コルソンホワイトヘッドのレビュー一覧

  • 地下鉄道

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    過酷な人生、なんていう言葉が甘っちょろく感じてしまう。
    逃げるという行為には、残虐な仕打ちがついてくる。
    協力者にもおよぶ、そのいたぶるような残忍さ。
    それらを目の当たりにしながらも前へ進むコーラ。
    読んでいてヒリヒリとした感覚に包まれた。
    虐げる側も虐げられる側も、とがった部分をもっていないと生きてゆけないのかもしれない。

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    2023年11月19日
  • 地下鉄道

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    読み応え抜群、全世界で広く評価されるのも納得。
    冒険譚と史実のバランスが絶妙過ぎて、こんなにも重いテーマなのにここまで読みやすいのは凄すぎる。
    ショッキングな描写もあるし、読んだ人なら誰しも差別について考えさせられるはず。

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    2023年05月22日
  • 地下鉄道

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    奴隷の少女が地下鉄道に乗って自由への逃亡を始める。関わった人々はぞくぞくと悲しい最後を遂げる。それでも逃げ続けることが微かな希望となる。

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    2022年03月28日
  • ニッケル・ボーイズ

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    繰り返し、世界の発信されてきて、今なお光が見いだせていない黒人差別。「地下鉄道」と同じ筆者?と感じる程に抑制された文体の謎が巻末説明で納得できた。圧倒されるのは、その抑えた空気故に地下で炸裂して迸るエネルギー。リアルという事実に勝るものはない。

    ホワイトヘッド50歳半ば、藤井氏40歳半ば、何れもアブラギッシュの人物が取り上げて世に問うているものはあった!

    アフリカにれてきて、今なお光が見いだせていない黒人差別。「地下鉄道」と同じ筆者?と感じる程に抑制された文体の謎が巻末説明で納得できた。圧倒されるのは、その抑えた空気故に地下で炸裂して迸るエネルギー。リアルという事実に勝るものはない。

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    2021年07月09日
  • 地下鉄道

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    南北戦争以前のアメリカ。
    そこには南部の黒人奴隷達を逃そうとする秘密の“地下鉄道”があった。
    著者はその暗喩をそのまま物語の中に登場させる。
    本物の地下鉄道に乗るのは黒人の少女コーラ。

    逃亡、逃亡、逃亡。
    安住はすべて一瞬の間。

    偏見に基づく群集心理、
    それは人間をここまで残酷にさせるんだ。

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    2021年06月28日
  • 地下鉄道

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    19世紀アメリカ。現実にあった〈地下鉄道〉という黒人奴隷解放支援組織を実際の鉄道に置き換えてジョージアの奴隷少女コーラの逃亡劇を描いたフィクション。ファンタジーのような設定だがそんな甘い話ではない。逃げるコーラを追いかける奴隷狩人リッジウェイ。コーラと共に逃げる仲間は捕まり、彼女を助けた白人も殺され、コーラも捕まり、しかしまた地下鉄道に乗って逃げる。希望を感じさせるラストだが当時の黒人に真の希望はあったのか。どこまで行けば逃げ切れるのか?トンネルの中を逃げるように、漠然と北部に逃げるしかないのだ。しかしそれでも時代から逃げないと本当の安心はできないのだ。ユダヤ人にとってのホロコーストと同じでは

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    2022年09月01日
  • 地下鉄道

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    ゴールのないマラソンの話。

    19世紀のアメリカで黒人奴隷の亡命を手助けした組織『地下鉄道』が、組織名や逃亡路ではなく実際に"地下鉄道"だったら、という虚構を一つ入れるだけで広がる世界と現実感。

    黒人奴隷を題材にしてるので当たり前に残酷な事が再三起こるけど、エンターテイメント性もありさらりとした文章で、翻訳本としての読みにくさも感じなかった。



    「真実とは目抜き通りのショーウインドウのようなものだ。
    目を逸した隙に並べ替えられ、うっとりと魅力的だが手は届かない。」



    「自身を束縛する手足の鎖に不完全な部分を見つけ出すのだ。ひとつひとつを見ていけば鎖の各部はちいさなものだ。
    でも周囲の

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    2021年04月21日
  • 地下鉄道

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    人が人にできるとは到底思えない所業
    人を人と思わないところに、現在も根深く残る問題のルーツがある
    一度読み始めたら止まらないスリル、緊張感
    アメリカ史の勉強に
    長い長いトンネルの先に見える光は希望の光であってほしい

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    2021年04月13日
  • ニッケル・ボーイズ

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    今でも解決できない人権問題の歴史
    カラー、経済力、権力、人間の根源
    にある欲望や、醜い部分、人類の歴史
    が始まって以来、繰り返している。
    なんとも悲しい。

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    2021年03月23日
  • 地下鉄道

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    ずしんと重く、残酷。なのにスリリングで、豊か。主人公の逃走にはらはらしながら伴走し、協力者の犠牲に瞑目し、狩る者に憤る。過去の物語は今につながっている。

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    2021年02月14日
  • ニッケル・ボーイズ

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    小説だけれど、事実を基にしている。2011年まで運営されていた少年院が舞台。主人公は何の罪も犯していない。ただ運が悪かっただけ。世界は変わると信じている。彼が、アフリカ系アメリカ人が、理不尽のただ中で生きていくことの苦さで、胃の腑が捻り上げられるよう。それでも、言葉の力が本を閉じさせない。
    物語の仕掛けが明かされたとき、それまで主人公エルウッドに絞られていた焦点が、一気に、理不尽に傷つき生きてきた人たち皆に合っていくような気持ちになる。
    人間はいつでも醜悪になれる。忘れてはいけない。

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    2021年01月31日
  • 地下鉄道

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    大傑作。
    南部奴隷を逃す組織を「地下鉄道」と呼んだそうだが、それが本当に地下を走る機関車だったら?というアイデアを挿入、あとはかなり史実に忠実に描かれた、少女の逃亡譚。
    『風と共に去りぬ』が正当な注釈がつくまで配信停止となったとき、ファンの私は「いやー、オハラ農園に仕えたマミーをはじめとする人々のように、奴隷だって(比較的)幸せな人生もあったのでは?」とか思ったけど、奴隷制をまるで理解してなかった。奴隷が何かをわかってなかった。ひとが何もかも奪われて生きる地獄を。
    それでもこうして、どんな残酷な罰が待とうと、自由と尊厳を求める勇気を大勢が奮い、死んでいったことを知ろうとしていなかった。
    教えて

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    2021年01月16日
  • ニッケル・ボーイズ

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    アフリカ系アメリカ人のエルウッドは、ホテルの下働きをしている祖母に育てられた。従業員たちに可愛がられ、勉強もでき、先生から黒人が無償で学ぶことのできる大学への進学を勧められる。大学へ行くためにヒッチハイクした車は盗難車だった事から、共犯者として少年院に送られてしまう。そこはニッケルスクールという名前だったが、スクールとは名ばかり、虐待のまかり通る過酷な少年院だった。

    後年、閉校になったスクールから傷だらけの白骨が掘り出された事から、当時の院生に話題が集まる。
    スクールでの悲惨な日常と、不正を外部に知らせようとするエルウッドと、大人になった院生とが交互に描かれる。はたしてエルウッドはどうなった

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    2021年01月10日
  • ニッケル・ボーイズ

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    1960年代前半、公民権運動が徐々に活性化しつつあったアメリカを舞台に、優秀な学力を持つ黒人の高校生は無実の罪で少年院に送られる。そこは管理者である白人たちが物資の横流しで儲け、少しでも反抗する黒人少年を撲殺して無かったこととする地獄であった。

    この恐ろしい筋書きは空想のものではない。フロリダに存在し、100名以上の行方不明者を出したドジャー少年院がモデルになっている。施設が老朽化のために閉鎖され、暴力の痕跡も歴史に埋もれようとしていた中、ハリケーン後の敷地清掃で27名もの正体不明の遺骨が発見されたことによって、この少年院での恐ろしい暴力の実態が明るみに出ることとなった。

    本作『ニッケル・

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    2020年12月12日
  • ハーレム・シャッフル

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    大好きなジャンル。
    ただ、「地下鉄道」はスムーズに読めた記憶があるけど、コレは、文体が入って来辛かった。
    気のせいかなぁ…。
    あと、アラジンのジーニーの例えが時代背景的にちょっと気になりました。

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    2024年09月23日
  • 地下鉄道

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    多数の受賞が本作の評価を確固たるものとしている。それでも、黒人奴隷の歴史に馴染みのない日本人の私にとって、読書中の没入感は今ひとつだった。いや、ひょっとすると、その原因は題材ではなく、重要な登場人物の心の1人である奴隷狩人の心の機微に首を傾げながら読んだからかも知れない。制度の瑕疵と評する逃亡奴隷の娘に対し、自分の心情を吐露しながら長々と興味深く会話ができるのかどうか。報酬をふいにしても自分の手で殺したくなるのではないか。

    主人公は逃亡中に地下鉄道の関係者に匿われる。「見えない鎖」に自由の意味を自問する場面がある。毎日、満員電車に揺られながら会社に通うサラリーマン諸氏にとって、格別新しい問い

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    2023年07月20日
  • 地下鉄道

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    黒人奴隷の少女の逃亡劇を描いた小説。小説とはいえ、アメリカの奴隷制度という実際の状況の基づいた設定になっており、奴隷制度時代がいかに過酷なものであったのかを感じることができる。

    フィクションとはいえ、ここにかかれているような物語があって、はじめて現在のアメリカが、世界があるのだと思わされる。もっとも、過去にこんな時代があったという感傷的な作品ではなく、今まさに進行形で起こっていることにもあてはまることができる恐るべき作品だと思う

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    2022年09月03日
  • 地下鉄道

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    黒人奴隷少女の過酷な逃亡の果てに、自由
    と言う世界があったのか。
    黒人の奴隷の歴史の詳しい事は漠然としか
    知らなかった。
    この黒人の為の地下鉄道と言うファンタジー
    を通して語られる黒人奴隷達の非道なる扱い。
    誰かの所有物としてしか生きられない現実。
    黒人と言うだけで人との尊厳は失われ
    物としてしか存在しない。
    地下鉄道を通り抜け、自由を求めて安住の地
    を探すコーラは色々な人たちに出会い、そして
    失いまた新たな自由の地を求めて凛と前を向いて
    生きている姿が人として美しい。

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    2022年02月13日
  • 地下鉄道

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    先にドラマを見ていたから、その場面を思い出しながら読んだけど、映像よりもおぞましく感じる表現もあり、先がわかっていても、いやわかっているからこそか、すごく怖かった。
    コーラの母のエピソードは、ドラマでもかなり辛かっらけど、小説はまた違った悲しさがあった。
    逃げられたかと思えば、追ってに追いつかれ、黒人が自由に暮らせているかと思えば、それを許さない白人たちに襲撃され…。
    自分の肌の色や生まれた土地によって奴隷にさせられたり、命を狙われたり、非人間的な扱いをされることが本当に怖いことだと思った。
    勝手に連れ去られて、奴隷にさせられるて、鞭で打たれて…この歴史は本当に恐ろしい。
    そう感じながらもスリ

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    2021年11月21日
  • ニッケル・ボーイズ

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    いつか再びこの本を開く時がくるだろうという予感がある。なぜなら今回だけではしっかりと理解しきったなどとは到底言えないという確信があるから
    きっとまだまだ気づけてなかかったり体に落ちてない
    魅力というか地獄を目を見開いて覗かなくてはならないと思うことになるのだろう

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    2021年10月25日