郷原信郎のレビュー一覧
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著者:江上剛氏は、第一勧業銀行入行、広報部次長等を務め現在は退行し作家として活躍中。
郷原信郎氏は、検事等を経て、弁護士として法律事務所を開設し、関西大学特任教授もと務めている。
銀行は、口座の開設、振込・送金、クレジットカードの支払決済など、我々の社会生活に不可欠なインフラ昨日を離す「血管」であるのと同時に、健全な血液が確保され、血液が身体の隅々にまでいきわたるよう「循環器」の役割を果たす、というのが銀行の役目であった。
しかし、バブル以降の銀行はその役割を十分に果たしてきたのであろうか。上記の2人により以下の5章にわたりテーマ通りの銀行の核心について対談形式でその問題に切り込んでいる。 -
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組織論と思って読み始めたら、がっつり法律関係の用語が飛び交うという事態になってしまう。そもそも郷原氏が組織論?と不思議だったのだが、その時点で気づくべきだった。
法律用語が容赦なく飛び交うので、法学の心得がないと難しい。私は理工系出身なので読み進めるのを何度も諦めかけた。(しかし、郷原氏は理工系の学位も持つ異色の法律家である)
しかし、内容は非常に緻密で切り口も鋭い。厚労省の村木氏の冤罪事件から検察という組織に対する体質の問題に切り込み、そこから一般の組織へと視野を広げ、コンプライアンスという普遍的な問題として捉えることにより、組織の不祥事が起こるプロセスや、発生した場合の対応方法を丁寧に -
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ネタバレ本書のテーマはコンプライアンスである。90年代の末か国家公務員倫理法制定により、官僚の実社会との隔絶が広がり、法令を遵守するだけでは、社会的要請に応えられなくなって来ているという問題意識が存在する。
例えば、談合について、高度経済成長期には社会的要請としての富の再配分としてのシステムが存在しており、雇用の確保、中小企業を通した地域振興、天下りの受け皿、技術革新などの多面的役割があった。刑法の談合規定も適用されず、談合は公然化していた。しかし、低成長時代、弊害が多く出始めたので会社法上の規定と公正取独禁法の見直しにより、談合に課徴金を課し、談合コストを高める事で談合=犯罪のイメージは定着した。 -
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食の安全の問題がまたとりあげられるようになったのでこの本を手に取ってみた。
世間では食中毒事件と実際に食の安全を脅かす出来事が起きた。その被害が起きてしまったという点ではこの本に書かれている食の問題とは違うかもしれない。
ただこの本にも書かれている重要なこととは本当にそれが消費者にとって利益になっているのか?ということである。隠蔽=悪、という図式がなりたっていては真実は見えてこない。公にしなかったのはそれが企業にとって利益が生じ、消費者にとって不利益が生じるからだったのだろうか。安全に関する情報をすべて提示していればそれは消費者にとって大きな誤解を生じさせ得ない。
とかくそれが本当に消費者の利 -
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[ 内容 ]
理学部出身、鉱山会社を辞めて独学で司法試験に合格した「変わり種」が、さしたる動機も思い入れもなく、無理やり引きずり込まれた検察の世界。
そこで目にしたのは、刑事司法の「正義」を独占してきた検察が社会・経済の構造変革から大きく立ち後れている姿だった。
談合事件やゼネコン汚職などで「組織の論理」への違和感に悩んだ末に辿り着いた自民党長崎県連事件。
中小地検捜査の常識を超える「長崎の奇跡」だった。
こうした経験から、政治資金問題、被害者・遺族との関係、裁判員制度、検察審査会議決による起訴強制などで今大きく揺れ動く「検察の正義」を問い直す。異色の検察OBによる渾身の書。
[ 目次 ]
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なんかあると審査、検査を強化しよう、となる。また間接業務が増える。いまに間接業務だけになってしまうのではないだろうか?著者の言われるとおり「日本の建築物の安全性を支えてきた」のは「会社の信用と技術者の倫理」(p.80)なんですよね。文系の間接業務じゃない。
まあそうはいっても信用だの倫理というのは文明だから、なかなか一朝一夕には対策が取れない。そこで、本書も背後にある社会の要請ってものをよく考えろ、というメッセージになっている。「常識が大事だよ、常識が…」というわけだ。著者は「本来、人間が持っているはずのセンシティビティ」(p.103)という表現をされている。まあ要するに、よく考えろよ、 -
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発売当初に購入して中途半端なままだったので、読み返してみたんですが、改めて再読すると新たな発見というものがあります。視点が変わったり、気付かなかったところが浮き彫りになったり。読書自体が自分の成長の目安になったりするんでしょうね。
(+)
・『会社法と労働法の関係』P135
会社は株主のものという考え方が一般的に認知されだした現在、労働者(つまり社員)はその利益獲得に必要な労働用益であり、その労働契約の相手方であるという考え方。会社はだれのものかという前提にたった「会社法」と雇用や労働者保護を目的とする「労働法」は相互に密接に関連している
・『法の背後に何があるのか?ӏ