郷原信郎のレビュー一覧
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内容的にはタイトルにあるように”歪んだ法”の実態がよく分かる好書である。近年の冤罪や政治家にまつわるざる法、今後重大問題化するに違いない自動運転自動車に適応できる法律論的議論もカバーされている。
一方で、著者は理科系大学卒業生だったが、就職後独学で司法試験を目指し法曹に入った”法のど素人”を自称している。その観点から、日本における法教育の欠如を憂いているが、そこから当然進むべき裁判員制度や裁判員教育、さらには陪審員制度への展開が皆無で大変残念だった。一説によると、法曹界に入った人は裁判員制度を軽んずる傾向があるがらしいが、法教育を提唱することが本書の目的なのであれば、そこが全くカバーされていな -
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法令遵守が徹底された今は、問題の中身より、偽装、隠ぺい、改ざん、捏造は一切弁解ができない。
背景や原因は問われず、法令に違反したかどうかだけが問題とされる=本当に正しいか、思考が停止している。
食の偽装、隠ぺい
不二家の問題は、賞味期限と消費期限の問題
ローソンの焼き鯖寿司回収、賞味期限切れの原料の使用を公表して自主回収した
伊藤ハムの自主回収、工場内の地下水の水質が原因
ステンレス鋼管データ捏造問題=全数検査をすることになっていたが、していなかった。抜き取り検査でいいことにしたが、もともと検査していないのでその対応ができない。そもそも検査は不要だった。
経済司法の貧困=司法が開かれてい -
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1. 検察の起訴裁量について
法令と実態が乖離しているような状態で「形式的にすぎる」官僚を批判しているが、検察については法令違反については淡々と職務を遂行すべきだと感じた。世間から特装検察が評価されていた執筆時とは異なり、袴田事件を筆頭に検察への不信も高まっている現在では、「柔軟に」事件に対応したところで「恣意的に運用したのではないか」との疑いをかけられるのは目に見えているし、そのような疑いに市民の目を入れたはずの検察審査会についても良い評判を聞かない。
法令におかしいところがあるのであれば、司法に持っていって判断を待てば良いのであるし、その判断を元に立法が法令を変えるのが筋であるから、 -
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新書を読むのは久しぶり!
2000年代に話題になった食の偽装/耐震強度偽装などのトピックをテーマに、報道によって拡張された言葉と実際の数字の間にあるギャップを検証することで、どれだけ人が情報を鵜呑みにしてしまうかということを前半で説いている。後半はメディアの不完全性についてが中心だが、大衆を「育てる」メディアの在り方まで説けたらなおよかった。時代は変化しているのだから過去に作られた「法令」の名のもとに、検討を放棄するのでなく、異なる立場の人々がそれぞれ検討を重ね納得のいく社会規範を形成していくことが必要と結論付けている。
最後の結論は同意。
でも、やっぱり食品も建築偽装も、一個曖昧にするとじ -
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著者:江上剛氏は、第一勧業銀行入行、広報部次長等を務め現在は退行し作家として活躍中。
郷原信郎氏は、検事等を経て、弁護士として法律事務所を開設し、関西大学特任教授もと務めている。
銀行は、口座の開設、振込・送金、クレジットカードの支払決済など、我々の社会生活に不可欠なインフラ昨日を離す「血管」であるのと同時に、健全な血液が確保され、血液が身体の隅々にまでいきわたるよう「循環器」の役割を果たす、というのが銀行の役目であった。
しかし、バブル以降の銀行はその役割を十分に果たしてきたのであろうか。上記の2人により以下の5章にわたりテーマ通りの銀行の核心について対談形式でその問題に切り込んでいる。 -
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組織論と思って読み始めたら、がっつり法律関係の用語が飛び交うという事態になってしまう。そもそも郷原氏が組織論?と不思議だったのだが、その時点で気づくべきだった。
法律用語が容赦なく飛び交うので、法学の心得がないと難しい。私は理工系出身なので読み進めるのを何度も諦めかけた。(しかし、郷原氏は理工系の学位も持つ異色の法律家である)
しかし、内容は非常に緻密で切り口も鋭い。厚労省の村木氏の冤罪事件から検察という組織に対する体質の問題に切り込み、そこから一般の組織へと視野を広げ、コンプライアンスという普遍的な問題として捉えることにより、組織の不祥事が起こるプロセスや、発生した場合の対応方法を丁寧に