郷原信郎のレビュー一覧
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[ 内容 ]
日本の経済と社会を覆う閉塞感の正体。
相次ぐ食品企業の「不祥事」、メディアスクラム、年金記録「改ざん」問題、裁判員制度…コンプライアンス問題の第一人者が、あらゆる分野の問題に斬り込み再生への処方箋を示す。
[ 目次 ]
第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止
第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止
第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止
第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止
第5章 厚生年金記録の「改ざん」問題をめぐる思考停止
第6章 思考停止するマスメディア
第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか
終章 思考停止から脱却して真の法治社会を
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Posted by ブクログ
「遵守」に蝕まれる日本、という副題の通り、形式的な法令遵守に囚われすぎて、本質を見誤っているのではないか、という内容。扱われている話題としては、不二家、伊藤ハムの偽装事件、耐震強度偽装事件、村上ファンド、ライブドア事件、裁判員制度、年金記録改ざん問題がある。日本の法律制度の根本思想として、「普通の人はバカか幼稚だ」ということがあるが、これはこれでうまく働いていたのだという。世の中の変化に伴い、法が実態と合わなくなることに対してどう対処すべきか。法を柔軟に変更しようというのが米国のスタイルで、日本は慣行や話し合いという形で問題解決を行なってきた。刑事事件のような特殊な事件、あるいは民事裁判に持ち
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内容的にはタイトルにあるように”歪んだ法”の実態がよく分かる好書である。近年の冤罪や政治家にまつわるざる法、今後重大問題化するに違いない自動運転自動車に適応できる法律論的議論もカバーされている。
一方で、著者は理科系大学卒業生だったが、就職後独学で司法試験を目指し法曹に入った”法のど素人”を自称している。その観点から、日本における法教育の欠如を憂いているが、そこから当然進むべき裁判員制度や裁判員教育、さらには陪審員制度への展開が皆無で大変残念だった。一説によると、法曹界に入った人は裁判員制度を軽んずる傾向があるがらしいが、法教育を提唱することが本書の目的なのであれば、そこが全くカバーされていな -
Posted by ブクログ
法令遵守が徹底された今は、問題の中身より、偽装、隠ぺい、改ざん、捏造は一切弁解ができない。
背景や原因は問われず、法令に違反したかどうかだけが問題とされる=本当に正しいか、思考が停止している。
食の偽装、隠ぺい
不二家の問題は、賞味期限と消費期限の問題
ローソンの焼き鯖寿司回収、賞味期限切れの原料の使用を公表して自主回収した
伊藤ハムの自主回収、工場内の地下水の水質が原因
ステンレス鋼管データ捏造問題=全数検査をすることになっていたが、していなかった。抜き取り検査でいいことにしたが、もともと検査していないのでその対応ができない。そもそも検査は不要だった。
経済司法の貧困=司法が開かれてい -
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1. 検察の起訴裁量について
法令と実態が乖離しているような状態で「形式的にすぎる」官僚を批判しているが、検察については法令違反については淡々と職務を遂行すべきだと感じた。世間から特装検察が評価されていた執筆時とは異なり、袴田事件を筆頭に検察への不信も高まっている現在では、「柔軟に」事件に対応したところで「恣意的に運用したのではないか」との疑いをかけられるのは目に見えているし、そのような疑いに市民の目を入れたはずの検察審査会についても良い評判を聞かない。
法令におかしいところがあるのであれば、司法に持っていって判断を待てば良いのであるし、その判断を元に立法が法令を変えるのが筋であるから、 -
Posted by ブクログ
新書を読むのは久しぶり!
2000年代に話題になった食の偽装/耐震強度偽装などのトピックをテーマに、報道によって拡張された言葉と実際の数字の間にあるギャップを検証することで、どれだけ人が情報を鵜呑みにしてしまうかということを前半で説いている。後半はメディアの不完全性についてが中心だが、大衆を「育てる」メディアの在り方まで説けたらなおよかった。時代は変化しているのだから過去に作られた「法令」の名のもとに、検討を放棄するのでなく、異なる立場の人々がそれぞれ検討を重ね納得のいく社会規範を形成していくことが必要と結論付けている。
最後の結論は同意。
でも、やっぱり食品も建築偽装も、一個曖昧にするとじ