ブランコ・ミラノヴィッチのレビュー一覧

  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    この本によると、現在の資本主義社会は、リベラル能力資本主義(いわゆる民主主義国家)と政治資本主義(いわゆる権威主義国家)に分けられるそうです。リベラル能力資本主義の長所として、誤った経済政策でも修正しやすい点などが挙げられます。しかし、この体制では富が過度に集中した一部のエリートが、持てる富をさらに増やそうとしたり、税金を減らそうとしたりして、政治に介入することが予測されます。その結果、富を持つエリートに権力が集中し、結局政治資本主義に似た社会になる可能性があるそうです。まさにトランプ大統領の就任式に出席していたIT企業のトップたちを思い出し、この本で語られているような未来が現実になったのではないかと感じ、何となく暗い気持ちになりました。その他、エリート層における富、地位の継承(遺伝?)、グローバリゼーションと福祉国家の関係など、日本を含めたリベラル能力資本主義の今そこにある問題を教えてくれる、価値ある著作だと思います。

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    2025年02月06日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    資本主義と社会主義が想定と違いどういう形で進んだかなど、この50年の結果が素晴らしく冷静に分析、整理されている。手元に置いておきたい本。

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    2023年02月26日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    中国などの権威主義と言われる国々は、社会主義を経て資本主義化したこともあり、亜流の資本主義国家と見なされることが多い。そのため、民主主義化しない中国経済は(純粋な資本主義ではないため)早晩行き詰まるという主張があったが、鈍化しない中国経済を受けて、この主張も信憑性が疑われ始めてきた。そのような背景もあってか、本書では中国に代表される政治的資本主義と、米国に代表されるリベラル能力資本主義をフラットに比較した上、今後の資本主義のあり方を考察している。

    政治的資本主義では、国民の審判を受けることなく、一部のエリートが国の舵取りを担うため、人権侵害など大多数の国民が反対するであろう施策もやってのけるし、方向転換も困難。その代わり、高い成長率を維持し続けることで、国民に現体制の利点を示し続ける必要がある(利点を示すのが難しくなると、情報統制で隠そうとするのかもしれない)。一方、リベラル能力資本主義でも、一部の富裕層が献金で政治介入するため、彼らに不都合な施策は実施されないし、富裕層は資本と労働の双方で高い所得を得るため、富の偏在は進む一方となる。
    このようにどちらも完璧ではないが、本書では、それでも資本主義よりマシな制度は見当たらないということで、所得の不平等と永続的なエリート層の形成を打破した次なる資本主義として、民衆資本主義を示している。


    政治的資本主義に対する客観的な分析も、問題はありながらも資本主義の枠組みの中で調整していくしかないという結論も、地に足がついてて納得感があった。
    また、共産主義の歴史的な位置付け等、目新しい視点もあった。共産主義を最終ゴールと考えるマルクス主義者でも、ただの回り道と考えるリベラル派でもなく、本書では、封建主義から資本主義に移行する過渡期として共産主義を捉えている。確かに、社会の発展経路は一律ではない(西洋諸国と同じ経路で、他国も発展するとは限らない)という前提で歴史を振り返れば、その通りかもしれない。

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    2022年05月25日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    中国を政治的資本主義と説明してこの部分がメインとして長く書かれている。植民地から共産主義から資本主義となっていった第三国が説明されているが、日本についての記述は驚くほど少ない。
     また、対処法としては、1 中間層の金融資産と住宅資産を優遇税措置をして、富裕層の相続税の増税、2公教育の予算の増額、3軽い市民税を導入して移民への反対を抑える、4政治献金を制限すること
     と、とても分かりやすい対策である。
     教養として読むには面白いが、卒論として使えるかどうかは不明である。

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    2022年02月02日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    中国が共産主義国家なのか社会主義国家なのか資本主義国家なのか。よく考えてみたら、中国がどう、と言う前に、それぞれの定義も曖昧なままこれまで過ごしてきていた。
    それぞれの定義をある程度分かったとして、中国はどうなのか、と思ったとき、多分10年前ならまだ、それを西欧と比較して、どう、と分析したものは、そう多くなかったのではないか。
    中国の存在感の増大を多くの人が感じているのだろうか。

    現在の社会をどう捉えるか、示唆に富んだ良著。
    もう一度読んでみたいと思う。

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    2021年11月05日
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来

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    クズネッツ仮説というものがある。所得水準と所得格差の関係を示したもので、所得格差、すなわち、不平等は、所得が十分に高まったあとは縮小に向かい、低い水準に留まるとしている。
    縦軸に格差/不平等の程度(ジニ係数という数値で表されることが多い)、横軸に所得水準をとり、上記の考え方に沿ってグラフを描けば、逆U字型のカーブを描くことになる。これをクズネッツ曲線と呼ぶ。
    このクズネッツ仮説は、おおむね1980年前後までは、先進各国の状況に、あてはまっていたが、それから以降の状況を説明できない。アメリカ、イギリス、スペイン、イタリア、日本、オランダといった先進国の統計を調べると、1980年前後までは、クズネッツ仮説は当てはまるが、それから以降は、所得水準が上がっているにも関わらず、所得格差も拡大しているのである。
    クズネッツ曲線には、実は第二の波があるのではないかと、筆者は主張している。
    以上が、先進各国「内」の話。

    次に各国「間」の格差はどうなっているのかという話。
    1960年から2013年の間の世界全体のジニ係数は、統計上、明らかに下がっている、すなわち、所得格差は、不平等は縮まっている。それは、この間の先進国の経済成長率よりも、新興国の経済成長率が高かったから。貧しい国の経済成長が、豊かな国の経済成長を上回ったから。

    次に(本の中では一番最初に来る話であるが)、1988年から2008年までの間の、グローバルな、すなわち世界全体の経済成長の恩恵を最も受けたのは、どの層か?という話。
    横軸に、世界の人々の所得分布を百分位でプロットする、0は最も貧しい人、100は最も豊かな人々。
    縦軸には、1988年から2008年までの、その所得層の人たちの実質所得の増加率をとる。
    それでグラフを作成すると、どの階層の人たちの所得が伸びたのかが分かる。
    左から右肩上がりにゆっくりとカーブは上昇し、だいたい五十五分位くらいのところがピークとなり、その時の所得増加割合は、75%くらい。カーブはそこから急激に下がっていき、ボトムは八十分位くらいのところで、この層の所得の伸びは、ほぼゼロ。ボトムからカーブは更に急激に上がっていき、百分位が次のピークで、所得増加率は65%くらい。
    この間の経済成長により、最も所得を増やしたのは、世界的に見ればちょうど中位の所得の人たち、それは新興国、例えば中国の人たちだ、
    全く所得が伸びなかったのは、比較的裕福な人たち、先進国、例えば日本などの低所得の人たち。
    これが、グローバル、世界全体の話。
    これらは、経済のグローバル化と先進国の政治政策の、一つの不可避な帰結。

    ■ここまでグローバル、マクロ的な、スケールの大きな統計的分析は、見たことがない。単純に知的に面白い。
    ■言えば、マクロ経済の話だけれども、各国の政策は、経済成長や所得格差などに大きな影響を持つ。経済は、政治からインディペンデントには存在し得ないということが、よく分かる。
    ■日本国内の格差について、話題になることが多くなっている印象がある。でも、ここまで、グローバルな分析をしないと、事の本質は明らかにならない気がする。

    と、色々なことを感じた。



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    2020年03月15日
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来

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    経済学の本なのだが、最終章では政治や社会の問題にも踏み込んでいる。移民、金権選挙、パワーカップル、虚偽意識…

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    2018年01月13日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    タイトルだけを見ると資本主義礼賛の書籍かと思ったが、良い意味で裏切られた。
    データセットが充実しているリベラル資本主義の現状分析は本当に見事。格差拡大のメカニズムをこれでもかと提示してくれる。ここの分析だけでも読んでおいて損はないと思う。
    また中国をはじめとする政治的資本主義が構造的に腐敗を内包するという指摘も素晴らしい。腐敗=悪ではなく、システムの間を埋める機能という捉え方は、ありとあらゆる組織で応用が効く話だと思う。
    ただ、グローバル化の帰結として、資本主義のオルタナティブに対して悲観的な見方になっているのがちょっと解せない。それ自体は予測として充分成立するが、そもそも線形史観が過ぎるというか、何か事業性評価の将来予測を聞いてるような印象を受けてしまった。現状分析が素晴らしかっただけにここは少し肩透かしだった。
    それを差し引いても読んでおいてまず損はない本であると思う。

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    2026年09月14日
  • 未来を語る人(インターナショナル新書)

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    未来の資本主義についての識者の見解を集めた書籍。資本主義の問題点、特に格差にについてはいろいろと指摘をされているが、これだけの人たちを集めてもその解決に決定打がないということは、現況を受け入れるしかないのか。

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    2023年09月11日
  • 未来を語る人(インターナショナル新書)

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    資本主義に対して各識者が色々な主張をしているが、中には反対するような論説もありそれぞれが論理だっているので難しい問題なのだと再認識。脱物質化で環境問題にも対応できると言っているアンドリューマカフィー氏の章だけハテナがたくさんあった。人類が利用している資源量は近年になって減ってきているという主張だが、そもそもが採りすぎですでに環境破壊が相当進んでいるのに、どれほど利用資源量が減ってるからOKと言えるのだろうか?さすがに今までと同じ経済活動で良いとは言えないと思ったが、本を読んでみたい。
    原発問題は「化石燃料に比べればマシ」という一方、「長期的なリスクあるからダメ」というところで、やはり政治的な決断でしかない。

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    2023年08月19日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    俯瞰的なものの見方や、共通性とはどんなものかを実例を持ってていねいに解説してくれる。大学生のときにこのような本があったらぜひ読みたかった。もっと経済に興味を持ったことだろう。
    本書では移民についての考え方と「政治的資本主義」が興味深い。

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    2022年03月19日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    ブランコ・ミラノヴィッチ(1953年~)は、ベオグラード生まれ、ベオグラード大学博士課程修了、世界銀行調査部主席エコノミスト、カーネギー国際平和基金シニア・アソシエイト等を経て、ルクセンブルク所得研究センター上級研究員、ニューヨーク市立大学大学院センター客員大学院教授。
    本書は、2019年発表の『Capitalism, Alone:The Future of the System that Rules the World』の全訳で2021年に出版された。邦訳書では、『不平等について』(2012年)、『大不平等』(2017年)に次ぐもの。本書は、「エコノミスト」、「フィナンシャルタイムズ」、「フォーリン・アフェアーズ」等の雑誌・新聞でベストブックに選ばれている。
    私は以前より、世界に広がる格差の元凶である資本主義に問題意識を持っており、これまでも、ジョセフ・スティグリッツ、水野和夫、トマ・ピケティ、斎藤幸平、広井良典等の多数の著書を読んできたが、本書を手に取ったのもその流れによる。
    本書の概要は概ね以下である。
    ◆資本主義は、我々の世界に、営利を目的とするという、共通の価値観・ルールを生み出すことに成功した、最も安定した社会経済システムである。現在の世界の資本主義の体制は、欧米諸国の「リベラル能力資本主義」と中国に代表される「政治的資本主義」に分けられる。「リベラル能力資本主義」は、民主主義と法の支配に結びつき、技術革新を奨励し社会的移動性をもたらすことで経済の発展を促し、かつ万人に概ね平等の機会を与えると考えられている。一方、「政治的資本主義」は、政治的エリート層を惹きつけるとともに、高い成長率を約束するかに見える。
    ◆「リベラル能力資本主義」は、第二次世界大戦後の「社会民主主義的な資本主義」を支える「4つの柱」となっていた、交渉力の強い労働組合、教育の大衆化、累進性の高い税負担、政府による大規模な所得移転が、次第に機能しなくなった結果生じ、不平等を不断に拡大させることとなった。
    ◆中国などの後進の被植民地国の多くが社会主義革命を起こしたのは、教条的なマルクス主義が主張するような資本主義の矛盾が原因ではなく、地主に代表される旧社会勢力を一掃し、かつ、外国資本による支配を覆すことができる、唯一の組織化された力が共産主義勢力であったためで、“資本主義的な経済発展を実現するために”社会主義革命が必要だった。こうして成立した「政治的資本主義」の特徴は、テクノクラート的な官僚システムの存在、そのシステムが邪魔されないよう法の支配が欠如していること、民間部門を統制できる国家の存在の3つであり、それ故に深刻な腐敗が生じやすいという矛盾を持つ。
    ◆「リベラル能力資本主義」と「政治的資本主義」で進行する不平等は、グローバル・チェーンの進化、即ち、モノと資本の移動が自由になり、先進国の工場が簡単に途上国に移転するようになったこと、情報通信技術の発展によって、事細かに国際分業することが可能になったことの2点を通じて有機的に結びついている。
    ◆様々な問題を孕む超商業化資本主義社会だが、これに代わる社会経済システムはない。資本主義に組み込まれた競争的かつ物質欲的精神を捨てれば、結局は所得が減り、貧困が拡大し、技術進歩が減速・逆転する。物質欲的精神を捨ててもなおかつそれらが維持できるなどと思うのは無理である。
    ◆「リベラル能力資本主義」がいかに進化していくかについては、資本所得の集中がより少なく、所得の不平等がより縮小し、世代間の所得の移動性がより高くなることにより、「民衆資本主義」に移行できるか否かにかかっている。仮に、「リベラル能力資本主義」が政治的な力と結びつき、金権主義的なものになれば、「政治的資本主義」に似通ったものとなるだろう。

    本書の特徴は、何より、中国の社会経済システムを、日米欧諸国の「まともな資本主義」に対する「異形の資本主義」とは位置付けずに、その歴史に基づいた一つのシステムとして分析し、更に、日米欧諸国の「リベラル能力資本主義」でさえ、格差・不平等が拡大し、富裕層が政治的な力と結びつけば、そうしたシステムと似たものになると警鐘をならしていることだろう。
    また、私が問題意識を持っている格差の是正については、「リベラル能力資本主義」から「民衆資本主義」への移行がポイントとしており、この点は同意する。(ただ、斎藤幸平氏が論じている地球環境の持続可能性を危うくする(資本主義と不可分の)物質欲的精神については否定していない)
    資本主義の未来(ポスト資本主義)を考える上では一読の価値ある一冊といえる。
    (2022年2月了)

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    2022年02月15日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    ネタバレ

    21世紀の現在,名目上は共産主義国家も残っているとはいえ,実質的には資本主義しか残っていない。本書では,どんな資本主義体制があるか,そしてそれぞれがどんな特長と問題点を内在しているのか,今現在どうなっているのか,を明らかにしている。学術書の翻訳本ということで読むのは非常に疲れますが,読む価値はあると感じた。
    本書で著者は,「共産主義(革命)」は先進国から遅れた封建主義体制国家を民衆主体の資本主義国家に変更させる役目を担っていた,と主張している。現状の結果を見るとその通り。まさに白眉。大変納得した。

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    2022年01月26日
  • 不平等・所得格差の経済学――ケネー、アダム・スミスからピケティまで

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    すげー面白そうなタイトル。
    目次を見ても、
    取り上げられる経済学者はケネー、アダム・スミス、リカード、マルクス、パレート、クズネッツ。
    一応経済学部卒の私は知ってなきゃいけない古典経済学の学者たち、
    そしてフリードマンやピケティの名前も出てくる。

    自分の問題意識からして、この400ページの分厚い本、何とか食い下がれるかと思ったが、、、
    手も足も出なかった。

    せいぜいわかったのは、
    古典経済学者の人たちは、階級による格差はあまり気にしてない、ってことか。
    階級は前提。経済学者はみな恵まれた立場にいるのだ。

    でもそれだけじゃねえ、、、

    まあ私の持論は、、、
    所得格差は実力だけじゃなく運によるところが大きい。
    自分の力で得た所得は自分のものと欲張らず分配するのがいい。
    ただし、政府の恣意的な分配ではろくなことにならない。
    今の日本の補助金政策を見てもわかる。
    となると、フリードマンの「負の所得税」など、
    ルールに基づいて自動的に再配分される方式がいい。
    そのルールの調整は時代時代によって変わり、
    困難を伴うだろうが、それをやるのが政治。

    てなとこかなあ。
    こんな底辺の理論はこの本には登場しなかった。
    完敗。


     プロローグ

    第1章 フランソワ・ケネー――「豊かな農業王国」の社会階級
     ケネーの時代のフランスの不平等
     社会階級とその収入源
     剰余の重要性

    第2章 アダム・スミス――「豊かさへの道筋」と暗示的な所得分配理論
     アダム・スミスの時代のイングランドおよびスコットランドの不平等
     スミス、リカード、マルクスにおける社会階級
     繁栄する社会とは
     『道徳感情論』と『国富論』での富裕層への態度
     富者の所得の正当性を疑う
     社会が発展するなかでの賃金、地代、資本収益
     進歩した社会の実質賃金と相対賃金
     暗示的な所得分配理論と資本家への不信
     結論

    第3章 デヴィッド・リカード――平等と効率のトレードオフは存在しない
     ナポレオン戦争時のイングランドの所得不平等
     所得分配と経済成長
     賃金、利潤、地代の進化
     階級闘争
     リカードの「思わぬプレゼント」

    第4章 カール・マルクス――利潤率は下がっても労働所得への圧力は変わらない
     カール・マルクスの時代のイギリスおよびドイツの富と所得の不平等
     下準備――マルクス主義の鍵となる概念を整理する
     階級構造
     労働と賃金
     資本と利潤率の傾向的低下
     不平等の進化についてのマルクスの大局的な見方――ふつうに思われているより明るい
     パレートへ、そして個人間の所得不平等へ
     補論――グラッドストーン引用騒動

    第5章 ヴィルフレド・パレート――階級から個人へ
     20世紀初め頃のフランスの不平等
     パレートの法則と社会主義に適用された「エリートの周流」
     パレートの法則か、パレートの「法則」か、それともそもそも法則ではないのか
     パレートの貢献

    第6章 サイモン・クズネッツ――近代化の時期の不平等
     20世紀半ばのアメリカ合衆国の不平等
     クズネッツ仮説の定義
     曲線の定義は早すぎたのか
     復活の可能性
     クズネッツの貢献
     この本で検討した著者全員の地域性と普遍性

    第7章 冷戦期――不平等研究の暗黒時代
     資本の私的所有のない体制――社会主義市場経済での不平等
     資本の国家所有という体制――計画経済での不平等
     社会主義での所得不平等研究の少なさ
     進んだ資本主義の下での所得不平等の研究
     崩壊の理由
     所得分配への新古典派的アプローチの批判
     資本主義の下での不平等研究の3タイプ
     国家間の不平等と国内不平等を結びつける

     エピローグ――新しい始まり

     謝辞
     解説[梶谷懐]
     索引

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    2025年05月12日
  • 未来を語る人(インターナショナル新書)

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    <目次>
    はじめに
    第1章ジャレド・ダイアモンドいま人類が直面する危機
    第2章ブランコ・ミラノビッチ2つの資本主義が世界を覆う
    第3章ケイト・レオワース世界中の人をドーナツの中に入れる
    第4章トーマス・セドラチェック倫理と経済、どちらが先か
    第5章レバッカ・ヘンダーソン資本主義を再構築する
    第6章ミノーシュ・シャフィク社会契約をつくり出す
    第7章アンドリュー・マカフィー資本主義は脱炭素化する
    第8章ジェイソン・ムーア生命の網のなかの資本主義
    あとがき

    機関紙”kotoba”(集英社)の2021冬~2022秋まで8回
    のインタビュー記事の完全版。大野氏のインタビュー。

    ①p17正しい選挙が行われないならば、民主主義の
    終わり。アメリカは民主主義はなくなり独裁国家になる
    可能性がある。
    ①p33もっとも警戒すべきは、新興感染症である。
    ②p442つの資本主義とは、政治的(国家)資本主義
    と、リベラル資本主義である
    ⑤p119パンンデミックによって各国とも格差が具体化した

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    2023年10月24日
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

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    ネタバレ

    人種、生い立ち、信念や動機が異なっても、
    お金や利益の話となれば、すんなりと理解する。

    リベラルな能力主義的資本主義:欧米
    政治的(権威主義的)資本主義:中国

    リベラル資本主義
     人的資本の高い労働金持ち=資本金持ち
      同類婚が不平等を強化
      アメリカの裕福な10%が金融資産の90%を保有
      長期収益の資産を多く所有、税金比率が少、参入手数料と管理コストが低い

    資本とスキルの平等を授ける資本主義は可能か?
     労働組合、大衆教育、税金、政府による所得の移転(年金や福祉)が行き詰り
     →中間層を優遇、労働者の資本保有(持ち株会)、相続税、公立教育   
    現実は、
     福祉国家にスキルの低い移民が集まる →政府サービスからの金持ちの撤退
     超富裕層からの政治献金 →優位性の保証
     高額な私立教育が優位に 高い授業料で最良の教授を集める →公教育離れ
     →技術進歩が続く限り、富や教育に基づく部外者に開かれた世界

    共産主義
     封建制から資本主義への移行システムが共産主義
      地主の締め付け、外国による支配を覆す
      貧しい国は市場のインセンティブが欠如し 中央計画の利点から恩恵を受ける

    中国=資本主義
     国政企業20%(1998年は50%)
     資本主義=民間の生産手段+賃金労働者+生産や価格設定の決断が分散化

     鄧小平 鳥を広々としたかごに入れておく
     資本家の利害が支配的な力を持つことを許さず、政策に従い民間を統制
     法ではなく、恣意的な意思決定 無法地帯が組み込まれたシステムという矛盾
     不平等の全国拡大 たたき上げの資本家階級の台頭

    政治的資本主義の特徴
     1.優秀な官僚 2.法の支配の欠如 3.国家の自立性 
    2つの矛盾
     1.官僚の管理能力と自由裁量 2.法支配の欠如による腐敗とシステム正当化
     政治を経済と切り離し、腐敗の少ない政権を維持できそうな国はほとんどない?

    グローバリゼーション=資産の移動+労働の移動
     市民権の市場取引  ギリシャ 25万ユーロ、イギリス 200万ポンド
     
    第二のグローバリゼーション 生産の移動 ・・制度の重要性 技術の移転
    第三の・・・              ・・労働の移動からの解放? 

    原子化と商品化 モノやサービス何でも買える 自分の時間も含め何でも売れる
     自身が経済媒体=商品に

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    2021年10月14日
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来

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    グローバル化によって世界的な不平等は縮小して来たが、国内の不平等は拡大している。
    日本はまだ再分配が機能しているが、労働分配率の改善が必要だと思う。
    世界的な不平等の動向が明確に示され、問題提起としてはいい本だ。

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    2017年12月19日