羽田節子のレビュー一覧
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読み難く十分に理解することはできなかったが、環世界(Umwelt)という考えはとても面白かった。
すべての生物は、自分の感覚器官と運動器官を通して「独自の世界」を構成している。生物が感覚できる環境である知覚世界(Merkraum)と生物が働きかける環境である作用世界(Wirkraum)の両者が繋がり、その生物にとって完結した環世界(Umwelt)がある。
読む中で感じた、人間中心主義からの脱却というのがとても好ましく感じる。ヒトが生きる世界もまた一つの環世界にすぎず、その周りにはおびただしい数の環世界が多様に広がっている。
また、環世界を観察する際、われわれは目的という幻想を捨て、設計という観 -
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主体を取り巻く客観的な「環境(Umgebung)」とは異なり、主体が真に現実的に生きる場として存在する「環世界(Umwelt)」。生き物が見ている世界をより「生物」学的に研究しようと試みた傑作
マダニやコクマルガラスが生きる環世界から、人間という種の内部─天文学者や物理学者などの違い─に存在する環世界についても論じられており、約100年前に書かれた本ながら根幹となる理論は現代にも問題なく通用するし、この理論を呈示したユクスキュル本人が猛烈な問題意識をもっていたためにこの時点で射程を広く取って問題を呈示しているのも素晴らしい
私としては、実はこの本を読む前に環世界という概念に触れたことはあって -
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これは面白い。
生き物は皆、各々の環世界を生きている。
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マダニ
酪酸を嗅覚で受信→飛びつく→温度感覚で温血動物に降り立ったことを知覚する→毛のない場所を触覚で見つける→頭から食い込んで吸血
環世界
知覚と作業の相互作用
概念、システム
動物を主体とみなすか客体(機械)とみなすか
生物学者と生理学者
三半規管→その主体にとっての三次元空間を作る、コンパスの役割
→世界は一つではなく、生物毎に座標系が存在する
昆虫や魚の帰巣本能
時間軸すらも、生き物毎に異なる。
カタツムリは自分自身がノロマだとは思っておらず、そもそも時の流れが早い(フレームレートが荒い)
目的があるとみ -
Posted by ブクログ
とても面白かったです。日本語の翻訳も秀逸で読みやすかったです。本書は、それぞれの生き物が固有の環世界を持っていること、また同じ種(例:人間)の中でも環世界は異なっているのだ、ということを、ダニや犬、昆虫、鳥、魚など様々な生き物を例示しながら説明しています。
本書は哲学書的な意味合いもある一方で、様々な生き物の生態についてイラスト付きで解説していて、NHKの「ダーウィンが来た!」のような面白さもあります(イラストが素晴らしい)。哲学的という意味では、マルクス・ガブリエル氏の新実在論との共通点を感じました。ガブリエル氏は「唯一無二の世界は存在しない」とし、同じ場所にいても各人それぞれにとっての「 -
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生物(主体)は自分が持つ感覚器で世界を捉え、作用器で世界を変化させる。外界の物体(客体)は生物からの作用によって変化させられ、その結果生物に与える作用を変化させる。この環状構造を環世界と呼び、全ての生物がそれぞれ固有の環世界を持っているという。
感覚器の空間方向の分解能(例えば視力)によって世界の捉え方が変わるのはイメージしやすいが、時間方向の分解能(人間は1/18秒)によって時間の捉え方が変わるというのは面白かった。我々は自分の感覚器で感じられる世界を"実世界"と捉えがちだが、それはあくまで人間の感覚器が受け取れる側面で切り取られた世界である。普段1人の人間として主観的に -
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白亜紀。「トロオ」という進化恐竜(恐竜人類みたいな)がいて、巨大隕石による地球環境壊滅を察知し、
巨大宇宙船を作り、すべての地球環境と共に宇宙に旅立った、地球に似た星を探しいつか地球に戻ってくるまで。という設定の恐竜図鑑絵本。
絵が松岡達英さんのため、恐竜を始めとする動植物といい、当時の地球環境といい、トロオたちの文明といい実に詳細で迫力満点。
雷竜、翼竜と種別ごとに恐竜の絵が描かれ、大きさの違いとかも分かり易い。
恐竜人類トロオたちの住居とかも細かに決まっていて隅まで見てしまう。
ラストは宇宙に旅立った宇宙船群の絵だけど、いつか地球に戻ってきたら…なんて想像も掻き立てられる。