藤井彰夫のレビュー一覧
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新聞記者として、30年以上内外を取材した筆者が、最も身近な「平成の30年間」を中心としながら日本経済を解説する。
昭和天皇崩御に続き、株価バブル、不動産バブル、その崩壊と金融危機が起きる。政権交代と共に移り行く政策も確認しつつ、東日本大震災、アベノミクスまでの流れを俯瞰する。
続いて今後の動向を追う上でのキーワードが5つの章で詳述される。第4次産業革命、少子高齢化、金融政策の課題とエネルギー問題。中国の台頭と内向きの米国という「グローバル経済」。
注目すべきなのは、終章の「2030年の日本」。遠くない将来を人口動態や技術から確度高く予想する。そこで世界に先立って試練に直面する日本に、ピ -
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ナラティブについても少し前の日経系の報道番組で取り上げられていた。
ちょうど本書で取り上げられた各テーマと現在進行形で社会人生活を送ってきたので、思ったとおろというところもあれば、裏ではそうだったのかと新たな視点が得られたことが同居している。非常に深く洞察していると思われることと、それは単なる思い込みか偏見ではと思われることが同居していたりするが、根拠が濃いか薄いかの違いだけでおそらく間違いではないのだろと思う。書かれていることのほとんどが肯定できるのだが、何か決定的な大きな力(個々の現象をつなぐマクロな枠組みの変化の様な)みたいなことへの考察が欠けているのかなとも思うが、それは些細なことなの -
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日本経済のコロナ禍の過去、現在、未来について。
バブルの崩壊から始まった平成の30年やデジタル革命、金融危機、国際協力の枠組み、エネルギー問題、少子高齢化や福祉、アメリカの凋落や中国の台頭。
コロナによって歴史が一変したようにも見えますが、結局は長い歴史の1頁に過ぎないのかもしれません。著者は最後に安全保障は日米の枠組みを上手く使い、経済は国際協調の枠組みを上手く使ってきた結果が今の日本だと言います。そしてゲームチェンジャーが変わっても、国際協調の枠組みを上手く利用して行くことが大切だと言います。
不気味な大国が隣にあり、最大の盟国が昔ほど頼りにならない今、自分の身は自分で守る覚悟が必要 -
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Facebookが打ち出した電子通貨リブラ構想。2020年にも開始予定との話でしたが、世界中から警戒され、また、Facebookの個人情報管理に対する懸念もあって、今後どうなるか予断を許さない状況です。
本書はリブラ構想の解説、電子通貨の歴史を振り返りつつ、今後の展開を予想します。これだけ警戒されると簡単には開始できないだろうけど、リブラ的なものは必ず出てくるのではないでしょうか。すでにスェーデンの銀行が打ち出したeクローネや、中国が企画するデジタル人民元など。GAFAのようなプラットフォーマーが先行するのか、国家が押さえるのか。ここ数年が将来に向けて非常に重要な時期になると思います。 -
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本書のテーマは、「はじめに」の部分に下記の通り書かれている。
【引用】
本書ではいくつかの「正義」のナラティブがどのように日本経済に影響し、時にゆがめてきたかをみていきたいと思います。特に私が注目したいのは、その時は多くの人が賛同あるいは反対できない「正義」のナラティブがいきすぎて、「正義」のバブルになり、経済政策に悪影響を及ぼしたと思われる例です。
(中略)
ただ「国民の安心が第一だ」「プライバシー保護の優先を」という正義の言葉を前にして、マイナ保険証に象徴される医療分野のデジタル改革を止めてしまうのは間違いだと思います。
【引用おわり】
すなわち、筆者は「いきすぎた"正義&quo -
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ネタバレ確証バイアス
無意識に自分に都合の良い情報を集めてしまう
バブル崩壊後の不良債権 7兆9000万円
情報公開や危機への制度的枠組みがなかった 公的資金投入への抵抗
1997年 経営破綻
菅内閣
脱炭素:2050年温室効果ガスゼロ
デジタル改革:自治体システム統合 捺印99%不要
社会保障:75歳以上 2割負担
第4次産業革命 インダストリー4.0 ドイツ2011年
再生可能エネルギー2030年 世界の4割に
2025年問題 団塊の世代が75歳以上に
2040年問題 団塊ジュニア 高齢化のピーク
日銀
中央銀行 物価の安定 金融システムの安定
1999年 「ゼロ金利」金融 -
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日本経済のおさらいができればと、日経の記者による解説本を選んだ。経済を知る上で、日経の世話になった私からすれば、本書の論調はごく自然で、技術革新が急速に進んでいること、外国人労働者と向き合う我々の姿勢、中国とインドの台頭、人口減少に伴う経済縮小、などなど、日本が直面する環境変化が素描されている。そもそも、経済のマクロな変化を予測して、我が身の振り向け方を導くほど、理性的な判断が私にはできず、むしろ己が欲するところを直感で感じて、猛進を続けるくらいが私の方針だが、大局観がないと言えばその通りである。経済で言えば、欧米で輩出する理論家の理論で見通しを立てることをせず、その意味で私などは猪武者だが、
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注目を浴びたビットコインは、投機の対象になってしまい、通貨として普及するのは難しそうだ(値上がりが期待されるなら、使うよりも持っておいた方が特だ)。そこで現れたのがフェイスブックが主導するリブラ(Libra)だ。リブラは、ドルやユーロ、円などの主要通貨と兌換することで、価値を安定させることにして、ビットコインの欠点を埋めている。
リブラを使えば、安価で簡単に送金が実現できるようになるが、フェイスブックの個人情報流出問題やマネロン対策等から各国は規制を強化。今のところ実現に向けた動きは止まっている。
個人的には、各国が通貨発行権を手放したくない(シニョレッジも欲しい)だけではないか、という感覚 -
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日本経済新聞の編集委員である著者が平成30年間における日本経済の変遷や制度、仕組みをわかりやすく解説した一冊。
バブル崩壊に始まり金融危機やリーマンショックそしてアベノミクスによる経済の回復など平成の30年の経済の変化を新聞記者として見てきた著者ならではの視点で平易な言葉でわかりやすく解説されており勉強になりました。
IoTやAI、ビッグデータなどの技術革新や少子高齢化の問題、日銀の金融政策、エネルギー問題、通商問題を中心とする外交など現状や令和の時代に向けての課題についても新聞記者として見た視点で書かれており勉強になりました。
日銀の金融政策については経済に精通している著者が解説しているの -
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・さすがのグリーンスパンもイエレンのしつこさに負けて、「インフレ率が適切に計測されるのであれば、ゼロだと思う」と告白した。
物価が上がりもしなければ下がりもしない状況。それが最適な状態とグリーンスパンは考えていたのである。これはインフレとの戦いを最重視していた1970年代以降のセントラル・バンカーに多い考え方だ。だからプラスのインフレ目標設定にも慎重なのだ。
だが、経済学者の間では、インフレ目標はインフレ抑制だけでなくデフレ阻止のためにも有効で、統計上のインフレ率が物価の実勢よりも高めに出る傾向があることを考慮すると、その適正水準はゼロではなく、2%程度の緩やかなプラスという見方が多かった。