはより臨場感を与えられ物語に引き込まれる。 -
Posted by ブクログ
この年齢出身地ともに非公開、2018年月に戦列デビューの謎の作家「池寒魚」
名前に惹かれて初めて読んだ。
歴史は時間が経つにつれて謎を解かれる。
戦争が入ると、勝ち組の言い分と負け組の言い分は全く扱われ方が違うのが世の常。
長く続いた安定し平和な徳川の世が、外国からの船の圧力とともに、隣国の大国「清」がアヘンにより呆気なく敗れたことが大きく、徳川を揺るがす。
常に、貧困に喘いでいた郷士などの下士たちなどの、上昇志向も使われ維新となった。
しかし、それは大金を必要とする改革のため、日本文化の現金化隣、あらゆる外国受けする美術品、芸術品が流失。
そもそも『芸術』という観念さえなかったのだから