西田陽一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
satsukiさんのレビューをみていろいろ考えた。
結論としては、本書は新書では書ききれない内容なのではないのかと思う。事例が『失敗の本質』で既に取り上げられていることは、『失敗の本質』を深めるため致し方なく、その他の事例も、横断的な考察であり、単一論点の本ではないので紙幅の制限がある。
ならば、その中で本書の意義がどこにあるかといえば、今まで行われていた組織論以外のアプローチとして、米国陸軍が既に行っている孫子とクラウゼヴィッツという学術的古典から日本軍の敗因を分析しているものであり、その点こそが新しく、著者らの論旨を重厚にしている。
このことは、恥ずかしながら古典に馴染みがない私のような読者にとっては、なかなか難しい本だという印象を持たせる。その意味では、本書は、単なる軍事に興味があるだけで自ら学ばぬ人間にはわからないと突き放している面もあり、かなりの教養人しか理解できない本ではないか。逆に教養人ならば、軍事合理的な思考が何か、より明確にわかるのかもしれない。
その点で、やはり新書では言い尽くせるテーマではないのだろう。続編を期待したい。その際には、古典の教養がない者にもわかると嬉しい。 -
Posted by ブクログ
孫子とクラウゼヴィッツのテキストを比較し、戦争の目的や達成目標などの共通点と相違点を明らかにした一冊。
両者の思想の違いは表にまとまっていて、それを見れば一目瞭然ではあるものの、実際は両者の著書を紐解いて読み解いていくので読んでいておもしろいし、両者は対象とする範囲が異なる、という説明があり、また時代背景からその戦略の妥当性を探るなどの試みは新鮮。
特に孫子については儒教の影響を受けており、その点を注意して読む必要があるという解説はなるほどという感じ。
結論としては「盲目的にどちらかの言葉に心酔することなく、うまく組み合わせて自身の思想を強化せよ」にまとめられている。 -
Posted by ブクログ
比較対象として挙がりやすい両者だと思ったが、専門家からすると意外に比較は難しいということらしい。しかしながら本書は大枠で同じことを述べているとし、細かな共通点や相違を見ていく。
両者の時代と違い、大量破壊兵器の存在する現代だが、戦略面での考え方はいまだ有用であり、戦術面でもそれらの兵器を使用しない(出来ない)という前提で有効な考え方と言える。
戦争は政治の一手段であること、隣国は敵国であること。このような受け入れにくい事実から目をそらさず、戦争をありうる可能性として備えること。一億総貴族化で言挙げして見てこなかった人達もそろそろわかっても良い頃である。 -
Posted by ブクログ
本屋さんでタイトル見て衝動買い。
私としては「戦略」それ自体に興味があるというより。
「日本人とは何か」を考えるにあたって、第二次大戦がハイライトだと思ってて、第二次大戦を考えるにあたって、それ以前の軍事戦略について知りたくて、そのためには『孫子』と『戦争論』だ、と。
そういう意味で、本書のタイトル見て「なんてお得ッ!」と。
『孫子』は読めたけど、『戦争論』が…ほとんど脱落しかけで。
この本を読んで何がいちばん嬉しかったって、「研究者にとっても『戦争論』は難解」で「真正面から読破を試みるのは稀」だということ。
そうだよねえぇぇぇぇえッ?!
よかった私だけじゃナイ…!
結論としては、大きくざっくり言うなら。
「分析レベル」(クラウゼヴィッツ:会の作戦レベルに限定される 孫武:戦略からすべてのレベル及ぶ)について、と「情報・欺瞞についての重要性」(クラウゼヴィッツ:重視しない、むしろ混乱をきたすとして退ける 孫武:重視する、勝利の鍵)というところ。
「分析レベル」の違い、孫武の方が視野が広いというのは、兵家が諸子百家のひとつだった、ッてことが影響してるんだろうし、「情報・欺瞞についての重要性」の違いは時代の差による歴史=知識・経験の蓄積、技術の違いによるんだろうなあ、とか。
余談ですが。
本書の訳者さん、『失敗の本質』とか『戦略の本質』の作者さんの一人だったんだ…吃驚。
あとがきに「編集者さんと世間話をしてるときに『ワインバーガー・ドクトリン』についての話が出て…」みたいな記述がありましたが。
普通におしゃべりしてて『ワインバーガー・ドクトリン』なんて出てこないからッ!
本当、学者さんて…!