スティーヴン・ミルハウザーのレビュー一覧

  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    描写力がすごい。キャッチャー・イン・ザ・ライみたいな多くの人がぶち当たるある時期の感情のもつれとかとは違ってターニングポイントにすらならずに忘れ去られた子供時代をよくあそこまで表現できるなと思った。

    ----ここからネタバレ----

    エドウィンが撃つフリして目を開けたことによって安堵するよりも伝記を書くためのプロットを完成させることを厭わなかったジェフかなりやばい

    あと表向きには多くの人が忘れ去ってしまった子供時代の感性を忘れることなく保ち続けたエドウィンの人生と作品話なんだろうけど、ジェフがそこから外れることを許さなかったという感じがするんだよなぁ
    ローズ・ドーンやアーノルドからの影響

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    2022年12月03日
  • エドウィン・マルハウス

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    翻訳家の岸本佐知子さんは自分が翻訳した本はすべて「傑作だ!」と思いながら訳すそうだが、中でもイチ押しがこの本だとか。さもありなん‼︎こども時代、怖がりで移り気で(時に意地悪だった)自分自身の様々な遠い記憶が容赦なく掘り起こされたようで…今ここに居るのがふしぎに思える。
    忘れられない一冊になりそうです。
    (岸本佐知子さんの訳が素晴らしい‼︎)

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    2021年05月15日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    私が読んだのは、単行本で「エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死」(2003/8)だったけど、文庫化にあたってタイトルが短くなったのが、エレンディラ同様に寂しい。
    岸本佐知子は悪くない。

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    2018年10月17日
  • エドウィン・マルハウス

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    描写がくどくて読むのがつらい小説だった。

    しかし、途中、エドウィンの死が決まり、これは小説を覆す反小説だと確信できたところ、全てがスルスルと飲み込めた。

    なんと野心的な作品だろうか。
    晦渋な小説内小説、小説内批評などを駆使しながら、死をも虚構する小説の見えざる虚構性を突き崩してしまっている。

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    2018年07月14日
  • エドウィン・マルハウス

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    ある天才少年が、夭折した親友の少年の伝記を書いた、という体裁。更には、その著者たる少年もどうやら行方不明になっているらしき導入部分があるんだけど、そこを二重にしている意義はちょっと不明(自分的に、最後までそこが気になったんだから仕方ない)。それはともかく、書かれているのはほんの10歳ちょいまでの短い一生なんだけど、内容はとても濃密。ちょっと気難しそうで、何を考えているのかも分かりづらいマルハウスくんだけど、そのせいで素っ頓狂な行動に出てしまう場面も多く、結構にシリアスな人生ながら、思わず微笑ましくなる部分もちらほら。マルハウスくんを悩ませる脇キャラも個性的で、読んでて飽きさせられない。評判通り

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    2018年06月10日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    すげえなこれ。いやまったく騙された。第一部 幼年期 がいまいちピンとこなかったので中断しそうになったが、あるキャラの登場から俄然おもしろくなり… 表紙はのほほんとしてるが、読後は印象が一変する。子供向けじゃない大人向けの本です。いやほんとにw

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    2017年05月25日
  • ナイフ投げ師

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    初っ端の表題作の異常な緊張感から一気に引き込まれてしまった。
    現実と虚構が溶け合っていく瞬間がたまらないのだけど、かと思えば実話ベースの話があるのも面白い。
    段々と、語り手が“私たち”だと嬉しくなっちゃうようになってしまいました

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    2025年10月01日
  • ナイフ投げ師

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    ほんとうにただごとではない密度。文字に埋め尽くされたページ、底なしに秀逸な文章。質が高いとしか言えねえよ。不安がつきまとう夢みたいなお話たち、とてもよかった。不思議で、薄気味悪くて、心当たりがないのに懐かしいような気さえしてくる。『協会の夢』『パラダイス・パーク』この上なく想像力が掻き立てられたし、『ある訪問』好みすぎてたまらんかった。満足感えぐ。

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    2025年08月22日
  • ナイフ投げ師

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    細部が犇めく濃密な短編集。非現実的な出来事がシームレスに現実へと滑り込むが、その文体は数学のように精緻でエレガント。究極のナイフ投げ芸が行われる表題作に惹き込まれ、少女たちの秘密結社への様々な憶測が流れる『夜の姉妹団』に唸り、自動人形劇場だらけの町を描く『新自動人形劇場』に魅了され… 全12作が高い完成度で、短編ならでは魅力に浸る。

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    2025年08月07日
  • エドウィン・マルハウス

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    仕掛けが面白い。主人公つづった、親友にまつわる伝記がそのまま小説になっている。欧米の小説を読んでいて思うのは、「なぜこの語り手がこの話をするのか」の地固めが周到だ、ということ。マーガレット・アトウッドもそうだけど、大方の日本の作家のように「なんとなく一人称にしたかった」的な、ジャンルに寄っかかった書き方をしないところが、自立してていいなぁ、と思う。
    ストーリーは、ダークサイド・スタンドバイミー、といった印象。
    あるいは、月が月になろうとして、相手を自分の手で太陽にしてしまうような話。
    神官が神官になろうとして、相手を自分の手で神にしてしまう、と言った方が近いのかな。
    とにかく、そんな話。
    わざ

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    2024年11月22日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    子どもが子どもの伝記を書く。生まれた時から観察される者であるエドウィンと6カ月年長の観察する者であるジェフリー。純粋な子どもらしい興味や不思議や無邪気な残酷さに満ちた幼年期、悪魔に魅入られたような恋や友情の壮年期、そして作家としての苦悩と言っても9才から10才の事象だ。次第に伝記作家としてのジェフリーの存在が不気味に全体を侵食してくるかのようで怖かった。
    リアリティーのある描写が目に見えるようでした。

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    2023年04月14日
  • エドウィン・マルハウス

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    おもちゃ箱と宝箱をひっくり返したような物語。その、ひっくり返して出てきたもの一つ一つに、まんべんなく焦点が当たるような。全部読み終わって、どこからがフィクションなんだっけ?としばらく考えてしまった。

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    2020年12月04日
  • エドウィン・マルハウス

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    この本が響いたのか?響かなかったのか?
    まだ分からない。
    なので感想書くところまで消化できない。
    消化するためのなにかが足りない(己に)。

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    2017年10月26日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    初めは読みづらかったけど、後半になるにつれ止まらなくなった。
    自分の子どもの頃の、湿った手のひらに匂い玉がくっつくことや額に張り付く髪の毛や、セーターが首にチクチク当たることや鼻水が出てくるのにティッシュもハンカチも持ってないと気付いたときのことや、そういった些細な、ネガティヴな記憶が蘇った。

    終始熱に浮かされてるような感じ。訳者あとがきにもあるように、「天才作家」と呼びながらも実はこれっぽっちもそんな事思ってない主人公の自我が滲み出る仕組みになっている。
    渦中ののシーンは、冗談で終わらせようとしてたのはエドウィンの方で、それを許さず天才作家の人生を完成させたかったのはジェフリーなのかなとか

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    2017年10月14日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    なるほどね。エドウィンの伝記という形をとった主人公ジェフリーの小説なのね。最後にそれがわかったから読んだ甲斐があったものの、ここにこれがあって、これがあって、、という情景描写が多すぎるのと、特別なところがそれほどない人物エドウィンの普通の日常を大量に読むのに疲れてしまい、何度も途中で離脱したくなった。翻訳が読みやすかったので何とか頑張れた。
    素直に感動する伝記小説を期待して読んだのがいけなかった。実験的な小説なのね。

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    2024年11月16日
  • エドウィン・マルハウス

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    #河出文庫 #ミルハウザー 著 「 #エドウィンマルハウス 」

    ジェフリー著 の伝記「エドウィンマルハウス」を まるごと入れてしまう入れ子構造。「復刻版によせて」や「初版へのまえがき」も入れた遊び心のある構成

    芸術家の人生が終わらなければ、芸術に結びつく 中間点や始点が定まらず、伝記作家は伝記が書けない一方で、芸術家を見出す伝記作家がいないと、芸術家が誕生しないという、芸術家と伝記作家の表裏一体性は なるほどと思う

    著者は、子供の執着心に芸術性の萌芽を見出している
    「何かに執着できる能力を天才と呼ぶ〜誰もかっては天才だった」

    ジェフリー著の伝記は、予定調和的に出来事をプロットしていく狂

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    2024年06月10日
  • エドウィン・マルハウス

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    子ども目線の細かい描写が凄かった。物語も読み進めるうちに、なんか気になる登場人物が多くてゆっくりゆっくり読み進めていけた。

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    2023年04月27日
  • エドウィン・マルハウス

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    時系列で書かれているが乱雑な印象。文章は面白いのですが、盛り上がりどころに欠け、読んでいてやや苦痛。一般人の人生なんて実際はそんなものなのでしょうね。

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    2021年12月15日
  • エドウィン・マルハウス

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    これは… 最初ワクワクして読み始めたけど、正直一読しただけでは消化し切れなかった…。けど、すごい世界観、そして緻密な描写。子どもの世界がこれか、と言われれば否と思うけど、待てよ、実は自覚はなくてもハタから見ればそういうものだったのかもと、グルグル考えさせられる。簡単には底が知れない深さを持った作品であることは確か。

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    2017年03月20日
  • エドウィン・マルハウス

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    11歳で夭折した天才作家エドウィン・マルハウス。
    その伝記を親友であるジェフリーが記した。
    という設定の物語。

    主人公が少年で、わたしが女性であるからエドウィンやジェフリーの気持ちがよくわからないのかもしれない。
    エドウィンが魅力を感じた物事に、記憶に残る少女だったわたしは特に興味も無かったように思う。

    ジェフリーはエドウィンを天才と言うが、エドウィンが感性豊かな少年だとは思うものの、だから天才というのとも違うように思う。
    こういうところがわたしの平凡さなのかもしれない。

    エドウィンが気に入った子の影響を受けすぎるところも自分に重ねられない。
    好きになったローズやアーノルドに影響されるエ

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    2017年01月19日