クリサートのレビュー一覧

  • 生物から見た世界

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    人間以外の多種多様な生物は機械のように単純な仕組みで成り立つものではない。

    生物それぞれに主観的な世界がある。それを環世界と言う。ダニは特定の匂いや、温度、接触に反応する世界を持っている。ウニは末端の器官から得る刺激そのものが世界を認識させている。

    このように生物には、われわれ人間の見ている世界とは異なる世界が広がっているのである。

    生物学を学ぶために、人間の見ている世界の認識を一旦脇に置き、生態を考察することが大切だ。


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    岩波文庫は難しい本が多いですが、その中で読みやすい本を選ぶとしたら本書を紹介する人も多いはず。ページが薄く、主張が一貫しているので理解しやすいです。本書はカントの自然学の理論が前提にあるように思われます。

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    2026年09月22日
  • 生物から見た世界

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    動物によって同じ物質世界が全く違って知覚されるという話だが、人間でも、人種、文化、世代などなどによって、全く環世界は違うだろうし、同じ一個人でも日によって時間によって心持によっても環世界は変わる。以前読んだ「唯識の思想」の話と相まって、人間の脳の働きや知覚について、いろいろと思いを巡らせる。

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    2026年05月26日
  • 生物から見た世界

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    人はしばしば、自分が見えている世界を「生物にはどう見えているか(環境)」と捉えがちだが、本書が説くのは「生物は世界をどう見ているか(環世界)」という視点。人の目には部屋の中に机や椅子、本棚が見えていても、飛び回るハエには机の上の皿にある食べ残ししか知覚されていない。飼っている犬には食べ残しの他にも椅子やテーブルといった"座れるもの"が知覚されているかもしれない。さらに人の中でも、読書家であれば本棚は別の色を帯びてみえるかもしれない。
    このように似ているようで異なる、生物の数だけ存在する環世界という発想がとても面白かった。
    ユーザーであれば使いやすさや工数削減、エラー率を知覚するだろうし、経営層であればROIやKPI、全体最適を知覚し、そしてエンジニアはコード品質や安定稼働をそれぞれの視点から知覚しているはず。つまり、ステークホルダーの数だけ環世界が存在して、Agentic AIもプロンプトや学習内容、MCP、確率的統計といった独自の環世界を基に判断しているだろうと意識する良い学びとなった。
    また、盲導犬の調教を例に示されるように、異なる環世界を共有することの難しさ、それでも想像し理解する姿勢が出発点になるという示唆も。
    挿絵の魅力もさることながら、「完全な国内平和を維持している『反射共和国』といえよう。」 「失敗に終わった結婚飛行を物語っている。」など分かりやすいんだか分かりにくいんだかな比喩表現も味わい深かった。

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    2026年03月08日
  • 生物から見た世界

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    愛のある日高敏隆の翻訳が素晴らしい。著者のユクスキュルはエストニア出身の動物比較生理学者で、1934年に「動物と人間の環世界への散歩」という原題で出版された。副題の「見えない世界への絵本」が示すように、動物にとっての世界は人間の見る世界とはまるで違うことを科学的な説明とクリサートの絵で巧みに伝えている。訳者の日高は、その動物にとっての世界を「環世界」という訳語を発明して表現した。象徴的なのは第1章で、目が見えず音も聞こえないマダニの生活史を追い、光感覚と嗅覚でその世界が作られていることを描く。さらにマダニは獲物が通りかかるまで時には何年も待つことから、マダニと人間にとっては流れる時間さえ違うと説く。人間の見る世界がすべてというのは大きな誤りであることを教えてくれた。

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    2026年02月10日
  • 生物から見た世界

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    なるほど、生物それぞれが持つ「環世界」という概念。人間の環世界、ダニの環世界、カラスの環世界といったように多種多様な独自の世界があるという考え方に感心しました。それぞれの環世界は知覚も視覚も違けりゃ時間の感じ方にも生物によって違う。またこの概念は実験に基づいた自然的なものから、超自然的な魔術的環世界まであるとの事でそれもまた面白い。さらに人間の中でも、各個人の持つ知識の違いで見える環世界もまた異なってくるといった指摘も頷けた。頁数も少なく、例や図もふんだんに使われているから読みやすかった。
    昔の人が(おそらく)人生を賭けた功績を手軽に文庫サイズで手に入れる事が出来るのは、何というか本というものの有り難さを感じられますねえ。

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    2026年01月17日
  • 生物から見た世界

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    ネタバレ

    ありがとう。良いものを読みました。
    私の語彙と読解力でざっくり内容を書き記すと、こうです。

    「動物は全て反射と本能で行動しており、機械と同じ」という思想に対する、反証。
    動物のみならず、単細胞生物も含んだ、生物は主体であり、物事を知覚し行動していることの解説。

    動物は機械じゃないんですよ

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    2025年12月06日
  • 生物から見た世界

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    人間が動物であるなら、客観的な世界というものが、決して主観の外側にあるのではなく、人間の環世界に含まれている。

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    2025年10月14日
  • 生物から見た世界

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    読み難く十分に理解することはできなかったが、環世界(Umwelt)という考えはとても面白かった。
    すべての生物は、自分の感覚器官と運動器官を通して「独自の世界」を構成している。生物が感覚できる環境である知覚世界(Merkraum)と生物が働きかける環境である作用世界(Wirkraum)の両者が繋がり、その生物にとって完結した環世界(Umwelt)がある。
    読む中で人間中心主義からの脱却というのがとても好ましく感じた。ヒトが生きる世界もまた一つの環世界にすぎず、その周りにはおびただしい数の環世界が多様に広がっている。
    また、環世界を観察する際、われわれは目的という幻想を捨て、設計という観点から動物の生命現象を整理しなければならない。私が生物の構造や仕組みについて知ることを面白いと思う所以がわかった気がする。

    小説ばかりではなく、生物系の新書にも積極的に手を出していきたいと思った。

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    2025年09月06日
  • 生物から見た世界

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    めちゃくちゃ面白い本でした。
    著者は1864年生まれの大学教授です。
    この本は、「生き物(主体性)には、それぞれの世界(環世界)がある!」と論じています。
    とても古い本ですが、現代でも役に立つ、名著だと思いましたー
    「世界は一つ」ではなく、「生き物の数だけ世界はある!」という考え方は、とても刺激的で良かったです!!
    世界が広がった読後感があり、とても良かったですねー!

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    2025年09月03日
  • 生物から見た世界

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    よくありがちな 動物の不思議な生態 や すごい感覚 など紹介するポピュラーサイエンスの本とは全く違う
    むしろこの生物にはこういう感覚しか無いが、それは劣っているのではなくその生物の環境や価値観からはそれが機能的であって劣っているわけではないという、すこし哲学的な内容で、視点が広がる感じである
    この考え方の部分が原書が1933年という古い本にもかかわらず今なおこうして読まれている理由だろう

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    2026年09月12日
  • 生物から見た世界

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    どこか忘れてしまったが、YouTubeのサイトを見て購入。科学の中では古典に入る本だが、意外と読みやすかった。
    『環世界』というキーワードを用いて、人間の目を通して見る世界と違う、生物から見た世界、しかも多様な世界を伺うことができた。
    生物によって、また状況などによって、周りからの世界の見え方、感覚の捉え方が違ってくる。行動もそれによって変わってくる。そんな話を科学的な観点で話を進めていた。
    最新の生物学がこの本をどう捉えているか分からないが、生物学の基礎の一部になっている考え方を知る事ができた。

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    2026年09月09日
  • 生物から見た世界

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    多生物の例と環世界という言葉を通じて、いかに生き物どうし(主体)が同じように世界(客体)を認識していないか(別種の生物はもとより同じ人間でさえ)、いかに一人一人のもつ環世界に閉じているかを考えさせられた。この認識を持って生きるかどうかで、世界の見方はかなり違ってくると思う。科学の分野によって現象のどの側面を切り取るかが異なり意見の相違が生まれることもよくわかり面白かった。一歩下がって世界の多重性を捉えるのに良い。

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    2026年08月29日
  • 生物から見た世界

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    生物の主観をどうやって明らかにするか。我々の世界と他の生き物の世界は違うということを改めて実感する。

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    2026年08月23日
  • 生物から見た世界

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    Audibleで聞いたのですが、ちょっと難しかったです。前知識がなかったので、音だけでは漢字がわからず、意味を捉えるのに難儀しました。
    たぶん、聞く読書のあるあるですね。

    環世界とは、すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え。

    見えている世界が違う。流れる時間が違う。
    だから人間の当たり前は通用しない。

    かたつむりと人間はそもそも時間の感じ方が違う。

    同じ部屋も人間、犬、ハエでは違って見えている。

    人間からみると意味がないような、昆虫達のまる見えの死んだふりは、敵の視点からすると、立派に意味がある。

    ハチの視覚での形の捉え方は丸いか開いているか。

    などなど、あらためてしっかりと教えてもらえたようで興味深かった。

    これが原著初版は、ドイツで1934年(昭和9年)に出版されたってのもすごいなぁ〜。

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    2026年06月22日
  • 生物から見た世界

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    心理学を学ぶ際に、最初に講師から教わった「一人一人にとっての世界は各々の独自のものである」との認識を生物学的に解いていったらこうなるのかな、と思いながら読んだ。視野を拡げる一助になると感じる。

    また時間をおいて読みたい。

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    2026年06月19日
  • 生物から見た世界

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    短い中に多くのことが詰まっているように思った。単純に、「他の生物から見たら世界は違っている」ということではないと思う。主観という呪縛のようなものを想像した。生物は脳の外には出られなくて、脳に映る映像を眺めることしかできない。本当の世界について知ることはできないのではないか。
    はじめから造語が多いのでそこでつまづいてしまう。環世界という大きな概念は分かるのだが、標識、記号はどちらもsignで分かりづらい。環世界の「環」は知覚と作用の循環のことだろうか。それとも中心となるオブジェクトが知覚できる周り(サブジェクト)を指しているのか。それぞれの単語についての説明がもう少し欲しいところ。訳者の解説を読むと翻訳には苦労されたことが伝わる。何度か読み返したいと思った。また、松岡正剛の千夜千冊でも紹介されていて、本書の魅力を語っている。説明の少なさが本書の魅力なのかもしれない。
    「環世界」のなかでは、客観は別の主観なのだろうか。それぞれのシャボン玉のなかでは世界は全く異なっているということは、「種」によってではなく「個体」ごとに違うということだ。かなり古い本でなので現在ではもっと研究が進んでいるだろうし、人に説明できるくらいには解像度を上げたい。

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    2026年04月25日
  • 生物から見た世界

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    ​ユクスキュルの「環世界」の話が刺激的で最高だった。ページ数は少ないが、世界の見方を根底から変えてくれる、極めて濃密な一冊だ。
    ​特に、カタツムリの知覚スピードの話が心に残る。
    客観的に見ればカタツムリは「ゆっくり」動いている。しかし彼らの主観(環世界)では、世界は人間よりはるかに速い速度で流れているという。
    ​この話を読み、杖をつき一歩一歩確かめるように歩く老人の姿が重なった。
    はた目には「ゆっくりとした足取り」に見えても、彼らの内側では、時間は恐ろしい速さで過ぎ去っているのではないか。
    ​客観的な時間など存在せず、生命の数だけ異なるリズムがある。
    この本を閉じたあと、身の回りの生き物や人々を見る目がガラリと変わった。

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    2026年03月08日
  • 生物から見た世界

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    生き物は同じ世界を見ているようで実はそれぞれ異なる宇宙に棲んでいる――本書はそんな静かな驚きから始まる。
     ダニには匂いと温度の点だけで構成された世界があり、ミツバチには人には見えぬ色の地図が広がる。私たちが当たり前と思う風景は数ある環世界の一つにすぎない。
     ここで視線は反転する。世界が一つあって生物が適応するのではなく、生物ごとに世界が立ち上がるのだ。
     他者を理解するとは相手の立場に立つ以上にその人の見ている世界を想像することなのかもしれない。生物学の書でありながら共生の哲学をそっと差し出す一冊である。

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    2026年01月17日
  • 生物から見た世界

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    文章表現はやさしいけれど、中身は難しい。「こういうことかな」と考えても、そうした理解で合っているか自信が持てないところがある。齧った程度の理解でしかないが、それにしても驚くことばかり。世界の多種多様な生物がこうやって生きている。よく命脈を保ててきているものだと感嘆するほかない。

    私が理解したところでは、私が見て聞いて知っている世界は私だけのもの、ということ。共感というもの。あれはなんなのだろう。

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    2025年12月08日
  • 生物から見た世界

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    「環世界」という概念を学ぶことができました。
    生物ごとに見ている世界は違う、というのはわかっていますが、見えている範囲(近くしている範囲)やその認知の仕方など含めて大きく違うことを知ることができました。
    そして、やはり生物においては、身体性を抜きにして世界を認知することはできないことを学びました。つまり、世界の在り様を認知しているのではなく、個の身体に対する影響度として世界を認知しているというのは面白く、納得感のある本でした。

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    2025年11月15日