【感想・ネタバレ】不平等・所得格差の経済学――ケネー、アダム・スミスからピケティまでのレビュー

あらすじ

高名な経済学者である著者が、経済的不平等・所得格差の思想について、過去2世紀以上にわたる進化をたどる。ケネー、アダム・スミス、マルクスからピケティに至る経済学者たちの考え方を概括し、歴史的視点による今日の不平等の捉え方を問う重要な著作。

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Posted by ブクログ

すげー面白そうなタイトル。
目次を見ても、
取り上げられる経済学者はケネー、アダム・スミス、リカード、マルクス、パレート、クズネッツ。
一応経済学部卒の私は知ってなきゃいけない古典経済学の学者たち、
そしてフリードマンやピケティの名前も出てくる。

自分の問題意識からして、この400ページの分厚い本、何とか食い下がれるかと思ったが、、、
手も足も出なかった。

せいぜいわかったのは、
古典経済学者の人たちは、階級による格差はあまり気にしてない、ってことか。
階級は前提。経済学者はみな恵まれた立場にいるのだ。

でもそれだけじゃねえ、、、

まあ私の持論は、、、
所得格差は実力だけじゃなく運によるところが大きい。
自分の力で得た所得は自分のものと欲張らず分配するのがいい。
ただし、政府の恣意的な分配ではろくなことにならない。
今の日本の補助金政策を見てもわかる。
となると、フリードマンの「負の所得税」など、
ルールに基づいて自動的に再配分される方式がいい。
そのルールの調整は時代時代によって変わり、
困難を伴うだろうが、それをやるのが政治。

てなとこかなあ。
こんな底辺の理論はこの本には登場しなかった。
完敗。


 プロローグ

第1章 フランソワ・ケネー――「豊かな農業王国」の社会階級
 ケネーの時代のフランスの不平等
 社会階級とその収入源
 剰余の重要性

第2章 アダム・スミス――「豊かさへの道筋」と暗示的な所得分配理論
 アダム・スミスの時代のイングランドおよびスコットランドの不平等
 スミス、リカード、マルクスにおける社会階級
 繁栄する社会とは
 『道徳感情論』と『国富論』での富裕層への態度
 富者の所得の正当性を疑う
 社会が発展するなかでの賃金、地代、資本収益
 進歩した社会の実質賃金と相対賃金
 暗示的な所得分配理論と資本家への不信
 結論

第3章 デヴィッド・リカード――平等と効率のトレードオフは存在しない
 ナポレオン戦争時のイングランドの所得不平等
 所得分配と経済成長
 賃金、利潤、地代の進化
 階級闘争
 リカードの「思わぬプレゼント」

第4章 カール・マルクス――利潤率は下がっても労働所得への圧力は変わらない
 カール・マルクスの時代のイギリスおよびドイツの富と所得の不平等
 下準備――マルクス主義の鍵となる概念を整理する
 階級構造
 労働と賃金
 資本と利潤率の傾向的低下
 不平等の進化についてのマルクスの大局的な見方――ふつうに思われているより明るい
 パレートへ、そして個人間の所得不平等へ
 補論――グラッドストーン引用騒動

第5章 ヴィルフレド・パレート――階級から個人へ
 20世紀初め頃のフランスの不平等
 パレートの法則と社会主義に適用された「エリートの周流」
 パレートの法則か、パレートの「法則」か、それともそもそも法則ではないのか
 パレートの貢献

第6章 サイモン・クズネッツ――近代化の時期の不平等
 20世紀半ばのアメリカ合衆国の不平等
 クズネッツ仮説の定義
 曲線の定義は早すぎたのか
 復活の可能性
 クズネッツの貢献
 この本で検討した著者全員の地域性と普遍性

第7章 冷戦期――不平等研究の暗黒時代
 資本の私的所有のない体制――社会主義市場経済での不平等
 資本の国家所有という体制――計画経済での不平等
 社会主義での所得不平等研究の少なさ
 進んだ資本主義の下での所得不平等の研究
 崩壊の理由
 所得分配への新古典派的アプローチの批判
 資本主義の下での不平等研究の3タイプ
 国家間の不平等と国内不平等を結びつける

 エピローグ――新しい始まり

 謝辞
 解説[梶谷懐]
 索引

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2025年05月12日

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