ブランコ・ミラノヴィッチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本によると、現在の資本主義社会は、リベラル能力資本主義(いわゆる民主主義国家)と政治資本主義(いわゆる権威主義国家)に分けられるそうです。リベラル能力資本主義の長所として、誤った経済政策でも修正しやすい点などが挙げられます。しかし、この体制では富が過度に集中した一部のエリートが、持てる富をさらに増やそうとしたり、税金を減らそうとしたりして、政治に介入することが予測されます。その結果、富を持つエリートに権力が集中し、結局政治資本主義に似た社会になる可能性があるそうです。まさにトランプ大統領の就任式に出席していたIT企業のトップたちを思い出し、この本で語られているような未来が現実になったのでは
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Posted by ブクログ
中国などの権威主義と言われる国々は、社会主義を経て資本主義化したこともあり、亜流の資本主義国家と見なされることが多い。そのため、民主主義化しない中国経済は(純粋な資本主義ではないため)早晩行き詰まるという主張があったが、鈍化しない中国経済を受けて、この主張も信憑性が疑われ始めてきた。そのような背景もあってか、本書では中国に代表される政治的資本主義と、米国に代表されるリベラル能力資本主義をフラットに比較した上、今後の資本主義のあり方を考察している。
政治的資本主義では、国民の審判を受けることなく、一部のエリートが国の舵取りを担うため、人権侵害など大多数の国民が反対するであろう施策もやってのける -
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Posted by ブクログ
クズネッツ仮説というものがある。所得水準と所得格差の関係を示したもので、所得格差、すなわち、不平等は、所得が十分に高まったあとは縮小に向かい、低い水準に留まるとしている。
縦軸に格差/不平等の程度(ジニ係数という数値で表されることが多い)、横軸に所得水準をとり、上記の考え方に沿ってグラフを描けば、逆U字型のカーブを描くことになる。これをクズネッツ曲線と呼ぶ。
このクズネッツ仮説は、おおむね1980年前後までは、先進各国の状況に、あてはまっていたが、それから以降の状況を説明できない。アメリカ、イギリス、スペイン、イタリア、日本、オランダといった先進国の統計を調べると、1980年前後までは、クズネ -
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ジャレド・ダイアモンド / ブランコ・ミラノヴィッチ / ケイト・レイワース / トーマス・セドラチェク / レベッカ・ヘンダーソン / ミノーシュ・シャフィク / アンドリュー・マカフィー / ジェイソン・W・ムーア / 大野和基3.5 (4)
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ジャレド・ダイアモンド / ブランコ・ミラノヴィッチ / ケイト・レイワース / トーマス・セドラチェク / レベッカ・ヘンダーソン / ミノーシュ・シャフィク / アンドリュー・マカフィー / ジェイソン・W・ムーア / 大野和基3.5 (4)
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資本主義に対して各識者が色々な主張をしているが、中には反対するような論説もありそれぞれが論理だっているので難しい問題なのだと再認識。脱物質化で環境問題にも対応できると言っているアンドリューマカフィー氏の章だけハテナがたくさんあった。人類が利用している資源量は近年になって減ってきているという主張だが、そもそもが採りすぎですでに環境破壊が相当進んでいるのに、どれほど利用資源量が減ってるからOKと言えるのだろうか?さすがに今までと同じ経済活動で良いとは言えないと思ったが、本を読んでみたい。
原発問題は「化石燃料に比べればマシ」という一方、「長期的なリスクあるからダメ」というところで、やはり政治的な決 -
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ブランコ・ミラノヴィッチ(1953年~)は、ベオグラード生まれ、ベオグラード大学博士課程修了、世界銀行調査部主席エコノミスト、カーネギー国際平和基金シニア・アソシエイト等を経て、ルクセンブルク所得研究センター上級研究員、ニューヨーク市立大学大学院センター客員大学院教授。
本書は、2019年発表の『Capitalism, Alone:The Future of the System that Rules the World』の全訳で2021年に出版された。邦訳書では、『不平等について』(2012年)、『大不平等』(2017年)に次ぐもの。本書は、「エコノミスト」、「フィナンシャルタイムズ」、「フ -
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すげー面白そうなタイトル。
目次を見ても、
取り上げられる経済学者はケネー、アダム・スミス、リカード、マルクス、パレート、クズネッツ。
一応経済学部卒の私は知ってなきゃいけない古典経済学の学者たち、
そしてフリードマンやピケティの名前も出てくる。
自分の問題意識からして、この400ページの分厚い本、何とか食い下がれるかと思ったが、、、
手も足も出なかった。
せいぜいわかったのは、
古典経済学者の人たちは、階級による格差はあまり気にしてない、ってことか。
階級は前提。経済学者はみな恵まれた立場にいるのだ。
でもそれだけじゃねえ、、、
まあ私の持論は、、、
所得格差は実力だけじゃなく運によ -
ジャレド・ダイアモンド / ブランコ・ミラノヴィッチ / ケイト・レイワース / トーマス・セドラチェク / レベッカ・ヘンダーソン / ミノーシュ・シャフィク / アンドリュー・マカフィー / ジェイソン・W・ムーア / 大野和基3.5 (4)
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知者が未来を語る本。新型コロナに関しては、後知恵でコメントを見てしまうので役に立たないが、パンデミックは新型コロナだけではなく、今後も起こり得るだろうなと思い起こしたり。それと、基本的には、各識者の著書をベースとした主張概論のためダイアモンドやセドラチェクなどは既に慣れた内容。ケイト・レイワースのドーナツ経済学は初見ながら、既存の概念を上手く例えただけ、という気がする。
ー 私が感じるフラストレーションの一つは、我々は自分の直感に決断を導かせることがあまりにも多いということです。ここで明言しますが、直感的なレベルで言うと私は原子力発電を怖いと思います。確かに一九七九年にスリーマイル島原子力発 -
ジャレド・ダイアモンド / ブランコ・ミラノヴィッチ / ケイト・レイワース / トーマス・セドラチェク / レベッカ・ヘンダーソン / ミノーシュ・シャフィク / アンドリュー・マカフィー / ジェイソン・W・ムーア / 大野和基3.5 (4)
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<目次>
はじめに
第1章ジャレド・ダイアモンドいま人類が直面する危機
第2章ブランコ・ミラノビッチ2つの資本主義が世界を覆う
第3章ケイト・レオワース世界中の人をドーナツの中に入れる
第4章トーマス・セドラチェック倫理と経済、どちらが先か
第5章レバッカ・ヘンダーソン資本主義を再構築する
第6章ミノーシュ・シャフィク社会契約をつくり出す
第7章アンドリュー・マカフィー資本主義は脱炭素化する
第8章ジェイソン・ムーア生命の網のなかの資本主義
あとがき
機関紙”kotoba”(集英社)の2021冬~2022秋まで8回
のインタビュー記事の完全版。大野氏のインタビュー。
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Posted by ブクログ
ネタバレ人種、生い立ち、信念や動機が異なっても、
お金や利益の話となれば、すんなりと理解する。
リベラルな能力主義的資本主義:欧米
政治的(権威主義的)資本主義:中国
リベラル資本主義
人的資本の高い労働金持ち=資本金持ち
同類婚が不平等を強化
アメリカの裕福な10%が金融資産の90%を保有
長期収益の資産を多く所有、税金比率が少、参入手数料と管理コストが低い
資本とスキルの平等を授ける資本主義は可能か?
労働組合、大衆教育、税金、政府による所得の移転(年金や福祉)が行き詰り
→中間層を優遇、労働者の資本保有(持ち株会)、相続税、公立教育
現実は、
福祉国家にスキルの低 -