元永知宏のレビュー一覧
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あれからもう15年。消滅した球団近鉄バファローズの関係者に取材したプロ野球愛満ちたノンフィクション。
2004年11月、近鉄バファローズはオリックスに吸収され楽天ゴールデンイーグルスという新球団が誕生。思えば当時はセパの格差が大きく有望なドラフト候補者が在京セを希望するのが当たり前だった。
近鉄バファローズ、本書は1979年球団初優勝時の監督西本幸雄から1989年の10.19と翌年優勝の仰木そして2001年代打逆転満塁サヨナラホームランで優勝した監督梨田昌孝を中心にバファローズの歴史を辿る。実際に取材した最後の選手会長礒部公一ほか栗橋茂、金村義明、水口栄二、岩隈久志、ラルフ・ブライアント。もちろん江夏の21球から野茂英雄のトルネード投法と任意引退扱いでのメジャー入りなど、懐かしいエピソード多数。
本書には出てこないが外国人マネー騒動だったり近鉄バファローズのいてまえ打線、オッサン指数は本当に高かった。阪神タイガースと異なり真に大阪の球団。コテコテさが今となっては本当に懐かしい。
球団は消滅したが楽天の仙台、日ハムの札幌、ソフトバンクの福岡と千葉ロッテ。パ・リーグの豪快野球が巨人を除けばセ・リーグより地域密着、魅力のある野球をやっているように思う。ある意味でそのための人柱、捨て石となったバファローズの存在があったからこその現在なのだろう。
近鉄バファローズの魅力を余す所なく伝える楽しい一冊でした。 -
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2004年の球界再編問題の際、近鉄バファローズはオリックスと合併することになり、球団創設以来55年の歴史に幕を閉じました。本書は近鉄が初めてリーグ優勝をした1970年代から年代ごとに球団でキーマンとなった人たちのインタビューをもとに、2004年までの約30年間を振り返るノンフィクションです。
1970年代の証言者は故西本幸雄氏。阪急ブレーブスを常勝チームに鍛え上げた名監督西本氏が近鉄に移籍した当時の状況を語っておられ、西本氏の監督像を当時現役であった梨田昌孝氏が証言しておられます。
1970年後半から1980年代は”あの”「江夏の21球」の日本シリーズの時代を栗橋茂氏が証言しておられます。穏やかな印象の西本氏が、実は大変な熱血漢であった描写など、興味深いエピソード満載です。
1980年代は仰木彬氏です。ロッテとの「10.19のダブルヘッダー」は勿論ですが、その翌年に西武ライオンズとの天王山で4打数連続ホームランを放ったラルフ・ブライアント氏、主力選手であった金村義明氏の証言も興味深いです。
1990年代は野茂英雄氏のデビューとメジャー移籍のころ。優勝はなかったのですが、当時の様子を水口栄二氏が語ります。
そして2000年以降は、最後のリーグ優勝となった2001年の模様を当時監督の梨田氏、岩隈久志氏が証言されています。
最後は2004年当時の選手会長であった磯部公一氏、球団代表であった足立圭亮氏が、選手会ストライキを経て球団合併に至るシーズンの内幕を証言されています。
他にも各シーンで登場する元選手は羽田耗一、マニエル、小野和義、山崎慎太郎、鈴木貴久、阿波野秀幸、佐野慈紀、中村紀洋などなど、近鉄ファンなら「懐かしい!」と思える名前がズラリと。
こうしてみると、どの時代のエピソードも「あー、そうだったなぁ」という物ばかり。私が小学生のころ、甲子園球場まではちょっと遠いこともあってプロ野球観戦と言えば日生球場か藤井寺球場の近鉄戦がほとんどでした。近鉄バファローズを応援していた人ならば、どの部分を読んでも懐かしい気持ちに浸れると思います。 -
スポーツを支える仕事
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甲子園はもういらない…… それぞれの甲子園
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元ソフトバンクホークスのエースとして活躍した斉藤和巳投手の学生時代からプロになってからの苦悩とエースとして君臨するまでの軌跡と周りの選手との関係について書かれた一冊。
2003年の20勝と沢村賞受賞という華々しい活躍しか知らなかったので本書を読んで裏にある肩に対する氏の苦悩や出会いによって氏が変わっていく姿を知ることができました。
南京都高校で無名の選手から一躍ドラフト1位候補になるまでやドラフト1位でも全く登板がなく憂鬱な日々の中でひたすら練習を行ったことや小久保選手や王監督、尾花コーチとの出会いによって考え方や行動が変化していくことなど様々な経験を経て輝かしい成績を収めるまでに至ったことを感じました。
また、2回目の手術からのアリゾナでのリハビリ生活はもう一度マウンドに立ちたいという氏の熱い想いとともにリハビリの過酷さも感じることができました。
氏の素直さと周りに与える影響力は氏の強みであり、それにより2回の沢村賞を受賞するまでの成績に繋がったのだと感じました。
そして、今や球界で常勝集団として君臨するソフトバンクの初期に活躍し、プロ野球選手として一時代を築き、チームをエースとして率いた経験をまたどこかで指導者として後世に伝えていって欲しいと感じた一冊でした。 -
敗北を力に! 甲子園の敗者たち
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仕事や生き方にとても役立つ事が多かった。
普通に当たり前のことも多いだろうけど、伝えている相手がドラフト1位で色々な挫折や経験をしているから、説得力が違う。
阪神ファンとして、藪さんがここに入ってるのはちょっと違うかなぁ。と感じた。
・事が起こった瞬間にすぐに手を打つ。反応ではなく対応する。一旦感情を脇に置いて次の一手を考える。
(仰木監督)
・学ぶときに大切なのは謙虚になる事
・未来に楽しい事がある。何でも自分の力で変えられる可能性があるから。
・明日を変えるために知識と技術を身につける
・これからどうするか未来形で話す。昔話は不要
・失敗は沢山しても良いが同じ失敗は二度としない。
・自分のゴールを決め、ゴールにたどり着くために何をするべきかノートに書き出す。
目標、乗り越えるべきカベ、解消すべき課題
・目標をノートに書く事で行動が変わる。
・トレーニングを怠らず準備に時間をかける。
・つらいときには今は神様が我慢しろと言っているんだ。勉強する時期なんだと考えて我慢する。
どんなときにもポジティブに!
・営業は自分がいかに気に入ってもらえるか。
・退路を絶ってじぶんを変えようとする姿は美しい。
・人の言うことを鵜呑みにしない。自分で正解を見つける。
・プロ野球は自分を持っている人だけが生き残る世界。周りに影響を受けたり他人に気を遣い過ぎたりする人は生きにくい。
・悪いなら悪い状態でどうやってバッターを打ち取るか徹底して考える。
万全の状態でなくても全力を尽くす。過去の自分と決別し今を懸命に生きる。
・習慣と心構えが本当にすごく大切
・人からはムダに見える事も自分にとっては大事な経験、財産
・準備をしっかりしたうえでの失敗はそこから何かを学び取れる。
・頭の柔軟さが必要だけど、自分の真ん中にしっかりした芯を持つことも同じくらい必要。 -
敗北を力に! 甲子園の敗者たち
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ネタバレ「引退できない」現実を受け止めるところから始まる
本書は、タイトルのとおり「まだまだ仕事を引退できない人」──特に“バブル入社組”と呼ばれる世代を主な読者層としている。著者の元永知宏氏は、リクルートでの豊富な人事・キャリア開発経験をもとに、50代以降のキャリアについて冷静かつ具体的に提案している。
まず本書が示すのは、「もうすぐ引退できる」という幻想を捨てることの重要性である。年金支給年齢の引き上げ、物価の上昇、家族への経済的支援──そうした現実を直視せざるを得ない状況下、50代からの戦略的なキャリア設計は“選択肢”ではなく“必須課題”となっている。
読者に突きつけられるのは、自分の「市場価値」を冷静に把握せよという現実である。経験が豊富だからといって需要があるわけではない。むしろ、古い経験や過去の栄光にすがっていては淘汰されるという厳しさを著者は繰り返し指摘する。
“バブル入社組”のリアルな声が突き刺さる
本書の最大の特徴は、著者自身が直接ヒアリングした“バブル入社組”の生の声に基づいている点である。
「役職定年後、急に“ただの人”になった」
「若手の部下から“古い”と煙たがられる」
「定年後に備えて資格を取ったが、まったく役に立たなかった」
これらの声は決して他人事ではなく、多くの50代が直面し得る現実である。その一方で、そこには共通する“諦め”や“虚無”だけでなく、新たな挑戦に踏み出した例も紹介されている。たとえば、フリーランスとして業務委託で働く形へ転身した事例もある。
本書は単なる“キャリア論”ではなく、“現場のリアル”から抽出された具体策を提示している点において、非常に説得力がある。
3つの答え──50代が今すぐ始めるべきこと
タイトルにもあるように、本書では“バブル入社組”の声から導き出した「3つの答え」が提示されている。
1. 市場価値の再確認とアップデート
過去の職歴や肩書ではなく、今現在の自分がどのようなスキルを持ち、どのような価値を提供できるのか──その“市場価値”を客観的に見直す必要がある。その上で、必要であればスキルの再習得やリスキリングを行うべきである。
本書では、リスキリングは難解なIT技術の習得だけでなく、営業力やファシリテーション能力、プレゼン能力など“人間力”を含むものであると述べている。この広い定義が、本書の読者層には非常に有効である。
2. 会社外のネットワーク構築
会社に依存しすぎないためには、「社外の人脈」を意識的に構築していくことが不可欠である。著者は、たとえ小さな関わりでも社外のプロジェクトや勉強会に参加することで、将来への道が開けると説く。
これは“人的資本”という観点で見ても、極めて理にかなっている。会社という枠を超えて、どのように“社会に接続しているか”が、50代以降の生き方を大きく左右する。
3. 心の持ちようと生活の再設計
キャリアとは、単なる仕事の話ではない。生き方そのものの再設計でもある。特に50代という年齢は、親の介護や子どもの独立、健康への不安など、ライフステージの変化が大きく影響する時期である。
本書では、「ライフキャリア」という視点を取り入れ、仕事だけでなく生活全体を見直す重要性を説く。つまり、「何のために働くのか」という根源的な問いに立ち返ることが、これからの戦略において最も重要となるのである。
「キャリアの棚卸し」は誰にとっても必要
本書の中で繰り返されるのは「キャリアの棚卸し」の重要性である。どんなに立派な経歴があっても、それを“相手に伝わる形”に再構成できなければ意味がない。
また、“再就職”だけが道ではないという点も強調されている。独立・副業・地域活動・学び直し──選択肢は多様化しており、自らの価値観やライフスタイルに合った働き方を模索すべきである。
そうした提案は、50代に限らず、30代・40代にも響くものであり、将来のキャリア設計を前倒しで考えるきっかけとなるだろう。
まとめ
『まだまだ仕事を引退できない人のための 50代からのキャリア戦略』は、単なる自己啓発本ではなく、50代以降の働き方と生き方を現実的に見直すための実用書である。
“バブル入社組”という一つの世代に焦点を当てているものの、そこで描かれている課題と提案は、今の時代を生きるすべての世代に共通する教訓を含んでいる。
引退できないという現実を前に、どう生きるか──その答えを模索するすべての人にとって、本書は有力なナビゲーターとなる一冊である。 -
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1950年から2004年まで存在した近鉄バファローズについてチームの変遷と選手や関係者へのインタビューから球団の真相に迫った一冊。
野茂英雄、梨田昌孝、中村紀洋とスター選手を輩出するだけでなく、4度のリーグ優勝や江夏の21球や89年の3連勝の後の4連敗など数々の名場面を残した球団近鉄バファローズ。
球団がなくなって10数年経った今、関係者が語る球団についての話を読んで昭和の古き良きプロ野球を体現してる球団だと感じました。
チームを初優勝に導いた西本幸雄氏がそれまでのチームの考え方を変えたことや江夏の21球の裏側、仰木彬氏と10.19決戦を超えて翌年の優勝へと繋がることや90年代の選手と球団との確執、01年優勝、球界再編問題と昭和から平成にかけて激動の時代を生きた近鉄という球団は球史にその名を刻むとともに藤井寺という地を中心として破天荒に激しく球界を生き抜いてきたとも感じました。
また、梨田昌孝氏やラルフ・ブライアント氏、岩隈久志氏など歴代在籍した選手や浅川悟氏や足髙圭亮氏といった球団と関わりの深い方などへのインタビューも当時の熱量を感じるされるものとなっており興味深い内容でした。
個性的なメンバーが揃って時代を彩った近鉄という球団の歩みを知るとともに野茂から始まった日本人大リーグ挑戦の流れや球界再編後のプロ野球人気の拡大は近鉄という球団が無くなってから拍車がかかった事も何か因縁めいたものを本書を読んで感じました。
冒頭にあるようにOB会もなくなり、どんどん風化されていく中でもその歴史を語り継いでいかないとも感じた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
プロ野球でドラフト1位指名されたが、十分に活躍できなかったと目される選手の「その後」を取材したノンフィクション。登場するのは水尾嘉孝、的場寛一、多田野数人、江尻慎太郎、河原純一、藪恵壹。それに本人は2位指名だが、学生時代から多くのドラフト1位選手と接点のあった中根仁にも取材している。名前を見てわかるように、全く活躍できなかった選手は皆無で(むしろ多くは一時期でも球史に結果を残した選手たちだろう)、彼らに「期待はずれ」というのは酷ではある(本当に「期待はずれ」だった人に面と向かって「期待はずれ」とは言えないだろうが)。
10代の読者への教育的効果を想定した「岩波ジュニア新書」なので、失敗や挫折をバネに別の世界で復活という定型的なリベンジストーリーばかりなのが綺麗事すぎるが、その中でも日本野球界の「古い体質」の問題が垣間見えるのは興味深い。各人の話に共通するのは、従来の日本の野球界では監督・コーチの権威主義的な指導(怒鳴る、殴る、失敗を責める、気に入らない選手を干す、無理にフォームを変えさせるなど)が横行し、選手は「やらされる」感覚で萎縮してしまい、自分の頭で考えることができなくなってしまうということ。特にプロ生活をアメリカでスタートさせた多田野は「日本のコーチはやってはいけないことばかりをしている」(p.82)とまで指摘する。最近はメジャーとの人的交流が増えて変化しているようだが、完全には払拭できていまい。単に野球界のみならず、企業や学校などにも通じる日本社会の構造的欠陥と言えよう。