山岡鉄秀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルだけ見ると「また愛国本か」と思うかもしれない。でも読んでみたら、想像よりずっと冷静で実務的な本だった。
この本が問うているのは、日本は国際社会において「情報戦」で戦えているか、という一点だ。
著者たちが指摘するのは、戦後の日本が「事なかれ主義」で外交に臨んできた結果、相手側の主張だけが国際社会に定着してしまっている、という構造的な問題だ。本書ではその背景として、戦後占領期のWGIPが日本人の自虐史観形成に影響を与えたという見方も紹介されている。この点については賛否あると思うが、「反論しないことが品格ではなく敗北になっている」という指摘は、自分も素直に危機感を覚えた。
参考事例として登場するのがオーストラリア。中国による影響工作を早期に察知し、法整備や世論喚起で対処したプロセスが紹介される。
「日本の立場を正確に、戦略的に発信していく」という著者の提言は、イデオロギーを超えてまっとうだと思った。歴史認識の各論については読者それぞれが判断すればいい。ただ、「黙っていれば穏便」という姿勢がすでに通用しない時代になっているという問題意識は、多くの人が共有できるだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオーストラリアに20年在住経験があり情報アナリストとして見識の深い筆者が、現在日本における様々な問題を取り上げ、今のままでは本当に日本は消えて無くなってしまうと警鐘を鳴らしております。
前半では埼玉県川口市で実際に起きているクルド人による移民問題、行き過ぎたグローバル全体主義の解説など、日本に現在進行形で起きている危機について現地のレポートなどを交えながら詳しく解説をしておりますが、特に日本人が本当に知るべき重要な点は第4章以降の内容だと感じました。
日本が今もなお、アメリカの属国であることに気が付いている日本人はどの程度いるのでしょうか?日本人は改めてそのことを強く認識しなければなりません。この本ではサンフランシスコ講和条約と同時発行された米国による無期限の占領継続条約である日米安全保障条約の詳しい解説と、吉田茂元首相(現麻生大臣の祖父)が日本を米国の永久植民地に固定した男として詳しい解説がなされています。
そして、今の自民党の宏池会が吉田茂の流れをくむ会派であるということで、宏池会である岸田首相が米国の属国であるお手本のような政策を次々と掲げることにも繋がっていることが理解できます。
このまま岸田政権、はたまた自公政権が続くようだと日本は本当にグローバル全体主義に飲み込まれて消えてなくなってしまいます。この本では「シン・鎖国」を唱え、各国で立ち上がった反グローバリズム勢力と繋がり、協力することの重要性も提言しており、私もその必要性を強く感じました。
ひとりでも多くの日本国民が、今の日本の置かれている立ち位置、迫りくる危機に対して気づき、そして声を上げてグローバル全体主義に対してNOを突きつけ、一致団結していくことが必要であるとこの本を読むことで改めて再認識しました。 -
Posted by ブクログ
オーストラリア在住の筆者が体験した顛末と、見解をしめした一冊。多くの日本人に一読してもらいたいものだ。
シドニー郊外のストラスフィールド市において、慰安婦像を設置し反日活動を推し進めたい中韓連合に、ひたすら論理的合理的な反論で設置を阻止した人たちの物語だ。
結果は知っているものの、設置されてもおかしく無い状況に何度も陥っており、緊張感を持って読み進めた。
本書で、感じたのは、私たちは日本に住み日本語で発言をしているが、グローバルな視野で発言を求められた場合は、英訳されるとどういう表現になるのかを意識しておく必要があるということ。日本語では控えめで正しい表現かもしれないが、英語の解釈する人たちには、違った印象を与える場合が往々にしてあり得ることがよくわかった。また、英訳して発信している文献には、あえて不適切な表現を使っているようなものも存在しているということ。
朝日新聞、外務省の功罪はあまりにも大きい。海外の邦人を守る組織でありながら、危険に晒す表現をし続けていることが本書を読むとよくわかる。 -
Posted by ブクログ
外交とは、会議室で握手することだけではないらしい。歴史認識、メディア、世論、情報もまた、国益を左右する舞台である。
かつて激しく戦った日本とオーストラリアは、いまや重要なパートナーとなった。過去を忘れたのではない。それを知り、越えて、関係を築いてきた。
黙っていれば誠意は伝わる。そんな日本の美徳も、世界では通じるとは限らない。そつなく、時が流れを待つ外交なんてない。投げかけられた言葉のすべてに答える必要もない。反論を重ねてばかりでは、いつしか相手の土俵に惹き込まれているだけではなく、立論していかなくてはならないという。
語ること。そして、あえて応じないこと。
丁々発止から生まれる絆が手法であり、誠意ある外交なのだろうか。 -
Posted by ブクログ
米国人弁護士ケント・ギルバートと民間人ながら豪州での慰安婦像設置を阻止した山岡鉄舟が、いわゆる慰安婦報道とその誤報訂正について朝日新聞と行った口頭、書面でのやり取りを通して同新聞の現状と本質に迫る。
一言で言えば、自らの思想を大衆に啓蒙することを社是とする(「勧善懲悪ノ趣旨ヲ以ッテ専ラ俗人婦女子ヲ教化二導ク」)同新聞は「日本と日本人を貶める」ことに特化しており、公明正大たる報道機関の体をなしていない。
訂正記事の英語版を外部から実質的に検索不能としていることや、それについての著者らの質問に対する木で鼻を括るかのような回答は、図らずもそのことを自ら告白しているに等しい。
同新聞の読者(信者)が高齢者に偏っており、その凋落はもはや避けようがない。
一方で、慰安婦にかかる自らの談話が特に海外に居住する日本人、ひいては国民全体に不要な負担をかけていることに全く無自覚な河野洋平やそれに連なる勢力も、国政を預けるには甚だしく不適格と断ぜざるを得ないだろう。 -
Posted by ブクログ
戦う外交官山上信吾と民間人でありながら豪州での慰安婦像設置を防いだ山岡鉄舟の対談。
官、民の違いはあるが、現地で体を張って国益を守ろうとした2人の実経験に基づく指摘や問題意識は鋭く、重い。
山上氏の著作にもあるが、海外に必要以上に忖度する、事なかれ主義の政治家や外務官僚たちが如何に日本の国益を損ねているか。
外交、安全保障、インテリジェンスの三位一体の核となる対外情報機関の設置、セキュリティ・クリアランスの拡充・徹底、政治家・公務員の帰化歴を含む身辺調査の徹底など両氏の指摘は我が国の外交的独立を維持するためには喫緊の課題だが、残念ながら現石破政権には全く期待できない。