佐藤信弥のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
古代中国史のコンパクトな入門書。殷から前漢の武帝まで。
『三国志』や『項羽と劉邦』など、中国古代コンテンツに触れるうえでのざっくりした見取り図が欲しいと思って手に取ったが、タテ軸の解説と有名なエピソードの紹介のバランスが取れた丁度いい本でニーズに合っていた。
『キングダム』への言及や故事成語の由来の紹介など、読者を飽きさせないための著者の気配りが伺え、扱う時代の広さや内容の細かさの割には読みやすい。
各章に年表が付いているのも、メモを取りながら読むには便利。もっとも同時並行的に物語が進む戦国時代では、年表を頭の中で整理し直す必要がある。
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購入済み
特に殷周の記述が魅力的
この時代を扱った宮城谷昌光の各小説や司馬遼太郎の「項羽と劉邦」が好きなので、小説ではなく史実はどうなのかを知りたくて本書を読んでみた。新石器時代から夏 殷 西周時代の記述は、発掘物や甲骨文 金文の知見に元づた解説が多く大変に面白かった。しかし戦国時代以降は史記やその他の歴史書に基づく記述が大半で、宮城谷昌光や司馬遼太郎の小説の内容を再確認したにとどまってしまった。あとがきに著者は「殷周が専門」と書いてあったので、当然のことはと納得してしまった。
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Posted by ブクログ
周という国は、建国時期・初期の文王・武王・周公、そして後半の春秋戦国時代はよく知られているが、前半の西周時代はほとんど知らなかったことを改めて感じる。この時代は「史記」が有名だが、それ以外に「春秋」「春秋左伝」「礼記」「竹書紀年」その他多くの文献があり、そして青銅器などに書かれた「金文」の解読など、これからも新発見に期待したい。「共和」という言葉が、この時代の11代宣王が即位するまでの空位記4年に2人の大臣の政務を語源とする言葉だという!「宋」国は殷の紂王の諸兄の子孫の国だった!宮城谷昌光の描いた世界が、いかに豊富な文献の研究に基づくものかを知り、感心した次第。