忠平美幸のレビュー一覧

  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

    異文化コミュニケーションの事例として、これを超える本はないのではないか。下手に理論を勉強するより、こういった事例を学ぶ方が良い。
    文明vs非文明民族の対立を描いている。私は非文明民族の視点を持って生きていきたい。

    0
    2025年03月01日
  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

    2019年にSlate誌「この四半世紀の最も優れたノンフィクション50作」に選ばれた作品。初出は1997年で、15年後の改訂版を日本語訳したもの。
    長距離フライトの往復で読み切った。初めて飛行機の中の時間が速く過ぎたと感じた。

    モン族という現在のラオスやタイ、ベトナムの山岳地帯を起点とする家族と、その家族の一人である「患者」を診る米国の医療者たちの関係が中心に描かれる。読み終わった後には、立場の違いなく、様々な登場人物に畏敬の念を抱いた。

    モン族の生活や背景、歴史事情、医療行為など、高度で入り組んだ理解が必要なテーマがいくつも折り重なっているのに、ほとんどの前知識を必要とせずにこの本を読む

    0
    2023年12月20日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ


    「サードプレイス」という言葉自体はよく聞きますが、自分の職場と家庭から離れて過ごすことができるという位置付けで捉えていました。

    この本における、「サードプレイス」とは、単なる場所のことではなく、そこに集まった人たちが、互いに会話をしたり、意見を言い合ったりするコミュニケーションの場であって、すなわち全てのカフェや居酒屋がサードプレイスではないということでした。

    こうした「サードプレイス」はこの本が書かれている当時でも減っていると嘆かれておりましたが、コロナ禍においては、もはや壊滅状態なのかもしれません。

    もちろん、場としてのサードプレイスはZoomやTeamsなどのオンラインにあるのか

    0
    2022年10月23日
  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

    とてもおもしろかった。前のめりで読んだ。

    最新刊、と思って読んでいたけど、これは「15周年記念版」の訳で、最初に出版されたのは、1997年なんですね。
    帰化や難民受け入れについては、ずっとほぼ鎖国の日本ではまだまだ実感すら追いついていないテーマなんですが、アメリカではもうおなじみのテーマなんだろうか。それとも、やっぱりアメリカでもまだまだなんだろうか。そんな疑問を感じながら読んだ。
    でもたぶん、こういうのはどこの地でもどの歴史でもどの民族にとっても、きっと永遠にいつまでも新しいテーマであり続けるんだろうな。

    しかし、異文化受け入れに対して、自分は柔軟な方・・・と思いたいのはやまやまだが、こ

    0
    2022年10月02日
  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アメリカにはラオスやベトナム、タイ北部に住むモン族が難民となって住んでいる。
     モン族は中国では苗(ミャオ)族として知られる山岳民族である。無文字で、山地で農業、狩猟をして暮らしている。
    家も自分達で建てる。薬草で病気を治療する。
    そして精霊信仰をしており、生活の節々で精霊が顔をだす。
    この本はアメリカに亡命したばかりのモン族の夫妻に子供がうまれ、その何番目かの娘がてんかんの症状を発症しアメリカの病院に運ばれ、治療、退院を繰り返すなかで不可避的におこった文化の衝突のあらましを、多くの関係者者に9年にわたりインタビューをして書かれたものである。
     アメリカ人からみたら原始的で頑迷でコンプライアン

    0
    2022年05月12日
  • 歯痛の文化史 古代エジプトからハリウッドまで

    Posted by ブクログ

    いつぞやの奇奇怪怪明解辞典で「歯は誰も貶さないのになぜかめちゃくちゃ滑稽」という話があって、本当にその通りだった

    アメリカの植民地総督に対してアメリカ人記者が「あいつは入れ歯でとんでもなくグロい口内をしている」という記事を書いたせいで牢屋にぶち込まれたんだけど、裁判の際総督に事実確認したらその通りだったので記者が無罪放免になった話、むちゃくちゃすきるしめちゃくちゃ笑った

    0
    2022年05月01日
  • 戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった

    Posted by ブクログ

    私の好きなポッドキャストの番組、The Mothで著者のイシメール・ベアがトークに出た回があった。話し始めた途端に「なんでこの人の声はこんなに悲しみを湛えているんだろう」と気になった(実際はユーモアたっぷりのお話で、写真を見ても笑っているのだけれど)。
    そして本書を購入。
    想像を絶する体験が綴られていた。

    馴染みのないシエラレオネの日常生活や文化も興味深いし、何といっても著者の抜群の記憶力には舌を巻く。
    語るために神様に生かされたのかな・・・と思ってしまう。最後のページで、7歳にしてこんな答えを出していたんだ、と知って更にそう思った。

    こんな体験をして生き続けていけるものすごいし、人間のr

    0
    2021年12月23日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    サードプレイスとはなんだろう?
    なぜ今注目され、必要とされているのだろう?
    が知りたい人は読んだらいい。

    サードプレイスっていろんなものがあるんだなぁと思ったし
    そもそも風土の関係もあるんだろうし、
    こうゆう関わり方が合う人も合わない人もいる。
    多様な人が混じり合う場所、常連客が集まるカフェとか居酒屋、自分の役割やキャラクターをひとつ脱ぎ捨てられる止まり木としても。

    いつの時代も、だれかとゆるやかにつながっている場所は必要とされているのだろうなと思う。

    0
    2016年12月11日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    ある程度読んで読書会(?)に臨んだので読んだものとする

    もはやオルデンバーグの構想したサードプレイスは(新規には)存在しえないのかもしれないが、要点を抽出すれば「サードプレイス的なもの」は現代にも見出せそう・あるいは構想できそうな気がした

    いずれにせよ、固定的でない(職場のようにそこに縛られない)コミュニティというのは今でも必要だろうと思う

    0
    2025年11月01日
  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

     ラオスから難民としてアメリカに来たモン族の一家の子リア・リーがてんかんの症状でカリフォルニア州の病院に運ばれる。家族も病院スタッフもどちらも少女を救おsうと懸命に努力するのだが、文化の違いや言語の壁などから行き違いが積もってしまっていた。
     著者はリアの両親や家族、治療に当たった医療関係者等にインタビューを重ねるなどして、どのような状況であったのか、どのように考え、どのように対処したのか、相手方の気持ちや態度をどのように感じていたのか、などを丹念に明らかにしていく。

     本書のタイトル「精霊に捕まって倒れる」とは、モン語で<カウダぺ>、魂の喪失によって引き起こされる病として受け取られている。

    0
    2025年04月02日
  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

    精霊に捕まって倒れる。この不思議なタイトルは、モン語の〈カウダペ〉の直訳だ。突然けいれんして失神する事象を指す。それはつまり、医学用語でいう「てんかん」のことである。

    1982年、ラオス難民のリー家の末っ子で生後3カ月のリアが、てんかん症状で病院に運び込まれた。その日から繰り返される入退院。その度に医師たちは、投薬をはじめ近代医学を駆使して懸命に救命を試みる。一方で、モン族の父と母は、悪い精霊に娘の魂を奪われたのだと理解する。そして、自分たちの儀式や伝統医療を認めないアメリカの医師たちに不満を抱き、彼らの薬こそが娘の回復を阻んでいるのではないかと不信感を募らせる。やがて、両者のすれ違いは、リ

    0
    2021年11月18日
  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    難民としてアメリカに移住してきたモン族一家に生まれた赤ちゃんリアが、てんかんの発作を起こしたところからこの一家と病院との長い付き合いが始まる。医師は当然てんかんを脳神経の異常であり薬によって治療するものととらえていたが、両親は度重なるてんかんの発作を「魂を喪失した」ことによるもので、取り戻すためにはチネン(シャーマン)の供儀などが必要だと考えていたのだ。リアを守りたいという強い思いは一致していたものの、言葉の壁以上に世界観や文化の違いが大きすぎてお互いの考える治療はうまく進んでいかない。
    両親の投薬不履行が虐待とみなされて裁判所命令が下り、リアが里親の家庭に一時預けられるという大事件の後もその

    0
    2021年10月23日
  • 戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった

    Posted by ブクログ

    著者のイシメール・ベアは、1980年にシエラレオネの地方で生まれ、13歳からの3年間、シエラレオネ内戦(1991~2002年)において政府軍の最前線で活動した元少年兵士。その後、ユニセフにより戦場から救出され、1998年に米国に移住し、国連インターナショナルスクールを経て、米オバーリン大学に進み2004年に卒業した。現在はユニセフ親善大使を務め、戦災で影響を受けた子供たちの地位向上のために活動している。
    本書は2007年に発表され、スターバックスコーヒーが全米6,000以上のチェーン店の店頭に並べた話題性もあって、ニューヨークタイムズ・ベストセラー(ノンフィクション部門)の1位を獲得したほか、

    0
    2018年04月08日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    本書の著者はアメリカの都市社会学者で、タイトルである「サードプレイス」の提唱者でもある。サードプレイスとは文字どおり、家庭(第一の場所)、職場(第二の場所)につづく「第三の場所」のことだ。家庭や職場ではない自分の居場所とでも言えるだろうか。サードプレイスはインフォーマルな公共生活の場の中核であり、人びとをストレスから解放してくれる。サードプレイスのおかげで、人びとはくつろいだ充実の日常生活を送ることができるのである(51頁)。ところが現代の都市環境が悪化し、公共のくつろぎの機会が急激に失われていると著者は懸念している。本書の目的のひとつは、「サードプレイスが国家と個人生活の双方に役立つことをき

    0
    2016年10月16日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    色んな人とその集団、そしてそれが抱える問題に出くわす度に「居場所」の役割を考える。論点が多過ぎて消化出来ずカオスやけど、久々に視座があちこち飛ぶ論考。89年に書かれたものがようやく邦訳、これもタイミング。個人としてのサードプレイスの必要性よりも、社会を維持していく上でのそれが気になる。生命体としてのまちづくりとは。

    0
    2014年03月02日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    都市に暮らす人々が「心のよりどころとして集う場所」。家庭、職場、三番目の社会的な場所としての「サード・プレイス」という概念について。著者はアメリカの社会学者。イギリスはパブ、フランスはカフェ、そして現代におけるアメリカは?20世紀の海外文学を読んでいると話が展開するのは、雑貨屋だったりする。
    店に集まる、場所に集まる、それは自発的なものもあり、戦略的なものでもあったりする。あるときは老人を街からしめだすための政策が存在する。
    訳者の解説のなかで現代におけるスターバックスは街のコミュニティ性を目指して雰囲気を作り上げたということだが(注:この本が出版された頃にはまだスターバックスは存在していない

    0
    2014年11月26日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    ここで書かれるサードプレイスは探してる場所と少し違うけど、それほど親密でない自分の趣味嗜好と違う人の集まる場所だからこそ自分にないものを提示される意外性があるっておもしろいと思いました。

    0
    2023年11月17日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    サードプレイスの概念について学ぶことができる。
    事例が多く、その中から、該当しないものについても把握できる。

    0
    2023年07月15日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    郊外に一軒家を建てて休みの日は家族でショッピングモールにドライブへ、といったような生活が当たり前になっていくことへの危機感を強く感じる書。
    アメリカをはじめ産業化が進んだ地域では、家庭や仕事場での役割から解放されて色々な人とたくさんの話ができる場が失われているという。ここで提示される居酒屋やカフェでは、経済的階級を超えて雄弁に人々が語り合える素晴らしい場であるようだ。
    ただ、ここで著者が想定する失われつつある場(サードプレイス)の姿は、解説にもある通り非常にノスタルジックで、ジェンダーやエスニシティ的な観点からはあまり心地の良い場とは言えない。「昔は良かったよな…」から始まる忘年会大好きな上司

    0
    2022年12月22日
  • サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

    Posted by ブクログ

    分厚いので、パラパラと斜め読み
    サードプレイス的な場所を自分から整えたいと思い、手に取りました。

    サードプレイスと呼ばれるものの魅力とはどこにあるのか?個々人にどんな働きがあるのだろう?そんな疑問を持ちながら読むととても楽しく読めました。

    ただこうしたら理想のサードプレイスが作れます!といった記述は(私には)読み取れなかったので、自分で模索する必要があるかと思います。

    ぼんやり感じていた、「どうしてサードプレイスは心地が良いのか」について深く考える、知識を得るにはぴったりの本だと思いました。

    0
    2020年05月26日