縣秀彦のレビュー一覧
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タイトルに偽りなし「面白くて眠れない」。程よい深さで天文学の基礎が楽しく学べる。ついつい忘れがちだけれど、流れ星は星そのものが流れているわけではなく、宇宙のチリが大気とぶつかって気化したときの光なのだよね。エドガー・アラン・ポーが「夜空はなぜ暗いのか」という謎を解き明かしていたのはさすがです。天文台の多さが日本独自の文化というのも意外だった。清少納言が『枕草子』で「星は、すばる。ひこぼし。夕づつ。よばひ星、すこしをかし」と言っていて、昔の人も同じ星を見ていたのだなとちょっと親近感が湧く。ほかにも面白いトピックが満載。・知的生命体と交信できるようになったときには、ホログラフィーによる情報伝達が主になる・インカ文明では星が見えすぎて、星の隙間の「暗黒帯」のほうに名前をつけていた・ホワイトホールは理論上の予想のみで、実際にはまだ見つかっていない。知的好奇心が心地よく刺激される、満足の一冊。
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Posted by ブクログ
縣 秀彦
(あがた ひでひこ、1961年 - )は、日本の天文学者・教育者。専門は、天文教育・科学教育。学位は、博士(教育学)(東京学芸大学・2003年)。自然科学研究機構国立天文台准教授、総合研究大学院大学准教授を兼務。長野県北安曇郡八坂村(現・大町市)生まれ。
1985年 東京学芸大学教育学部特別教科教員養成課程卒業(教育学士)
1985年 学校法人駿台学園高等学校教諭 (1994年まで)
1993年 東京学芸大学大学院教育学研究科理科教育専攻修了(教育学修士)
1994年 東京大学教育学部附属中等教育学校教諭(1999年まで)
1999年 国立天文台天文情報公開センター助手
2003年 国立天文台天文情報公開センター広報普及室長(2006年7月まで)
2003年1月 東京学芸大学より博士(教育学)の学位を取得、学位論文の題は「大学・研究機関からの学校教育支援活動のあり方に関する実証的研究 : 天文教育における真正資源を用いた学習支援に関する考察を中心に 」[1]。
2003年8月 国立天文台天文情報センター普及室長
2005年 国立天文台天文情報センター助教授/准教授。
日本天文学会天文教材委員会委員長、NHK高校講座「理科総合」・「地学」講師、「一家に1枚宇宙図2007」制作委員会委員長などを務めた。インターネットや科学イベントを通じた天文学成果の普及や教育効果についての研究を行い、科学館への助言や執筆活動も行っている。
天文学者としては彗星のプラズマテイルに関する研究を行っていた。現在、ラジオ深夜便で「ないとガイド・星空見上げて」のコーナーのパーソナリティーをしている。
「では、世界中でもっとも隕石が見つかっている場所はどこでしょう? それは南極大陸です。南極大陸は一面白い氷雪で覆われているので、その上に石があれば、隕石の可能性が高いのです。こうして、日本でももっとも多く隕石を所有しているのは、国立科学博物館でも国立天文台でもなく、それは南極基地を運用している極地研究所(東京都立川市)なのです。一方、南極大陸同様に草木や石ころが無い、細かい砂に覆われた砂漠地帯でも隕石を拾い出すことが可能です。隕石には大きく分けると、石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石(隕鉄)に大別できます。地球への落下頻度は、石質隕石が 95パーセント、石鉄隕石 1パーセント、鉄隕石が 4パーセント程度です。宇宙から地球に落下してきた隕石の多くは小惑星のかけらであることがわかっていますが、なかには月や火星を起源とする隕石もあります。これらの隕石には太陽系誕生の初期の情報や太陽系の歴史が刻まれているので、隕石は太陽系の誕生過程を知るための重要な研究対象となっており、かつ、非常に貴重な鉱物を含む場合もあるので、アフリカの砂漠では隕石ハンターやその売買取引が存在しています。つまり、隕石がぶつかって死ぬ恐怖は低くても、隕石の奪い合いで人が殺されることは実際にあり得る現実なのです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「「君の名は。」は、若い男女の入れ替わりと時間軸のずれをテーマにした恋愛アニメであり、アニメに登場する場所を訪ねる「聖地巡礼」を一気にブーム化させた記念碑的作品ではありますが、一方、私はこのアニメを地球衝突天体による生存危機の存在を啓発するための作品と位置付けています。アニメ本編に登場するティアマト彗星は架空の彗星ながら、鋭く深くその恐怖と天体衝突からの回避の必要性を説いています。同様の事件は現実社会でも本当に起こり得るのでしょうか? それは 2013年2月 15日朝のことでした。ロシアのウラル地方チェリャビンスク州に隕石が落下したのです。幸いにも亡くなった方はいなかったのですが、およそ 1500人が、その大気中での爆発による爆風によってけがをしました。この地域では小型の小惑星が大気圏へ突入する際に生じた衝撃波によって多くの建物の窓ガラスが割れるなどの被害が生じたのです。このときの落下速度は秒速 15キロメートル程度と計算されていて、その運動エネルギーによって地上に到着する前に小惑星が大爆発を起こし細かく分かれて粉々になり小さな破片となって地上に達し無数の隕石となりました。地球大気に飛び込む前の大きさは直径 20メートル程度、重さは 10トン程度であったと見積もられています。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「太陽はじめ宇宙から飛来する放射線(プラズマの一種)は、前述のように地球の磁場バリアーである地球磁気圏(地球磁場 =地磁気)によってシールドされており、地上まではほとんど届きません。しかし、地磁気の極である北極・南極の周辺は、磁力線の束が集まる箇所のため、磁力線に沿って進む性質を持つ放射線が、その場所から地球大気圏内に侵入してきます。この際、地球の極域では高層大気の発光現象が発生する場合があります。これが、オーロラです。地球磁気圏の磁力線に沿って地球に降下して高層大気の大気粒子と衝突すると、大気粒子がエネルギーを持ち発光します。放射線の種類と地球大気の粒子種類によってX線から赤外線までさまざまな波長域の光が放出されますが、私たちが目撃するオーロラは、主に電子の降下に伴う大気発光で、酸素原子による赤色や緑色のオーロラが明るく輝きます。オーロラは地球の外側から観察すると磁極を取り囲むリング状に発生しているため、このリングをオーロラオーバルとも呼びます。地球以外でも、木星、土星、天王星、海王星など磁場を持つ天体でオーロラが観察されています。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「ガンマ線から電波まですべての光を太陽は放射していますが、このうちもっとも強い光は可視光線です。このため、人間の目は可視光線を捉えられるように進化したのでしょう。可視光線のなかでも緑色付近がピークになっています。地球の大気の窓をかいくぐって地上に光が到達すると、光の一部は光が当たったところを暖める熱エネルギーに変換されます。雲にあたった光も反射した水蒸気に吸収されたりします。こうして太陽エネルギーが地球や地球大気を暖めることに使われ、大気の大循環や降雨、そして海流も生じさせます。さらに植物の光合成や動植物の成長にも使われることになります。まさに、母なる太陽です。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「赤外線は別名熱線といって、地球を暖めるのに役立ちますが、紫外線は危険です。夏の強い紫外線によってみなさんも日焼けを経験したことがあることでしょう。浜辺やプールでの日焼けも美容と健康に大敵ですが、一番危険なのは、大気量の少ない高山での紫外線被曝です。 太陽からの紫外線は地球大気の窓によって吸収され、地表に到達するのはわずかに 2パーセント程度です。しかし、大気の薄い高山に行くと、それよりも大量の紫外線を浴びることになりますので、日焼け止めクリームをたっぷり塗るなど紫外線対策が不可欠となります。 もし仮に太陽からの紫外線が大気で吸収されずにすべて地表に到達したとしたら、私たちの肌はたった数秒で焼けただれてしまうことでしょう。それだけではありません。紫外線が持つ強力なエネルギーは地上にあるすべての生物の DNAを破壊することでしょう。確かに、かつて太古の地球では、陸上に生き物は皆無でした。紫外線のパワーが凄すぎるからです。陸上にも生き物が進出できたのは、そう、海のなかの植物が作ったもう 1つの地球バリアー、オゾン層のおかげなのです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「古代からの火星への恐怖は、もちろん、火星には火星人が住んでいて地球にいつか攻めてくるのではないかいう潜在的な不安でもありました。火星人にまつわるエピソードの 1つとして 19世紀末に活躍したパーシバル・ローウェル(米国)をご紹介しましょう。資産家として生まれたローウェルが火星に魅せられた理由は、火星表面に「運河」が見られたという誤報を目にしたことから始まりました。当時、イタリアで活躍していた天文学者スキャパレリの詳細な火星スケッチには、直線状の構造が複数描かれ、この構造をスキャパレリはイタリア語で水路を意味する canale(カナーレ)と表現していました。この言葉が canal(キャナル) =運河と英語に誤訳されて伝えられ、ローウェルは火星に運河を建設するくらいの高等な生物( =火星人)が住んでいると信じてしまったのです。ローウェルは私財を投げ込んで、アリゾナ州フラグスタッフに私設の天文台を建設し火星の観測に没頭します。その後、ローウェルが残した多数のスケッチのように、火星表面に、運河や直線上の水路がないことは現在明らかになっていますが、当時、世の中に多大な影響を与えたのは間違いありません。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「私自身、星空を見上げて気持ちが救われたことが過去に何度もあります。特に若いころはそうでした。夢破れたり、失恋したり、そんなとき、慰めてくれたのは、いつも星空でした。その一方で、恋人や親しい仲間、家族と一緒に満天の星空を見上げて、とても幸せな気持ちを味わえたことも何度もあります。一人で星空と対峙して自分の過去や未来と語り合う時間も、満天の星空の下、寝ることも忘れて語り合い仲間と共感しあう夜も、星空は現代を生きる私たちにとって、まるで故郷のようなかけがえのない存在に違いありません。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「スペースの怖さは、真空であることと無重力であること。つまり、地上と圧倒的に異なる環境のため、自分の生存についての恐怖です。特に宇宙服無しでスペースに放り出されたことを想像するだけで、窒息する恐怖や体が思うように動かない恐怖、空気が無いので音は伝わらず声も届かず音もしないことへの恐怖、太陽放射特に紫外線被曝の恐怖、宇宙線被曝の恐怖などさまざまな恐怖を感じることでしょう。さらに宇宙に行く巨大な乗り物ロケットの安全性への恐怖など。だから、私たちは幾多の困難に立ち向かう勇気ある宇宙飛行士に憧れ、宇宙飛行士を応援しようと思うのでしょう。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「星や宇宙を研究することは、世の中と全くかけ離れたことでは決してありません。宇宙を見ていると、「地球はなんて素晴らしい星!」と実感させられます。宇宙のなかで、地球が存在すること自体が奇跡と感じられるのです。宇宙はどうなっているか? 他の星にも生物はいるのか? 宇宙でどのように生命が生まれてきたのか? 天文学は、そのような根源的な謎を解き明かそうとしています。 そしてそれがわかる時代になれば、人間一人一人の生き方や考え方、そして社会の進むべき道の何らかの手がかりが得られるに違いありません。すでにここまで読み進められてお気づきの方も多いと思いますが、私たち地球に住む生命同様に、宇宙に存在する星にもそれぞれ一生があり、その終末が必ずあるのです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「夜空を見上げたとき、無数の星ぼしの輝きに心奪われる人がいる一方、星と星の間の深遠な闇に恐怖を感じる人もいるといいます。確かに人間にとって闇とは恐怖を感じる最大の瞬間であり、本能的に闇を嫌い、光を好む性質を持ち合わせているように思います。 確かに宇宙は暗闇の世界です。地球にいて私たちが昼間このように明るく生活できるのは、太陽の光を四方八方に散乱させ、空全体を明るくしてくれる地球大気のおかげです。 大気のないお隣の天体・月では、昼間、太陽光に照らされて月面は明るく輝いていますが、空を見上げると太陽のみがスポットライトのように明るく、空全体は真っ暗です。また、星間を飛行する宇宙船から見た光景も遠くに地上と同じく無数の星ぼしは観察可能なものの、コクピットの外側の風景はご想像通り漆黒の闇のなかです。暗いのは苦手という人にとっては、このような宇宙旅行は苦行そのものとなることでしょう。 このように宇宙空間は文字通りダークな(暗い)世界ですが、そのなかでもダークな世界に潜む暗黒物質と暗黒エネルギーが注目されています。暗黒物質は通常ダークマター、暗黒エネルギーもダークエネルギーと呼ばれることのほうが普通です。そして、この後に説明するように、この2つが宇宙を支配しています。つまり宇宙はまさしくダークな世界なのです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「私たちが住むこの宇宙をユニバース( Universe)またはコスモス( cosmos)と呼びます。一方、地球の大気圏外という意味の宇宙はスペース( Space)と呼びます。日本語では同じ宇宙でも定義が異なるので若干ややこしいですね。 コスモスとはカオスの対義語で、調和の取れたものという意味です。一方、ユニバースの Uniは単一のという意味の接頭語ですから、唯一の存在という意味です。また、私たちはユニバース =森羅万象とも捉えてきました。 同じ意味の言葉として中国では「宇宙」という言葉で、私たちの住む世界の一番外側のフレームを表現しました。宇とは無限の空間の拡がりを意味し、宙とは無限の時間を示しています。これは空間の縦横高さに時間を4つ目の次元として加える考え方なので、中国では早期に宇宙は 4次元であることに気づいていたことになります。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「しかし、宇宙の始まりやブラックホールの中心といった現代物理学では解くことができない特異点の存在がこの宇宙には存在することから、科学者たちは宇宙がもっと高い次元から構成されていると仮定したらどうなるのかと想像しました。つまり、特異点をどうしたら回避して、人類が知っている数学や物理学で扱える対象になるかを目指したのです。 138億年前に宇宙が無から誕生したとしたら、時間も空間もゼロになってしまい計算が何も進まなくなります。そこで考えられたのが超ひも理論(スーパーストリング理論)です。宇宙はもともと 11次元の存在であり、いくつかの次元がまるで輪ゴムのようにひもを形成し、その次元が畳まれたひもこそが宇宙の始まりに存在していたというアイデアです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「地球外生命を否定することは理屈上困難です。さらに言うなら、地球上で生命が誕生してから 38億年経った現在、人類のような知的生命体まで進化したのですから、宇宙のどこかの星に、私たちとコミュニケーション可能な宇宙人がいても理屈上はおかしくないのです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「「天文学は何の役に立ちますか?」と聞く人がよくいます。天文学は音楽や算術・幾何と並んで 5000年以上の歴史を持つもっとも古い学問の1つであり、星の動きを知り、星の位置を測ることは、暦を作り時刻や方位を知るなど「実学」として文明の発祥とともに必要不可欠でした。 また、宇宙そのものが「信仰」の対象だったこととも天文学の発展と深く関係しているのも事実で、古くは占星術と天文学は渾然一体とし切り離せないものでした。 そして、人類は、星空をながめる機会があれば、「私は誰? ここはどこ?」、または「宇宙において私たち人類は孤独な存在なのか?」などと星空と対話しながら自問自答してきました。 このように宇宙は古くから私たち人類の知的好奇心を刺激する対象でした。天文学が「みんなの科学」または「理系の哲学」と呼ばれる所以です。さらに近年、宇宙への関心は人々の心の癒しや未来への希望、すなわち個人にとっての幸福実現のためのツール(文化)の一つに成長しました。天文は学術としての興味のみならず、文化として、今後ますます個人の幸福実現に役立つものとなることでしょう。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「「小さなことでくよくよしていてもしょうがない」。星や宇宙に接すると、不思議なくらいにそう感じる方が多いようです。なぜか前向きになれるのです。自分の「存在理由」や「立ち位置」がわからないことほど不安なことはありませんが、宇宙を感じ、自分の存在理由を知り、さらに自分が生きる目的を知ることができれば、人びとの生き方は大きく変わる可能性があります。宇宙のことを知ると、自分の存在理由や、立ち位置が垣間見える瞬間に遭遇することがあります。そして変わるのは個人のみではありません。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「そもそも、貧しいことがすべての元凶にあり、科学技術が豊かさをもたらしてくれることを発展途上国の人々の多くが信じています。しかし、科学技術が発達することで得られる「物質的な豊かさ」、「経済的な豊かさ」のみならず、宇宙を知ることは「心の豊かさ」を私たちにもたらしてくれるのです。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「宇宙を観る視点をすべての人が持つことは世界平和につながるように感じます。また、世界平和は、この瞬間の世の中を見るだけでは、解決策は得られません。過去から学ぶこともあるけれど、それだけでは不確実です。未来を予測することが重要です。宇宙を理解しようとすると将来が見えてきます。大きなフレームで考える視座を天文学は与えてくれるのです。大きなフレームで物事を見るということは、とても重要なことです。そしてそこには、天文学での「宇宙原理」に対応する人類の「人間原理」のような原則が存在し、将来はそれを誰もが認識してよりよく生きられるのかもしれません。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「宇宙原理は、近視的な視野では気づきません。視野を大きくして俯瞰的に対象物を観察する必要があります。人間社会でも、ローカルな視点ばかりに注目していると、人と人、国と国など「違い」ばかりが目につきます。そして、自分たちのルールにのみ固執して、お互いの共通性を見いだせず、争いが絶えない。 しかし、もっと大きなスケールで見てみたら、すべての人に共通する何か大切なもの、「人間原理」が見つけられるのではないでしょうか。そうすれば、我々は戦うべき敵ではなく、仲間なのだと感じることができることでしょう。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
「古代人にとって天文学はコミュニケーション・ツールだったのではないでしょうか。というのは、人と人が再会を約束するとき、季節や時刻や居場所を知ることができる天文学は、「人と人を繋いでいく =人間になる」上で、重要なツールだったはずです。将来、知的生命体(宇宙人)とのコミュニケーション・ツールも、その天体を探し出す「天文学」、情報をやり取りするための「数学 =デジタル信号 = IT技術」、そして気持ちを伝え合うための音楽( =感動?)なのかもしれません。とするならば、過去と未来を結ぶ現在社会に住む私たちにとっても天文学、数学、音楽は人類すべての共通教養として、自己と他者との間の文化的なコミュニケーション・ツールとして重要です。音楽やネット文化に親しむように星や宇宙もすべての現代人にとって身近で必要不可欠な存在なのかもしれません。」
—『怖くて眠れなくなる天文学』縣 秀彦著
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・ニールさんは、我が我が精神の真逆の持ち主で、ただ好きなことを追い求めているといつの間にかファーストマンになっていた、
という印象を受けました。
名が広がるのは1人でも、その裏や周りには数えきれない人々の仕事がある、そのことをご本人がよくわかっておられたということが印象的でした。
・伝記あるあるなのかもしれませんが、偉人の「妻」美女がちと今回も感じました。
偉人が偉人となる道のりで、子を産み、育て、偉人が世界から注目される中で、「妻」は喜怒哀楽を共にしたり、家族を支えたりという裏方に徹するといった生き方で描かれるように思います。
それが史実に近いのかもしれませんが、今回のジャネットさんは大卒でありながら、夫が訓練などの間育児を担い、自らのしたいことを追うチャンスはあったのかと考えてしまいます。
いわゆる「偉人」になり得る能力やセンスがあったかもしれないのに「妻」というだけで夫にチャンスを譲ってきた方がどれほどいるのかと考えると、暗澹たる気持ちになります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冬の夜空を彩る人気星座「オリオン座」。その中でもひときわ目立つ1等星「ベテルギウス」は太陽の1000倍の直径を持つ巨大な恒星だが、星としての寿命を迎えた「赤色超巨星」という状態になっており、すでに「超新星爆発」を起こしている可能性もある。地球から約640光年という、宇宙の中では近い位置にあり、640年前に爆発していれば、今この瞬間にも爆発の様子が見られる可能性があるのだ。ベテルギウスが爆発すると、満月の100倍のまぶしさで輝き、昼間でも肉眼ではっきり確認できる。この状態が3か月ほど続き、その後は次第に暗くなっていき、4年後には肉眼では見えなくなってしまう。オリオン座は右肩を失ってしまうのである。これほど近い距離での超新星爆発は、これまでわからなかった宇宙の仕組みの解明にもつながると、世界中の天文学者がかたずをのんで見守っている。超新星爆発とは何か、爆発の観測で何がわかるのか、人間に害はないのか、爆発した後はどうなるのか…。最新の研究結果から、超新星爆発にまつわる様々な宇宙の謎をわかりやすく解き明かす。
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Posted by ブクログ
ネタバレ現在私たちが見ている星たちは、もう何万年も前の姿であり、
今この瞬間はもうないのかもしれない。
子供の頃にそんな話を知り、衝撃を受けた人は多いだろう。
本書ではその話をもう少し具体的に解説してくれる。
対象になっているのはオリオン座の一等星ベテルギウス。
東京都内でもはっきり見えるため、なじみ深いオリオン座。
その右肩にあたるこの星は、実は観測データよれば
既に寿命が尽きかけていて、いつ「超新星爆発」を起こして消滅しても
おかしくないそうです。
といっても地球とベテルギウスの距離は640光年ですから、
実は既に爆発しているかもしれません。
例えば600年前に爆発していても、
私たちがそれを観測できるのは40年後ということです。
「超新星爆発」が起きるとどうなるのか。
ベテルギウスは膨大なエネルギーを放出しながら崩壊していき、
満月の100倍の輝度で輝くため、昼間でも見えるようになります。
そしてガンマ線バーストが起これば大量のガンマ線が放出され、
これを浴びれば地球上の生物はほとんど絶滅する、と考えられます。
幸いにしてこのガンマ線は自転軸から2度の範囲に放出されるため、
地球は直撃を免れそうなのですが…。
ベテルギウスというごくごく地球に近い(!)星の崩壊を切り口に、
宇宙の成り立ちから、その95%を占めるという
未解明の「ダークマター」の存在まで、
宇宙への科学的興味をかき立ててくれます。
今晩、夜空を見上げてみたときに
ベテルギウスが赤から青白く変わっていたら、
あなたが超新星爆発の第一発見者になれるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
宇宙。こんなに面白いノンフィクションがあろうか。
本当は全ページ全行にマーカーを引きたいぐらい。(意味ない)
知らなかったことはもちろん、そもそも身近すぎて考えもしなかったり、疑問にも思っていなかったことがたくさん。
これが教科書だったら、どんなに楽しい授業になるだろうと思う。どの教科より楽しみになる。
私が宇宙に興味を持ち出したのは、たぶん『教団X』で、「暗黒物質」というものが私達の周りに存在し、未だ解明されていないと知った時と、数年前に小惑星が地球のすぐ側を通り過ぎたことを知った時、あるテレビ番組で、オーロラとは太陽風(太陽から発生した放射線)による現象だと知った時。
それまではどこか違う世界のように思えていた宇宙の存在を認識させられた。やっぱり私達は宇宙から誕生し、今もその一部なのだということを。
特に隕石の話は怖くてとても惹かれる。人類が今、絶滅もせず生きていられるのは偶然で、実際恐竜やその他の生物が大量絶滅した原因は隕石だと言われているけれど、人類の歴史はまだ浅く、たまたま大きな隕石が落ちていないだけ。でも日常的に隕石は落ちまくっている。
綺麗だと眺めている流れ星は、地上に届かなかっただけで、届けば隕石という脅威の対象に変わる。
興味深かったことを箇条書きで。
・スペースデブリ
私が知らない間に大量の宇宙ゴミが捨てられていた。宇宙や地球で誰かにぶつかる危険性のあるものを、捨てて良い訳がない。もはや宇宙をもゴミ箱にする人間。
・太陽
水素ガスのかたまりで、中心では水素の核融合反応が起こっている。その状況を、なぜ何億年も保っていられるのだろう。
太陽風を地球磁場で防いでいるなんて、うまいことできている。磁場はいつから備わっていたのか。地球にいるから分からないけど、宇宙は真空や放射線で、生身ではいられない場所なんだ。
・国際宇宙ステーションISS
今は当たり前のように存在しているけど、考えたらすごいこと。常に宇宙にあって、人がずっと滞在してるなんて。1998年の打ち上げ当時、きっとすごい話題になったんだろうな…。
・太陽の光を熱エネルギーに変換
あんなに遠くはなれた太陽の暖かさで人間が生きていると思うとやはり奇跡。地球は太陽に生かされている。
・オゾン層は海の植物が作った
これは驚いた。どうしてそうなったのか、なぜそんな都合良く?そんな地道な方法で作られたなんて知りもしなかったし、それを破壊する人間の愚かさよ。
・天照大御神の天の岩戸は日食
古事記や日本書紀の天の岩戸の神話は前から知っていたのに、なんで気付かなかったんだろう、そうとしか思えない。
・SDGs
この本で初めて知って、もっと広まるべきことと思っていたら、最近テレビで頻繁に言われるようになってきた。世界で意識して協力することが大事。
・8000基以上の人工衛星
前に、すごく輝く1番星だと思ったら人工衛星だったことがあった。2等星から7等星の明るさ...どうりで。本物の星がどれだか分からなくなるかも。
・月の誕生
元々あのサイズで存在していたのだと思っていたら、まさか地球と惑星がぶつかった破片でできたとは。まず地球が他の惑星と衝突していたことにも驚いた。
・ブラックホール
太陽系のすぐ近くにブラックホールはない。だから地球は奇跡。ものすごく運が良い星。
時間が遅くなるとはどういう状況だろう。ずっと前から考えても分からない。
・超新星爆発
これは私にとって結構衝撃的だった。平安時代の人が目撃し、記録にも残していたとは。さらに今も残骸が観測できる。でも今の姿はなんとなく悲しいというか、この星は終わったんだという虚しさを感じる。また、新たな星になるのかもしれないけど。
そしてさらっと書かれているけど、太陽が50億年後には終わる、滅びるかもしれないということ。
人間も含め地球上の生命がその時まで生き残っているかはさておき、必然的に地球もその瞬間終わるだろう。それまでに太陽系からは必ず脱出していなければならない。
全ての物事には必ず終わりがやってくる。しかし超新星爆発は元素を生成するらしい。滅びるから生まれるものもある。
光の速さで地球に届くガンマ線バーストだけは起きて欲しくない。
・宇宙人
いてもおかしくないし、過去にいたかもしれないけど、何故か私はいなくても良いし、落胆はしない。それだけ地球って奇跡的な星なんだ、ものすごく特別なんだとも言えるから。地球のような環境になるってすごい確率だと思うし、そんな偶然があちこちで起きていると言われても俄には信じられない。
・超新星爆発2
人間の体は、超新星爆発によって作られた元素からできている。太陽と地球は同じ時期に誕生した。人間は、宇宙や、そこで起こったできごとによって誕生できた。地球でというより、宇宙で生まれた。
ずっと引っかかてたんだけど、138億−46億は92億。宇宙が誕生してから92億年後に地球が誕生した。思ってたより早い。というより宇宙の歴史が浅い(私の感覚では)。138億年とは長いのか短いのか分からなくなってくる。その前はなんだったのか、ビッグバンが起こった状況は、空間は、きっかけは何だったのか。
・暗闇
考えてもみなかった。確かに宇宙は真っ暗なのに、昼間の地球は明るい。地球自身は発光していないし、月など他の星では真っ暗な空しか見たことがない...なんと地球の大気が太陽光を散乱させているからだそうな。これこそ当たり前すぎて疑問に思ったことがなかった。どこまでも地球は人類に都合が良く、優しい。
・ダークマター
特に興味深いもの、暗黒物質。目に見えない、観測できないのにあることは分かっているってどういう状況?そもそも目で見える普通の物質(バリオン)の割合がたったの5%なのも驚き。
ダークマターは私達の周りにも普通にあるそうで。不思議で不気味。でもそれが、宇宙の均衡を保っている。
・ダークエネルギー
中学の時、クラスの日誌に、担任の先生(理科担当)に向けてメッセージを書いたことがある。「宇宙に果てはあるのか」先生の答えは、「宇宙は今も膨張し続けているらしい」
果てがあっても無くても疑問だったけど、果てが広がり続けているというのならそれが一番腑に落ちる。
それがこのダークエネルギーの力。しかもバリオン・ダークマターの重力に対して反対の力、斥力。
やっぱり、バランスなんだ。重力だけでも斥力だけでも宇宙は成り立たない。
・宇宙の終わり
地球と銀河との距離と遠ざかる速度が比例することで宇宙が膨張していると発見するなんて、今や当たり前なのかもしれないけどすごい視点だなと思った。
誰も答えを知る術を持っていないけれど、そうやって事実を分析して解明していくんだ。
終わりのないものはない。もし、今までに宇宙が限界まで膨張して破裂していたとしたら、または一度限りなく収縮してからビックバンによって膨張したのが今の宇宙だとしたら、今の宇宙は一体何度目の宇宙なのだろう。
・宇宙は遠くを見れば見るほど昔の姿しか見えない
これは非常にもどかしい。もはや宇宙に騙されているような、はぐらかされているような気がしてくる。今この瞬間に存在しているものが見られないというのは、不思議で少し残念。
・マルチバース
星や宇宙の距離は、規模や単位が大きすぎて、くらくらする。莫大な数字が溢れている。それにマルチバースなどと言われると、意識が遠のいてしまう。
・観測できないもの
目に見えないものがある。見えていても過去の姿だったり、まだ技術的に観測することができないとすれば、見えているものをつなぎ合わせたり、推測で補うしかない。視覚が無理なら理屈(理論天文学)で補おうという試みがすごい。
一方、人間は核爆弾のようなとてつもない威力の爆発は起こせても、その状態を維持できない。または宇宙の始まりやブラックホールなどの特異点を再現できない。宇宙はそう簡単に思い通りにはならないだろう。
星が自ら作り出すエネルギーは凄まじく、尊い。
・心の豊かさ
こんな広大な世界で、人間の行いとはなんて小さいんだろう。宇宙規模で見れば、人間の問題や悩みごとがどうでも良いと思えてくる。でも人間は常に地上しか見ていない。少ない資源や土地を多くの人間で奪い合うことしか考えていない。
本当に、人間同士で戦争なんてしている場合だろうか。こんなに広い宇宙に囲まれながら、することなんだろうか。
宇宙を考えると言うことは、視野を広げるということ。視野が広がると、心に余裕ができる。心の器が大きくなる。自分ばかりじゃなく、人にも目を向けて、優しくなれる。
天文学者は一番その事に気付くことができる存在なのかもしれない。
・月と太陽
言われてみれば、地球からはほぼ同じサイズに見えている。どっちがかものすごく大きく見えていた可能性もあったはず。これは偶然なんだろうか...奇跡の地球は謎だらけ。
最近思うことがある。
私は自ら意思を持ち、考え、行動する人間の存在が不思議で仕方がない。宇宙規模で考えると圧倒的にマイノリティな存在、人間。私達の常識は、宇宙基準で考えると全く通用しない。
その人類どころか宇宙さえもいつか滅びるとすれば、生命は何の為に生きているのだろう。人間は何のために命を繋いで、文明や文化を発展させ、進化してきたのだろう。結局何も残せないかもしれないのに。
いや、そもそも人間だから意味なんて考えてしまうだけで、ただ有るか、無いか、それだけなのかもしれない。
もしくは全てが滅びても、そこからまた新たな物質が生まれるという意味では、人間が生きてきた意味があるんだろうか。
奇跡の地球さえも滅びる。それはとても惜しい。地球や生命、人間について語る者もいない。
宇宙誕生から今までを1年とすると、人間が誕生してからは4時間しか経っていないそうだ。
いつ滅びてもおかしくない、4時間の生命。
だから私はこの地球に生まれたからには生きたいと思う。今生きていることは、とてつもなく奇跡的なことだ。まだ解明されていない事実が分かるまで、できるだけ見届けたいのだ。
20210218 -
Posted by ブクログ
宇宙への恐れを駆り立てるような天文学的な知識を紹介している本。面白いのは隕石の落下自体もだけど隕石を奪い合っての殺人は起こり得る恐怖という話とか。映画も好きなんだなと伝わってくる。
プラネタリーディフェンス、スペースデブリ、デリンジャー現象、磁気嵐、宇宙天気予報、スーパーフレア、オゾン層、温暖化、スノーボールアース、光害、宇宙の広大さ、ブラックホール、超新星爆発、ガンマ線バースト、太陽の最後、ダークマター、ダークエネルギー、宇宙の加速膨張、超ひも理論など。
怖い話ももちろん多いけど、最終的になにか暖かくほっこりするのは著者の人柄が滲み出ているからだろう。