中西智明のレビュー一覧
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ネタバレ帯の言葉通り、まさに「幻の&マジカル新本格」
これほどまでに美しい”本格型叙述トリック”にはそうそうお目にかかれない。
人間だと思わせて実は動物だったというジャブを食らわせてからの、
三つのバラバラな”殺犬”事件と思わせておいて、実は被害犬は全て同じという究極のミッシングリング。
マリーのユカへの嫉妬だったり、メスの犬を彼女と呼んだりなど、少々やりすぎな部分はあるが、伏線は十分にある。
P.35の「こいつらは人間なんかじゃない」
P.204の「ただ美しい赤毛だからというだけで、三匹もの犬を殺そうとする人間はいない」などが特にスマート。
最後の探偵が犯人というのは不必要だとする向きもあるよう -
Posted by ブクログ
あらすじの「ミステリマニアの間で伝説と化していた本書が今また甦る!」、そして帯の「バカミスと呼ぶなかれ。」の誘い文句。双方の齟齬が気になり手に取った本書でしたが、なるほど確かに伝説級と言ってよい驚きを与えてくれる仕掛けがありつつも人によってはバカミスと呼びたくなる方もいるのかもしれないな、という軽快な読み口でした。どんな方が書いたのかと筆者の略歴を読み、納得。
ミステリとしめ提示されている内容は十分で、「ああ……あのとき確かに違和感あったけどスルーしてた……」となる箇所も多々。ただしその違和感を深掘りしていてもこの本の結末には辿り着けなかったと思われます。サクサク読めてポップに感動、私にとって -
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死体と犯人が消えた?! まるで手品を見ているような物語 新本格ミステリーの隠れた名作 #消失!
■あらすじ
赤毛の人々が数多く住む街で事件は発生した。美しい赤毛の持ち主ばかりが次々と殺害され、なんと死体と犯人が消失してしまう。何故死体は消失したのか、いったい犯人は誰なのか…
■レビュー
これは確かに名作ですね。
古典のいわゆる本格ミステリの愛と研究から始まり、新本格をベースに組み立てられた作品。なるほど、とても楽しめました。
本作の一番の読みどころはトリック。
ホントに手品を見ているようで、種も仕掛けもない序章から、あっと驚く死体と犯人消失の現象。強烈な仕掛けと、切れの良いロジカルな種明 -
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ネタバレところどころ「ん?」と思うところはあった。
(裕二が3歳なのに一人で夕飯時まで外をうろついてるとか普通にあり得ない)
だけど、そもそも「『連続』殺『人』事件じゃない」ってところまでは行きつけなかった……。
真犯人が明かされるところはちょっと拍子抜け。驚いて脳が付いていかなかったのかな。。
わりとボリュームあるかなと思ったけどサクサク読めた。
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高塔市―赤毛の人々が数多く住む奇妙な街で、その事件は起こった。美しい赤毛の持ち主ばかりを次々に殺害し、忽然と「消失!」する黒ずくめの男の謎。痕跡ゼロ、関連性ゼロの完全犯罪に名探偵新寺仁が挑む! -
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ミステリーサイトなどで、度々この作品の名前が挙がっている認識はあったので、いつか読んでみたいと思っていた作品でした。
赤毛の人々が住む街で、赤毛を持つマリー・裕二・純が殺され、現場からは死体、凶器、犯人が消えていると、タイトル通り「消失」を謎解く作品となっています。
色々と評価が分かれるだろうなという事は、読み終えたときにはっきり分かりますが、個人的には面白い試みだと思いました。
今後、同じ系統の作品は、世に出ない気がしますが、少しでも似たような作品が出た場合、この作品の名前が挙がると思われるぐらい、際立った作品になっていると思います。 -
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読者への挑戦、アンソロジー第二弾
好みのシリーズだが全三巻で終わってしまうらしいので残念
今回の7作品は有名なものが多く、著者それぞれの短篇集のタイトルになっているものもいくつかある
中でも中西智明は、絶版文庫の「法月綸太郎の本格ミステリアンソロジー」に収録されている、という事すらよく知られている傑作
・仁木悦子「横丁の名探偵」★⭐︎⭐︎
超短編。トリック1つだけの勝負、やや弱いかな
・石沢英太郎「アリバイ不成立」★★⭐︎
複数の容疑者たちがお互いのアリバイを主張する、と来ればあのパターンだな!
という予想を覆され★ふたつ
・巽昌章「埋もれた悪意」★⭐︎⭐︎
双子のなぞなぞは知ってい