郷原信郎のレビュー一覧
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「はじめに」を読んで、法令遵守の何がいけないのかと思ったが、読み進めていくうちに著者の考えが理解できた。マスゴミの曲解による煽情的な報道、それに迎合する検察、裁判員制度の欠陥、法科大学院の問題など、著者の言うとおりだ。
しかし残念ながら事態は何一つ良い方向に変わっていない。昨今の食品偽装問題でもシャケ弁をトラウト弁に言い換えるとか、大の大人がくだらない議論をしているのを見ると心底がっかりする。司法当局の認識の通り、90%以上の日本人は馬鹿か幼稚かのいずれかだ。これは間違いない。低俗なTVの報道を真実と思い込み、納豆が体にいいと聞けば納豆が棚から消え、バナナを食べれば痩せると聞けばスーパーでバ -
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企業不祥事の本と思って手に取ったが、不祥事ではなく危機対応の本だった。副題ではなくメインタイトルを読めばわかる話なんだけれども。
雪印の社長が「私は寝てないんだ」と叫んで「炎上」を引き起こしてから十数年。筆者の言う通り、企業を取り巻く環境は変わった。ほんのちょっとした誤解が増幅した時、平時には味方だったはずの当局やマスコミはオフェンス側に回り、誰も企業を守ってくれない。経営者はその状況を理解しているか、と問いかけるのが本書。いくつかの第三者委員会を仕切ってきた筆者ならではの視点で、パロマ、みずほ銀行、阪急阪神ホテルズと企業の「巨大不祥事」を解きほぐしていく。
パロマは、自社製品で死亡事故 -
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ネタバレ日々新聞を追うだけでも特捜検察の劣化ぶりが目に付くようになってきたのは、いつ頃からか。本書は数多の特捜事件の中で特に防衛省汚職事件、中でも影のフィクサーとされ逮捕された人物を巡って「被疑者の友人」である著者が個人的に知りえた情報を軸に、近年の検察の組織、捜査手法に批判を加えていく。そのため批判の対象は拡がりを欠くが、捜査のプロを生まない人材育成やマスコミへのリークを通じて形成した世論を追い風にする劇場型捜査、あらかじめ作られたシナリオ通りに自白を強要する捜査手法など、「崩壊」の状況はどの事件にも当てはまるように思える。
これらの劣化を後押しするのはそれを伝えるメディアの劣化だ。著者自身もあとが -
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ネタバレ陸山会事件での田代検事の虚偽調書作成について不問に付すという検察の決定に関して詳しく分析している本
詳しい人同士の対談で進むので,一連の事件の経緯について予備知識がない人が読んだらイミフなのではあるまいか? という気もしたが,それなりに知っていて読んだので,「ふむふむ。なるほど」が多かった。
特に有益だったのは,村木局長無罪事件に関するフロッピー改ざん事件で犯人隠避罪に問われている大坪氏との対談
大坪氏が有罪なら,田代氏の件のほうも,上司から最高検幹部に至るまでみんな犯人隠避である,と。
確かにそうだ!
組織防衛を最優先してしまう対応というのは世の中にいくらでもあるだろうが,それを検察がや -
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ネタバレ小川敏夫・元法務大臣、石川知裕・衆議院議員、大坪弘道・元大阪地検特捜部長、八木啓代 (健全な法治国家のために声をあげる市民の会の代表) と ヤメ検弁護士である郷原さんとの対談集。
特に、記憶に残ったのは、2009年の歴史的な「政権交代」前後に起きた検察による事実上の「クーデター」に関する記載である。
日本でそういった視点を持っている方はあまりいないと思いますが、民主党が政権をとったときに、検察が小沢代表を起訴した。本来であれば、政権党の党首は、総理大臣になるのが普通だが、検察による起訴により小沢は、総理になれなかった。これは、日本という国で検察が起こしたクーデター、民主主義が踏みにじられた問 -
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マスコミがこういった話を報じない限り、この本を読むべきだと思う。そして、マスコミが報じるニュースと比較検討し、どう思うか考えるべきだと思う。
弁護士(元検事)郷原氏が、小川敏夫・元法務大臣、石川知裕・衆議院議員、大坪弘道・元大阪地検特捜部長そして八木啓代氏と郷原氏の対談録を収載し、そしてそれら対談を踏まえ、郷原氏は正義は失われ、検察が崩壊していると断罪する。国は(司法)は正義を働くと考えているので、国民は国家秩序に従う。だが、国が不正義を働いているとしたら...
巻末に、「最高検報告書」、「田代報告書」を全文掲載している、これらの客観的事実と報道、本書を読んで自分で考えることができる。
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