紙では絶版なのがあまりに残念。
手垢のまみれた「神国日本」という概念を、文献を元に考察を加え、議論の土台を与えることに成功している。
神国ならびにその一部である天皇について「右」も「左」も無知な人も必読の文献。
・P33.天皇号の採用は今日では、天武・持統朝説が定説。
・P44.の伊勢の神様の
...続きを読む昇天と日蓮の神天上の法門の類似性。
・P084.アマテラスオオノカミを頂点とする強固で固定的な上下の序列が古代的な神々の世界であるとすれば、中性的なそれは横一線にしのぎを削る有力神が、仏教的な世界観に組み入れられ、その理念を紐帯としてゆるやかに結び会わされたものだった。P096.本地垂迹
・P095.日本古代において国家という言葉は通常天皇個人の身体を意味した。
・P115.鴨長明作『発心集』に末法で日本が辺土小国辺鄙にあることが示されている。だから仏は本地垂迹した。
・法然、日蓮だけでなく、栄西、道元も迫害を受けている。P140
・日蓮は法然批判に神国日本を持ち出している。P142
・古代から中世の転換期に、天皇に仮借なき批判が。P180。国家と国王の分離が。ここから日蓮の立証暗黒思想も。P182
・公武政権は垂迹の力に支えられている荘園制を守るために、念仏や題目は認められなかった。P190。キリシタンも。P203。彼岸へ直接結びつくようなのは全部ダメ。
・P217.神国思想は一種の選民思想でありながら一見正反対な普遍主義への指向をも内包し、さまざまに形を変えながら古代から現代までの歴史を生き延びてきた。