今野浩のレビュー一覧
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私は大学院生だ。大学院生にとって最も関心があるというか、気がかりなのは修士論文である。私のように、大学学部を卒業してから40年以上を企業で過ごし、定年後に再度勉強しようと大学院に入り直した者にとっては、修士論文の書き方が、あまりうまくイメージが出来ず、「論文の書き方」的な書籍を何冊か読んでみた。そのうちの1冊が、本書を「研究者とはどういう人たちなのか」ということを知るのに最適の本であると紹介していたので、読んでみた。
私が通っているのは私立大学の大学院経営学研究科であり、本書の主人公である(というか筆者そのものである)ヒラノ教授が本書で主に紹介している国立大学工学部とは、かなり趣が異なるし、も -
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いつもながらの今野先生エッセイ。解説のエピジェネティクスの先生のいうとおり、こんな「事件」も牧歌的だったなあ、と思うようになる時がすぐそこに。
今、話題の入試改革も、問題作成、採点雑務で一流の大学研究者のなけなしの研究の時間をますます奪うことになるだろう。そして、日本の研究レベルのピークスはますます下がるだろう。もっとも、文部官僚の狙う通り、入試制度は「望まれる学徒のイメージ」としてはたらくのだから、学生のアベレージは確かに上がるのかもしれない。つまり、マスとしての教育効果は上がるが、日本の国際的に発信できるような学術レベルは全体として低下するだろう。それで良いのか? -
Posted by ブクログ
mamoruk さんの日記で度々登場するので、面白そうと思って読んでみたら、想像以上に面白かった。
小説風に書かれているものなのかと思っていたら、フィクションなのは「ヒラノ教授」という名前だけで、あとはノンフィクションそのもの。
「年3000時間の雑用」など、時間が具体的に書かれているのが、ORっぽくて、すごく参考になった。大学教員の仕事を知るのに、おそらく最も適した本。大学教員がヒマな仕事だと思っている大学生や、研究者の道が視野に入り始めた大学院生あたりにはぜひ読んで欲しい。
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科研費、すでにやってしまった研究をこれからやるように書く
過去5年間の業績、3人で一桁だと厳しい
新鉱脈を -
Posted by ブクログ
論文投稿必勝法とでも呼ぶべき本。よくある論文の文章書きのノウハウ本と思って読んだが、全く違った。論文の投稿先から、論文レビューの裏側、どうやってアイデアを守るかなど、いかにして業績を上げるかにフォーカスしている。研究者はどうやって業績をあげているのかイメージがつく、とても興味深い本だった。大学のあるべき姿まで踏み込んでいるところも、読み応えがある。
以下注目点
・論文のカの数で競争するのはバカげたことです。しかし、それをバカげていると言えるためには、たくさん書かなくてはならないのです。
・Googleスカラー
・論文書きは習慣のようなもので、書き出せば次々書けるが、ひとたび書かなくなると書け -
Posted by ブクログ
ネタバレ「工学部ヒラノ教授」シリーズの第6弾。
筑波大学の雑務から逃れて、アメリカ中西部インディアナ州にあるパデュー大学に客員准教授として過ごした著者の見たアメリカの大学。その実態を羨望と笑いと郷愁で綴るノンフィクションレポート。
世界で最も競争力のある産業としてのアメリカの大学の実態。一流大学の持つ膨大な資産。リーマンショック前の数字では、ハーバード大2兆円、イェール大3兆円、プリンストン大2兆円、後発のスタンフォード大でも1兆円の資産とその運用益+寄付の潤沢な資金で研究開発を行っている。日本で最大の資産を持つ慶應義塾大学の資産でさえも、その10分の1に過ぎない。
そこでは膨大な知的生産が行われ、 -
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ネタバレ2015/11/1 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/7/24〜7/28
工学部ヒラノ教授シリーズ第6弾(読んだのは4作目)。筆者の今野先生のアメリカ時代を描く。私も1年アメリカにいたが、ほんとにその通り。日本流の考えを持つ日本人にはなかなかに住みにくいところであった。ただし、アメリカ人気質を帯びれば、ほんとに快適なところ。ただ、本書にも書かれているように、貧富の格差は激しいものがあった。文科省は日本の大学をアメリカナイズしているが、表面的なものばかりで空回りしているし、自己資金が豊富なアメリカの大学に対して、貧乏な日本の大学の行く末は暗いなぁ。