畠山重篤のレビュー一覧
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<汽水>とは川の河口付近で、真水と海水が
混ざり合った場所です。日本には非常に多いです。
しかも日本は地形的に山から海への距離も近いので
豊富な山の養分をその汽水地帯へ運び、豊かな漁場
を提供してくれるのです。
実は東京湾と桜島のある鹿児島湾とでは、東京の
方が漁獲量が多いのはご存知でしょうか。
東京湾には一定以上の流量の河川が16本も流入して
います。一方で鹿児島湾は霧島の爆発でできた湾
なので、大きな川は流入していません。栄養が少ない
のです。
「森は海の恋人」と言われます。
山の栄養があってこその川と海の繁栄なのです。
そんな豊かな日本の河口=汽水を巡る旅です。
日本は広い。 -
Posted by ブクログ
ただのノンフィクションじゃない、中身の濃い一冊でした。
(河口堰建設にNOといえない環境系著名教授の本より100倍中身が濃い一冊だと思いました)
「豊かな海」に必要なものは「豊かな川」である。
「豊かな川」に必要なものは「豊かな森」である。
豊かな森の多くの生き物が生み出す栄養が、豊かな川を通って、豊かな海を生み出す!!
自然の栄養がもっとも凝縮されているのが汽水域である!
”森”から”川”へ、”川”から”海”へ、その秩序を乱せば自然の恵みは失われてしまう。
著者の畠山さん、高校卒業後ずっと牡蠣養殖を生業とする一漁師ながら文書や言葉選びが素晴らしくとても博識な方だなと思いました。
おスス -
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海の恵みは川をさかのぼり森林があってこそもたらされる、という「森は海の恋人」を合言葉に、植樹をすすめている宮城の漁民、畠山さん。
地元の気仙沼湾が、海水と淡水のまじりあう海産物の宝庫「汽水域」であることに端を発し、日本各地の汽水域を訪ねた折のエッセイとしてまとめられている。
知ること多く、自分がふだん食べているものに思いを馳せずにはいられない、すばらしい本だと思う。
どこへ行っても、森の存在が牡蠣やアワビ、シジミなど海の生き物を守っている・・・、先々で出会った人とのやり取りや実際に見た風景を詳細に記すことで、そのことをより身近に読み手に感じさせてくれる。 -
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著者は、気仙沼の牡蠣・帆立の養殖漁業家。現在では、「NPO法人・森は海の恋人」代表にして、エッセイストでもある。
本書は、文藝春秋の雑誌「諸君!」に2001~2003年に連載された「汽水の匂う洲(くに)」をまとめて2003年に出版され、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(2004年)した作品である。(2015年文庫化)
私は本書を手に取るまで、恥ずかしながら「汽水」という言葉すら知らなかったが、本書を読んではじめて、「汽水域(=淡水と海水が混じり合う水域=河川水が注ぐ海)」がどれほどの海の生き物の宝庫で、それはなぜなのか、そしてそのために森が如何に大切なのか、更には、だからこそ日本の海の恵は世界 -
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著者畠山重篤さんを初めて知ったのはNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
津波で壊滅的な被害を受けた気仙沼唐桑で牡蠣養殖の復興に奔走する姿が取り上げられていた。
畠山さんは、以前、気仙沼の養殖業界が赤潮により大きな損害を受けていた当時、森を豊かにすること(植林)で海も養殖に適う水質になることを世に明らかにし、それを具体的な活動に落とし込んだ功労者。
そして、その活動が評価され国連よりフォレストヒーローとして受賞されている。
昔からの海と森は共存してきた。
自然の摂理、生物循環に逆らわず、それと共に生きていくこと。共存共栄。
それが人間にとっても真に豊かな生活になるのではないかと実感した -
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牡蠣の様々な知識や情報が本書一冊に凝縮されているといった印象を受けた。著者は牡蠣の生産者であり、テレビや雑誌で牡蠣の事が取り上げられる事は多いが、事実と全く違う蘊蓄を傾けている様子などに我慢ができなくなり、生産者自ら筆を執ったという事である。
「Rのつく月に牡蠣を食べるな」というのは、欧米でポピュラーなヨーロッパヒラガキがもとになっているという話から始まり、我が国の牡蠣の旬、牡蠣の種類、養殖の努力など、多岐にわたる内容に非常に興味をそそられた。
去年の震災で、東北の牡蠣生産者のためにフランスの人々が復興に力を入れていたが、実はフランスの牡蠣は日本によって救われたという記述もあり、世界の様々な国 -
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牡蠣の美味しい食べ方、産地の話などが書いてある本だと思ったがそうではなく、牡蠣養殖を生業とする牡蠣士とでも言う方の講義のような本だった。
面白い、面白くないというよりも勉強になったというのが感想。
・卵をもってるとおいしくない(マガキ)
・むき身の牡蠣は貝柱が透明なものを選ぶ
・宮城新昌さん、水上助三郎さんというお二人が牡蠣養殖のパイオニア
・4,50年前にフランスの牡蠣はウイルス性の病気で壊滅状態になったが、宮城種がその状態を救った
・カキ殻は浄化する力がある
そして何よりも著書が大事にしていて伝えたいこと、それは、「森は海の恋人」ということ。いい牡蠣を作るためには、いい環境、いい海。その -
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森は海を海は森を恋ながら悠久よりの愛紡ぎゆく (熊谷龍子)
畠山重篤「森は海の恋人」を読む。以前から、森から流れ出る有機成分が海のプランクトンを育て、それが海の豊穣をもたらす、ということは聞いていたが、こんなにも因果関係がはっきりしているとは・・・・!? だからこそ、川をダムで堰きとめたり、山の広葉樹を伐採することが、海にも甚大な影響を及ぼすのだという。畠山重篤さんは気仙沼に近い海で牡蠣の養殖を行う漁師だが、牡蠣の成育と大川とその上流にある室根山の落葉樹がいかに深い関係があるかということを科学的に分析、解明した報告書とでも云えるこの本。翻って広島牡蠣は大田川がもたらす恩恵によって大き -
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[ 内容 ]
三陸で牡蛎を養殖している漁民が、世界の牡蛎を尋ねてみると不思議な縁が待っていた。牡蛎と人生を共にしているからこそ見える魅惑の世界。
牡蠣への限りない愛情に溢れた一冊。
[ 目次 ]
第1章 Rのつかない月の牡蛎を食べよう!?(牡蛎の旬はいつか? 水山養殖場の四季―宮城県・舞根湾)
第2章 おいしい牡蛎ができるまで(宮城種の故郷 牡蛎に憑かれた男―宮城新昌と水上助三郎)
第3章 世界の牡蛎を食べる(日本一の生産地から学ぶ―広島県・広島湾 日本の牡蛎がフランスを救った―フランス・ラングドック 魅惑の味・オリンピアオイスター―アメリカ・シアトル 顰めっ面をした牡蛎―熊本県・有明海 干